四個めっ♪ やられるかもしれない!?
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軽く考えすぎてました…奥が深いですね、ラブコメ…。
今日中にもう一話書きたくて必死になってます(汗
間に合うかわかりませんが、次話もよろしくお願いします
「えへへっ♪平真、ごめんね?昨日は、明美に引っ張られて短い書置きしか出来なかったの…怒ってない?」(れ)
「ああ…全然怒ってないぞ?そ、それよりも近くないか?」
「だって…昨日別れてからずっと…ずっと…会いたくて…会いたくて…明日には会えるって、我慢してたんだから…」(れ)
こんな健気な事を言うれもんを振りほどくなんて俺には出来ないぞ!?でも、このままだと周りの男どものヘイトを無限に上げ続けることに…!?
なんだ?俺は覚醒したのか?・・・体中に突き刺さるような殺気を感じるぞ?・・・やべぇ…今日が俺の命日になるんじゃ…
そんな風に内心で冷や汗をかいていると…
「ねえ?何か注目されちゃっているようだし、教室に行こ?ふふっ、私たちって羨むような仲睦まじいカップルに見えてるのかな♪」(れ)
「お、おう…。教室に行こうか」
後半は聞こえない振りして教室に向かう事に同意した。振りほどくことが出来ないチキンな俺には、周りからの刺さる視線を長時間浴び続けるだけでも相当にくるものがある。・・・特に、近距離から浴びせられる『裏切者には極刑だ!!』と言う、誰かさんの恨みがましい視線が痛い。
「明、清、教室に行こうぜ!」
この状況を少しでも緩和すべく俺に出来る事…それは、親友ですら巻き込もうと言う浅ましいものだった。・・・許せ二人とも!出来ればフォローしてください!!
そんなことで劇的な解決など望めるわけもなく…
「あ…おはようございます、明太さん、信樹郎さん。ごめんなさい、平太しか目に入ってなかったの♪」(れ)
おい待て!全然誠意が感じられないどころか、そんなに嬉しそうに言うセリフじゃないだろ!?心の中でしかつっこめないチキンな俺の思いなど届くわけもなく…
「おはよう、れもんちゃん!あはは…そ、そんなこともあるよね?」(明)
「おはよう、東御さん。そんなことは、良いんだけど…僕の事は信とぶっ」(信)
「お前はややこしくなるから黙ってろ!」(明)
「え?信樹郎君、今何て言いかけたの?」(れ)
れもん!?悪気はないんだろうけど、その呼び方は繰り返しちゃいけないやつですよ!?
「わかってる!お前の気持ちは分かっているからもうちょっと大人しくしててくれ!!」(明)
「ひひはろう。ふひははいほ?」(信) ※良いだろう、次はないぞ?と言っております
「任せろ!ええと、れもんちゃん?こいつ…信のやつは…そう!信と言うあだ名をとても気に入っていてね?そう呼んでくれないか?と頼んでいるんだよ!」(明)
「そうなの?それなら別に遮る必要なかったんじゃないかと思うけど…それなら、これからは信さんと呼ぶね?明太さんも明さんと呼んだ方が良いのかしら?」(れ)
「是非お願いします!!」(明)
「そう…それじゃあ、改めて宜しくね。明さん、信さん」(れ)
そう言ってにっこりと二人に微笑みかけるれもん。信はともかく、明にはクリティカルヒットしたようで、さっきまで俺に向けていた殺気にも近い恨みのこもった視線はどこかに飛んで行った。どうやら、俺のそばにれもんがいると自分もそばにいられると言う…美少女がそばにいる日常を得られると言うメリットが、俺とれもんが付き合っているかもしれないと言う事実より上回ったらしい。さすがは明、自分の欲望に忠実だと言って置こう。
そして、れもん、ナイスだ!お陰で少なくとも親友二人は何かあった時、俺の味方をしてくれるはずだ。まあ、信はよく分からない所はあるが…女性関係で人に恨みを抱くような性格ではない。逆に、恨みを抱かれている可能性は高いが…
「平真、どうしたの?教室に行かないの?」(れ)
考え事をしていたせいでぼーっとしていた俺を、不思議に思ったのかれもんがそう話しかけてきた。覗き込むように話しかけてきたせいで、近い!?近いよ、れもんさん!?
「い、行こうか?」
言うべき事は色々あるのだが、とにかくこの場から去りたい思いでそう言った。・・・と言うより、そうとしか言えなかった俺。・・・すんません、メンタルめっちゃ弱いんすよ…少しでも意識するとこの|殺気
《しせん》を意識してしまって、耐えられなくなりそうっす…
「行こう♪行こう♪」(れ)
「そうだね、行こう行こう♪」(明)
そう言って、自然な調子で俺の腕に抱き着いて引っ張るように歩き出すれもん。明さんもご機嫌である。俺は、されるがままに歩き出す。とても素敵な感触が腕に感じられて思わず表情が緩む。・・・あれ?俺、れもんを意識すればこの視線にも耐えられるかもしれない!よし、このまま教室に行こう!
だが、そんな希望を見出した俺に、神はさらなる試練を与えて来た。
「おはよう!れもん♪それと、へ・い・ま・君!!」(川)
その瞬間、全身が凍り付いたのかと錯覚するくらいの寒気…いや、怖気が全身を巡った!?俺は、恐る恐る声の主の方を見る。一見笑顔の、川倉明美様がおられた…
「おはよう、明美♪昨日はごめんね?私の話を一方的にたくさん聞いてもらっちゃって…」(れ)
「ううん、気にしてないよ?今日は朝練のない日だったし、もっと長く付き合っても良かったくらいだよ?」(川)
「ありがとう♪明美にはいつもお世話になりっぱなしだね…いつかお礼しないとねっ♪」(れ)
「そんなの気にしないで?私とれもんの仲じゃない♪」(川)
そう、この二人はとても仲良し…無二の親友と言っても良い仲だ。教室でも、良く二人で話しているのを見かけたものだ。・・・だが、さっきみたいな会話の間も俺から離れなかったれもん。いつもの調子なら、川倉に抱き着いていても可笑しくないのに…そのせいか、彼女からの圧力が増した気がした…いや、間違いなく増した!!
「お、おはよう、川倉さん。れもん…さんと、川倉さんは本当に仲良くだよな!本当に、無二の親友って二人みたいなのを言うんだろうな!!」
俺は、生き残るために媚を売ると決めた!チキン?そんなの関係ねぇ!命あっての物種だぜ!!
だが、神はチキンな俺を地獄に落とすことに決めたようで…
「えへへ♪そうでしょう?私と明美はとっても仲良しなんだよ♪でもね?今は平真が一番好き♪一番一緒に居たい人なのっ♪あ、それとさんは要らないよ?れもんって呼んでくれないと嫌だよ?」(れ)
そう言って上目遣いに見つめてくるれもんさん…。待って!それ以上彼女のヘイトを上げないで!?もうすでにオーバーキル確定しているんですよ!?
その時の俺は、怖いもの見たさで彼女を見た。好奇心は猫を殺すと言うことわざの意味をその時初めて俺は知った。
彼女は無表情だった。だが、その顔を見た瞬間俺は悟った。
人のする表情で一番恐ろしいのは、無表情であると・・・
俺は金縛りにあったのかもしれない。体が全く動かない。川倉明美から目を離すことが出来ない。瞬きすらしていない気がする。遠くかられもんが何か言っているような感じもするが全く聞こえない。そんな、時が止まったような俺に、彼女がゆっくり歩み寄って来た。だが、俺は全く動けない…
そして、れもんとは反対の俺のそばまで来た彼女は、俺の肩に手を置いて耳の近くでこう言った。
「平真君?調子に乗るなよ?クズ野郎。私かられもんを奪いやがって…そのうち生まれてきたことを後悔させてやるからな?」(川)
その声は、俺に恐怖となって時の代わりに心に刻まれた。人には分相応がある。俺は、いつの間にかそれを超えてしまっていたらしい。これからは大人しく生きようと思う。そうしないと、コロサレル…
ちなみに、その時の彼女は俺からは無表情に見えたが、実際には笑顔だったらしい(親友談)。それほど、俺の心は恐怖に支配されていたと言う事だ。
「ちょっと!?いくら明美でも平真に近付き過ぎだよ!?それに、何て言ったの?聞こえなかったんだけど…?」(れ)
「ごめんごめん♪二人が余りに良い感じだからちょっとやっかみが入っちゃった♪平真君には、れもんをお願いね?って言っただけだよ?」(川)
「そっか、ごめんね?明美。平真の事ばかりで、明美をちょっと邪険にしちゃってたかも…。でも、明美だって大好きだよ?それでも今は、平真の事で頭がいっぱいで…その…」(れ)
「気にしないで良いよ?れもんの初恋だもんね?応援してるよっ♪そんなわけで、邪魔者は先に教室に行ってるね~!!」(川)
そう言って校舎に向かって走っていく川倉様を呆然と見送った。今のうちにれもん…さんには言って置かなくてはならないことがある…
「もう!そんな気を使わないで良いのに…ねぇ?」(れ)
そう言いつつとても嬉しそうな表情をするれもん…さん。・・・決心が鈍るからやめてください!?
「話があるんだ…れもんさん」
やっぱり、彼女のような娘に俺のような情けない男なんて相応しくない。きっちりと言ってあげないと、彼女自身が傷つくだけだ…
「平真…何でさん付けで呼ぶの?」(れ)
「そ、それはだな…」
「それだけじゃないよ?なんでずっと私の事を見てくれないの?」(れ)
「え?・・・あ」
「平真、今日はずっと私の事を見てくれてない!最初に照れた表情で挨拶を返してくれただけで後はずっと私の事をちゃんと見てくれてない!」(れ)
「それ…は」
「ねえ、何で私の事をちゃんと見てくれないの?今日の平真は、ずっと顔を強張らせて周りをきょろきょろしてばかりで…ねえ、何でなの?」(れ)
「・・・」
「最初は、照れているんだと思った。私も浮かれていたし、平真が可笑しいとは思わなかった。でも、一度気が付いたらダメだった…。私は、今日は平真に会ってからずっと平真だけを見てた…平真の事だけ考えてた…。それなのに、平真はずっと心ここにあらずって感じで周りを見渡してばかりで…たまにこちらを見てくれたと思ったらすぐに視線を逸らして…なにより、ずっと困ったような顔をしてた…」(れ)
そう言う彼女の瞳には、涙が溜まっていて…
「ねえ、私が付きまとうのは迷惑だった?それならそうとはっきり言って欲しいの…」(れ)
「そ、そんなことない…」
「じゃあ何で!何で私を見てくれないの!返事をしてくれないの!?こちらに…意識すら向けてくれないの…?」
「う…あ…」
「私に悪い所があるなら言ってよ?頑張って直すから…だから、私をちゃんと見て下さい…お願いだから…」(れ)
「おれ…は・・・」
今、何をしようとした?海藤平真!彼女から目を逸らそうと逃げようとしただろ!!そんなことが許されると思っているのか!!見ろ!彼女を!!顔を歪めて涙をぽろぽろ零しながら…それでも、俺を真っ直ぐ見てくれているんだぞ!?
それなに、今日のお前は彼女に何をした?周りの視線を気にして…友達を気にして…彼女の気持ちを少しでも考えでもしたか?彼女の気持ちを聞いて、こちらに向けているのは分かっていたはずなのに、それを意識したか?彼女の視線を、気持ちを、真っ直ぐ見返した瞬間があったか?それすらなかっただろ!!
挙句の果てに、川倉の気持ちに怖気づいてそれを言い訳に彼女から逃げようとさえした!そのせいで見ろ!目の前の彼女を!悲しくてこらえきれない涙を流す彼女を!お前がした事の結果を!!
今のお前が出来ることはなんだ?視線を逸らして見なかったことにすることか?違うだろ!やるべきことは一つだけだろ!逃げるな!海藤平真!!覚悟を決めやがれ!!
「すまなかった、れもん!」
「平真…それって、私の事が迷惑だって事…?」(れ)
「それは違う!・・・逆だ、これから俺が今日何を考えいたのか話す…最低な話だ。それを聞いても、まだ俺の事を好きだと…」
「言えるよ?私のこの気持ちを…軽く考えないで欲しいな、平真?」(れ)
「・・・俺がどれだけ半端野郎か改めて分かったよ…。とにかく、聞いてから判断して欲しい」
「・・・うん」(れ)
「俺さ…れもんの気持ちを受け止めて考えるとか軽く言って置いて、れもんがこの学校でどれだけ人気者なのか考えてもなかったんだよ…」
「え?私そんなに人気者じゃないと思うけど…」(れ)
「人気者なんだよ…。今日、注目を浴びていたのだって、俺と二人でお似合いのカップルに見えたからじゃない…。学校中の注目を集めるほど人気者である、東御れもんが幸せそうな顔で校門前で待っていたから注目されていたんだ。いつもより校門付近に人が多かっただろ?」
「そう言えば…そうだったかも?平真を探しながら待つのに夢中で気が付かなかったよ」(れ)
そう言って、涙の跡が残る顔で極上スマイルを向けてくるれもん。
「やめてくれ…今の俺に、そんな、れもんの笑顔を向けてもらう資格なんてないんだ…」
「う…私、そんな笑顔になってた?意識したわけじゃないんだけど…でも、笑顔を向けてもらう資格ってなに?そんなのないよね?平真が勝手に作ったルールだよね?」(れ)
「それは…そうなんだが…」
「納得いってない顔だね?じゃあ、さっさと話して資格を取り戻してよ?私、平真といるとまた笑顔になっちゃうもん!」(れ)
「・・・れもんが『もん!』とか語尾に付けて顔を膨らませると…めちゃくちゃ可愛いよな…」
「え?ほんとう!?」(れ)
「あ、ああ…」
「それじゃあ、今度から使おうかな?平真が可愛いって言ってくれるなら頑張れるよ!」(れ)
「いやいや、それだと俺がれもんを拗ねさせないといけないってことじゃないか?」
「・・・それもそうだね。難しいね…」(れ)
「そうだな…って、そんな話してる場合じゃなかった!?」
「私としては、もうそんな話無理にしなくていいと思うんだけどね?」(れ)
「けじめだからな…最後までさせてくれ」
「・・・うん」(れ)
れもんのやつ、わざとシリアスな雰囲気壊してないか?今も、笑顔で俺が話すのを待っているし…いかんいかん!甘えるな!・・・自分だけの事しか考えていなかった俺の考えを聞いたら、さすがのれもんも離れていくかもしれないんだからな…
「それで…だ。そんな人気者のれもんと、俺みたいな平凡な男が腕を組んで幸せそうにしていることで…周りからの視線が凄く刺さっていたんだ。俺は、その視線ばかり気にして…れもんのことを全く意識すらしてなかったんだ…」
「そうだったんだ…」(れ)
「それだけじゃない、そんな人気者のれもんにはファンクラブさえあってな?そのメンバーから攻撃されるんじゃないかとか思ってびくびくしたり、明もれもんのことを可愛いと意識してるからそんなれもんと腕を組んでいる俺を敵視してくるんじゃないかとひやひやしたりしてな…結局、自分の事だけしか考えていなかった。れもんの気持ちに…全く向き合ってやれていなかったんだ…」
「平真…」(れ)
「だから、ごめんな?れもん。簡単に気持ちに向き合うみたいなことを言って置いてこんな様で…自分の事しか考えてない最低野郎で…」
「ううん、謝ることないよ!私の方こそ、ごめんなさい!私も自分の事しか考えてなかった…。平真の事しか頭になくて…平真のそばに居たいって思ってくっついていたけど、そのせいで平真に迷惑がかかるかもなんて考えもしていなかった…」(れ)
「いやいや!何でれもんが謝っているんだよ!?俺が自分の事しか考えていなかったから悪かったわけで!」
「だから、私も自分の事しか考えていなかったんだよ?だったら、私も悪いんじゃないの?」(れ)
「違うだろ!?れもんは、俺の事ばかり考えていただけで…自分自身だけの事を考えるのと、相手の事ばかり考えるのは似て非なるものであってだな…!?」
「でも、結局私も自分の都合ばかり考えていただけだった…それで、平真に迷惑かけちゃったし…」(れ)
「迷惑だ何て思ってないぞ!俺が臆病者で自分本位な最低野郎だったのがいけなかっただけだ…」
「譲らないんだね?」(れ)
「これだけは間違いなく俺が悪いからな!」
お互いににらみ合う。ただ、れもんに睨まれても可愛いとしか思えない時点で勝ち目なんてなく…
「じゃあ、お互いにごめんなさいで手打ちにしようよ♪」(れ)
「いや…しかしだな…」
「しようよ♪」(れ)
「し、しかし…」
「ねっ?」(れ)
「・・・分かった、そうしよう…」
「「ごめんなさい!!」」(平&れ)
二人同時に頭を下げて謝った。
「ふふっ、私たちバカみたいだね?」(れ)
「そうだな…バカみたいだ」
「平真は本当におバカさんだけどね?」(れ)
「そうそう、俺は本当におバカ…何だとう!?」
「キャー!怒った~♪」(れ)
言葉とは裏腹に俺の腕に抱き着いてくるれもん。
「おい…何で抱き着いて…」
「・・・お互いに謝ったからやり直し!」(れ)
「やり直し?」
「うん♪おはよう、平真♪」(れ)
今日一番に会った時のように、極上の笑顔で挨拶してくるれもんに、俺は…
「おはよう、れもん」
今度は真っ直ぐ彼女を見て、彼女に挨拶を返した。
「えへへ♪やっと平真と会えた気がするよ♪」(れ)
「…長い時間待たせちまって悪かったな?」
「ううん、気にしないで?私が勝手に待っていただけだから♪」(れ)
そう言って向けてくる彼女の笑顔はとても素敵で眩しくて…
「おーい、お二人さん?俺らの事、完全に忘れてないか?」(明)
「「あ・・・」」(平&れ)
「やれやれ、いちゃつくならせめて部屋で二人きりの時にしてもらえませんかね?」(明)
「そこのバカップル&ただのおバカ君」(信)
「誰がただのおバカ君だ!?」(明)
「バカップルって言われちゃった♪」(れ)
「カップルって言われればこんな表現でも喜ぶんだな…。それで…何だよ、信?」
信は、すっと校舎の時計を指さして一言言った。
「ホームルーム開始2分前だよ?」(信)
それを聞いた俺たち(周りの成り行きを見守っていた野次馬含む)は、教室まで強制マラソン大会へと移行したのだった。因みに、れもんはずっと俺の腕を離してくれなかった…
やっぱりしまらないな、おい…