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1話

VRゲームのお話しなのでゲーム開始までの話はなるだけ手短かにしました

「「ヨウ〜、ちょっと来て〜」」

  ・・・始まったよ。せっかく飯も風呂も終わらせてこれからムフフなネットの海の冒険(ロマンスドーン)でも楽しもうと思ってたのに・・・。


  だがしかし、哀しいかなこの世の不文律。姉の命令に弟は逆らえない、いや、逆らってはいけない。この掟を破ったが最期、アレヨアレヨと言う間にもらったばかりの小遣いは「お詫び」と称して巻き上げられ、月末になると土下座して金を借りる破目になり「一つ貸しだからね」のお言葉を頂戴することになる。


 まさに負のスパイラルと言える。17年生きてきて去年その罠に気づき、やっと最近全ての「貸し」を帳消しにしたばかりだ・・・っといかん、機嫌を損なわないうちにさっさと行かなければ。


 トットットッ


 うちの場合ひとたび「貸し」を作ってしまうと返済に非常に苦労するのだ、なにせ・・・


 ガチャッ


「ヨウちゃん遅いよー」

「まったく、すーぐ気を抜くんだから」


 ・・・うちの姉は他所の二倍(双子)なのだから。


「今日はね~、プレゼントがあるんだよ~♪」

 三雲晴香(みくもはるか)(20)

 双子の中の母性担当、割とおっとりしてる。料理技術はセミプロ級、独学のはずなのに初見で60㎝のカツオを捌いて見せた伝説有り。

 ハル姉の方が怒らせたら怖いんだ。


「時間あんまりないからさっさとそこ座る!」

 三雲美雪(みくもみゆき)(20)

 双子の中の快活担当、性格はちょいキツめというか気分屋というか・・・。一緒にカラオケ行くとミユ姉が無双する、歌も踊りもアイドル並みだ。

 大体ミユ姉の方が前述した姉弟の掟を悪用しようとする・・・悔しい、でも逆らえない(泣)これが刷り込みというものか。


「すぐ来たじゃない、かんべんしてよ~」

 ちなみに俺は三雲陽太(みくもようた)(17)だ。

 姉二人は双子だったからってんで天気繋がりの名前に。そして生まれた待望の男児の俺は太陽だ!なんだとさ(親父談)


「それで何?明日からアナザーライフの配信なんでしょ?設定してたんじゃないの?」


 二人はこの夏、無駄に長い夏休みを使ってVRMMORPG「アナザーライフオンライン」のβテストに参加していたらしい。精神ダイブ型のVRゲームで、ここ数年急激に進化を続けて来たVRゲームの中で「これ以上の進化はない」とまで前評判で絶賛されており、2週間前にβテストは終わったのだが、βテストの間中二人から自慢と体験談を聞かされていたため、もう俺もβテストやってたんじゃないかってぐらいアナザーライフに詳しくなってしまった。


 明日の10時から製品版のオープン配信なのだが、当然ながら第一陣の専用ヘッドギアは完売しており、俺もいずれ絶対にやるつもりだが今の所まだ買えるだけの金が貯まってないのが現状だ。

 二人はβテストの特典でヘッドギアを貰えたから、今は明日に備えて引き継ぎボーナスを踏まえたアバター作成と設定をしていたはずなんだが・・・


「言ったでしょ〜、プレゼントがあるって、はいこれ」

「貧乏な弟のために、優しいお姉様達からのサプライズよ!」


 差し出されたのはヘッドギア、箱に入った新品だ。


「えっ何これマジで?・・・本当に?」


「ふふふ〜実はね〜・・・」


 なんでもβテストの最終日、特設ダンジョンの攻略イベントがあったらしい。中には仕掛けやボス、宝箱があって、ボス討伐報酬や宝箱の中には製品版に引き継げるボーナス装備や換金アイテムなんかがあり、早い者勝ちだったそうだ。

 二人はボス討伐は競争率が高過ぎると判断し、一か八か二手に分かれてソロで宝箱のみに狙いを絞り、報酬を集める作戦に出たんだと。

 結果ミユ姉が発見した物の中にあったのが「製品版ヘッドギア進呈券(是非お友達をご招待下さいとのメッセージ付き)」だったそうだ。


「ミユ姉・・・マジでありがとう、俺、すげぇ羨ましかったんだ・・・」


 グスッ、あ〜ちょっとウルっと来ちゃった。そうなんだよ、ミユ姉イジワルもするけどたまにこういうことしてくれるんだよな、やっぱり弟で良かったぜ。うちのこと知ってる友達なんかは「着々と調教されてんなw」とか言うけど知らん、うちの姉達は最高だぜ!


「私の大いなる優しさに感謝するのね!ゲームでも私の言うことはちゃんと聞くのよ!」


「も〜ミユったら〜、イベント終わったときは「やった!これでヨウと一緒に遊べる!」ってすっごく喜んでたじゃな〜い」


「ちちょっとハル!そういうのヨウの前で言わないでって言ってるじゃない!・・・(ジロッ)ちょっとヨウなにボサッとしてんのよ、さっさと設定とインストールしないと日付変わっちゃうわよ!明日はオープンと同時にインするんだからアバター作成もやっとくのよ!」


 お〜こわ。まったくもう勝手に自爆して機嫌悪くならないでよね、さっさと退散してインストールして来よ。


「あ!私のID送っとくからアバター作るとき友達紹介のとこに忘れずに打ち込むのよ!ヨウにも1万G入るから!」


「へいへ〜い」


 バタンッ


 ・・・よし!さっそくインストールだ。出来ればアバター作成までやっときたいな、正直もう待ちきれねえ!

姉と弟の話、さすがに(1話なんで)説明の文を多く入れてしまいましたが、姉弟の関係ってこれぐらいのさっぱり具合がちょうど良いと思うのです

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