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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
アランの想い人
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70話 意外な答え

 充分な睡眠を取り顔を洗って、気合を入れなおし。ドロシーの下へ向かう。


「ドロシーさん! 知りたい事があります」


 学園長室で、話す内容は魔力に付いてだ! 調べに調べたけど、魔力とは何かが解らない。その事を伝えると、ドロシーも解らないと言う。だが、それは当然の事だった。何故生きてるの? 何故人は生まれ死んでしまうの? 死んだら何処へ行くの? 等と聞いている事と同じなのだから。


 それでも、魔力と身体の関係性が解らないと、アリールさんの事が解らないのも事実。やっぱり進まないか……。


「シュン! そもそもそのテーマは、多くの魔導師達が研究し挫折しているテーマ何だ! そう簡単に解る訳ないのだよ」


 ごもっともで……。


「それは……メイルさんでも、解らなかった事ですか?」

「さぁてね。メイルなら解明しているかもしれないが。メイルの残した書物に無いとすれば、解らなかったのかもしれないが……」


 急に何かを考え始めたのか、黙り込んでしまった。ああなるとドロシーさんは長い。邪魔しない様に気分転換に散歩でもしよう。


「やっぱり、ここは落ち着くな……緑で溢れていて安心する」


 フェルニア学園の奥地にある森。アランさんとレイアさんの思い出の場所で、妖精が住まう場所。風は心地よく、今にも昼寝をしそうだ。


「また、きてくれた?」


 妖精さんが、草の茂みから現れてくれた。


「うん、また会える気がして来たんだ」

「あえる?」

「うん、お話しをしたくてね、妖精さんの事を教えて?」


 特に変わった話しは無く。他にどんな妖精が居るのか? そんな話しをして過ごす。何を食べているのか訊くと、驚きの言葉がシュンに舞い込む。


「そうなんだ、木の実とか食べるんだ。可愛いねリスみたい」

「あとね~、まりょくをたべるの~」

「へ~魔力を……ええええええええ!!」

「うわ!」


 驚いて声を張り上げてしまい、妖精が『うるさーい』と言って耳に手を当てた。


「あ、ごめんね。驚かせちゃったよね」

「だいじょうぶ。まりょくたべちゃだめ?」

「いいんじゃ……ないかな?」


 妖精は笑って、『よかった』って喜んでいるけど。訊いてみるしかないか……。


「妖精さん? 魔力って何か解る?」


 きっと妖精は、『わんかなーい』とか、そう言う答えなんだろうけど……。


「まりょく? まりょくわねー。みんながもってる、いのちのひかりで、みんなの“からだとたましいをつなげてる”たいせつなもの」


 えっと? どう言う意味だろう。整理しよう……身体と魂を繋げる大切モノって事だよね? 要するにに精神と肉体を繋ぎ止める為の力って事だよね? 幽霊が、肉体を手に入れようとした時、魔力が無いと体に定着できないって事だよね? そんな感じだよね? 


 妖精が『おはなしおわり?』と、さっきから訊ねてくる。


「ごめんね。妖精さんは、闘気って知っている?」

「ん~ん、わかんなーい」


 闘気が何なのか解らないのか、取り合えず見せて見ることにするが、その答えは単純な物だった。


「たましいのひかりだー。きれいピカピカ」


 闘気は感情で使っていたけど、精神力で魂を輝かせて使ってた事になる。じゃあ魔力は……また、解らなくなる。答えが直ぐそこに在るのに、零れ落ちてしまう。


 両方とも使って、自然と回復するし。本当に解らない。そうだ! ネイルさんが“剣魔融合”に付いてこう教えてくれたんだ。


『剣魔融合は、誰にでも出来る業だったわ。誰もが持っていて、誰もが自然と使っている事』だと。


 闘気は魂の光。

 剣気の基本は、剣を身体の一部と考えて闘気を纏わせる事。


 魔力の源は魂と肉体を繋ぎ合わせてる力。

 剣魔融合とは、剣と言う身体に、自分の魂を定着させる事になる。


 それって!? 本当の意味で『剣と一心同体』になるって事か!!


 妖精に見ててねと。リべレーションソードを抜き。剣気を纏わせ、魔力を流し込む。一心同体に成る様に。イメージし、今まで散々命を救ってくれた剣、そしてアーレンで知り合った鍛冶師のおっちゃんが、譲ってくれた剣。そして、ネイルさんが見せてくれた、圧縮して闘気を強くしてた纏う術を使う。そこに定着させる為の魔力を流す。混ぜるではなく染み込ませるイメージで。


 そうすると、自然と剣と魔力が自然と溶け合う。


 剣からは、凄まじい力が生まれ。


「こ……これが! 剣魔融合って奴か! 凄い力だ……ぐぅぬぬぬぬ。うわ、わ、わわああああ!」


 剣から放たれ反発しあう力に弾き飛ばされ、地面を激しく転がりながら、後ろの木にぶつかって止まった。


「だいじょうぶ?」

「う……うん、大丈夫」

「ピカピカビュンビュンすごかった」


 ピカピカは剣の輝きで、ビュンビュンは剣から放たれるエネルギーで起った風圧の事かな? それにしても、十秒しか保てなかった……実際アレを振るうとしたら一回が限界だろう。修行をしないと使えないな。


 あ! 剣魔融合が出来たのは良いけど。魂を定着させる方法って如何やるんだろう? アリールさんの魂が肉体に在るのは、闘気が循環してる事で証明している訳だけど。


「妖精さん?」

「な~に?」

「魔力が無くて、魂だけの人が居るんだけど? 治し方知ってるかな?」

「うん、しってる」


 妖精から、治療方法を訊くと、簡単な答えが返ってきた。


「そっか。有り難う妖精さん。何か御礼したいんだけど? 何が良いかな?」

「まりょくたべたい! まりょくちょうだい! だめ?」

「良いよ、ちょっと待ってね」


 魔力の話しを聞いて、試したかった事を試してみる。それは、“無属性”の魔法を出す事だ! 掌に丸い球体をイメージして試す。暫くすると、黄色く光る玉が出始めるが。


「これじゃ……駄目ぽいな……雷に見えるし、失敗かな?」

「まりょくだ!!」

「これで良いの? ビリビリ痺れるかもよ?」

「しゅんの、まりょくは、きいろだよ~?」


 ああ、人によって色が違うのか……以前、暗視魔法と魔力感知を使った時は偶々、白黒で分かれてたし。普段つかってる魔力感知は感じるだけで、見える訳じゃない。何時かは見える様に成るらしいけど……。


「たべていい?」

「ごめんね。どうぞ」


 魔力の玉を手に取り、リスの様にカジカジっと食べてる妖精は可愛いが、自分の魔力を食べられてるのは、何とも不思議な光景に感じた。


「おなか、いっぱ~い、おいしかった」

「そ、そう、良かった」


 知りたい事も解ったし、忘れる前にドロシーさんと話して、治療の練習に取り掛かりたい。


「妖精さん、魔力の事を教えてくれて有り難う、助かったよ」

「ん? どういたしまして?」


 ああ、妖精さんには、魔力の事は当たり前なのか、まさか多くの魔導師が求めてる答えが、妖精さんが知ってるとは、思わなかったのかな?


「妖精さん。今度、来る時は御土産もってくるね」

「うん! まってる~」


 妖精と別れて急いで、ドロシーの下へ向かい、今回得た情報を忘れる前に話す。


「ドロシーさん!!」

「そんなに、声を張り上げなくても、聞こえてるよ」


 フェルニア学園にある、妖精の森で妖精に出会い、魔力の在り方を聞いた事を伝える。


「そうか、アリール様の魂は、肉体から離れようとしているのを闘気が繋ぎ止めてる状態な訳なんだね?」

「はい、俺は魔力を感じる事は出来ても、魔力は見えないので、何とも言えないのですが……妖精さんが言うには、その通り何だそうです」

「なるほどね、だからメイルは、あんな事を言っていたのか……」

「え? メイルさんがですか?」


 ドロシーが以前、魔法が上手く使えるメイルに聞いた事がある。『何で、そんなに魔力操作が上手いのか』と、その答えが『私は、魔力が何なのか知ってるからなの! それは、初めて直面しない限り、説明できない物なの!」だと。


 確かに、アリールさんの現状を見ないと解らないだろう。魂と肉体を繋ぎ止めてる物が魔力だと言われて、そうですかと納得できる訳が無い。多くの者は、こう切り返すだろう。『じゃあ何故、それが火や水に変わるのだ』と。


 だからこそ、ある仮説も成り立つ。適性魔法だ! 属性は馴染めば適性に変わる。努力すれば馴染む。“誰でも全ての属性が使える”ように成る世界。これは、異世界から来た俺だから言える仮定で、この世界の人には、解って貰えないだろう。


 この世界の人は基本、現れた属性が偶々ソレだったから、それしか使わないだけで、他の属性を使おうとしない。仮に別の魔法を使えたとしても、直ぐに適性に変わる訳じゃないから使わなくなる。器用に状況に応じて使っていれば、適性魔法は増えるかもしれないが、誰でも楽に出せる魔法を使いたがるのは必然なのかもしれない。


 シュンは、妖精から教わった魂と肉体を定着させる為の方法をドロシーに伝える。


「まさか、そんな方法で定着させる事が出来るとは……私には出来そうには……いやそもそも、そこまでの魔力コントロールが出来る者は、果たしているのか……」


 妖精が言った方法は、身体に魔力を流し込み、それをムラ無く塗る方法だ。少しでも雑に塗れば、そこから魂が抜け出てしまう。妖精が言うには、ドクンドクンからと言う事は、心臓から流し込むんだろう。片手で魔力を流し、もう片方の手で魔力を塗るって感じらしいけど。


 重要なのは魔力コントロールと、魔力を視認できる事が条件なのだ。シュンには他人の魔力が見えない。ドロシーは、魔力が見えても、そこまで細かい魔力コントロールは出来ない。


 ここでも失敗できない。失敗を恐れ、何もしないと言う選択肢は確かにある。もしそうしたら、罪悪感が強く残る。アイシスさんの時と同じで、ここで遣るか遣らないかで、この先の困難に立ち向かえるかが決まる気がする。

 薬の調合と違って、失敗=即死に繋がる。アリールさんが何時まで持つのか解らないが、念入りに練習しないと出来ないだろう。


「ドロシーさん……魔力が視認出来て、魔力コントロールが上手い人を探しだす事は可能ですか?」

「それは、可能だろう。ただ、治療が出来るかと言えば、無理だろうね」

「その理由を訊いても?」

「それは、治療を行なうに対して、もっとも重要な事をその者は知らないからだよ」


 そう、魂と肉体を定着させる物が魔力だって事を、知らないと使えない。魔法はイメージだ、ここで行なうイメージは、魂と肉体を定着させるイメージが重要となる。


 だから、今、治療が出来るのは、シュンとドロシーの二人だけだ。そして、二人とも欠点がある。その欠点を克服しない限り。治療が始まらない。


「どうやら、貧乏クジを引いたようだね私達は」

「そうですね……」


 彼女の命を救った条件でバッカスさんの命を救って貰えないかな。


「シュンは、報酬が決まっている様だね」

「ドロシーさんは?」

「私の場合は、学園の予算向上と待遇で充分だよ」


 シュンはドロシーから、魔力を視認する術を。ドロシーはシュンから魔力操作を向上する術を教え。互いを高め合う。

 手直しを余りする事が無かったので、どうぞ。


 PC欲しいけど、欲しい物が多過ぎる。どれも10万前後の値段……困った困った。テレキャスター欲しいっス。

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