6話
クエストボードは依頼のランクごとに掲示場所が分かれていて、この始まりの街の冒険者ギルドでは今の所B以上の依頼は出されていなかった。まぁ俺はFとEランクの依頼しか受けられないから関係ないか。
え〜とFとEの依頼はどんなのがあるかな?
「公園のベンチの修理(F)」「墓地の草刈り(F)」「2歳児の子守(F)」「煙突掃除(E)」〜〜〜
街の中の依頼はFランクが多いな。煙突掃除は過酷だからEなんだろう、報酬も割と良いけどちょっとやりたくはないかも・・・
「薬草の採取(F)」「薪用の木材集め(F)」「スライムの粘液の納品(E)」「ファットキャタピラーの駆除(E)」〜〜〜
見た感じモンスターと戦わないといけない依頼はEランクからっぽいな、おそらくこの辺で最初に戦うことになるのがスライムとかファットキャタピラーなんだろう。スライムは何となく想像出来るけど、ファットキャタピラーは・・・名前の通りの見た目なんだとするとあんまり想像したくないな・・・少なくとも近づいて切った張ったはやりたくない、虫は得意じゃないし。
「やっぱり遠距離だよな。魔法とかで戦う感じにしよう、うん」
さて、ざっと見た感じ契約石が手に入りそうなクエストって無いなぁ、やっぱり低ランクでは手に入らないようなレアアイテムなのだろうか。いやそれだとコントラクター選んだプレイヤーはみんな詰んじゃうんじゃないか?、絶対どこかで1個ぐらいは手に入るはずだろ。
あ、そうかこれも総合案内で聞いてみるか、なんかヒントとかもらえるかも。
さっそく総合案内カウンターに行ってみる。総合案内は窓口が4つもあった、まぁ登録受付よりは仕事も多いだろうし当然か。さて列は・・・一人だけいるおじさん職員の案内窓口だけ誰も並んでいなかった、他の3つの窓口はみんな女性の職員が受付をしていてそれなりに並んでいる。
3人受付嬢さんも美人揃いだ。う〜んなんともわかりやすい男達の下心が現れている、というかあのおじさん職員も誰も来ないからって不機嫌そうに頬杖ついてるから余計に誰も寄って来ないんじゃないの?・・・あ、やべ、おじさんと目が合った、うわ〜すんごい笑顔になって手招きしてる・・・はぁ、こりゃもう行くしかないか。
「よ〜しよし、よく来たよく来た。坊主新入りか?それに見たとこ来訪者だろう、何が知りたいんだ?このランドルさんに言ってみな、今日は暇だからなんでも相談に乗るぞ!」
いやランドルさん、今日は暇だからのところで隣の受付嬢さんが睨んでましたよ、ちゃんと仕事した方がいいと思いますよ、まぁ俺には関係ないけど。
「あぁ、えっと、2つありまして、まずスキルショップの場所が知りたいんですが」
「スキルショップか?それなら・・・中央広場は分かるか?街の真ん中の噴水がある広場だ、そこから北に伸びてる通りを進んで行って最初の交差点にあるぞ、覚えられたか?」
ピロンと頭の中で電子音が鳴り、マップを開いてみるとスキルショップの場所が登録されていた、こりゃ便利だ。
「はい、大丈夫ですありがとうございます。あともう一つ・・・契約石っていうのを探してるんですが、何か情報はありませんか?」
「契約石ぃ?なんだお前さんコントラクターだったのか?随分と珍しいジョブに着いてんなぁ」
「コントラクターってあんまり居ないんですか?」
「そうだなぁ、この辺の住人でコントラクターってのは久しく見てねえなぁ・・・ん?そういやジョブ指定がコントラクターの依頼が1個あったな、待ってろ今探して来てやる」
返事も聞かずにドスドスとカウンターの向こうに歩いて行ってしまった。依頼じゃなくて契約石の情報が知りたかったんだけどなぁ・・・
「おうあったぞ、これだこれだ」
そう言って戻って来たランドルさんの手には1枚の依頼書が握られていた。
調査協力依頼(F)
ジョブ指定「コントラクター」
依頼者
中級錬金術士クーリエ
内容
私の研究を進めるためにどうしてもコントラクターの協力が必要になった、コントラクターであれば実力は問わない。
詳しい内容は私の研究室で話す、計測器を付けての簡単な作業で10分程度で終わる。
以下の私の研究室まで来て欲しい。『地図』
報酬
幸運の指環
「流れのアルケミストが出していった依頼なんだ。受け付けたのが随分前だから、もう他の街に移動しちまってるかもしれねえが、このクーリエってやつは中級までいってるアルケミストのようだし、鉱石のこともそれなりに詳しいんじゃないか?ダメ元で行ってみたらどうだ?依頼も簡単な作業みたいだしな」
なんだ、ちゃんと契約石に繋がりそうな情報を持って来てくれたのか。すみませんランドルさん、話を聞かないオヤジだなとかチラッと思ってました。
「そうですね、この依頼受けます」
「よっしゃ、じゃあ手続きすっからギルドカード出しな。・・・あぁそうそう、もしこのクーリエがもう街を出て行っちまってたらここに報告に来な、依頼はキャンセルして破棄すっから。たまにいるからなぁ依頼取り下げずに消えちまうやつが・・・ほれ、終わったぞ。気を付けて行ってこいよ!」
「はい、色々とありがとうございました。行って来ます」
ランドルさん意外といい人だったな、仕事も速かったし、これから受付嬢さんが埋まってたらランドルさんのとこで依頼受けようかな。いやあくまでも次点だから、俺だって受付嬢さんと話したいよ。
さて、依頼書に地図も書いてあったから場所は分かるんだが、これって東門の側じゃん、ほぼ街の外れだよ遠いなぁ。
でももう街にいないかもしれないらしいし、ちょっと急いで行ってみるかな。