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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
アランの想い人
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74話 あれから

 第一王女アリールの治療を終え、何時も通りの冒険者と魔道具屋生活に戻った。王都を離れるのは、まだ先になりそうだ。治療に成功したとは言え、彼女の体力は回復していない、そう言う事は宮廷で働いている医療スタッフに任させれば良い。王都を離れるのはドロシーさんが出してくれた手紙の返事を待ってからでも遅くは無いから。


 治療を終えた俺に第一王女が言ったあの言葉は、今後の俺への動きを左右した。


「私が今まで、魂を留めて置く事が出来たのは、名も知らない女神様の御蔭です。彼女は治療をしてくれた青年に、こう伝えて欲しいと言ってました。『旅をしなさない、貴方の旅で行き着く先に私の名が判ります』と、何の事か解りますか?」

「……はい……間違いなく、それは自分宛への言葉です……」


 まさか、女神様が俺が彼女の下へ行き、治療をするのが解ってた様で、そんな言伝を彼女に言ってたのか……それなら、最初に言ってくれれば良いのに。冷静に考えると、彼女に言葉を託したのは何時何だろう? 俺がこの世界でクルワルの森に入った頃なのか? それより前なのかが、少しだけ気になったが、普通に旅をすれば、女神様の名が判る訳だし。しばらくは、何処へ行くのかは保留にして置こう。


 勇者達が何処のダンジョンに行ったのかは知らないが、未だ戻って来ていない。シュンは、大役を終え肩の荷が下りたのか、のんびりと日常を送りつつ、バッカスの下へ赴き彼の得意技であるウォーターランスと槍捌きを学ぶべく通っている。何度も通って槍を学んでは居るが、如何やら槍より薙刀の方が自分に合っているらしく、槍と薙刀の訓練に勤しんだ。ネイルさんの弟子とは言え、得意技は一緒では無かったのが少し残念に感じた。


 シュンは、“突く事より、斬る事の方が得意の様だ”とバッカスに言われ、何度も剣と槍で試し理解した。最初は、自分ではサッパリ判らなかったが、バッカスが言うには得意な武器では無く、苦手な武器を使って解る事だと教えられた。


 そう、剣以外で最初に闘気を乗せる事が出来たのは、槍より薙刀の方が先だった事を思い出し、確かにその通りだと頷ける。


 バッカスの訓練を受け初めて一月経つ頃に、ファルクスがバッカスの屋敷に訪れるのを目撃した。ファルクスは、怒りで自分の闘気を無理に練り上げて長い眠りに付いていたが、アリールさんの治療の訓練していた頃に目を覚まし、事の顛末を知らされたらしく。今ではバッカスの部下として、しっかり働いているそうだ。


 アランと言う将来有望の部下を失ったバッカス。アランと言う親友を失ったファルクス。そんな二人が、剣を交えるのは、戦より訓練の方が似合うと心の中で頷いて、二人の遣り取りを見守った。


 バッカスの駄目息子は、捕まってから一度もバッカス低に戻る事は無かった。それとバッカスの功績は国に取っては無くては成らない為、一族への罰もなしとなっている。


 バッカスの訓練が終わりを迎える頃、ドロシーに呼ばれ一通の手紙を渡された。その手紙は、これからの旅を決定付ける内容だった。遺跡やダンジョンを調べている研究者達が集まり成果を報告する会議が半年後にあると。その会議の出席者の中には、ネイルさんとメイルさんの知っている人や、ドロシーさんの顔見知りの人も出席するようで、会えるかは解らないが行く価値は在ると書いてあった。二通目は、手紙と言うより研究者リストと成っている。名前とその人は誰との繋がりかも書いてある。


「そろそろ、この街との御別れか……」


 思い起こせば、この街での出来事は激しかった。激しくて荒々しい波に攫われる様に、気が付けば大事に成っていて、その中心人物の傍に自分が居るんだから。本当に今思うと変な感じだ。


「本当……ジェットコースターの様な生活だった……」


 第一王子と第二王女は追放され、何処かの屋敷で密かに暮らす事に成っているらしいが、詳細は不明だ。それと、王は容体が急変して床に伏せって動く事も出来ない。今、玉座に近いのは第一王女のアリールさんと第三王女のレイアさんだけ何だが……アリールさんは、半年以上眠り続けていた為に、急な責務は身体に悪い。レイアさんは引き籠もっていたとは言え現状を把握している。だから、レイアさんは自ら一時的に玉座に付き、周りに指示を出しているそうだ。アリールさんが完全復活した際に、その席を譲るらしいが、アリールさんは玉座に興味は無く、『このまま玉座に座ってて良いのよ』と言っていたらしい。


何だろう……玉座に執着した者は去り、玉座に興味が無い者が付くとは、不思議な感じだ!


 結局、あれからアリールさんとレイアさんに会う事は無かった。


 そして、王都にある魔道具屋アイルを、ルーミーさんに渡す事にした。彼女にアイシス式ポーションの造り方を教え、魔力もそこそこ在った為に犬耳の付いたビンの錬金用魔法陣を書いた布を渡し、製造出来る様になった為だ。それと、ランディールにあるアイシスさんのお店と定期的に付き合う様に御願いしたうえで、譲渡する事にした。


 ルーミーさんは、快く承諾してくれたのが、本当に良かったばかりか、街で住む所が無くなった子供達を率先して魔道具屋で働ける様にマユさんに掛け合い、子供達を教育しながら魔道具屋を経営するそうだ。


 これで、王都で気に成る事は勇者達の事意外で何も無くなった。


 カノンさんに挨拶しようと思ったら、以前言っていた女性パーティーで護衛依頼をしてギルドに居なかったため。カノンさんに手紙を認めてメイル式ポーションを五本程詰めた袋をカルアさんに預けた。


 勿論、カルアさんにもプレゼントを用意した。以前言っていたフェルニアカフェの高級チーズケーキをホールで買って渡した。受付の人達からは歓喜の声が上がったのが聞こえたが、あんまり接点がないので会話と言う会話は無かった。カルアさんとだって数回しか会っていないのだから、そうなのだろう。


 結局王都に来て冒険者として働いたのかと言われると、素直に頷けない。魔道具屋も同じで殆どルーミーさんに任せていた。

 あれこれと動いていたから、冒険者として依頼をしている様に見えるけど、全て非公式の依頼で表に出る事は無い。要するに証明する手続きが一切無いのだから。働いていない様に取られても反論できない訳なんだが。言われる相手が居ないから関係無いか。


 遣らなくては行けない事は幾つかある。それは、適当なダンジョンに潜る事だ。ダンジョンを攻略すると言うより慣れる事が目的だから。場所は何処でも良い。


 その事で、ドロシーからディスティア連邦に在るダンジョンを勧められた。何でもネイルさんとメイルさんが、初めてダンジョンに入った場所何だってさ勿論ドロシーさんも。


 ダンジョンとしては古くから在り。攻略済みらしいが詳しい事は不明だそうだ。地下五十階から降りる階段が無いから、攻略済みと去れているそうです。

 

 一階から十階は初心者に丁度良く。十一階から二十五階は罠が存在するがベテランのガイドを付ければ、攻略出来るとの事です。そして二十六階から五十階までは、固定されていない為、罠の位置や魔物の種類も様々でガイドが居ても進む事は出来ないらしい。

 

 こう言うダンジョンと聞くとボスが居るんじゃないかと思って訊いたのだが、答えは一回限りだそうで、討伐されると、新しいボスが出現しないらしい。例外としては、長い間に誰もダンジョンに足を踏み入れなければ出現するらしいが、攻略済みのダンジョンは安全に稼げるので絶えず冒険者等が入り浸っている為に、そんな事は無いとの事だ。


 各国の研究者達が集まるのは半年後だから、五ヶ月程ダンジョンに潜ることは可能だ。潜ろうとしているダンジョンは四ヶ月で最下層まで潜る事が可能らしい。実際にドロシーさんを含めネイルさんとメイルさんは学生の頃にソロで最下層まで潜ったと言っていた。


 ドロシーさんが言うには、今の俺なら最下層に潜る事は可能だと言っていたので決めた。


 収納魔法では時間が関係しないから、マユさんにお願いして、五ヶ月分の食材を用意して貰い、ルーミーさんと一緒に調理しながら、ある程度の量を鍋等に分けながら収納していく。それと、ティーセットと紅茶の茶葉を購入して、何時でも紅茶を楽しめるようになった。


 そして、準備を整え終えたシュンは、手紙を魔道具屋のカウンターのテーブルに置いて、ディスティニア連邦に向けて夜明け前に馬を走らせた。


「ん? ……何だ!? 聞き覚えのある音……」


 ザザーと言う音が聞こえ何かが近づいて来る。馬を停め、その方角を見ると一台の車が横を通り過ぎた。


 車種はジープって言うんだろうか……洋画やアニメで兵士が乗ってるイメージがある車だ。その車を運転しているのは、勇者の一人で他の三人も乗っている。


 初めて見たのは遠くからだけど、何処か子供ぽっさが残っている高校生位だと思っていたが、今通り過ぎた表情は、大きく成長して頼れる大人な感じになっている。


「……うん、ダンジョンに行ってる間に何か在ったのかな? 随分と見違えた気がする」


 そんな勇者達を見送ってから馬を走らせ……様としたが。


「ええええええ!! 車なんて在ったの!!」


 今頃になって、勇者達が乗ってた車に意識を持ってかれた。


「俺も馬じゃなくて車にすれば良かったな……出し入れが自由に出来そうだし、馬だと預けるのにお金取られるし」


 引き返そうかどうかを、真剣に悩んでしまうが、何も言わずに置手紙をしてしまった手前、戻る事が出来ずに居る事を思い出し、渋々と馬を歩かせ。


 ゆっくり歩く馬の歪めの音が、今の心境に重なった。


 パカポカパカポカとゆっくりと、次の目的地であるディスティア連邦に向かった。 

 やらなくては成らない事が多すぎて、本当に不定期に投稿になってしまいました。

 

 これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。


 全体的に、完結まで半分位まで来ているので打ち切らずに頑張ろうと思ってます。

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