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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
アランの想い人
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56話 101年前の出来事 後編

 メイルのサンダーボルトで邪神の魔力の壁を打ち破り、その隙にネイルが攻めて行き、その攻撃が通じ始めたのを気に、多くの生き残った者が、ネイル達の後に続いて行く。


「貴様らあああああああああ」


 邪神はネイルとメイルの攻撃で、武器を創造する事が出来ず、その隙を衝いて攻撃して行く。邪神は断末魔を上げるが誰もが攻撃を辞めず、我先にと手柄を上げようと必死になり始めた。


「俺が仕留める!」

「いや俺だ」


 ネイルとメイルは、少し離れた所で、その様子を見ていた。勇者2人は、その群がる連中の姿を見て怯え引いていた。


「凄い光景なの」

「優位に立つと、人は変わるものなのね」


「へへへ。これで手柄は、俺のものだあああああああ!!」

「てめえええ。ふざけんな俺のだあああああああああ!!」

「俺が仕留めたんだ、横取りすんじゃねええええよ!!」


 証明として持ち帰えれそうな物を必死に探し、奪い合いが始まり。邪神の居た所には、戦場で生き残った者すべてが集まってきている。その全ての者は、ひたすら証明する何かを手に入れようと争う。


「てめえええ。それは俺のだあああああああ」

「名前でも書いてあんのかよおおお」

「くそおおおおおおおお」

「うぎゃあああああ」



 証明すれば、地位も名誉も金も全てが手に入る、その為に、今この場は、さっきまでと打って変わって、恐怖から欲望に変わり、殺し合いにまで変わって行った。醜くおぞましい、人の欲望だけが、どんどん露にされて行き。狂気に満ち溢れていた。そして、ネイル達の傍に、何かが転がってきて恭介が目を見開く。


 それを見た恭介達の様子が一変し。


「ああああ明彦おおおおおおおお!!」

「アキぃいいいいいいいいい」


 香苗は嘆き、恭介は錯乱して近くに来て、それを奪おうとする奴等を、手当たりしだい剣で斬りかかっる。


「なら、本物の邪神は何処なの!?」

「私が斬った時は確かに邪神本人だったはずよ」


 確かに二人は、本物の邪神を、その目で見ている、間違えるはずは無い。だが奪い合いになっているのは、全くの別人のモノだ! あの邪神は、絶対に近くで見ているはず、そう思い探し出す為にも、この状態で見付けるのは至難の技だ! その為にも先ずは―。


「よくもおおおおおおおおお!! ……うう!?」


 恭介の動きを止め、引きずりながら香苗の下へ行き。


「邪神を探すから、安全とは行かないけど、守り易い場所に移動しましょう、ここでは格好の的になるだけよ」


 そう告げ、守り易い場所に移動し、離れた場所から、邪神の場所を探していく。邪神に傷を負わせる事は出来た、せめて回復し終わる前に見つけ出さなければ、勝ち目が無い。


 ネイルとメイルは、冷静に見渡している。香苗は力なく座り込み、恭介は意識はあるのに動けずに倒れこんでいる。


「キョウスケ、君がカナエを守るのよ。いいわね」


 二人は、恭介達の下を離れた。


「メイル……不思議ね、今の私、頭の中がスッキリしてるのよ……何故かしら」

「姉さん、私もなの。全ての呼吸が聞こえる気がするの」


 剣戟の音、魔法を打ち合う音、狂気した人の声、全ての者の声が聞分けられる気がする程、二人の意識は穏やかに澄み渡っていた。


「「見つけた」」


 二人の目には、奪い殺し合っている姿を笑って楽しみ、逃げ切れそうな奴がいれば、斬りつけ証明として信じられているモノを中心へと投げ込み、狂った者達を煽り続け、奪い合いを終らせない様にしている、黒髪の兵士姿の男が目に映った。


「メイル、あの男、鎧の隙間から血が流れているのが見えるわ」

「私も確認したの。まだ回復してない見たいなの! 殺るなら――」

「「今しかない」」

「待って下さい!! 俺も行きます!!」


 動ける様になった恭介が、ネイル達に追い付き、自分も行くと言い出した。香苗には光の結界を張ったから大丈夫だと説明し、二人を説得した。それに、明彦の敵を討つ為だと付け加えた。一人でも戦力が欲しい状況で来るなとは言えず、黙って頷き、手負いの邪神目掛け、走った。


 不意打ちをしようにも、自分達の方が、後ろから狂気に狂った奴等に攻撃される可能性の方が大きい為、一直線に向かう事になった。

 ここまで、狂気に落ちた人を敵と見なすか、味方と見なすかは、判断が付かない。邪神を攻撃して皆の目が覚める事を信じるしかない。


 問題の魔力の防御壁を再び張っているのか解らないが、雷魔法を使えるのはメイルのみ、ネイルが道を切り開き、恭介が護衛しメイルは、サンダーボルトの詠唱を始めながら送れない様に、人混みを縫っていく。


「フフフ、ハハハハ! 人とは愚かな生き物だな!! 中途半端な知性と力など持つから、こんなにも醜くなるのだ! もっと狂って見せるが良い! !? くぅ?!」


「あんまり人をなめるなあああああああああ!!」


 ネイルの剣戟を、鞘から抜き放った剣で受け止め弾き返し。


「先ずは魔導師貴様からだ!! 貴様が居なければ、我が深手を負う事は無かったのだああああああああ!!」


 邪神はメイルに接近し剣を振るい。メイルはサンダーボルトの詠唱中の為、反応に遅れ。斬られる事を覚悟をして最小のダメージで済まそうと、後ろに飛んだが。


「うおおおおおおおおおお!!」


 邪神の剣を、恭介が受け止めて見せ。気迫の篭った剣で邪神に、剣を振るい続けて行き邪神を後退させて行く。


「う!? く!? 小僧!?」

「よくも明彦をおおおおおお!! お前がああああああ!! お前のせいでええええええ!!」

「はああああああああ!!」


 さらに、ネイルも加わり攻撃をして行くが、深手を負っているのにも関わらず邪神に、その剣が届かずに、攻防だけが続いていく。


「押しているのは、俺達なのに……何で攻撃が届かないんだ!!」

「集中力を切らさないで、攻め続けるのよ!!」

「くぅぅぅ!! 鬱陶しいわあああああ!!」

「?!」


 邪神の一撃を咄嗟に防いだが、剣ごと恭介が吹き飛ばされ。ネイルと邪神だけの剣戟戦が繰り広げられた。


 メイルの方は、狂気に狂った連中の不意打ちを避けつつ、サンダーボルトの詠唱を重複させ、威力を上げ続けていく。その中で、自分を守るように恭介に視線を送り。それに気付いた、恭介がメイルの守りに徹した。


 凄い王都に居る宮廷魔導師の人の中にも、重複詠唱して威力を上げる人が居たけど。それでも、手を抜いた詠唱を二回か三回ぐらいが限界で、威力が少しだけ強くなる程度の魔法で、お世辞にも実戦では使えないって教えられたのに、メイルと言う魔導師さんは、全力の詠唱を何重にも詠唱して威力を上げてるよ……。


 それに、雷属性の魔法だってそうだ! 雷属性の攻撃はサンダードラゴンか、一部の魔物だけが使え、多くの魔導師が完成させようとして挫折した魔法だって教えられたんだが。それを完璧に使いこなしている……。

 邪神の魔力の壁を壊して見せた、あのサンダーボルトを、重複詠唱してるんだ、あんなのが放たれたら、この辺り一帯が本当に消し飛ぶかもしれない。


 そんなの勇者召喚された、俺達には出来ない。俺達も魔法が使えるが、スキルセットで取った魔法属性だけで、それ以外の属性は習得出来なかった。ただし取った属性魔法は最初から、宮廷魔導師より優れていたし、剣術だって騎士団長よりも上だった。ただ、実戦経験の差だけは埋められず、大輔以外は、誰も勝った事がない。


 使える魔法は最強、剣術レベルも最強……それでも、本当の意味で……最強には成れなかった。あの時、誰よりも信頼され、皆から慕われ人気だった大輔を、俺達がダンジョンの最深部で俺達を助ける為に残った大輔を、あの時無理にでも引きとめて置けば……俺達が、置き去りにしたばかりに、こんな事に……。全部は俺達の責任だ……邪神がこんなに強いのも……全部、全部。


 今の俺に出来る事は、せめて放たれるサンダーボルトを出切るだけ回りに被害が出ない様に、結界を張るだけかもしれない。


「姉さん!! 準備できたの!!」


 ネイルは、邪神に今まで溜めていた力を全部ぶつけ、足を斬りつけ、全速力で後ろに下がり。ネイルが下がったのを確認した瞬間。


「サンダーボルトおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 “カミナリ”と言うより“イカズチ”と言うニュアンスが、しっくり来る様な、雷が邪神に落ちた!


「ぬああああああああああああああああ!!」


 雷の轟音と爆風が戦場全体に広がり始める。


「我、光の勇者が命ずる、光よ悪しき者を閉じ込め、その進行を止めよ! シャイニング・スクエア・ウォール」


 広がりつつある雷を、光の壁が囲い結界を造った。だがその力は上に逃げず、壁を押し破ろうとして(くすぶ)っている。


「辞めるの!! あのサンダーボルトには、十以上の詠唱が重複してるの!! 普通の結界魔法じゃ防げないの、早く逃げるの!!」


「くううううううう!! 全ては、俺達の責任なんです!! せめて、せめてこれ位させてください!!!」


 ネイルとメイルは、助けに行く余裕も無く、諦めざる終えなかった。その二人とは対照的に、彼に向かう一人の少女の姿があった。


「香苗、何で来たんだ! お前も一緒に逃げろ! 正直もう持たないんだ!!」


 香苗は、恭介の背中を支えて、魔力の波長を合わせて、恭介の結界を支えた。


「私も、一緒に……皆が居ないんじゃ、この世界でも、元の世界でも生きて行けないから」


 恭介は馬鹿と呟き。そして、恭介と香苗は笑いあい。


「「ネイルさん、メイルさん、生きて下さい」」


 その言葉を最後に、ネイルとメイルは戦場を後にした。



 二人が戦場を離脱して直ぐに、大爆発が起こり辺りに爆風とその振動が響き渡る。


 動けるように成るまで回復してから確認しに行くと、邪神が居た戦場跡地には、底が見えない巨大な穴だけが残されていた。


 それからネイル達は、今回の戦の悲惨さを伝えるべく各国を回り、最後に勇者召喚をした国であるフェルニアに赴いた。


 邪神との戦から、数ヵ月後。ネイルは剣聖を襲名し、メイルは大魔導師を襲名した。 


 それを最後に、公の場から姿を消し、世界を旅して回った。


 各国も今回の事を、切っ掛けに本格的に、遺跡や神殿を見つける研究機関が作られた。邪神討伐の際の指揮系統は、邪神が現れた国がすると協定が結ばれた。

 難しかったです。当初の後編の表現は本当に醜く、グロかったので、表現を改めて修正しました。って言っても曖昧に誤魔化してる感じですが……。

 本当に上手く書いている作家さんは、凄いと心の底から思います。


 そんな私の作品、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。

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