表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/60

ヒロイン話 いちご一個めっ♪

 私は『千代浦(ちようら)いちご』、普通の小学生の女の子だと思う。両親は忙しい共働きながら仲が良く、何の問題もない普通の一般家庭だと思っていた。


 だけど、実は子供の前でもイチャイチャするのは普通の家庭では中々ない事だったみたい。それを知ったのは、私が小学生に上がって周りの子の話をよく聞くようになってからだった。


 私はこれまで、それなりの習い事や、趣味事などを経験したと思う。だけど、どれもすぐに辞めてしまった。飽きっぽい性格なのかもしれないけど、どれも頑張ろう!と言う気にはとてもなれなかった。


 両親は、ゆっくりやりたいことを見つければいいと言ってくれるけど、今のところ何をやっても続く気がしなかった。自分でも理由は分からないけど、とにかく何かが違う気がした。


 好きな人が出来た時に知識があった方が有利だと言う母からのアドバイスを受け、私は様々な分野の本を読む事だけはしてきた。だけど、未だに恋愛は理解出来ていない。恋愛がテーマの文庫なども読んではみたけど…共感はおろか、理解すら出来なかった。


 その日は、両親ともに忙しく遅くなるので友達の経営している喫茶店にでも行って誰かと一緒に居てもらってくれと言われていた。たまに過保護っぽい言動をする両親だったりするのだけど、私は素直に言う事を聞いていた。何が今後必要になるのか分からないからね。


 その喫茶店を経営している両親の友達とは、何度か会ったことがある。両親はとても理解のある親友と言っても良い素晴らしい人物だと言っているけど、私からすればただの破天荒な人だった。


 色々なエピソードがあるけど、これだけは言われてもらいたい。

小学生の女の子に、お土産と称して避〇薬を渡すのはいかがなものだろうかと…


 最初私は、渡されたものの意味が分からずにお礼だけ言って後で調べてみた。まあ、そのお陰でそっちの知識を色々勉強するきっかけにはなったんだけど…


 母も母だった。私がそれを渡された時、まだその薬は必要ないわよね~?と、私が如何にもそれを知ってるような口調で問いかけて来たのだ。もちろん私は曖昧に返したけど、父の笑顔が引きつっていたのが印象に残っている…


 それはともかくとして、やって来た喫茶店で、在り来たりな言葉を使わせてもらうなら…私は『運命の人』と出会った。


 母からは嫌と言うほど父との話を聞かされ、いつかは貴女にも素敵な恋が見つかるわよと言われていた。だけど、自分は子供だからまだまだ分からないんだと思って気にも留めていなかった。正直に言うと、全く理解出来ずにもういいよと聞き流していたりもした。


 だけど、その人を見た時私は言葉では表現しきれないほどの衝撃を受けた。いつか読んだ本の『私はこの人と出会うために生まれて来たんだ』と言う台詞を思い出してしまうほどに…


 それから彼…平真に、私は色々な本や母の話を思い出しつつ、出来そうなアピールをしてみたけどほとんど効果がないようだった。


 仕方がないので、家まで送ってもらって両親が戻って来るまでの間に最終手段として、いわゆる既成事実を作ってしまおうと画策した。得た知識によれば、これを盾にすれば男は逃げられないらしい…


 でも、彼にはうまくかわされ続けて強硬手段に出たところで父が帰ってきてしまった。しかし、さすが母が選んだ人、そして私の父親。


 私の事をお願いしますと言った後に、私の事をアピールしてくれた。私も一緒になって色々な話をしたのだけど、彼はかたくなに拒み続けた。私が子供だからと逃げ続けている…どうにもならない事なんだけど、何か悔しい…


 そして、母が帰って来た後も話し合いが続き、許嫁と言う形で一度落ち着く結果となった。私の見立てでは、母の容姿が決め手になったと思う。ちらちらと胸のあたりに目をやっていたし…平真って助平だね…


 平真が帰った後、私は両親に真剣に相談した。だって、それだけ助平な平真が私に手を出さなかったという事は、手を出す価値がない…つまり、完全に子供だと思われているという事だから…


「それだけとも限らないわよ?」(母上)

「え?」


 母は相談するとすぐにそんな事を言った。


「彼は確かにエッチそうな子だったけど、それでも…その芯には女の子に手を出すときは覚悟を決めてからみたいな信念があるように感じたわ。まあ、出会ってすぐだから間違ってるかもしれないけどね?」(秋)

「ああ、確かにそんな感じにも見えたな…。秋華を見る目は助平な男そのものだったが、あのくらいの年頃なら秋華みたいな美人を見たらそうなるのは仕方がないからな」(影)

「あなた…やきもちは焼かないの?」(秋)

「あんな子にやきもちを焼いていたらきりがないだろう?だって、俺は世界一美しい花嫁を貰っちまったんだからな?」(影)

「あなた…」(秋)

「私の前でイチャつくのは今更だけど、今は私の相談に乗ってくれない?」

「ごめんなさいね、いちご」(秋)

「ああ、悪かった。続きを聞こうか」(影)

「そういいつつ、くっついたまま離れる気はないのね」


 私はため息を一つついた。まあ、この夫婦に何を言っても無駄なんだけど…今は真剣に聞いて欲しい。


「安心して、いちご。話は真剣に聞くわ。だって…孫の顔が早く見られるかどうかが掛かっている重大な話ですものね」(秋)

「確かにそうだ。遠慮なくなんでも聞いてくれていいんだぞ?」(影)

「話を聞く姿勢に問題があると思う…もう諦めたからいいけど。じゃあ、続きだけど…はっきりと言うと、どうしていいか分からないの。私が子供なのは変わらない事実、だけど彼の周りにはきっと彼を好きな女性がいる気がするの…。だから、時間をかけてたら手遅れになる…と思う。でも、私の成長を早める事なんて出来ないし…」

「そんなことはないわよ?確かに、肉体的な成長は早めることは出来ないけど、精神的な事なら早める方法はいくらでもあると思うの」(秋)

「その方法って?」

「そうね…まずは、言葉使いを丁寧にしてみなさい」(秋)

「え?そんな付け焼き刃じゃ意味ないんじゃ…?」

「形から入っても問題はないと思うわ。そこに意志があるならね?」(秋)

「意志?」

「そうよ。言葉使いを気を付けて改める度に、彼…平真君への気持ちを思い起こすのよ」(秋)

「平真への気持ちを…」

「そうよ。そうやって過ごして行けば、そのうちそれが当たり前になる。その時は…きっとあなたは成長出来ていると思うわ」(秋)

「・・・思いを重ねて強めるって事?」

「それも一つだけど、途中で投げ出さずにやり遂げるという事は、人を成長させる良いきっかけになるものよ?」(秋)

「なるほど…」

「じゃあ、今から言葉使いに気を付けてね?」(秋)

「え!?今から?」

「そうよ?だって、いきなり明日から出来るの?どこでもやるのよ?もちろん、学校でもよ?出来るのかしら?」(秋)

「分かり…ました。やリ遂げて見せます!」

「その意気よ♪後は…細かく言い過ぎても逆効果になりそうだから一つだけ…でも、とても大切な事だから絶対にやらなければならないことよ?」(秋)

「・・・一体、どんなことなのでしょうか?」

「それはね…どんな行動を取るときでも、平真君への想いを込める事よ」(秋)

「平真…さんへの想いを込める事ですか?」

「そうよ。いちごは彼に対してアプローチをしたって言っていたけど、それってちゃんと彼を想って行動していた?」(秋)

「え?それは…していませんでした」


 身勝手な行動以前に、私は知識しかない行動を彼へのアプローチという概念だけで行動してしまっていた。本当に好きなのか?と問われれば返せないほどに…


「やっぱりね。気持ちが先走って行動してしまう事はあるものだけど、その気持ちをしっかり自分で把握もせずに行動してしまったら…彼だって何も感じもしないでしょう。子供だからと言う言い訳をされてやりきれない思いをしたみたいだけど、それ以前の問題よ?酷な言い方をすれば、子供だからと言われても仕方ないほどよ?」(秋)


 私は何も言い返せなかった。完全に的を得ていたからだ。思えば、彼に恋をしたのだとしても取った行動は得た知識による模倣にも満たない稚拙なもので、それを彼を振り向かせるためと勝手な思い込みで動いていたに過ぎなかった。


 もちろん、彼が好きで好きでたまらないという思いも確かにあったはずだけど、それが行動する原動力となっていたかと言うと…とても肯定など出来なかった。ただ、あった知識を使ってこちらを向かせようという浅ましい行動でしかなかったと言う事。だから、母の言う相手を…平真を想っての行動であるはずもなかった。


「反省しているみたいね?その感じなら大丈夫そうね、だけどもう一つだけおまけをしようかな?」(秋)

「なんですか?お母様」

「…お母様と呼ばれるのも新鮮で良いかもしれないわね♪」(秋)

「と、父さんの事もお父様と呼んでくれないか!?」(影)

「・・・お父様」

「おおお…何か、ジーンとくるものだな…」(影)

「あなたのは少し違う気がするけど…。どちらにしろ、まだ話は終わっていないのだから口を挟まないで欲しいのですが?」(秋)

「す、すまない。ついな…」(影)

「仕方ない人ですね。それで、続きなんだけどね」(秋)

「はい」

「彼のそばにいるのはとても良い事だと思うの。まずは、いちごの存在を彼になくてはならないものにしてもらなわいといけないものね。だけど、今日家でやった強引な手はもう使ってはダメよ?」(秋)

「…彼の思いを無視することになるからでしょうか?」

「それもあるけど、私の見たところだと彼はそう言う強引な手が好きではないと思うのよ。だから、嫌われないまでも一歩遅れを取る事になりかねないわ。特に、これからは一人の女性として見てもらわないといけないのだからね?」(秋)

「わかりました。元より、そんなことをする気はもうなかったのですが、心に留めて絶対にしないように致します」

「それと…もう、やっぱり私はいちごに甘いのかしら?でも、これも話しちゃうわ」(秋)

「何でしょうか?」

「まあ、いわゆる大人の表情みたいなものね。いちごが本当に平真君の事を好きなら簡単な事なのよ?」(秋)

「簡単な事ですか?・・・そんなことを言われましても、私には分かりません…」

「彼との未来を…幸せな未来を想像すればいいのよ」(秋)

「平真さんとの…幸せな未来を…」

「そうよ。平真君に対してアプローチする全てがその幸せな未来に繋がると思っていれば、自然と素敵な笑顔になれると言うものよ?どんな未来をするとどんな表情が出来るかは自分にしか分からないわ。鏡の前で練習してみるのも良いかもしれないわね?」(秋)

「分かりました、試してみます」

「それどうかしら?まだ不安はある?出来そう?」(秋)

「恐らくですけど、いくらアドバイスを貰っても…不安はなくらないと思います」

「そうね、そんなものよね…本気で人を好きなるって事はね」(秋)

「はい。まず、お礼を言わせてください。こんな子供の私が恋をしたという骨董無形な話を、最初から信じてくれてありがとうございます」

「当たり前だろう?顔を見ればわかる、何やら満たされましたって顔してたからな」(影)

「そうですね。私も一目でわかったわ。それでも、いちごじゃなかったら信じられなかったかもしれないけどね?」(秋)

「やはり、お母様は気が付いていたんですね?私が…足りない何かを探しているのを…」

「ええ、色々な事にチャレンジしていたのもそれのためだったんでしょう?」(秋)

「・・・はい。彼を…平真さんを見た時思ったんです。私に足りないピースは彼に間違いないだろうって」

「なるほど…そう言う事なのね」(秋)

「はい。お母様が思った通り、私はきっと生涯のパートナーとなる相手を探していたのだと思います。おそらくですけど、きっかけは…」

「恐らくではないわ、間違いなく私たちが要因でしょうね」(秋)

「う…そうか。私たちが娘の前でも平然とイチャイチャしていたのがきっかけとなってしまったのか…すまない」(影)

「何を謝ってなどいるの?先走ってはダメよ?あなた」(秋)

「え?いや、しかし…」(影)

「そうですよ、お父様。確かに、それがなければ違った未来の形があったでしょう。それでも言えます。今より幸せな気持ちになれたことはなかっただろうと。それに、これからもっと幸せな気持ちを知る事が出来るのですから…」


 そう言って、私は平真との幸せな未来を想像してみる。そこには、私と平真とそれから…


「あなた?何を娘に見惚れているんですか?」(秋)

「いや…その…いちごがこんな表情をするなんて思いもしなかったからな…」(影)

「そうでしょう?恋をすると女は変わるものですよ?年齢なんて関係ありませんからね」(秋)

「ああ…今、改めて思い知らされたよ。父親としては複雑だな…いちごの幸せが一番なのは間違いないんだがな…」(影)

「それなら、もう一人くらいつくってみますか?」(秋)

「君との子なら…何人でも欲しいな」(影)

「あなた・・・」(秋)

「胸がいっぱいになってるので、お夕飯は要りません。お風呂だけは空いたら呼んで下さい。わ、私は部屋に行ってますね!」


 私はそう言うと急いで自分の部屋に向かった。後ろから「娘に気を使われちゃったわ」「本当に出来た娘だな」とか聞こえた気がするけど、聞こえなかった事にしよう。


 これから先は、私の想像も出来ない未来が待っているのだろう。それでも、私はこの自分の作り出した幸せな未来に近づくために歩みを止める気はない。だから…未来(そこ)で待っていて下さいね?旦那様(平真さん)

最後までお読みいただきありがとうございます。

やっとジャンルに合った話になってきた気が…しますよね?(汗


今日は寝落ち間違いないと思うので…明日は投稿出来ないかもしれません…短く切りたいけど難しいです・・・

そんな作者ですが、次話も出来ればよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ