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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
アランの想い人
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68話 泣き痕と謝罪

 勇者召喚、それは異世界から勇者を召喚する儀式魔法の事。

 召喚された勇者は誰もが優れており。剣術に優れた者、槍術に優れた者、魔法に優れた者が召喚されると伝えられている。

 召喚の儀を執り行うには、星の巡りが異世界と繋がった時のみ。そして、その繋がりは突然とやって来る為に、勇者が召喚される間隔はバラバラだそうで、多い時は七回の召喚で一時期、勇者が二十人を越えた事が在るらしい。それと一度の召喚で呼べる数は選べないそうで、歴代で一番多い数は八人と云われている。だが、勇者召喚をするには大量の魔力と闘気を必要とされ、術者は命を失うとされている。七度の召喚には、七つの命が奪われたと云われている。


 今回の召喚は、百三年ぶりの召喚で“炎の勇者”と“光と闇の勇者”、“賢者”と“大魔導師”の四人が召喚され。国賓として扱われている。


 俺も、一応勇者召喚と同じルートで召喚されたんだけど? 国賓扱いされないかな? それより光と闇って選べたんだ……二属性セットって無かった様な……。


「シュン! 話しを聞いて居るのか!」

「す、すみません」

「シュン、レディの話しはちゃんと聞きなさい! モテませんよ?」

「……はい」

「ゴホン……第一王女のアリール様の話しをしよう」


 第一王女アリールは、テイラー王の子供の中で最年長であり勇者召喚をした姫。勇者召喚は王妃である、『フェリア様が行なう予定』だったのだが、勇者召喚を行なう星の巡りが来る前に、彼女は命を落としてしまった。そして悲しむ間も無く、星の巡りやってきてしまい、急遽アリールが執り行うが長年掛けて修行をして行なう事を、僅か二週間で学び召喚の日を向かえてしまい。辛うじて命を取り留めるものの深い眠りに付いてしまったと云われている。


「でも何で勇者召喚したんですか? 修行を収めている王妃様が亡くなったのなら、勇者召喚せずに、次を待てば……」

「それは出来ないのだよ」

「シュン、勇者召喚はフェルニアに取って大切な事なのです」


 ドロシーからマユに替わり勇者召喚の理由を語り始める。


 勇者の存在は遠い昔から伝わっており誰もが知っている。勇者が(もたら)す事は、力だけでは無く、その『知識もまた重要視されている』と。その知識は幅広く『食文化から便利な発明品』までに及び、数多くの事を伝え国の利益に繋がっているそうだ。

 そのため、勇者召喚はフェルニアに取って貴重な存在に成り、星の巡りが来たら欠かさず執り行う事が決められている。

 マユの家系は、その“勇者達が齎した商品を売り捌いて伯爵まで上り詰めた”そうで、今ある貴族の殆どが、勇者達の恩恵だとも云われ、誰もが勇者召喚を止める事が出来ない立場だそうで、もし止めようものなら非難の声を浴び、下手をすれば国を否定したと云われ、国家反逆罪として罰せられるらしい。

 

 召喚される勇者は強く、最低でもSクラス並と云われ戦力としても充分な存在で、ダンジョン攻略や他国への牽制として扱われている。この前の百一年前の出来事より、ずっと昔は戦争の抑止力として使われる要素が大きかったが、何時しか技術と知識を広めた事により、戦争は抑えられ、一つとなったとされている。


 だが、今の国の現状は勇者に依存しているらしく。その知識や技術を応用発展させる事が出来ずにいる。勇者召喚をしていない国は、それに成功しドンドン国を豊かにしていると。


 そして、何時しか勇者の機嫌を損なわない様に、あれこれと手を尽くす様になったとされる。


 知識ね……確かに、似てるなっと思った食事が偶に現れるけど、そう言う事だったんだ。


「シュン、闇の奴隷商の契約魔法は、勇者への枷として生み出された魔法なのだよ」


「へ?」


 今ドロシーさん凄い事言わなかった?


 闇の奴隷商の契約魔法は、昔ある勇者が力に溺れ国を支配しようとした時代が在ったそうで、その勇者への枷として生み出されたんだと。


 まあ。定番だよね……そんなに強ければ、手に入れたいって欲が生まれても可笑しくないよね。自分最強とかって思えたら、性格が変わりそうだもん。俺だって、最強に成れたら今の性格が変わる自信あるよ。


「で、勇者召喚がフェルニアに取って大切な事は解りましたけど? 勇者召喚から始まったってのと如何繋がるんですか?」

「おお、そうだったね。ついつい脱線してしまった」


 脱線で秘密とか話すんですか貴方は!!


 そして、本題に入り。


 ガウマン公爵は、勇者召喚反対派だった様で。王妃であるフェリアさんは、実の妹でガウマンの両親は子供の頃に他界しており、唯一の血縁者だった。そのフェリアは子宝に恵まれず、やっとアリールさんを産んだのだが、勇者召喚の儀で姪であるアリールさんが倒れ、今にも命が消えそうな姪の姿を見て、勇者達の我が侭と一向に上がらない国益に苛立ちと怒りで、犯行に及んだのかもしれないと。


 そうか、俺はアリールさんの命と引き換えに召喚されたんだ……女神様は力を利用してと言ったけど……如何なんだろう。手助けしたのか、そのまま彼女の力を使ったかは解らない、俺にも責任は在るかもしれないし……何とかして挙げたい。


 『シュン君は、とっても優しいの』メイルさんの言葉が脳裏に過ぎり、メイルさんの調合書をドサッと出し。


「ドロシーさん! アリールさんの症状を教えて下さい!!」

「シュン……君は……出来るのかね?」

「シュン! その本は?」

「これは、メイルさんが残した調合書です! 在るか解らないけど、やらずに後悔するより! やって後悔した方がマシです!!」

「私も手伝おう!」

「私はギルドに戻り、必要な物が集めれるように体制を整えときます。それ位しか私には出来ないようですので」


 マユは部屋を退出し、シュンとドロシーで調べてゆく。シュンとドロシーは学園長室に寝泊りを始め、色んな生徒や教員が学園長室に訪れては、『何だこいつ?』と言う視線を浴び続けながらも調べていく。


 アリールの症状は、魔力を失い闘気が弱々しく放たれている状態で、深い眠りに付いている。そして、闘気が消えた時、命が消えると。


 ここで、ポイントは何故闘気が出ているのかだ、本来闘気は、自分の意思で出したり消したりする物で、勝手に出て来る物じゃない。勝手に出てくるのなら、誰もが剣気として使ったり、身体強化として闘気を纏ったりと苦労する事は無い。


 メイルさんの調合書は造った順に並んでいる為、何処に何が在るかは調べ難い。そこで、ドロシーと半分に分けて、今回の症状に似ている箇所に栞を挟んでいく。


 似ている症状だけで二十種類に及び、アイシスさんの病気である闘精練病(とうせいれんびょう)も、その中に在った。


 何度も吟味しあい、四日間ドロシーとの話しで可能か如何かを議論し、残ったのは。


「闘精練病とこの魔力減衰病の二つが一番近いですね」

「その様だね、眠りに付いている部分では、闘精練病が一番近いが闘気が溢れ出ているっと言う所が違う。だが魔力衰退病の場合は、魔力を失っていると言う所は合っているが、闘気は関係ないようだね」


 それぞれの症状で合っている所と違う所はある。メイルさんでも知らない病気なのか……それとも何かを見落としているのか……。


「ドロシーさん、今更なんですけど、アリールさんの症状って自分で見たのですか?」

「いや、以前この学園を卒業した生徒の中に、アリールの身辺警護をしている者から聞いたのだよ」

「何とかアリールさんを、この眼で見る事が出来ませんかね?」

「そうだね。ここで議論しているだけでは、確かに意味が無いようだね」


 ドロシーが手紙を認め始め、シュンは魔力減衰病に付いて、もう一度読み直して行く。


 魔力減衰病、それは魔力をコントロールする事が出来ず、虚脱感に襲われるばかりか、何もせずに魔力を使い続ける病気である。この症状が発祥する原因の多くは、使用する魔法と必要される魔力が適正でなかった時に起るとされている。

 主に、子供が患う病気であり、魔導師として目覚めた象徴とされている。子供が患えば、自然と虚脱感が戻り病が治ると書かれている。

 そして、大人が患うと魔力を使い続けやがて、魔力を失い命を落とすとされている。


 シュンは、頭を掻きながら考えを纏めていく。


 ヒューマンで魔法を使えない者がいるけど、それは魔力操作を知らないだけで、誰もが魔力を持っている訳だから……えーと。


 自分の考えを紙に書いていく。


 魔力が無い者はいない。だからこそ、魔力を失うと言う事は何かしらの器官が停止する可能性がある、と書き。


「シュン、済まないが私は王城に行って来るよ、誰かが来たら夕方には戻ると言っといてくれないかね」

「はい」


 君は休んでいろと言い残し、ドロシーは学園長室を出て行き。一人になった学園長室を眺め。


 ドロシーさんに悪い事したな……学園の御仕事が結構溜まってそうだし……。

 

 シュンは、ソファーに寝転がり天井を見つめ。


「女神様……全然……名前探す事できずに……ごめん……なさい」


 とっくに王都を離れ、ドロシーが教えてくれた『考古学者』などを、訪ねたりして……遺跡や神殿跡地に行っても可笑しくないのだが、何時の間にか重要な席に居て、何時の間にか深く関わり、何時の間にか……自分から行動を起し女神様の名前探しを後回しにしてしまっている。


「本当に……ごめんなさい……」


 何度も呟きながら謝り。自分が流され易い事を反省しては自己嫌悪を繰り返す。


 偉そうな事を言ったりしてる割りには、何も考えていない、そんな自分が嫌だと。

 何も知らない癖に、知った様な事を言う自分。

 強くない癖に、強さに付いて語った自分。

 賢くもない、強くも無い、そんな自分が、他人を振り回しているのが嫌い。

 人に迷惑を掛けるのが嫌い。それは、怒られるから。 

 人を傷つけるのが嫌い。自分も同じ目に遭うと嫌だから。

 嫌い……嫌い……嫌い……自分なんて大嫌いだ。

 

 シュンは、ドロシーが戻るまで眠り。眠りながら涙を流していたのか、ドロシーに泣き痕あると言われ、急いで顔を洗って消した。


 そして、アリールさんを診に行く許可が得られた為、急いで準備をしドロシーと向った。

 いつも通りって感じですね……。

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