十七個めっ♪ いきなり恋愛しろと申されましても…
我が家のリビングは、昨日に引き続きシリアスな空気を醸し出している。理由は、みかんとざくろの暴露話しを聞いたからだ。・・・ざくろが俺の事がずっと好きだったとは…昨日、確かに言われたけど…こうして改めて聞くと…何故俺なの?と思ってしまうのだ。
ざくろは本当に美人さんなんだぞ?弓道部ではかま姿…ではなく、ジャージ姿の事が多いのにも関わらず…的を見る真剣な眼差しを見ようと男子生徒が毎日の様に押しかけると言うのに…
明が言うには、ざくろは美人過ぎてわざと本命から外す奴が多く票が入らないらしい。・・・非公式だからな?余り詮索したらダメなんだぞ?とにかく、ある程度の可愛らしさも備えないと上位は狙えないだとか熱く語ってたな…。・・・りんごは逆に可愛さ100%でダメなのか?ありなのか?まだまだ奴の境地には立てないようだな…
と、現実逃避している現在だ。要約すると、俺を好きになったざくろがみかんと俺が付き合わないように少しだけ誘導したり、みかんは気持ちに気が付いていたのにそれを教えずに、逆にさっさと諦めさせようとしていたりしたみたいだが…肝心の俺は全く気が付いていなかったと…ダメじゃん、俺…
「なるほどね。しかし…こんなのを巡って女の静かな戦いを繰り広げていただなんて…不憫だわ」(菫)
「まてや、母上様。相も変わらず、こんなの呼ばわりはどうなのだ?と申し上げたい」
「まずは、国語を小学生から学び直した方が良さそうね?」(菫)
「・・・我が母親ながら恐ろしい。獅子は我が子をが千尋の谷に突き落とすと言うが、うちの母上なら千尋の谷どころか、煮えたぎる溶岩の中に突き落としそうで怖いわ…」
「実際に煮えたぎる溶岩の近くに行ってみないと出来るか分からないわね?」(菫)
「そんなことを言っている時点で一緒に行こうとは思わんわ!!」
「冗談に決まっているじゃない?本当に私を何だと思っているのかしら?」(菫)
「・・・とても若々しくて美しい聡明なお母様です」
「あ、全身に鳥肌が立ったから二度と気持ち悪い事言わないでくれない?」(菫)
「頑張って褒めたのに何て言い草!?頼まれてももう二度と言わんわ!!」
「それで、二人はどうしたいのかしら?」(菫)
「相変わらず息子を放置プレイですか…まあ、もう慣れたから良いけどな」
「今ではすっかり弄られる事に快感を覚えるどMに…」(菫)
「なってねぇよ!?人を勝手にヘンタイにするのはやめてもらえませんかね!?」
「そう言ってるけど実際の所は…」(菫)
「実はいじられることに快感を…覚えるわけねぇだろうが!?いい加減にしろや!!」
「あの…」(ざ)
「ああ、ごめんなさいね?親子の仲睦まじい会話を前にして、割り込み辛かったのね?」(菫)
「どこが仲睦まじく見えるんだよ!?割り込み辛かったのは別の理由に決まっているだろ!?」
「その理由とは?」(菫)
「俺が興奮して声を荒げているからだよ!あんたのせいでな!ちきしょーが!!」
「全く、落ち着きのない息子よね」(菫)
「あ・ん・た・は!!?」
「平真?ちょっと落ち着こう?」(み)
「・・・はい。落ち着きました」
立ち上がって興奮していた俺の腕をとって、みかんは自分の胸に押し付けるようにしてそう言ってきた。これはもう落ち着くしかない…落ち着くと言うより、そっちに意識を持って行ってしまってそれどころじゃないと言うか…。平真君を鎮めるのは女性なら簡単だね?・・・誰と結婚しても尻に敷かれる未来しか視えんのだが…
「みかんちゃん、やるわね?」(菫)
「お母様が話を進めようとしてくれないからですよ?」(み)
「子供はこうやって大人になっていくのね…」(菫)
「和んでいるところ悪いのですが…平真さんの顔がとてもだらしないことになっておりますよ?」(ざ)
「「え?いつもと変わらない(わ)よ?」」(菫&み)
「それは俺がいつも助平な事ばかり考えてると言いたいのかね!?お二人さん!!」
「「その通り(よ)」」(菫&み)
「おぅ…否定出来ない…」
「・・・」(ざ)
「ざくろ?羨ましそうに見るくらいなら…平真の左腕は空いてるよ?」(み)
「そ、そうですね。折角なので後学のために…」(ざ)
そう言って俺の左腕を取ろうとするざくろさん。あの大きい胸に俺の腕が…って
「ちっがーう!?何でこんな俺へのアピールタイムになってるんですか!?真面目な話をしていたんでしょうが!?」
「「「平真がだらしない顔をしているからでは?」」」(菫&み&ざ)
「その通りです。すみませんでした・・・」
やはり、男が俺一人だと不利すぎる!?明!信!助けてくれー!!
▼同時刻のとある喫茶店▼
「!?今、俺に助けを求める声が聞こえた!?これは…美少女からのSOSに違いない!!」(明)
「え?明は、いきなり何を言っているんだい?」(信)
「だから、俺に美少女がSOSを送っているのを感じたんだよ!!」(明)
「・・・それはどこからなのかな?」(信)
「わからん!分かったらすぐに飛び出して助けに向かっているぞ!」(明)
「いや…今はまだアルバイト中だからね?」(信)
「美少女とバイト、どちらを取るかと聞かれれば…美少女を取るに決まっているじゃないか!!」(明)
「全く、明はある意味真っ直ぐだよね…」(信)
「おうよ!俺はいつだって女の子のため真っ直ぐ生きてるぜ!」(明)
「で、女の子に真っ直ぐな明君?あっちで丸郷さんが呼んでるよ?」(信)
「なんだって!?丸郷さん!すぐに参ります!!」(明)
「本当に、あの女性に対する情熱の少しでも勉強に向けられれば、テストで苦労することもないだろうに…」(信)
彼は、テストの度に泣きついてくる親友の姿を思い出し、ため息をつくのだった。
▼海藤家リビング▼
「まあ、その様子だと二人とも平真争奪戦に参戦ってことで良さそうね?」(菫)
「はい、そうです」(み)
「はい、平真さんにはご迷惑かもしれませんが…」(ざ)
「いや…そう問われましても答えにくいと言いますか、どちらに答えても問題あると申しますか…」
「本当にこんな優柔不断男で良いの?」(菫)
「「はい!」」(み&ざ)
「全く、これだけ集まったのに良い娘ばかりだなんて…平真、刺されないように気を付けなさいよ?」(菫)
「息子を真面目トーンで脅すのやめてくれませんかね!?」
「みかんちゃんに一つ聞きたいんだけど、昨日私が話をしてから平真の態度は何か変わった?」(菫)
「ええと・・・いつも通りだったと思います」(み)
「・・・平真、失格」(菫)
「何がでしょうか!?」
「昨日あれだけの娘からアプローチされたと言うのに、あんたがいつも通りでどうするのよ?」(菫)
「いや、そんなことを言われましてもですね…」
「これは言う必要ないと思っていたんだけど…平真、よく聞きなさい」(菫)
「はい…」
「平真、あんたはまず…言い寄って来てくれている娘全員と恋愛をしなさい」(菫)
「はい・・・って、それはまずいだろ!?」
「何がまずいと言うのかしら?」(菫)
「何がも何も…何股かけてるんだよって話に…」
「別に全員に手を出せと言っているわけではないわよ?平真の場合、誰か一人を本気で好きにならないと選べないでしょ?他の娘に遠慮しちゃう感じでね?」(菫)
「確かにそうだけども…」
「だから、全員と恋愛すれば誰かをそのくらい好きになれるでしょ?これだけ良い娘ばかりが揃ったんだからね」(菫)
「…言いたいことは何となく分かったんだけど、何となくそれは悪い気がしてな…」
「みかんちゃんとざくろちゃんはどう思う?」(菫)
「わ、私は…平真が他の娘とデートしたりする事に思う所はあるけど…私ともしてもらえるなら…ありだと思います」(み)
「平等にチャンスを貰えるなら…願ったりかなったりです。確かに、他の娘に多少は嫉妬してしまうでしょうけど…」(ざ)
「ざくろちゃんは丁寧な言葉使いを禁止とします」(菫)
「ええ!?何故突然そんな事に…?」
「私が堅苦しいのが嫌いだからよ!」(菫)
「おおぃ!?思いっきり個人的な理由じゃないか!?それなら、いちごは良いのかよ!?」
「いちごちゃんのあれは、ちゃんとした意志が込められているから気にならないのよ。でも、ざくろちゃんのは意志のない…何となく日常的に使ってきたからと言う感じで聞こえるのよね。時々無理してる感じだし」(菫)
「え?え!?な、何故そこまで…」(ざ)
「母上に理由を求めても無駄だぞ?どうせ、女は生まれた時から鋭い直観力を持っているとか何とか言うんだからな…」
「そうよ、ざくろちゃんもいずれは開花する能力よ。自分の勘を信じるのは大事な力だと私は思っているのよ」(菫)
「また適当な事を…」
「平真は私を陥れたいだけでしょう?」(菫)
「・・・何を言っても聞き入れてもらえないと思うので、ノーコメントとさせてください…」
「あら残念ね」(菫)
「そうすると…私も普通に喋った方が良いんですか?」(み)
「そうね。そうしてもらえると私は嬉しいんだけど?」(菫)
「うん、そうする。でも、何か失礼な気がするんだけど…」(み)
「私が気にしないと言ってるんだから良いのよ?それに、私は娘相手にはフレンドリーに接したいと思っているのよ」(菫)
「娘・・・それって…」(み)
「平真と結婚してくれるなら、私の娘になるんでしょ?それなら、慣れてもらわないとね?」(菫)
「が、頑張ります。あ…頑張るね」(み)
「慣れるまでは少しかかりそうね」(菫)
結局、弄りたいだけなんじゃないのか?この母親だけは信用ならんのだが…
「じゃあ、私も砕けた調子で話させてもらうね」(ざ)
「やっぱり、そっちの方が自然に聞こえるね。まあ、時と場合で都合が悪い時はさっきまでのでも良いから判断は任せるわ」(菫)
「うん、そうする。・・・何か、自分の母親にも丁寧に話しているから…不思議な感じ…」(ざ)
「そうなのね。今までよく持ったわね?私ならすぐにギブアップしてるわね」(菫)
「小さい頃からだから…もう、慣れ過ぎて違和感がなくなってる感じかな?」(ざ)
「なるほどね。少なくとも、我が家ではそれでいいからね?」(菫)
「うん…何か、菫さんは、本当におおらかなお母さんと言う感じがして…すぐに違和感なく呼べそう」(ざ)
「あら?嬉しいことを言ってくれるわね♪みかんちゃん、これは本当にうかうかしていられないわね?」(菫)
「そうなの。ざくろは本当に強敵すぎて…出来ればライバルにはしたくなかったなぁ…」(み)
「そんな弱気な事を言って?負ける気なんてないくせに…」(ざ)
「それはね?平真だけは、最後まで諦める気はないからね!」(み)
「私も負けないよ?平真と一緒になって幸せな家族を作りたいし…」(ざ)
「あらあら?平真、早く決めなさいよ?私も娘とゆっくり話をしたいんだからね?」(菫)
「まずは恋愛とやらを理解するところから始めないといけないと言うのに…」
「そういえば、デートする順番は決めているの?」(み)
「確かに、気になる…」(ざ)
「そ、それは…お金が溜まってからって事で…」
「…暫くの間は、誰か一人は平真の様子を報告して貰っても良いかしら?」(菫)
「了解!みんなに話しておくよ」(み)
「はい、きっと明日からも平真は変わらない気がするから…」(ざ)
「俺はゆっくり進むタイプなんだよ…」
「一週間何も変わらない様子だったら強制的に何かさせるから覚えておくように」(菫)
「マジっすか!?が、頑張ります・・・」
「平真、ファイト!」(み)
「頑張って、平真!」(ざ)
「そんな期待した目でみないでくだされ…恋愛って強制するものじゃないと思うのですよ…」
恋愛ってどうやればいいんだ?全然分からないんだが…やはりここは、誰かに聞くか?いや…それでは余計混乱するような…あ、明日から頑張ろう…
これからの毎日は、悩み多き日々になりそうです・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
やはり、余裕なし…次を必死に書きます(汗
次話もよろしくお願いします。




