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ヒロイン話 ざくろ一個めっ♪

激しく遅れて申し訳ありません…

 言った…言ってしまった!?言わないはずだった思い、伝えないでいようと思っていた想い。みかんだけだったらまだ良かった。最近になって、他に平真を好きな人が増えて…成り行きとは言え、こんなイベントに参加することになって…私は、自分を見てくれない苛立ちを彼にぶつけてしまった。


 分かっている、これは私が勝手に思っている…想い続けているだけの気持ち。平真は知らない、私が心の中では呼び捨てにしている事すらも…。だって、最初に会った時ですらすでにみかんの想い人で…


「待ちたまえ!その格好のまま外に行くつもりかね?」(神)

「あ…」


 そう言われて、私は自分の恰好に始めて思いを巡らせた。さすがに、こんなビキニで外をうろついたら目立ちすぎるだろう。私は飛び出すのを思い止まり、教えてくれた店長さんにお礼を言う事にした。


「止めて頂きありがとうございます。でも、あの…」

「分かっている、みんなと顔を合わせ辛いんんだろう?私が時間を稼ぐから、さっきの部屋で着替えて先に帰ると良い」(神)

「え?何故そこまでしていただけるのですか?」

「まあ、こんなことになったきっかけを作ったのは私だからな。せめてもの罪滅ぼしみたいなものだ」(神)

「そうですか…」

「因みにだが、さっきのやり取りは私と丸郷君、後は当人である平真君しか知らない出来事だ」(神)

「え?そうなんですか?」

「ああ、あの放送は聞こえる部屋を選択出来るからな…ちゃんとそこは配慮しているんだぞ?」(神)

「そうだったのですか…」

「それで…だ。老婆心から少し忠告させてもらうが…どちらにしろ、みかん君には全てを話した方が良いぞ?君にも分かっているんだろう?」(神)

「そう…ですよね。分かっているんです…もう、限界だって…」

「分かっているならいいさ。もう一度考えてから決めるのも手だろうからな」(神)

「ありがとうございます、貴重な意見まで頂いてしまって…」

「少しは役に立ってくれたならそれでいいさ。では、私はみんなの足止めでもしてくる。気を付けて帰るんだぞ?」(神)

「はい…重ね重ねありがとうございます」


 そう言って店長さんは去って行った。素敵な人だな…あの店長さん。神楽さんって言ったっけ?名前かな?名字かな?とにかく、私もあんな一本筋の入った大人の女性になりたいな…


 それから、着替えた部屋に戻った私はそそくさと制服に着替え直し、神楽さんのお言葉に甘えて一足先に帰らせてもらう事にした。あの人なら、上手く話しをしてくれるだろうから…


「ただいま帰りました」

「おかえりなさい、石榴さん。それでは、お夕飯の支度をしますね。あら?石榴さん…何かありましたか?何か雰囲気が…」(ざくろ母)

「ご心配頂き、ありがとうございます。何もありませんよ…お母様」

「そうですか…気のせいだったのかしら?」(ざくろ母)

「それでは、お夕飯が出来るまで私は自分の部屋におりますので、何かあればお呼び下さい」

「わかりました。出来たら呼びますので、冷める前に降りてきてくださいね?」(ざくろ母)

「もちろんです、お母様。それでは」


 お互いに一礼してから自分の部屋へ向かった。私の家…門雀家は、昔は何やら由緒正しい家柄がどうとかあったみたいだけど、今はそれほどうるさくはない。でも、言葉使いだけはそこそこ厳しくしつけられている。


 お母様たちも、私が心の中ではこんな粗野な言葉を使っているとは思っていないんだろうな…

私はそんなことを思いながら、ベッドに身を投げる。頑丈なつくりの私の家では、これくらいでは響いたりしないのだ。


「言っちゃった…。言わないつもりだったのに、抑えられなかった自分が恨めしいよ…」


 思わず崩れた言葉が口から出た。別に家に対してそこまでの反感は持っていない。子供の頃は言葉使いでからかわれたりして、その時は色々思ったりもしたけど…少なくとも今は、見せかけだけだとしても納得してこの口調でいるのだから…でも…


「彼だけは…私のそんな違和感に気が付いてくれたんだよね…でも…私は親友を裏切った最低の女…彼が私を好きになってくれるはずがない…。だから、自分の想う世界だけの…その中でだけ許される気持ちだったのに…」


 私は、自分の罪を見つめ直すために、彼に出会った頃に思いを馳せた…




 彼との出会いは、もう10年も前となる。その頃の私は、ただ言葉使いが丁寧なだけの普通の子供だったと自分では思っている。親からも言葉使いは厳しくしつけられたが、それ以外の習い事などは何も強要されたりはせずに、自由を許されていたのだから…


 もちろん、出会いはみかんの方が先だった。理由は単純で、仙石(せんじゃく)門雀(もんじゃく)、名字が似ているという理由からだった。それでも、こんな言葉使いをしていた私は子供の頃は周りから疎遠される存在だったので、そんな事など全く気にも留めないみかんとはすぐに仲良くなれた。


 そうやって仲良くなってすぐに、私は彼と出会った。出会ったと言うより、すぐに紹介されただけだけど…。最初は特に印象になど残らなかった。だって、みかんが好きな男の子と言う程度の認識だったから…


 それからみかんと友達として過ごしているうちに何年か経ち、小学3年生になったばかりの5月のある日の事。私にとっては忘れられない出来事が起こった。もっとも、私にとってはであり、他の人にとっては何もない平凡な一日だったのだろうけど…



 (回想)7年前、ざくろ9歳の頃


 私は3年生にあがりクラスが変わってからは、みかん以外とは馴染めずにいた。みかんは男女問わずに色々な子から話し掛けられていて、私だけと話しているわけにもいかずに私は孤立してしまう事が多かった。理由はいつもと同じ…この言葉使いのせいだった。


 何で私の家はこんな丁寧に話さないといけないだろう?他にこんな話し方をしている子なんていない…そのせいで私は孤立してる。全部、この話し方のせいだ…


 私はそんな思いを秘めて、みかんたちが話しているのを遠くから眺めている。3年生になってからよくある一日、そんな日で終わるはずだった日…彼が話し掛けてきて私の日常は変わることになった。


「なあ、ざくろ…何でいつもみかんたちの輪に入って行かないんだ?お前、みかんの親友ってやつなんだろ?」(平)

「平真君。それなんですけど…私の喋り方って変なんですよ。ですから、周りの方も私が混ざると興が覚めてしまうと言いますか…」

「難しくてわからん!とにかく来い!混ざっとけばいいんだよ!お前は考えすぎなんだ!」(平)

「あ…」


 あっという間に手を引かれてみかんの前に連れていかれてしまう。私は戸惑うだけで、何も言えずにいると…


「おい、みかん!ざくろが一人で寂しそうに見ていたぞ?話に入れてやれよ!」(平)

「え?ご、ごめんね?ざくろ…。私、話に夢中で気が付かなかったよ…」(み)

「あ、気にしないでください。平真君が勝手に言っているだけで、私は別に…」

「おい、そうやって遠慮するから相手に伝わらないんだぞ!いいから、お前はこいつらの話に加わっておけ!お前ら、ざくろが加わっても問題ないだろ?」

「うん…それは良いけど…ざくろちゃんの言ってる事って分からない事があって…」(女生徒1)

「確かにあるよね、聞き返すのも悪い気がして…」(女生徒2)

「は?何で悪いんだ?分からなないことがあったら聞けって先生も言っていただろ?」(平)

「それはそうなんだけど…ねぇ?」(女生徒1)

「うん…そんなことも分からないんですか?って聞き返されそうで…」(女生徒2)

「だってよ?ざくろ、聞き返されたらそんなことを言うのか?」(平)

「い、言わないですよ!私が難しい言葉を使っているだけなのですから…」

「うん、ざくろはそんな意地悪な事言わないよ?ちょーっとだけ、お家の都合で堅い言葉を使っているだけだもんね?」(み)

「そ、そうなんです…」

「みかんちゃんがそう言うなら…いいよ!」(女生徒2)

「うん、一緒にお話ししよう?」(女生徒1)

「は、はい!」

「お前ら…何でみかんが言うと良いんだよ!俺が連れてきたらしぶったくせに!」(平)

「だって…海藤君の言ってる事も良く分からない事が多いんだもん」(女生徒1)

「うんうん、今のは分かったけどよく変な言葉を使ってるよね?」(女生徒2)

「へん!男のロマンは女には分からないんだよ!」(平)

「平真も一緒に話さない?」(み)

「やなこった!俺は向こうで男同士、熱く語って来る!」(平)

「そ、そう?じゃあ、ざくろのを連れて来てくれてありがとう!」(み)

「平真君。連れて来ていただき、ありがとうございました」

「いいよいいよ!俺が勝手にやったことだし、お礼何て言われるとむずかい…むずがや?・・・・」(平)

「あの、むず痒いでしょうか?」

「そう、それだ!だから、気にするな!じゃあな!」(平)


 そう言って、平真君は男の子が話しているところに突撃して行った。


「お前ら!俺も仲間に入れろよ!!」(平)

「げっ!平真が来たぞ!?」(男生徒1)

「マジかよ!お前、すぐに運命とか意味分からん事言うからなぁ?普通の話題に参加出来るのかよ!」(男生徒2)

「なんだと!?お前らは、運命や使命って言葉を聞いて熱くなったりしないって言うのか!?」(平)

「「「全然しないぞ?」」」(男生徒1&2&3)

「それでも男かー!!?」(平)


 平真君の周りはいつも騒がしい。でも…私はそれが結構羨ましかった…


 その後、私はなるべく聞き手に徹した。口を挟んで聞き返されたりしたら、話題を止めてしまうと思ったから…それでも、近くでみんなと一緒の雰囲気を味わえただけでも楽しかった。・・・平真君には、改めてお礼を言わないとね。


 授業が終わり、放課後になった。私は、みかんと話している平真君に駆けより、改めてお礼を言う事にした。


「平真君、朝はありがとうございました。お陰様で、私もみんなの輪の中に入ることが出来ました」

「それは気にしないでいいんだけど…なあ、みかん?ざくろって本当に一緒に話していたのか?俺がちらっと見た限りじゃ、ざくろはただ聞いていただけだったんだけどな?」(平)

「え?うーん…そうなんだけど…でもさ、ざくろのお家ってちょっと厳しい感じで…話題に入れない事が多いのかな?って思っちゃって…無理に参加させるのも悪いし…」(み)

「ざくろ、本当にそうなのか?」(平)

「は、はい。…そうなんですよ、私の家はそれなりに厳しいのです。ですから、話題について行くことが出来ずに…」

「お前、嘘ついてるだろ?」(平)

「え!?そ、そんなことは…」

「ほら、また視線を逸らした!お前、普段は真っ直ぐ相手の目を見て話しているのに、都合が悪くなったり嘘ついたりするとき視線を逸らしてるだろ?」(平)

「あ…!?」


 私は驚いて平真君を見返してしまった。確かに、家で何度も注意されたことがあった。やましいことがあると視線を逸らす癖が私にはあると…。でも、こういっては何だけど粗野な平真君にそれを指摘されるとは思わなかった…


「なあ…もしかしてだけど、お前って自分の喋り方が嫌いなのか?」(平)

「っ!?」

「やっぱりそうなのか?また視線を逸らしたぞ?」(平)


 私は、図星をつかれてしまった事もあり、むきになって平真君の目を見返した。


「む?俺とにらみ合いでもしようって言うのか?相手になるぞ!」(平)


 そう言って、彼は私の目を見返してきて…私は、急に胸の奥が熱くなったような感覚を覚えて視線を逸らしてしまった。


「ふっ…俺の勝ちだな!」(平)

「平真…ざくろをいじめてるの?」(み)

「ち、違うぞ!俺がそんなかっこ悪い事するわけないだろ!?」(平)

「そうだね、平真ってかっこ悪い事しないもんね!」(み)

「そうだろ?なんてったって、俺はかっこいいからな!!」(平)

「それは…どうなんだろ?わ、私は…かっこいいと思う事はあるんだけど…みんなは…違うみたいだよ?」(み)

「み、みかん以外の見る目がないだけだろ!俺はかっこいいんだよ!・・・たぶん」(平)


 そんなやり取りをみかんとしている平真君を、もう一度見返してみる。・・・今度は、胸の奥がちくりと痛んだ気がした。・・・本当に何だろう?この変な感覚は…


「なあ、ざくろ?お前…悪いことは全部自分の話し方のせいにして逃げてるんじゃないか?」(平)


 その指摘に、私は何もかもを忘れるくらいに衝撃を受けて下を向いてしまった。今度は絶対に視線を逸らさないと意気込んでいたのに…


「やっぱりそうか!わかる!わかるぞ!一つの事に全部を押し付けて現実逃避?するのが主人公にはよくあることだからな!お前も勇者になれる素質があるぞ!俺と一緒に勇者になろう!」(平)


 急に何を言ってるのかわからなくなった…。どういうことなんだろう?


「また変な事を言って!ざくろが困ってるじゃない!私が聞いてあげるから、他の皆には変な事を言っちゃだめだって言ったでしょ!」(み)

「何を言ってるんだ?勇者の仲間は多い方が良いんだぞ!そして、ざくろには素質があるんだ!」(平)

「もう!ざくろ、相手にしないでいいからね?平真は時々、こういう変な事を言い出すから…」(み)

「は、はい…」


 よく分からないけど、胸の奥の変な感覚は収まった…かな?でも、本音を言えば平真君には逃げてる私がどうしたらいいのか教えて欲しかった…かな?


「ざくろ!同じ勇者を目指すものとして一つ忠告をしてやろう!」(平)

「は、はい!」


 よく分からないけど、何かを教えてくれるみたい。心境的には藁にも縋る思いだった私は、彼の言葉に真剣に耳を傾けた。


「いいか?お前が嫌っているその何かも、結局は自分を形作る一部でしかないんだ!それを嫌って、全てを押し付けては何も変わらない!それじゃ、自分だけじゃなくて周りをも否定することになってしまうんだ!」(平)

「自分だけじゃなくて周りも…」


 確かに、私は言葉使いのせいにすることで、自分の家の事も否定していた気がする…。お父様や、お母様が嫌いなわけではないのだけど…


「だから、まずはその嫌いな部分を受け入れるんだ!そこからが本当の始まりなんだ!自分のために、周りの皆のために、そして…何より本当の意味で明日を生きるために!」(平)

「本当の意味で…明日を生きるために…」


 否定的では生きている意味がないってこと?難しいけど…でも…


「大丈夫だ、お前なら出来る!何故なら一人じゃない…俺たちが一緒に居るからだ!!」(平)

「っ!?」


 その瞬間、私は自分の存在が初めて肯定された気がした。私自身が私を肯定していなかった。丁寧な言葉使いをする自分を…それを行う事を当たり前とする家柄を…結局はそれを背負っている自分のその部分を否定し続け、全てをそれに押し付けていた。だけど、今…私は私としてそばに居て良いと…自分たちがそばにいると言ってくれた…だから…


「だから、俺と一緒に勇者になろうじゃないか!!」(平)


 その時の私は彼の言葉をちゃんと聞いていなかった。違う、聞こえていなかった。何故なら、私は彼を見ているだけで色々な思いがあふれ出してどうにもならなくなっていたから…


彼が自分の隠している真実を指摘してくれた。

彼が私を私として見ていてくれた。

彼が一緒居ると言ってくれた。

彼がいるだけで幸せだと思えた。

この気持ちが人を好きになると言う事だと初めて知った。

そして…私の好きになった人は親友の一番大切な人だった。

それでも、この気持ちは抑えられそうにないと思った…思ってしまった…だから・・・


「あ、あれ?そんなに勇者になるのが嫌だったのか…?」(平)

「っ!?ご、ごめんなさい!?」


 私はそう言って鞄を掴んで教室から走り去るのが精いっぱいだった。色々な思いが交錯して、涙が止まりそうもなかったから…


「平真!?ざくろに何したの!泣かすなんて最低だよ!!」(み)

「ま、待ってくれ!?みかんも聞いていただろ!勇者に誘っただけだぞ!?」(平)

「それが泣くほど嫌だったって事でしょ!?もう…帰りにざくろのお家に行こ?一緒に謝ってあげるから!」(み)

「わ、分かった…。勇者って泣くほどなりたくないものなのか…」(平)



 家に戻った私は、挨拶だけ済ますとすぐに自分の部屋に閉じこもった。正直、どうしたら良いのか全く分からなかった。こんな気持ちになった事も初めてなのに、その相手が親友の…みかんの大好きな幼馴染の彼で…


 気持ちを伝えないとどうにもならないと思う自分と、みかんを傷つけたくないから伝えたらダメだと思う自分。そんな、二つの心境がぐるぐる回っている時母の私を呼ぶ声が聞こえた。友達が来ていると…


 私は咄嗟に、とても体調が悪いので帰って貰って欲しいと嘘をついてしまった。そして、窓から返っていくみかんと平真君を見た。二人は何かを言い合いつつ、それでもとても仲が良いのが分かる距離感で去って行った。


 それを見た私は…明日は例えみかんに嫌われることになったとしても、平真に告白しようと決意を固めた。今の私には、この痛みがずっと続くなんて事は、とても耐えられそうになかったから…



 そして、翌日、私は少し早めに家を出て平真の家に向かった。みかんの家は何度か訪ねたことがあり、彼の家も近いので知っていたから。


 しかし、私の告白作戦は失敗に終わった。何故なら、平真はみかんと当然の様に家から二人で出て来たから…。冷静に思い返してみれば当たり前だった。みかんから何度も聞かされていた事だったのだ、平真を毎朝起こしに行っていると…


 そして、私は気が付いた。痛みに耐えられないと言う言い訳をしていただけで、実は好きな人が出来たと言う事実に舞い上がっていただけだと…。そうでなけば、昨日思い立ってから今の今まで何度も聞かされていた事実を忘れているなんて事があるわけがないのだから…


 私は、この気持ちにどう折り合いを付けたらよいのかまた分からなくなった。自分の教室に着くまでも、その後もずっと考え込み続けた。その間も、ずっと胸の痛みは無くならなかった…


 どれくらい考え込んでいたんだろう?みかんの挨拶が聞こえてきて、机に伏せていた私は顔を上げた。


「おはようございます。みかん、平真…君」

「おはよう、ざくろ」(み)

「おはよう…ざくろ」(平)


 挨拶が終わるとみかんは平真の脇腹を肘で突いて何やら催促をしていた。


「あ~…その…昨日は悪かったな?その…勇者に誘われただけで泣くなんて思わなかったんだ…すまん」(平)


 そう言って、彼は頭を下げた。あ、そう言う風に取られちゃったんだ…


「あれは」

「ごめんね、ざくろ!平真もこの通り反省してるから、嫌わないであげてください!」(金)み)


 そう言って彼の頭を押さえつつ、自分も頭を下げて来たみかん。その光景はとても自然に見えた。

この二人の間に割り込む?自分の話し方を嫌って、それにすべての責任を押しつけて逃げ続けていた自分と、彼のために毎日自分を磨き続けてい来たみかん。どちらが相応しいかなんて考えるまでもなかった…


「平真君、勇者なんて物になりたい人なんてほとんどいないのですよ?私も別になりたいものがあるんです…押し付けたらだめですよ?」

「そ、そうだよな!探せばなりたいやつだってきっと…」(平)

「平真?反省してるの?」(み)

「ごめんなさい。もうざくろの事は誘いませんので、許してください」(平)

「いえ、私もちょっとびっくりしてしまっただけなので…怒っていませんから」

「そ、そうなのか?良かった…ざくろが許してくれなかったら、みかんが俺の世話をするの止めるって怒っていてな…」(平)

「平真はデリカシーないから、ざくろを傷つけるようなこと言ったのかと思ったの!本当に大丈夫?」(み)

「はい…大丈夫ですから」


 その後も、怒っているみかんを何とか宥めようとする平真を見ながら私は自分の気持ちを抑える努力を続けた。油断をすると、胸の痛みに負けてしまいそうになるから…でも、相応しい、相応しくない以前の問題だったとやっと気が付けた。だから…この想いは諦められる…諦めなければいけない…だって…


 一番最初に私を肯定してくれたのはみかんだと言う事実に、今頃気が付けた恩知らずの私を彼が好きになってくれるはずがないのだから…


 そして、私はそれから3年をかけてやっと自分に自信がないだけの臆病者だと言う、本当の真実に辿り着けた。それまでずっと色々な言い訳を見つけては告白を避け続けた。驚いたことに、この想いだけは3年間私を蝕み続け、今日まで耐え続けることを強要していたのだった。


 真実に気が付いても、私はずっと痛みを隠したまま過ごした。その間に…彼は、私をみかんの親友と言う認識で確定してしまい、門雀さんと呼ぶようになっていた。その事がさらに私を苦しめたけど…それでも、私は今更動くなどと言う勇気を持てるほど強くはなかった。


 そして、私が未だに自分自身を許すことが出来ないほど裏切り行為をしたあの日…中学2年生になったばかりのあの日を迎えたのだった。


 (回想)ざくろ13歳の頃


 昨日も自分が嫌な想像をしてしまった。みかんのいる立ち位置を自分に差し替え、平真が私に笑いかけてくる…そんな、有り得ない想像を…


 いつになったらこの想いは消えてくれるのだろう?急になくなる?次の恋を見つけないと消えない?分からない…でも、このままだと私は最低な事をしてしまうんじゃないかと怖くなる。


 私はみかんの親友なの?彼女のそばに居続けるのは本当に親友だから?彼女を通して少しでも平真のそばにいたいからじゃない?そんな黒い感情が私の中で膨れ上がっている。


 告白して振られてしまえば楽になれるのかな?とは何度も思ってきたけど、今の私はもう…それも怖くて出来ない。振られるのが怖いと思っているうちにすれば良かった…。こんな、振られたら何をするかわからないほど黒い感情を背負ってしまう前に…私は、自分自身が怖くて仕方がなくなっていた。


 いつも通り、自分の気持ちに蓋をしていた何でもないその日、私は罪を犯した。


「え?平真君に結婚を迫られたんですか!?」

「そうなんだ…突然で驚いちゃって…思わずまだ無理!って突っぱねちゃったけど…どうしたらいいんだろう…?」(み)

「・・・彼に返事をし直すと言うのは?」

「さ、さすがの私もそんな勇気は持てないよ…。もしかしたら、ただの勘違いでしたって事もあり得るんだから…」(み)

「それでしたら…いつも通りに過ごしたら良いんじゃないでしょうか?何もなかったかのように…」

「え?そんなことしたら、平真に悪いんじゃ…」(み)

「大丈夫ですよ。そうすれば、みかんの懸念である勘違いだったかも?も分かると思います。平真君が本気だった場合は、きっと答えをもう一度聞いてくるはずですから…」

「そうかな?・・・うん、そんな気がして来た!あの自信たっぷりの平真だもんね?本気だったら一度で諦めるわけないよね!」(み)

「そうですよ…。二人はお似合いですからね、傍から見ると付き合ってるとしか思えませんし…きっと、すぐにプロポーズしてくれるんじゃないでしょうか?」

「そうかな?付き合ってるようにしか見えないかな?」(み)

「ええ…誰も入り込む余地何てないくらいにお似合いのカップルに見えますよ」

「そっかぁ♪ざくろが言うなら間違いないね!よーし!これからは、夫婦に見えるくらいに頑張っちゃうんだからね!」(み)

「そうですね、頑張ってくださいね?」

「うん♪よーし!今日からまた平真のために、料理の種類を増やそうっと♪ざくろ、途中まで一緒に帰ろうよ!」(み)

「そうですね、それでは一緒に参りましょうか」


 その後、途中の岐路でみかんと別れた後もどこかによることもなく家に着き、いつも通りの挨拶を交わした後部屋に戻った。


「最低だね…私って最低だ」


 何度も心の中で繰り返した言葉を呟く。みかんの笑顔を思い出すたびに、自分の醜さに悪態をつきたくなる。理由は、彼女の質問に対する答え…私はわざと二人がくっつかないように誘導してしまった…


 本来であれば、もう一度確認させるのが二人の仲を取り持つなら確実だった。だけど、私は笑顔で彼に告白されたと語るみかんを見て、どうしても許せなかった。だから…わざとそうなるように仕向けた。そんなことをしても、彼はこちらを見てくれもしないというのに…


「本当に…最低…最低だよ…」


 私は下手をすると平真の事をみかんよりも知っている。見ているのを悟られないように、さりげなく彼の行動をチェックするのが日課だった。前よりも人との付き合い方を覚えた私には、みかんの他にも友達はいる。けど、未だに親友と呼べるのはみかんだけだ。・・・こんな最低な事をする輩を親友として見てくれるかは分からないけど…


 とにかく、隙を見ては彼の行動をこっそり観察している私には分かる。彼は大胆な行動をしているように見えて、結構慎重な人だという事が。だから、一度告白が失敗したのなら…きっと、彼はもう自分から告白はしないだろう。するとしても、また自信が持てるようになってから…当分は先になると思う。


 その時間を利用して、私が彼にアピールをするのならまだ救いはあるのだろう。だけど、最低な私は二人の仲を邪魔するだけ…自分からは動かない…動けない…だって、理由を付けて未だに逃げ続けているのだから…


 私は、彼に恋をした時、きっと選択を間違えた。その一つの間違えから、自分を真っ黒に染め上げてしまった。私は、何よりも自分自身が怖い。今はまだぎりぎりで表面化せずに普通の日常を送れている。でも、もし何かのきっかけでこの想いが暴走したら…私は誰に何をするのだろう?怖くて…想像すら出来ない…


「魔王…そっか、私は魔王になったんだ…」


 あの日、勇者平真に勇者にならないかと誘われたのに、その時に貰った勇気を使う事が出来ずに逃げ続け、いつの間にかその勇気は腐り…私は黒い感情を秘めた魔王となったのだ。


「あはははは…私は魔王だったんだ…」


 鏡の中の私は涙を流している。でも、私の目にはその涙は真っ黒に見えた。みんなは、私の顔を綺麗だと言ってくれる。だけど、私が鏡の中で見るそれ(私の顔)は、とても醜かった。そして、今日も醜い魔王は黒い涙を流しながら勇者の邪魔をするのだ。自分の苦しみを分かってもらう為に、勝手な憎悪と理不尽な愛を抱き、ずっとずっと勇者の幸せの邪魔をする。だから…


「勇者様…早くこの醜い魔王を倒してください!」


 届くはずのない思いを言葉にして吐き出した。彼はもう…私を見てくれていないのは分かっているのに…。私は、彼が見てくれていた奇跡の時間を、自分の弱さから目を逸らして逃げることでなくしてしまったのだ。


「私を倒して…お願い…お願いします…」


 私はその日、泣き疲れて眠るまで同じようなつぶやきを繰り返した…



 次の日、私は勇者に合うために学校に向かった。魔王となった以上、勇者の邪魔をしなければならないのだ。そう思い込まないと…何も出来そうになかった・・・


 みんなと挨拶を交わし、何事もなく時間は進みお昼休みとなった。そして、それは何気ない…本当に何気ない会話だった…


「おい、お前…何で外に向かって手を振っているんだ?」(男生徒4)

「ばか、外を見ろよ?俺に向かって女子が手を振ってるのが見えるだろうが!」(男生徒5)

「いや…あれってこっち見て無くないか?平真はどう思うよ?」(男生徒4)

「ん?・・・確かに、違う場所の誰かに振ってるように見えるな?」(平)

「え?お前どうしちゃったの?いつもなら『間違いない!あの娘は俺に手を振っているに違いない!』とか言って、思いっきり乗り出して手を振っていただろうによ?」(男生徒5)

「俺みたいな平凡なやつに手を振ってくれる女子なんて居るわけないだろ?」(平)

「「マジでどうしちまったんだ!?平真!!」」(男生徒4&5)

「嘘…」


 私は崩れる様に椅子に座り直した。あの平真が卑屈な事を平然と言った…?確かに、それが全てじゃないけど表面上はずっと自信満々で、いつでもどこでも周りを引っ張っていく…そんな自信に満ち溢れていた彼が…


 勇者は、魔王の呪いでしんでしまったの?


 私は胸が急に苦しくなった。初めて彼を好きになった日にみかんと仲良くする光景を見た時よりも苦しい…気が付けば、私は過呼吸になっていて、呼吸が上手く出来なくなっていた…苦しい・・・


「ざくろ!?どうしちゃったのざくろ!!」(み)


 そんなみかんの声が聞こえたと思った後、私は意識を失っていた。




 気が付くと、私は保健室のベッドに寝かされていた。何度か付き添いで来たことがあるので、すぐにここがどこだか分かったから動揺せずにすんだ。だけど、その後視線を動かした私は激しく動揺することになった…


「お?気が付いたか?大丈夫か、門雀さん?」(平)

「へ、平真君!?な、何で…」

「おう、平真君ですよ?まあ、みかんに頼まれてな?お前を保健室まで運ぶのを手伝ったんだよ」(平)

「そ、そう言う事ですか…」

「少し待っててくれよ?今、保健の先生が外出してるみたいでさ…みかんのやつが必死になって先生たちに、保健の先生に早く戻ってもらうように掛け合ってるみたいでさ…場所次第ではまだまだかかっちまうだろうけど…あんな必死なみかんは久しぶりにみたな」(平)

「そう…ですか。私なんかのために…」

「何かとか言うなよ?最近ざくろの様子がおかしいって言って、みかんのやつはずっとお前を心配していたんだぞ?」(平)

「・・・私は心配何てされる価値のある人間じゃないんですよ…」

「・・・お前、今度は何から逃げてるんだ?」(平)

「え?・・・わ、私は逃げてなど…」

「その癖、直ってないな?視線を逸らしすぎだぞ?」(平)

「あ…」


 驚いて見返した彼は、いつか見た彼のままで…彼ならきっと、時間が掛かっても勇気を取り戻して勇者に戻れるだろうと確信した。だから…魔王としての自分にけりを付ける事にした…


「平真君にお願いがあるんです」

「お願い?俺にか…?」(平)

「はい、くだらないけど大切なお願いです」

「くだらないけど大切?どういう意味だ?」(平)

「今だけ…少しの間だけ…勇者に戻ってくれませんか?」

「は!?何を言ってるんだ?」(平)

「お願いします…私にとってはとても大切な事なんです…」

「・・・良いけどよ…また泣いたりするなよ?」(平)

「…平真君次第かもしれません」

「マジでなかないでください!またみかんに怒られるんだからな!?」(平)

「善処しますので…勇者の平真君に聞きたいことがあるんです」

「なんだ?とりあえず、聞いてみない事には答えられるかもわからないぞ?」(平)

「そうですね…では、勇者に恋をした魔王は幸せになれますか?」

「は?魔王は女なのか?」(平)

「そうです。でも、ちょっと違いますね…。最初は魔王ではなかったんです。ただ、彼女は勇者を好きになった事で、勇者の周りの女性に嫉妬し、さらに妬み、黒い感情を貯め込み過ぎて魔王になったんです」

「ふむ…なるほどな。あり得そうなストーリーだな!」(平)

「それで…彼女は…魔王は幸せになれるんでしょうか?」

「え?何言ってるんだ?幸せになれるに決まっているだろ?」(平)

「…え?そ、そんな簡単に言い切って良いんですか?」

「当たり前だろ?惚れた相手が勇者だぜ?魔王だろうと何だろうと、自分に好意を寄せている女の一人二人、救えない奴なんて勇者じゃないだろ!」(平)

「そ、それはそうなんですけど、もっと…その…具体的な解決案をと申しますか…」

「実際にそうなって見ないと何とも言えないんだが…」(平)

「そう…ですよね…」


 具体的な話は全くしないで解決策だけ聞こうなんて…無理な話だよね…


「何でそんなに落ち込んでいるんだ?・・・そうだな、それならこんなのはどうだ?」(平)

「え?何かあるんですか?」

「簡単な話だろ?その女は勇者に恋をしたんだろ?」(平)

「そうです、その通りです」

「それなら…黒い感情だけじゃないだろ?白い感情と言うか、幸せな気持ちだって持っていたはずだ」(平)

「あ…その通り…です」

「それなら、黒い感情を忘れてしまうくらい、その女を勇者が白い感情で満たせばいいだろ?幸せにしてやれば…万事ハッピーエンドだ!どうだ?これなら文句ないだろ?」(平)

「文句と言うか、問題はありますよ?勇者に他に好きな女性がいたらどうするんですか?」

「そ、そんなこと言ったらアウトだろ!?そう言うのはなしでお願いします!」(平)

「そうですね、最初にそう言う条件を言わなかった私が悪いんです…」

「そ、そうだろ?それで…どうだ?満足したか?」(平)

「・・・さっき私がまた逃げているって言っていましたよね?その通りなんです…。だから…勇者の勇気をわわけて欲しいのですが…ダメでしょうか?」

「勇気をわける?どうすりゃいいんだ?」(平)

「手を…握らせてください」

「手を?」(平)


 言うが早いか、私は彼の手を握った。


「な、なあ?これって本当に必要な事なのか?」(平)

「はい…とても重要な事です」

「そうか…」(平)


 そう言ったからは、照れているのかそっぽを向いた。でも…私の方が緊張しているのは間違いない。自分にはもう、黒い感情しかないのか…それを確かめたくてつないだ手だったけど、すぐに答えは出ていた。


 この手をずっと放したくないと思ってしまうほどに、私は幸せを感じていた。ただ手を繋いだだけ。でも、それは好きな人とつながった瞬間でもあって…それがこんなにも幸せな気持ちになれると初めて知る事が出来た。彼の温もり、彼の体温、それを感じられる幸せ…照れている横顔を見られる幸せ…。


 気が付けば私は、黒い感情を完全に忘れ去っていた。全てを忘れて、彼にこの気持ちを打ち明けてしまいたい。だけど…それが私に許されるはずがないのだ。彼とみかんの仲を裂いてしまう可能性の楔を打ち込んだも同然なのだから…


 だから、この彼への気持ちは私に与えられた罰だ。彼から勇気を奪った罰。彼女から幸せになれたはずの時間を奪った罰。そして、彼から貰った勇気を使えなかった罰・・・


 この幸せを一度知ってしまった私は、きっとこの先もっと辛い痛みを得ることになるだろう。だけど、それが罰…私は、この先自分を許せる時が来るまで…この痛みを受け入れて生きていく…そう決めた。だから…


「ありがとうございました、私は…もう大丈夫です」

「そうか、それは良かった…って、泣いてるじゃねぇか!?全然大丈夫じゃないだろ!?」(平)

「あれ?可笑しいですね…泣くつもり何て無かったのに…」

「ほ、本当に大丈夫なのか?どこか痛いのか?それとも、俺の手の感触が嫌だったのか?」(平)

「嫌な感触だったらこんな長い時間繋いでいるわけないじゃないですか?」

「そうか…それならいいんだが…いや、泣いてるからよくないか…」(平)

「もう少ししたら止まると思いますから…もう少しだけ見苦しくてもお見逃し下さい」

「そ、そうか…。でも、見苦しく何て無いぞ?ざくろは泣いてても美人さんだからな」(平)


 その言葉を受けて、私は思わず俯いてしまった。顔がにやけていたらどうしよう…


「ど、どうしたんだ?」(平)

「気にしないでください!もう大丈夫ですので!」

「そ、そうか?」(平)

「はい…もう大丈夫です」


 魔王は勇者の活躍によって人間に戻れました。しかし、元魔王はすでに罪を犯していたので幸せにはなれませんでした。ごめんなさい、勇者様。ハッピーエンドにはなりませんでした…


 その後、みかんのお陰で早く帰って来た保健の先生と共にみかんがやって来て私は大丈夫だと思いつつもその好意を無下に出来ずに診察を受けた。そして、大丈夫だと分かって安堵しているみかんに、心からのお礼を言った。その時、やっとみかんの親友に戻れたのだと思う。


 それからの日々は、私はみかんの親友であることを優先した。諦めの悪い私は、それからもずっと胸の痛みを抱えることになったけど…前の様に黒い感情を貯めることはなかった。その代わり…想像の中で幸せに浸らせてもらっていたりはしたけどね…




 月日は流れ、高校に入学しそして…詳しい話は知らないけど、れもんとみかんは平真を奪い合うライバルになっていた。平真に寄り添う二人を見て、もやっとしたものは感じたけど…昔の様に黒い感情を抱くことはなかったので安心出来た。それなのに…


「いくらみかん以外のライバルが出て来たからって…自分も参加しようだ何て…最低な私はそのままってことなのかもね…」


 罪を思い出してみたけど…やっと言えたという喜びの方が大きいなんて…最悪だ。


 こうなったらみかんに今までの全てを打ち明けるしかない。そうしたらきっと…私は嫌われる…。それだけで済めばいい、下手をしたら自分と平真に二度と近づくなと言われるかもしれない…


 そんなことを少し考えただけで涙が出て来た。私は相当な泣き虫だ。


「もう逃げられない。我慢も…出来ない。だから…やっと罰を受け入れる日が来たってことなんだよね…」


 弱くて泣き虫で逃げる言い訳ばかりを考えている私が、それでも前に進もうと思えているのは…きっと、彼に告白してしまったからだと思う。これが無意識の打算だとしたら…私は救いようのない最低なやつだ。


 それでも、私は神と言う存在が居るのなら一つだけ叶えて欲しい願いがあった。だから、それを言葉にして祈りを捧げる…


「みかんからの罰は、どんな内容だろうと受け入れます。だから…どんな形でもいい…私に彼のそばにいられる権利だけは残してください…」


 簡単だけどとても難しいその願いを…私はずっと祈り続けた・・・

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


様々なご意見があると思いますが…作者がいっぱいいっぱいなのでお許しください。ジャンルを変えようかなど考えることが多く…出来れば感想など頂けると励みになります…


今日の分を21時にあげられたらあげます。その場合は短いと思うのでご了承ください。

次話もよろしくお願いします。

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