一個めっ♪ やらかしました!
勢いで行きます!よろしくお願いします。
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俺、海藤 平真は、ごく普通の高校一年生である。顔、成績、運動神経、全て普通。部活を頑張るでもなく帰宅部、勉強も赤点を取らない程度に流し、友達と遊びまわっている。
高校生活にも慣れた二学期のある日、俺は前日の無意味な夜更かしが原因でとてもフラフラしていた。一刻も早く家に帰って寝たいが、未だに授業と言う縛り付けによりその願いは叶えられないでいる、そんな昼休み。俺は何となく…いや、運命に導かれて屋上に向かっていた。
※彼の思考には良く運命などの痛い言葉が頻発しますが、彼にとっては普通です。寛大な心でお聞き流し下さい。
屋上に出ると、夏も過ぎたと言うのに俺を襲う灼熱の光が降り注いでいた。
「くっ…昼食よりも今の俺には睡眠が必要だと言うのに、それを妨げるこの太陽の日差し…天は俺の覇業を阻むと言うのか…」
※大事な事なのでもう一度だけ言って置きます。彼にとっては普通です。そっとして置いてあげて下さい。
「やっぱり、今年中にやらなければならない覇業100何て考えないで寝れば良かったかね?これも星に導かれし我が運命ってやつか。仕方ないな…ああ、だるいわ」
俺がそんな自分に与えられた使命に嘆いていると…
「うそ!?きゃあああ!?」(?)
「なんだ?上!?」
上を見上げると女が降って…ええっ!?俺は咄嗟に受け止めようとし…
「ぐむっ!?」
徹夜でフラフラしていたせいで、そう!徹夜のせいで!上手く受け止めることが出来なかった。とても残念な結果だった。それよりも…
「いやぁ!?」(?)
「ぐはっ!?待て!?マウントからグーパンチとか!?せめて女の子らしくビンタにしてくれ!!」
「ひ、ひ、人のファーストキスを奪っておいて何言ってるの!?殺すわよ!!」(?)
そう、落ちて来たのを受け止めそこなって、見事に口と口がぴったんこしたのだ。・・・とても柔らかかったです♪
「・・・何をにやけているの?殺して欲しいの?」(?)
「ま、待て!?俺の言い分を聞け!!」
「・・・何よ?下らない事だったら本当に殺すわよ?」(?)
「俺も初めてだったからお相子って事に…」
そう言うと、彼女はとても良い笑顔を浮かべた。これは、許して貰えたって事で…
「なるかぁ!!」(?)
「ぐふぇえ!?」
何と彼女は少し飛び上がり、俺の腹に両膝で着地したのだ。
「て、徹夜の身体にその攻撃は…無理・・・」
俺の人生はそこで幕を閉じた。
「・・・ん?」
目を覚ますと知らない天井…ではなく、サンサンと降り注ぐ太陽が俺の生を輝かしく照らしていた。
「なんだ、夢か…」
「そんなわけないでしょうが!?」(?)
「ぐっ!?まだ居たんですか?」
「居たら悪いの?一応、海藤君が起きるまで傍に居てあげたと言うのに」(?)
「流石、学年一の才女と名高い東御|れもんさん、優しさまで備えておられるとは完璧ですね!」
ここはおだててうやむやに…
「そうなのよ。とても優しい私は、貴方が寝ている間に私の唇を奪った事に対する罰をじっくり考えていたのよ」(れ)
「そうですか…」
出来るわけなかった…
「よくよく考えてみたら、俺が被害者だよな?うんうん、絶対被害者だ!それに、俺がいなかったら大けがしてたよ?東御さん!」
「そうね?もし、私をスマートに助けてくれたらお礼を言っていたと思うわ。ただ、私の唇を奪った時点で助けてもらったプラス要因が0になり、さらにマイナスにまで落ちたの。つまり、貴方は加害者になったの!」(れ)
「なに?その暴論は…酷くない?」
「当たり前でしょう?私の初めてを奪ったんだから!!」(れ)
「その言い方にも悪意を感じるな…。だがしかし!俺は、その君の意見を聞き入れる義理はない!俺の中では、落ちて来た東御を身体を張って助けただけだからな!と言うわけで、寝る!」
正直まだ眠い…この感じだとまだ余り寝ていないと思われるので、さっさと寝直し…
「そんなことさせるわけないでしょう!?私が、授業をサボってまで貴方が起きるのを待っていたのは何でだと思っているの?責任を取らせるために決まっているでしょう!」(れ)
「何と言われようと俺は寝る!優等生の東御さんは、すぐに授業に出て下さい」
俺は、そう言いつつしっしっと追い払う仕草をした。
「ふーん、そんな態度を続けるんだ。どうなっても知らないわよ?」(れ)
「はっ!何と言われようとも、俺の睡眠を妨害することは神にも出来ん!」
「じゃあ、私が教室に戻って『海藤君に無理やり唇を奪われた』と明美たちに泣きついても構わないのよね?」(れ)
「・・・証拠もなしにそんなことを信じるわけが」
「優等生の私と、やる気なし平凡男の言い分、どちらを信じると思う?」(れ)
頭の中で、『ちっちっちっぽーん』と効果音がなって結論が出た。もちろん、俺の完全敗北…
「少し待って頂きたい、東御様」
寝転がっていた俺は、ガバッと起き上がって正座した。
「お互いに歩み寄る姿勢が、何よりも大事だと思いませんか?」
「そうね、確かにそうかもしれないわね」(れ)
「おお!分かって頂けましたか?それなら…」
「一つだけ言う事を聞いてくれたら許してあげるわ」(れ)
「一つだけ?」
「そう、一つだけ」(れ)
「・・・あの、東御様?自分、財布の中身が少々心許なくてですね…」
「安心しなさい。親のお金で遊び惚けている海藤君に、たかろうだなんて思っていないから」(れ)
「・・・言い方に悪意を感じるが…なら、俺に何をしろと?」
目を瞑って少し間を置く東御。何その演出!?俺もちょっとやりたいんだが…
「海藤平真…責任を取って、私と付き合いなさい!」(れ)
「・・・は?ちょっと待ってくれ!?・・・どうやら、暑さで幻聴を聞いてしまったみたいだな。すまないが、もう一度言ってくれるか?」
やばいな、知らない間に寝落ちしてたか?あの、東御れもんが俺なんかに付き合えなんて言うわけが…
「も、もう一度言わせるとか…海藤君は変態だったの?」(れ)
「失礼だな!?今は、俺が変態かどうかは関係ないんだよ!とにかく、聞き逃してしまったみたいだからもう一度言ってくれ」
「・・・次で最後だからね?もう言わないわよ?」(れ)
「ああ!今度こそ一言一句聞き逃さん!さあ、来い!」
「そんなに気合を入れられると言い辛いんだけど…」(れ)
「いいから来い!俺の気合が長く続くと思うなよ!?」
「・・・何で情けないことをそんなに偉そうに言うのよ…。分かったわ、言うわよ…」(れ)
「来い!!」
「海藤君…責任を取って、私と付き合いなさい!!」(れ)
やっぱり、付き合えと聞こえた…ああ、なるほど!
「何処に?」
「…え?何処にって?」(れ)
「いや、何処かに行くのに付き合えって言っただろ?」
「私と付き合えって言ったでしょう!?一言一句聞き逃さないと言っておきながら…バカなの?」(れ)
「うるさいわ!?考えてもみろよ?事故で唇を奪っただけで、学年一の才女であり、美少女である、東御れもんが、俺みたいな平凡が服を着たような男に、付き合ってくれ何て言うわけないだろ?」
「・・・自分で言っていて空しくならないの?」(れ)
「なりましたよごめんなさい!でも、悲しいかな…事実なんだよ」
「それが事実かどうかはともかく…私は、貴方に付き合えと…私と男女の交際をしなさいと言ったのよ!」(れ)
「・・・マジで?」
「真剣よ」(れ)
「待て待て!やっぱりおかしい!何かあるに違いない!!」
「何かって何よ?」(れ)
「それはわからんが…とにかくおかしい!」
「何なのよ?それは…」(れ)
「だってよ?艶のあるとても綺麗な黒髪を腰まで伸ばし、人形の様に整った顔、背は小さめのスレンダー体型でとても愛らしい。しかし、勉強に紳士に向かう様はとても知的美人に見えると言う、学年一どころか学校一の美少女と名高い、そんな東御れもん様が俺みたいな並顔男に交際を申し込むなんてことあるわけないだろ!?」
「だから、自分で言っていて悲しくならないの?それと、他の人の評価なんてどうでもいいのよ。貴方はどう思っているのかしら?」(れ)
「どうって…」
評価するためにマジマジと東御を見る。・・・噂通りの美少女、だが…
「噂通りの美少女だと思うけど、胸だけ残念ですね」
そう、冒頭のシーン…本来なら、胸に顔を埋めると言うラッキースケベイベントだったにも拘らず、キスと言うハイリスク、ハイリターンなイベントになってしまったのは、彼女の胸が残念だったからなのである!(力説)
「なるほど…やっぱり、自殺願望者だったみたいね?」(れ)
「待て!?スカートで足を使うと見えるぞ!!」
「!?」(れ)
東御は、上げそうになった足を慌てて下げてスカートを両手で押さえた。・・・危なかった、間違いなく顔面に蹴りが飛んでくる角度だった…
「信じられない!?そんなことをストレートに言うなんて!?」(れ)
「何言ってるんだ?俺は、東御が恥をかく前にとめただけだろ?むしろ、優しさあふれる行動ってやつだ!」
「本気で言ってるんだ…ん?ちょっと待って…」(れ)
「どうかしたか?」
「・・・私、さっき海藤君が寝そべっている時、軽く飛び上がってしまったけど…見てないわよね?」(れ)
「見たわけないじゃないですか?」
「見ていないなら、何でそんなに挙動不審になって敬語を使いだしたのかしら?」(れ)
「やだなぁ、東御さん。僕は元からこんなですよ?本当に見てませんって!!」
「本当に見ていないの?」(れ)
「本当に見ていません!!」
「じーっ」(れ)
「・・・」
半眼で睨んでくる東御の視線を受けながら、何とか視線をそらさずに堪える俺!これが人生のピンチってやつか…神が俺にこんな過酷な試練を与えるとは…覚醒の日は近いのか?
「そっか、良かった。見てなかったんだ?」(れ)
「そうですよ、東御さん。僕は何も見ていませんよ?」
「そっかそっか。でも、私が変わった柄の下着を付けているのは内緒だよ?」(れ)
「それはもちろん!れもんさんが、レモンのプリントの入った下着を付けてるなんてことは絶対に言いません・・・よ?」
「ねぇ、海藤君?何で、私がレモンのプリントの入った下着を身に着けているのを知っているのかな?」(れ)
「それは…その…て、天からイメージが下りて来たと申しますか…」
「ふーん?天からイメージが…ねぇ?」(れ)
「そ、そうなんですよ!」
「本当にそれで誤魔化せると思っているの?」(れ)
「無理ですよねー?あははは…」
こうなったら手は一つだけだ!
「出来心だったんです!申し訳ございませんでした!!」
土下座した!思いっきりした!これが俺の生き様よ!!
「見てしまったのは事故としても、その後隠そうとしたのが私は許せないわ」(れ)
「その点につきましては言い訳のしようもない!申し訳ございませんでした!!」
「・・・潔いのか、悪いのか、分からない人ね…」(れ)
「見てしまったことへの言い訳だけさせて下さい!」
「・・・何?何か理由があるの?」(れ)
「目の前に生涯をかけても見れないかもしれない芸術作品があったんです!目を逸らせるわけないじゃないですか!?」
「・・・頭大丈夫?」(れ)
「東御さんは分かっていない!俺みたいな平々凡々男が、東御さんのような美少女のそれを見ることが出来るなんてまさに奇跡の瞬間ぐらいのものなんですよ!?」
「うっ…なんだか理解できない話だし、理解しようとも思わないけど、とても真剣だと言うことは伝わって来たわ」(れ)
「分かって頂けましたか!?」
「その…さっきから、私の事を美少女美少女と繰り返して言っているけど…本当にそう思っているの?」(れ)
「当たり前じゃないですか!?東御れもん=美少女と読んでも良いんじゃないかと思えるくらいですね!!」(れ)
「何かおべっかくさいのよね…。胸が残念とか言っていたし?」(れ)
「それは客観的に見た意見です!俺は、れもんさんのような胸も大好きです!むしろ、愛しています!!」
ここまで言えば、きっと気分が良くなって許してくれるはずだ…よな?
「そうなの…それなら、私と付き合えるのは嬉しいってことよね?」(れ)
「それはもちろ…ん?」
「なら、決まりね!今日から一緒に帰りましょう?家まで送ってね♪」(れ)
「え!?いやいやいやいや!?待ってください、だから…その…何で俺と?絶対に釣り合わないだろ?」
「それを決めるのは私でしょ?こちらにも事情があるのよ…。私の下着まで見たんだし…選択肢は、付き合うか?死ぬか…よ?どちらがいいの?」(れ)
そう言ってとても素敵な笑顔を向けるれもんさん。
「納得出来る理由が欲しいです、れもんさん!」
「納得出来る理由ってどんなのよ?私が前から海藤君が好きだったと言えば納得出来るの?」(れ)
「それはあり得ない」
「・・・とにかく、付き合ってくれても良いじゃない!私の何が不満なのよ!!」(れ)
「不満何てありませんよ!不満がないくらい完璧な美少女だから不安なんだよ!どんな理由があろうとも、俺を選ぶわけがない!!」
「何で自己評価の低さにだけは自信があるのよ…」(れ)
「俺の唯一の長所だ!!」
「どう考えても短所でしょ!?もう!いいから黙って付き合いなさい!!」(れ)
「だから、理由を説明せよと…」
その時、屋上のドアが開く音がしたので二人でそちらを見やると…
「やっぱりここにいた。大丈夫なの?」(?)
そう言いながら登場したのは、仙石みかん。俺の、いわゆるお節介焼きの幼馴染だ。
「どうした、みかん?俺に何か用があるのか?」
「そうじゃないんだけど…今日は朝から体調が悪かったでしょ?それなのに、午後から急に授業に出なくなって…保健室に言ったって話も出てこなかったから、どこかで倒れているんじゃないかって心配になって…」(み)
「ん?俺、体調悪いなんて言ったっけか?」
「違った?朝から顔色が悪かったからそうだと思っていたんだけど…」(み)
「何と…そんなことまで分かるのか?世話焼き幼馴染おそるべし…」
「・・・小さい頃からずっと一緒にいるんだもん、それくらい分かるよ?それよりも、本当に大丈夫なの?」(み)
「大丈夫だ!一度倒れたから少しはマシになったしな」
「それ、大丈夫じゃないよ!?もう…保健室に行こ?付き添ってあげるから…」(み)
そう言って、俺を引っ張って行こうとするみかん。だが、そんなことを許さない人物がすぐ近くにいるわけで…
「待ちなさい!まだ、私と・・・平真君の話は終わってないのよ!」(れ)
「あれ?れもんさん?・・・平真とれもんさんって話し合う事があるほど仲が良かったっけ?」(み)
「それは、今日から仲良くなったのよ!・・・とりあえず、二人で話し合う事があるから二人きりにしてくれない?」(れ)
「・・・元気な平真ならともかく、こんなに顔色の悪い平真を置いて何ていけないよ!話があるなら、保健室に連れて行った後で良いでしょ?行こ、平真!」(み)
「待ちなさいよ!平真君?私と残るわよね?」(れ)
「何で止めるの!?平真は体調が悪いんだから、保健室に行かないとだめなんだよ!話なら、保健室でも出来るでしょ!」(み)
「周りに人がいると話し辛いことなのよ…分かりなさいよ!」(れ)
「分かっていたとしても、平真の体調不良を治すのが先でしょ!」(み)
「こんな半端な状態で後回しに何て出来ないのよ!10分で良いから待ちなさい!」(れ)
「平真の顔色を見てから言って!今にも倒れそうじゃない!ダメに決まっているでしょ!!」(み)
美少女二人から引っ張られる、そんなシチュエーションに憧れない男子がいるだろうか?いや、いまい!俺は、今そんな男子の憧れの状況に置かれているわけだが…喜びよりも、身を襲う体調の悪さの方が深刻だった。
元々、寝不足で体調不良だった我が身。それなのに、現在右に左に引っ張られ続けている状況で…正直、酷い眩暈に襲われております。やばい、マジで倒れそう・・・
「きゃっ!?」(れ)
「みかん!」
「な、何?どうしたの?保健室まで肩を貸して欲しいの?」(み)
俺は、れもんの手を振り切ってみかんの方を向いて、両手を彼女の肩に置いた。
「俺たち、付き合って
「ご、ごめんなさい!!」(み)
るんだよ…あれ?」
あれ?みかんに付き合ってる事にしてもらって、この場を逃れようとしたのに脱兎のごとく逃げられてしまいましよ?・・・保健室まで連れ添ってくれるのではなかったんですか?体調不良のせいか、向きを間違えたせいかもしれんが…
「・・・見事に振られたわね?」(れ)
「違いますよ!?体調が悪いからとりあえず、れもんを振り切るための方便に使おうと思っただけだ!」
「それはそれでとうかと思うけど…それより、れもんって呼び捨てにしたわね?平真君?」(れ)
「そっちだって、いつの間にか名前で呼んでるじゃないか…」
「そうね、それならお相子って事で済ませましょう?それより、私と付き合うと言いなさい!そうすれば、一緒に保健室まで付き添ってあげるわよ?」(れ)
「ぐっ、卑怯な!?何度も言っているが、理由を説明してくれ!」
「何で理由が必要なの!?そんなに私と付き合うのが嫌なの…?」(れ)
その時の、悲しいような、寂しような、そんな切ない表情をするれもんを見て…
「分かった!付きあ…れ?」
世界が回り出した!?イッツアファンタスティック!!
「え!?ちょっと!?」(れ)
れもんの慌てた声を最後に俺の意識は遠のいていった…
神よ、俺に試練を与えすぎじゃないか?
余り考えずに書きなぐっているので、進行だけは早い予定です。
ただ、文字数は各話毎に異なると思います…。
ニヨニヨしてもらえたら嬉しいです。
次話もよろしくお願いします!