三個めっ♪ やっちゃったかもしれない…
ブックマーク、ご観覧、ありがとうございます。今回は恋愛感が薄い回です。
明日は、もしかしたら投稿出来ないかもしれません…
次話もよろしくお願いします。
「はぁ…やっぱり、れもんの勘違いだったんじゃないか?」
れもんからの告白を受けた翌日にあたる晴れた日、俺はため息をつきながら登校していた。
理由は二つ、一つ目は三度目の目覚めが訪れた時、そばにれもんがいなかったこと。小さなメモ用紙に「ごめんなさい」の文字を綴った書置きはあったが、逆にこれの意味は?と悩んでいる…
二つ目は、いつも絶対に起こしに来ていた幼馴染のみかんが今日に限って起こしに来なかった事だ。
あの、黒歴史の『大告白事件』の次の日にも起こしに来たあのみかんが今日に限って来なかった…これは、俺の中では大事件だ…
最悪の展開としては、れもんの手紙の「ごめんなさい」は、昨日の事は忘れてくださいと言う意味で、ミカンの方は、どうしようもない俺にとうとう愛想が尽きて世話を焼くのをやめたと言う場合。
二人がそう言うつもりだった場合…俺、立ち直れないかもしれない…
ズンと足が重くなって、学校への道のりがいつもより遠く感じ出した。違うと否定している自分より、そうじゃないか?と肯定する自分の方が勝っているのを自分が一番理解出来てしまう・・・モテ期だと思った俺の時間は、一日で終了したかもしれない…
「大丈夫だ!・・・多分」
「何が大丈夫なんだ?」(?)
「いきなり立ち止まって、自信があるんだかないんだかわからない発言をするなんて…相変わらず変な奴だよね、平真は」(?)
「おおっ!?我が親友の、棚倉明太君と、北城信樹郎君じゃないか!二人ともおはよう!!清々しい朝だな!!」
「なんだ?フルネームでいきなり呼んだりして…奇怪なのはいつもの事だけどな…何かあったか?」(明)
「確かに、空元気に見えるね…何かあったのかな?それはともかく、僕の事は信と呼べといつもいっているだろう!!」(信)
「そんなことよりってな、信。相変わらず自分の呼び名ネタだけは譲らないんだな…」(明)
「当たり前だ!僕は、自分のこのネタとしか思えない名前が大嫌いなんだからな!」(信)
「えー?なんで?意味と違ってとっても特徴的な名前じゃないか?しんきろう君?」(明)
「てめえ…ブッコロスぞ?」(信)
「キャー!しんきろう君が怒ったぁ!助けて!平真くーん!!」(明)
「お、おぅ…まあ、落ち着けよ?信」
「・・・どうしたんだ、平真?やっぱり可笑しいぞ?」(明)
「確かに、このフリで乗って来ないなんて君らしくないね?僕としては、怒りを霧散出来たからいいんだけどね」(信)
「だから、そっちを優先するなっての!・・・まあ、今は平真のことだな。それで、何があったんだ?」(明)
「何かあったのかと聞かれても…特に何もないぞ?」
さすがに、昨日の事を説明するには…色々話したらまずいことが多い。特に、あのれもんと事故とは言えキスしたと知ったら…信はともかく、明がだまってないだろうな…
「何で隠すんだよ?俺たちは親友だろ?」(明)
「そうだね、どう見ても虚勢を張っているようにしか見えない。話し辛い事なのかもしれないけど、出来るだけ力になりたいんだ。だから、話してくれないかな?」(信)
「くっ!?そう言う歯の浮いたセリフは、女性にのみに使いやがれ!この、イケメン野郎めっ!!」
「え?何で急にそんな話になったんだい?僕はただ、平真のことを心配してだね…」(信)
「うっさいわ!!イケメンにそんな台詞を言われると虫唾が走るんだよ!一般の男はな!!」
「ええ!?君の心配をしていると言うのに理不尽だと思うよ…。明もそう思わないかい?」(信)
「その件に関しては俺は断固として平真の応援をする!!」(明)
「・・・何故かな?」
「何故も何も…お前がさっき言ったセリフな?俺たちが言ったらドン引きされるんだぞ!それなのに…お前はイケメンがどれだけ得をしているかわかってないんだよ!!」(明)
明の魂の叫びを聞いた。うんうん、その叫びは俺の叫びだ!とても分かり過ぎるくらい分かるぞ!
「いや、今はそんな話をしてる場合じゃ…」(信)
「いや、今日と言う今日は言わせてもらうぞ!お前に分かるか?女の子に、お前へのラブレターを託された時の気持ちが!この、一瞬だけ喜んでしまった後の喪失感が!絶望が!!」(明)
「なんだと…そんなことが…それは…辛かったな…」
「おお!分かってくれるか!同志よ!!」(明)
「もちろんだ!それで…大丈夫だったのか?先走って変な返事をしてしまったりしなかったか?」
「ううっ…」(明)
「まさか…やっちまったのか?」
「そうなんだよ!あの女…最初、無言で渡してきたんだよ!明らかにラブレターと分かる手紙を!だからつい恰好つけちまって…『ありがとう、後で読んでおくよ』って言っちまったんだ!!」(明)
「それは・・・だ、大丈夫だった…のか?」
「ふふふ…次の日が休みだったからな…何とか復活出来たさ。でもな、あの時の相手の女の『何言ってんの?こいつ大丈夫?』みたいな顔が忘れられねぇんだ…」(明)
「明…大丈夫だ!俺はお前の味方だぞ!そんな紛らわしい渡し方した相手の女が悪い!お前は何も悪くないんだ!!」
「平真…」(明)
「その茶番をいつまで続けるつもりだい?大体、女性一人に嫌われたからってどうってことは…」(信)
「「イケメンは氏ね!!」」(平&明)
「なっ!?」(信)
「お前に俺らの気持ちが分かるわけがないんだ!!」(明)
「そうだ!何をしても女性に受け入れられるお前に俺たちの気持ちが分かるわけがない!!」
「女性をそんなに意識してばかりでは疲れるだけじゃないかい?」(信)
「さすが、持っている奴は言う事が違うね…そうしないと、女性に振り向いても貰えない俺らとは格が違うな!」(明)
「ああ、全くだ。一部の女子からは、俺ら何ておこぼれ目当てで信に纏わりつく害虫呼ばわりされているんだぞ!!」
「いや…さすがにそんなことはないんじゃないか?」(信)
「「あるんだよ!!」」(平&明)
この件に関しては、俺と明の息はぴったり合う。お互いに女に相手にされない仲だからな!・・・チキショウ!!
「はっ!モテる男は余裕ですな?必死に情報を集めて女の子によく見られたい、あわよくば彼女が欲しい!と必死に駆け回ってる俺たちとは別次元の方ですわ」(明)
「ああ、全くだな!俺らがあちこちの同志から情報を集めて、必死にモテるためにしている努力を…こいつはそんなことしないでも、笑顔の一つでも向ければキャーキャー言ってもらえるんだからな!!」
「平真の様子がおかしいって話からどうしてこうなったのさ…。それじゃあ、一つだけ言わせてもらえるかな?」(信)
「「なんだよ?」」(平&明)
「平真にはみかんさんがいるんだから、モテなくてもいいんじゃないの?」(信)
「「なんだってー!?」」(平&明)
「そう言えばそうだった!この、裏切り者め!!」(明)
「待て待て!何度も言ってるだろうが!みかんと俺はそんな仲じゃないって!!」
「「じゃあ、どんな仲なんだよ?」」(明&信)
「・・・ダメな幼馴染でも見捨てないで世話を焼いてくれる、何でも卒なくこなせる見た目も心も綺麗な完璧美少女?」
「「確かに」」(明&信)
「そんなに簡単に納得されると…それはそれでくるものがあるんだが…」
「確かに、平真とみかんさんって恋人同士のラブラブって雰囲気ではないよね」(信)
「そうだな。どちらかと言うと、ダメ亭主に尽くす出来た女房…それはそれで許せんな!!」(明)
「だあ!勝手に納得して、勝手に腹を立ててんじゃねぇよ!!」
俺の扱い何てこんなものですよ、ええ…。まあ、話はそらせたようだからいいか…
「・・・そう言えば、今日はみかんさんが一緒じゃないね?何かあったのかい?」(信)
信!余計な事を言うんじゃねぇ!!
「そう言えば…何か足らないむさくるしい空間だと思ったら…美しき一輪の花のみかんちゃんがいないじゃないか!?どうしたんだ、平真?とうとう愛想でも尽かされたか?」(明)
いつもなら簡単に流せる冗談めいた発言。だが今の俺には…
「ぐはっ!?」
「「平真っ!?傷は浅いぞ!しっかりしろぉ!!」」(明&信)
思わず両手を地面につけて項垂れる俺に、お約束な台詞をはく二人。
「後は頼んだぞ…お前ら…ガク」
「「平真ぁ!?」」(明&信)
「って、冗談だか本気だか分からないんだが…」(明)
「確かに…」(信)
「お前らが悪ノリしだしたから付き合ったんだろうが!?」
「なるほど、俺らの絆の勝利ってやつだな!」(明)
「ああ、僕たちの友情は永遠さ!」(信)
「そうだよな!俺たちは最高のトリオだよな!!」
「「「わっはっはっは!!」」」(平&明&信)
周りからで見てるやつらがひそひそ話しているがそんなことは知らん!いつも俺らはこんなだ!・・・みかんがいるともうちょっとマシになるんだがな…
「で、みかんちゃんと何かあったのか?」(明)
「誤魔化せなかっただと!?」
「親友を欺くなんて出来るわけないじゃないか?ましてや、平真は単純思考の持ち主なんだからね?」(信)
「ち、違いますぅ。これでも色々考えているんですよ!!」
「まあ、それはともかく…何があったのか話せ!」(明)
「まだ、何かあったとも言ってないだろう!?」
「お前の反応を見れば分かるんだよ。・・・もしかして、マジでみかんちゃんに愛想を尽かされたのか?」(明)
「ぐっ…」
「まさか、あのみかんさんが平真を見限ったって?・・・とても想像出来ないんだけど…」(信)
「確かに、有り得ないと俺も思うんだが…平真の反応を見てるとな?」(明)
「どうなんだい?平真」(信)
「それは…」
どうする?誤魔化しきれないか?でも、俺の憶測だけで何か言うのも問題が…
「ん?何か校門前が騒がしくないか?」(明)
「本当だね?何かあったのかな?」(信)
「・・・確かに、遠巻きに見てる奴が多いな?芸能人でもいるのか?」
校門を中心に、遠巻きにして眺めている生徒が多い。まだそれなりに早い時間だから、まだまだ増えそうな雰囲気だ。
「行ってみようぜ!誰がいるのか気になる!!」(明)
「行ってみようぜも何も、僕たちは校門に向かうしかないんだけどね?」(信)
「そう言う無粋なツッコミは要らないだよ!ほら、行くぞ!」
俺たちは、一人だけやれやれ仕方ないなと言う態度でいる信を引っ張って校門へ近付いた。そして、見えてきた人物は…
「お?あれは、学校一の美少女と名高い東御れもんちゃんじゃないか!偶然にも、俺たちは同じクラスと言う授業中に眺めることが出来る精鋭に選ばれたわけだが!!」(明)
「解せないね?別に、彼女が校門前にいるからって人だかりが出来る理由には…ああ、そう言う事なんだね」(信)
「ふむ、何か気が付いたのかね?」(明)
「そうだよ、彼女を…彼女の表情を良く見てみなよ?」(信)
「表情?・・・なんだ…と?バカな!?いつもより可愛らしく見えるだと!?すでに、頂点に立っているんじゃないかと思われるそのお顔が、いつもより大人びてかつ、可愛らしく見えるなんて…どういうことだ!?」(明)
「そんな事決まっているじゃないか?彼女が、誰かに恋をしたんだよ」(信)
「・・・なんだってーーーー!!?」(明)
うるさいぞ、明!あまり騒ぐな!!俺が気配を消している意味がなくなるだろうが!・・・違うと思うが…まさかの可能性もあるんだぞ!
「ほ、本当なのか?しんきろう君!!」(明)
「ブッコロされたいのか?」(信)
「すみませんでした!!・・・それで、本当なのか?」(明)
「・・・はぁ、そうだね。彼女の表情は恋する乙女そのものだ。何度か見たことがあるからね」(信)
「これだからもてる奴は…それは今はいい。それで、彼女は間違いなく誰かに恋をしていると言うのか?」(明)
「間違いないだろうね。あの表情…そして、校門前で待っている…。おそらく、学校に通う誰かを…恋をした相手を待っているんだろうね」(信)
「なにぃ!?東御れもんの心を奪ったのはこの学校に通う誰かだと言うのか!?・・・中々チャレンジャーだな?いや、自殺願望でもあるのか?彼女の人気を知らない奴なんてこの学校にはいないだろうに…」(明)
「!?」
「ん?どうしたんだ、平真?何か顔色が悪いぞ?・・・みかんちゃんに愛想を尽かされたのがやはりこたえているのか?」(明)
「ま、まあそんなところだ…。それより、れ…彼女の心をゲットしてしまった哀れな生徒はどうなると思う?」
「どうしたんだ?お前も知ってるじゃないか?俺たちが調べただけでも、数多くのれもんちゃんファンクラブがあったじゃないか?・・・中には過激派連中もいるみたいだし…私刑は確定じゃないか?羨ましいけどな!!俺ならそれを乗り越えてでも、彼女を幸せにしてみせるのに!!」(明)
「・・・実際にその立場に立ってないからそんなことを言えるんだよ…」
「ん?何か言ったか?」(明)
「・・・いや、何でもない。それより、俺…何か腹の調子が悪いから今日はやす…む」
危険な可能性を考えて帰ろうと思ったが、最後にもう一度校門に目をやった時、彼女と目が合ってしまった。その瞬間…
「あ!やっと来た!平真~♪おはよう♪」(れ)
彼女…れもんは、極上の笑顔で俺の腕に飛びついてきた。
「ああ…おはよう…」
俺はそう返すのがやっとだった・・・