60話 火は燃え盛る前に消せ!
あの会議から、五日後。
「街の方は、賑やかですねシュン」
「ええ、街のあっちこっちで祭りの準備に追われてますからね」
フェルニア学園の方はでは、急遽学園際の準備に追われている学生達の声が聞こえ。人が多く集まれる場所や区画の方では、商人ギルドの力を使い、赤字覚悟のセールの準備をし、冒険者の方では冒険者に成りたい子供と保護者を集めて、普段どんな事をしてるのかを受付嬢と冒険者を使って、ギルド内と街の外へ行って説明する練習をしている。そして、Cランク以上の冒険者は、それぞれの護衛をする為に各所に集められている。
これは、内乱が起こった際に、住民を避難させ守る為の方法だ。どれも人気が高く、人が集め易いからだ。特にフェルニア学園は良く釣れそうだ! 普段入れない場所に入れるのだから尚更か。
結構は、それぞれ準備が終って三日後と決めてある。今の段階で遅れてるのは、冒険者ギルドだな。何分接客とは掛け離れてる分、四苦八苦してるそうだ。
さて、俺の役目は第三王女のレイアさんの護衛です。大まかな勢力図は、こんな感じかな?
4:4:2って感じかな? レイア様は比較的に少ないですね。これは、引き籠もった結果でもあるし、彼女を好く思わない貴族連中の表れでもあって、戦力が乏しい現状にあります。
第一王子は、バッカス率いる貴族で権力と力を全てと唱える勢力で、内乱が終れば、勇者を使って隣国の帝国に戦争を吹っ掛けるかもしれない、危険な野心があって面倒臭い連中です。国民の支持率は1割。
第二王女は、大臣が率いる貴族が集まっていて、勇者を外交の道具として使い、他の国を取り込もうと考えてるんだとか……まあ、ある意味普通だね。その外交がどんなのか知らないけどね。国民の支持率は4割
第三王女は、平民から貴族に上がった連中が集まっているが、レイア様のカリスマ性に惹かれ、彼女の知らない所で戦力を整えてたんだとか。国民の支持率は5割。
「ふぅ~、ケガは無いですか? レイアさん」
「ええ。大丈夫です」
レイアさんの護衛の付いてから、ペンダントの事に付いて聞かれ、アーレンでのアランさんとの思い出を話したりして、彼女と仲良くなって、俺も俺の知らない、アランさんの事を聞いた。フェルニア学園で落ち零れ生徒だったアランさんが、毎日休まず剣を振り続けて居たのを、遠くから見てたんだってさ。卒業する頃には、アランさんは落ち零れから、見事に特別クラスへ移り、そこで仲良くなったんだってさぁ。あ~あ後馳走様。
レイアさんが、アランさんの事を話す時は、本当に嬉しそうで、終始ニコニコ笑ってたよ。アランさんが居れば、もっと元気なんだろうな。
今は、そんなレイアさんを連れて、街を散歩してるんだけど、外に出る様になってから露骨に襲って来る奴が増えて、こうして対処してるんですよ。
何時もの様に、近くにいる冒険者に任せて、ギルドマスターの下へ送り届ける様に引渡し。散歩を再開し終えたら、護衛を引き継いで城内で待機と言う生活に。
「シュン、待ちなさい、今回の件が終るまで、貴方に預けます、終ったら返しに来て下さい」
レイアさんから渡されたのは、アランさんから預かってたペンダントだった。それを、レイアさんが俺の首に掛けた。俺は、必ず返しに行きますとだけ言って、この日の仕事は終った。
護衛生活も、全体の準備が終えた頃。
事件が起きた。
「たたた、大変です!! れ、レイア様が何者かに!!」
一人の兵士が、大臣や将軍、貴族等が集まる、朝の会議で報告あげてから、二日後。
今、第一王子と第二王女の軍に別れ、それぞれの領地がある街に兵士を集結させつつある。
「さて、そろそろかな……」
戦場になる場所は解らないが検討は付いてるから、その場所の人達を王都に集める為の祭り。そして、王都に行けない人の為の、商人ギルドによる、町や村での赤字セール、そして冒険者ギルドの体験や説明会が護衛付きで、一斉に始まっている。
あと一押しで、どちらかの宣戦布告が始まるが、俺とファルクスさんの役目は、バッカス軍団長の下へ赴き、国家転覆罪と言う名の下に彼を捉える事だ。それは、暗殺者の1人が、自供しているからだ。
大臣の方は、誘拐犯の方が自供で解った事で、レイアさんも勇者と同じで、外交のカードとして使う気だったらしい。本当は王女のどちらでも良かったが、勇者を取り込んだ第二王女に付いたんだと。大臣の利益は、国を裕福にする為でもあるが、毎回外交に行く度に力で脅されたりとして、やり返そうとしてるんだと。小さい男だね……って俺も器が小さいから、気持ちは解らんでもないけどね。実行にうつしちゃ駄目でしょ。
と言う訳で戦力が各自に集まり、会戦が始まる前で護衛が少なく、領地に戻る前の今がチャンスと言う訳ですよ。
バッカスが、五十人程の護衛を引き連れている中、俺とファルクスさんが率いる騎士と兵士で、見通しの良い草原で待ち伏せをし。
「何者だ!」
「バッカス軍団長に国家反逆罪の疑いと、第三王女の暗殺の件について、御同行を願いします」
「暗殺者など俺は知らん!! 貴様等こそ、解っているのか! 俺に刃向かうと言う事を!!」
うわ、周りの兵士がニヤニヤしてるよ、こいつ等、全部知ってるな。
「ファルクスさん……こいつ等」
「ああ、やるしか無いみたいだな」
俺とファルクスさんは、バッカスに向かって走り出した。その行動を見ていた、兵士達も武器を取り戦いが始まった。
「こやつ等は、我等に歯向かう逆賊だ!」
「殺すなよ! 罪は正当に裁かれなければならない! それがフェルニア王国の法だ!!」
俺は、攻撃を掻い潜りながらスタンを使って気絶させて、バッカスに近づき。ファルクスさんは、剣の柄を使いながら、相手の意識を奪いながら、バッカスに近づいて行く。
この戦いでは、俺とファルクスで、バッカスを捕縛するのが仕事だ。バッカスの力が噂通りなら、ネイルさん並に強い。
バッカスの兵士達は腕が立つ者が集まっている。そこで、俺らの兵士達は百人ちょっとだ。戦い方としては、常に二人以上で一人に対峙する様に、合えて開けた見通しの良い草原を選んだ。
森や見通しの悪い所で、戦えば良いのかも知れないが、そこだと個人の強さに開きが出て、此方が不利になり易い。そこで、俺らの取った選択は、俺とファルクスさんが、バッカスを捕縛するまで。ファルクスさんの副官が指揮を取る作戦だ。
作戦なんて呼べないけど、今はこれが限界だ。集まってくれた兵士や騎士は、腕が良いとは言えない。それに、志願者を募って来てくれた人なのだから、複雑な連携が取れない。なら一番シンプルな基礎で戦うしかないっと言う訳だ、出た場所が同じ奴同士で組ませた。ファルニア学園を卒業した人は、学園で習う基本的な戦法で、騎士養成所を出た奴は、其処で習う基礎の連携で。兵士は雇わてなった冒険者が多く、無法者の戦法と言う形になっている。
「ファルクスさん!」
「ああ、上手くやっている様だな!」
俺とファルクスさんは、バッカスまであと少しの所にまで来ている。
「貴様等、目の前に来ているゴミも掃除出来ぬのか!!」
バッカスは槍を構えて迎撃の態勢を取った。
「投降して下さい! 将軍!!」
「投降など、認める訳なかろう、小僧があああああああああ!」
ファルクスの勧告を一蹴して、ファルクスに槍を振りぬいた
「くう! 重い! シュン!!」
「はい!!」
槍を受け止められて、動きが止まってるバッカスの背中に向けて、スタンを放とうするが、嫌な感じがして、一歩手前で後ろに飛び退く。
「!?」
「ち、勘の良いガキだ!」
俺の左脇腹に赤い一筋の線が出来ていた。
今何が起きたんだ、嫌な感じがして、後ろに飛ばなかったら、間違いなく心臓が貫かれてたよ。
バッカスの方を見ると、まだファルクスとの鬩ぎ合っている。
じゃあ、俺が受けた攻撃は何なんだ!? でも、もう一度やるしか無い、だけどやるのは!
シュンは、もう一度バッカスの背後から、スタンを放とうと走り、また嫌な感じがし、咄嗟にリべレーションソードを抜き。
「これは!?」
「ほう、俺のウォーターランスを初見で避け、二回目で受け止めるとはな、やるじゃねえかガキ!」
シュンがリべレーションソードで、受け止めたのは水で出来た槍だった。咄嗟に受け止めたのは良いが、ファルクスが鬩ぎ合ってくれなければ、間違いなく力の差で吹き飛んでいる。
水槍の二撃目が放たれ、シュンは後ろに飛び退こうとするが、横に引っ張られる感じがして、横に避け今度は、背中を押されるかの様に、バッカスの前に行き、ファルクスに向かって放たれた水槍を正面から弾き返して仰け反らせ。バッカスはファルクスとの鬩ぎ合いを辞め、後ろに下がった。
「やるじゃねえか! 小僧ども!!」
槍と水槍を構え直した。如何やら2槍が、バッカス本来の構えの様だ!
「投降してくれると、在り難いのですが!!」
「それは、逆だろう! 貴様等が投降するなら、命だけは助けてやろう! 見た所、ガキは冒険者だろ? どうだ、寝返る気は無いか? 金なら保証しよう」
「お金には困ってないので」
「残念だ! はあああああああああ!!」
右の槍はファルクスが、左の水槍をシュンが担当して戦闘が再開した。目に見える槍と違い、水の槍は時には堅く、時には柔らかく、変幻自在に変化している。魔力の流れを目で追い、僅かな変化を見逃さない様に注意して行く。魔法で造る剣や槍には普通の武器と違い特殊な技がある。
「っは!!」
「く?!」
「ぐは!」
「ファルクスさん!!」
それは、斬撃や突きなどの延長戦沿いに飛ばす事が出来る事何だけど、ファルクスさんに説明する時間が……。
「大丈夫だシュン。かすり傷だ」
「ファルクスさん、あの水槍は出ている体積分だけ飛ばす事が出来ますが、一度消して、もう一度出さない限り、体積は戻りません」
「ほう、良く知ってたな。その事は誰も知らないと思っていったのだがな」
さっき使われたのは、ごく少量だけど水槍が地味に短くなってるはず!!
「くぅ!」
「ちっ!!」
「良く防ぐが、攻めが甘いわああああ小僧どもおおおお!」
あと一歩踏み込めば、攻撃が通る可能性がある……だが、その一歩が、シュンとファルクスには、十歩にも百歩にも感じる程遠く長い。
迂闊に踏み込めば、槍の餌食に成るのは明白。踏み込めると思って踏み込めば、それは罠だと危険察知スキルが発動して、嫌な感じが体全体に響き渡り勝手に、体が後ろに飛び退いてしまう。ファルクスの方も危険察知スキルは無くとも、経験がそれを感じさせ踏み込ませず、甘い攻撃を放っている。
シュンは牽制として、ウィンドカッターを放とうにも、放つ隙さえ作らせて貰えず、剣だけでの戦闘に成っている。一つでも選択肢を間違えると、どちらかに二槍の槍が襲い掛かり、どちらかが倒れてしまう。そんな状況だからこそ、無理な賭けが出来ない。
「その程度か! 小僧どもおおお!!」
「「くぅっ」」
ただの気迫だけで、二人は怯み纏っていた闘気が消え失せ、急いで飛び退く。
「「強すぎる」」
バッカスは構え槍を構え直す、その姿からは闘気が満ち溢れ。攻撃に激しさが増して行く。
急いで、闘気を纏い直し防ぐが。
「良く頑張ったと誉めてやろう、だが遊びは終わりだああああああああああ!」
「「ぐああああああああああああ!!」
たった、槍を防いだ筈なのに、地面に背中を引き摺ったまま、シュンとファルクスは別々の方向に飛ばされ。
「くう……」
リべレーションソードを地面に刺して支えにして立ち上がり、バッカスを見ると。
「ガキから始末してやる! お前は危険だと俺の勘が告げているからな!!」
バッカスがシュンの方に向かって、歩いて来た。シュンは急いでポーチに手を入れ様とするが、さっきの攻撃を防いだ衝撃で痺れ上手くポーチに手が入らない。
「うう……くそぉ……間に合え」
ヤバイです……執筆が進みません、これは非常に不味いです。単語が降りて来ない、このキャパの少なさに嘆いてます。話数だとアランの思い人編のラスト付近なので、焦ってます。
そんな私の作品、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。




