2話
キャラメイク前編、というより世界観のお話し、チュートリアルですかね
さて、個人情報登録とデータインストールも終わったぞ。設定は・・・スマホとタブレット、あとパソコンともリンクさせとくかな、時間は・・・うん、あと30分で日付が変わるな。明日からの土日がっつりやることを考えると今日はしっかり寝とくべきだ、アバター作成終わったらさっさと寝よう。
何気にVR機器って学校の授業でしか使ったことないからちょっと緊張するな、精神ダイブ型って初体験だし・・・もっかい取説見とこ。
身体に負担がかからない寝具の上に寝る、崩れて当たりそうなものは周りに置かない、日本は地震大国だ(まあ本当に地震来たらちゃんと通知されるけどね)。枕よし、ヘッドギア装着よし、空調は・・・ちょっとの間だしいいか、ではいざ、起動!
ディスプレイにログインの文字と砂時計アイコンが出た。なんとなくピーーンとかキーーンという音が聞こえる気がする・・・おぉ、なんか頭がぼんやりしてきた、意識が沈むってこんな・・・感じ・・・な・・・の・・・・・・
目を開けると体育館ぐらいの大きさの部屋の中だった。床は全部人工芝だ、ちゃんと踏んでる感覚がある。リアルだ・・・というか現実となんら変わらない、違和感すらない。さっきまでベッドに寝てたのに立った状態から自然にスタート出来ている、不思議だ。
「ようこそ、アナザーライフオンラインの世界へ」
いきなり後ろから声が聞こえたもんだから思わずうおっと声が出た。慌てて振り向くとそこには俺と同い年ぐらいの女の子がいた。翠色の目と透き通るようなサラサラの金髪が目を惹くとびきりの美人だった、思わず見惚れた。
「フフッごめんなさいね、驚かせちゃって。私はミラ、管理AIの一人でここのナビゲーターをしているの、看板娘ってやつね」
「看板娘って自分で言うの?・・・でも驚いた、こうやって見ると本当に人と喋ってるみたいだ」
なんかちょっといい匂いまでして来る気がするし・・・
「そりゃそうよ。私はNPCのAIに管理システム用の情報も積んでる特殊タイプだけれど、アナザーライフのNPC達も基本は私と変わらないわ。それぞれに性格も感情も記憶あるし、自分で思考してアナザーライフの世界で本当に「生活」しているの。彼等は自分をNPCではなく、アナザーライフの世界の住人だと思っているけどね。普通の人間となんら変わりはないの、だから無下に扱ったりしたら嫌われちゃうわよ?それにあんまり酷いことすると衛兵さんに捕まっちゃうかもね。というわけで私にもお触りはダ〜メ」
「さ、触んないよ別に・・・ゴホンッ、教えてくれてありがとう。じゃあ、そろそろキャラメイクやりたいんだけど、いいかな?」
「そうね、そろそろ始めましょうか。キャラメイクは別の空間で一人でやってもらうわ、体型なんかも弄ったり出来るから私が見てない方がいいでしょ?まあ男の子だからあんまり関係ないかな?キャラメイク完了後はここに戻って、簡単に運動して身体の調子を確認してもらってお終いって感じかな。何か質問は?」
「いや、特にないよ、始めてもらえる?」
「はーい、じゃあ転移させるわね。ゲーム中でも転移をする機会があるから慣れておいてね、最初は戸惑うと思うけどそのうち大丈夫になるから。じゃ、行ってらっしゃ〜い」
ミラがパチンと指を鳴らすと一気に景色が変わって真っ暗な空間に立っていた。あ〜確かにこれはいきなりだと戸惑うだろうな、まぁ別に酔ったりもしてないし、大丈夫そうだな。さていよいよキャラメイクだ。
何にもない空間にウィンドウが浮いている、これに触ると始まるのだろう。
ウィンドウに触れると表示がアバターの外見設定に切り替わり、目の前に俺の今の外見そのままのマネキンが表れる。鏡を見てるのと同じ感覚だけど立体だからちょっと不思議な感じだな。
後はウィンドウを弄るだけだ。
体型は別に弄らなくていいだろう。背を伸ばしたい気もするが違和感があってキャラリセってなるのも面倒だ、このままで。
顔はどうしようかな、パーツを弄ると違和感が出るらしいし、結構バレるよって姉達が言ってたからやめとこ、色を変えるぐらいでいいでしょ。
髪型は短めにしとこ、運動の邪魔になるかもだし。そして髪色を・・・そうだな、あんまり奇抜だと目立つからオレンジ寄りの茶髪ぐらいにしといて、目は今の茶色からもうちょっと黄色に近い感じでどうだろう・・・うん、こんなもんでしょ。
あとは職業を選ぶだけだな。このゲーム、多彩なジョブとスキルの組み合わせで無限のプレイスタイルが売りなんだが、キャラメイクで選べるのはジョブだけだ。ステータスの概念はあるんだけど、HPとMP以外は目で見えるように表示はされないらしい、レベルアップやパッシブスキルなんかで運動能力が上がるそうだ。ちなみにスキルはジョブ専用スキル以外はスキルの書で覚えるシステムだ、街で買ったりクエスト報酬やドロップで手に入れるらしい。スキルレベルが上がると一閃みたいな「技能」や「魔法」を覚えていくわけだ。
スキルの書を買うためにもお金は大事ってことだな。装備もある程度揃えなきゃだし・・・このゲーム意外とお金に関してはシビアっぽいな、忘れないうちにミユ姉の友達紹介ID入力しとこ。スタート段階で+1万Gは貴重だ・・・
結構説明が長くなってしまった気がします、いや、説明+キャラに色々会話させようとしちゃってるからかな?
加減が難しいです