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5話

10月8日、誤字の訂正をしました

 住人との初コンタクトは多少勇気がいったが、運良く人の良さそうなお爺さんを見つけられたので話しかけてみた。

 このお爺さんも昔は冒険者をしていたそうで、「頑張れよ若人」との激励をいただいた。


 冒険者ギルドの場所を教えてもらうだけでよかったのだが、ご老人の昔話スイッチを押してしまったらしく切り上げるに上げられないまま、結構な時間お爺さんの話し相手を務めることになってしまった。まぁ面白い話も聞けたからそこそこの収穫はあったんだけどね。

  なんでも俺たちの様なプレイヤーは住人達には「来訪者」と呼ばれているらしい。ログアウトなどでいきなり消えるのも、死に戻りで復活するのも「そういうもの」と常識として知られているようだ、そこらへんはゲームとして情報操作的なものがされているんだな。

 ちなみにこのお爺さん、実は実力者キャラなんじゃないかと期待していたんだが、冒険者時代は近くの森で動物を狩って、街の食堂に卸して生計を立てていたそうな・・・冒険者というより猟師じゃね?

 一度だけポーションを1ダース使って熊を仕留めたという自慢を熱く語ってくれた。ただその時は熊の卸値よりも、使ったポーション代で赤字だったらしい。熊一頭よりもポーション1ダースの方が高いのか・・・覚えておこう。


 話し足りないから一緒に飯でもどうだ、と誘ってくるお爺さんを何とか断り、冒険者ギルドへの道を歩いていく、ゲーム開始早々30分近く住人とおしゃべりしてたのなんて俺ぐらいじゃないか?

 そういえば姉ちゃん達はどうしてるのかなぁ。なんかβテストのときの仲間とスタートダッシュでいい狩場に向かうとか言ってたけど。まぁひと段落ついたらレベル上げ手伝ってくれるって言ってたし今は一人でやろう、初めから姉に手伝ってもらうのも恥ずかしいしな。


 冒険者ギルドは街の真ん中を横切る大通り沿いにあった。大通りには早くも露店を開いている生産職プレイヤーの姿もちらほらと見られた。ただ商品を売っている人は少なく、「レベル上げの為に生産をタダで請け負います!」と呼びかけをしているのがほとんどだった。聞いていると材料は客の持ち込みで、成功品は渡すから失敗しても文句言わないで!ってことらしい。うん、何というか・・・俺はしばらく利用しないかもな、失敗されるリスクがあるなら素材は売り払って金にした方がいい気がする。

 とりあえず冒険者ギルドに入ってみるかな。


 冒険者ギルドの中は何というか、役所みたいな感じだった。天井から案内の看板が沢山下がっていて「総合案内」「登録受付」「素材買取」「クエストボード」「資料室」「訓練場」「酒場」なんていうのもあった、情報交換の場みたいなものかな?


 先ずは冒険者登録だ、登録受付の列に並ぶ。暇つぶしに周りを見渡すと住人の冒険者やプレイヤーで賑わっていた。現時点では明らかにプレイヤーよりも住人の冒険者達の方が強そうだ、荒っぽそうな見た目のも割といる。プレイヤー達は皆何となく緊張している様で表情が固い、まぁ俺も何だけど。よくあるじゃない冒険者ギルドで絡まれる展開って、今絡まれたら100%負ける自信がある、こちとら平和に生きてきた高校生です。


 ちなみに住人とプレイヤーは頭上のアイコンの色で判別できる。プレイヤーは緑色、住人は人だろうがペットだろうが全部青色だ。壁の向こうのアイコンが見えるなんてことはない、顔が見えないとアイコンも出ない。


 そうこうしてたら順番が回ってきた、受付嬢さんはこれまた美人のお姉さんだった。カウンターに名札が立っている、タリムさんね、覚えました。


「お待たせしました、冒険者登録ですね?ではこの「空のギルドカード」をお渡ししますので、手に持ったままこちらの水晶に触れていただけますか?貴方のステータス情報を水晶が読みとり、カードと本部の魔道具にデータが登録される仕組みになっております」


 言われるままにカードを受け取り水晶に触れる。水晶が波打つように光り、カードに俺のネームとジョブが印字された、空いている部分には大きくFと表示されている。


「はい、結構です。これでそのカードは貴方の専用となりました、再発行には料金がかかりますので紛失なさらないようお気をつけ下さい。冒険者のランクはFからのスタートで、E、D、C、B、A、Sと順に上がっていきます。ランクアップにはクエストをこなしてポイントを貯めていただきます、あちらのクエストボードから依頼書を剥がしていただき、総合案内カウンターまでお持ちになってクエストを受注して下さい。クエストは自身のランクか一つ上のランクの物しか受注出来ませんのでご注意下さい。何か質問はございますか?」


「え〜っとそうですね、お金を預けたりは冒険者ギルドで出来ますか?」


「冒険者ランクがD以上になりますとお金の預かりサービスをご利用いただけますよ」


「あ、D以上にならないとダメなんですね、ありがとうございます。もう大丈夫です」


「では、ご登録ありがとうございました。お身体に気をつけて無理をなさらないように頑張って下さいね」


 ずいぶんとアッサリしたもんだったなぁ、まさに役所って感じだ、こんだけ並んでれば仕方ないのかな。


 んじゃ、冒険者にもなれたしせっかくだからクエストボードを見ておこうかな。どんな感じの依頼があるのか見ておくだけでも今後の展開を考えるのに参考になるだろう。もしかしたら契約石に繋がる依頼もあるかもしれん。

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