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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
アランの想い人
53/87

53話 こんなもんなん・・・だ

 ドロシーさんの協力を餌に俺は、生徒会長さんと模擬戦で戦う事になった訳で。しかも、闘技場でだよ。何で闘技場なの? 訓練場ぽいのが、来るとき見えたよ。あそこじゃ駄目なの? ぶっちゃけ移動するのが面倒だったんですけど。それと何時の間にか秘書のお姉さんが居るし、何時合流したの? 全然気付かなかったよ。


 で、闘技場に着いたんだけど……何て言うの? 漫画とかで良くある武舞台って感じで、武舞台を囲うように観客席が在る。


「あの、こんな立派な所で戦うんですか? 来る時みた訓練場じゃ駄目なんですか?」

「訓練場じゃ人目があるからね。それに、ここだと余程の事が無い限り、ケガをする事は無いからね」

「ケガをする事が無いですか?」

「ほら、武舞台の四隅に校章が在るだろう。そこには、防御結界の魔道具が埋め込まれててね。肉体に受けるダメージを衝撃として変換するんだよ。斬撃は武具と防具は斬れても、肉体は切れない。その変わりに衝撃に変わるんだよ。真剣で戦っても木剣と戦ってるのと変わらなくなるんだよ。魔法は精神的なダメージに変化してくれる。ただ、凍結などに陥った際は即座に試合は終了される様に決まっているんだよ」


 何だろう、ご都合主義的な魔法が在るもん何だね……でも突きはどうなるの? 絶対刺さるよね? 絶対刺さるよね? 危ないよね? それにしても――


「そんな出鱈目な結界があるなら、普通に邪神と戦う時とかに使えば、死亡率下がるじゃないですか」

「使う際に条件が無ければね」

「条件ですか?」


 長い詠唱とかかな?


「対峙する際にお互いが、名を名乗らないと駄目なんだよ。しかも名乗る際に詠唱をする様に魔力を込める必要があるのさ。そうしないと、結界が魔力を覚えないと、魔法での攻撃が、そのまま相手を傷つけてしまうのさ」


 うわ……使えない


「それに、いちいち名乗る相手なんて、いないだろう」

「……仰るとおりで……」


 着替え終わった生徒会長さんが、さっきから準備運動始めてるんだけど? 勝っても負けても、得はあっても、そんなに損は無いと思うんだよね。だって自分で行けば良いだけの話しだし。どう会えば良いのかは、その時考えれば良いよね。


 さて、武舞台に上がるか……なるべく早く終らせたいな。幸い俺の事は弱い奴って思ってみたいだし、隙を衝いて終らせよう。


「ああ、そうだ。ヒースロー生徒会長。この勝負に勝てば、君が言ってた案を3つ叶えよう。勿論、学園長権限でね」

「本当ですか……約束ですよ。貴方に恨みはありませんが、これも寄り良い学園にする為です。本気行かせて頂きます!」


 焚き付けないでよ。何か今まで軽く倒して挙げる。って感じの雰囲気だったのに……。本気になっちゃったよ。始まる前から剣に闘気が集まって、剣気が物凄く充実してますよ……。


「シェリー・ヒースロー! 参ります!!」

「シュンです。宜しくお願いします」


 名乗りあった瞬間に、武舞台を結界が覆いだした。


 結界ってすげえええ。


「はあああああ!!」

「ちょ!」

「!?」


 シェリーは連続の突きを放ちながら、シュンと擦れ違ったが、レイピアには攻撃を当てた感触が伝わらなかった事で首を傾げ。一呼吸してから、さらに攻撃を繰り出した。


 俺まだ、剣を抜いて無いんですけど……もしかして、名乗る前に剣を抜くのが、ルールだったのかな? 始めた理由はどうであれ、ある意味チャンスかも。同じ位の歳の子の強さを知るには、丁度いいかもしれない。今後、友達を作る参考にしよう――って、そんな事、考えてる場合じゃなかった。


「はああああ!!」

「……」

「何で、掠りもしないの!? くぅ、はああああ!!」


 今度は、足を止めて一定の距離で突き放ち、休まず攻撃を繰り広げているが、シュンは攻撃を危なげなく避けていた。


 うん、そうだろうね。剣気を纏わせてるだけの攻撃は、身体強化してる訳じゃないから、剣速に限界があるんだよ。レイピアの様な突きを得意とする剣には特に剣速は大切だよ? 攻撃の軌道が読み易いんだ。

 ネイルさんは、身体に闘気を纏わせて身体強化する事によって、さらに緩急を付けて攻撃して来るから、手加減してくれても、一度もちゃんと避けれた事ないんだよね。野球で言うストレートとチェンジアップ見たいな感じ? 他にも、いろんな業を見せてくれたけど、どれも基になっているのが緩急だったなあ。速い剣速に緩急を付けた遅い剣速の剣技は本当に凄かったな。


「……凄いわね。こんなに攻撃を避けられる何て初めてよ」

「それは、どうも……」

「なら、これなら如何?」

「!?」


 へぇ~。剣気だけじゃなくて、闘気を身体強化として纏えるんじゃん。でも何で腕だけ?


「はああああああああ!!」


 今まで変わらない突き、多少だけど腕に闘気を纏わせただけあって、少しだけ剣速が上がってる様だけど……これは!?


「!! ?!」


 危な……急に最後の1撃だけ、剣速が途中で急加速したよ。これって確か……女性の柔らかい筋肉と闘気があるから出切る方法だって、ネイルさんが言ってた業だ。


「これも、駄目みたいね……貴方、何者なの?」

「その業は、見た事があります。初見だったら避けれませんでしたよ」


 次で終るのかな? 距離を取って、精神を集中させてる様だけど。実戦じゃあ使えないよ? 待ってくれないからね。俺が剣を抜かせて貰えなかった様にね。


「すぅ~は~」

「…………」

「行きます!!」


 ええええ!? 全身に身体強化できるなら、最初からやれば良いのに……纏うのに時間が掛かり過ぎ。 


「く!?」

「……もう、何も無いですよね?」


 もう他に、攻撃が無いのか訊ねてみたが、何も無いのだろう。反応は無く、ただ黙っていた。あったとしても情報を漏らしたくないのだろうか。


 ポーチから、ダガーを抜き。態と大きく構えて見せ。攻撃してくるよう目で、合図した。


「背中の剣は抜かないのですか?」

「ええ、必要ありません」


 一瞬眉がピクっと動いたが、彼女は何かを堪えたのだろう、剣を構え直し、シュンを見つめ。


「そうですか……はああああああ!!」


 彼女が繰り出す連続の突きを、一本一本ていねいに弾いて行く。もし彼女に他の業が有るとしたら、攻防戦の時か、返し業なのだろう。

 一番考えられるのは、返し技かな? ネイルさんが、“レピアは、別に突き専用の剣じゃないわ。刃を相手に速く届かせるのが得意な剣なのよ”って言ってたし。

 それに、ネイルさんは、突きが得意だから多用してるとも言ってたな。


 ふむ、攻防でも変化なし。ならこちらから攻めるか。でも、如何やって攻めようかな。返し業にだって、パターンはあるし……かった端から攻めるか。


「行きますよ!」

「え!? きゃ!!」


 ……駄目じゃん。全然反応できてないよ。これでも闘気無しでやったから、これ以上手加減したら、俺が負けるし無理だよ。


 シュンの放った連撃は剣気どころか、身体強化をする事なく、単純な一生懸命で拙い短剣術のみだ。短剣術って言っても、リーチが剣より短いだけで、基本の攻撃の仕方は剣術と変わらない。


「勝負有りだね!」


 次を如何やって攻めるか考えていたら、ドロシーが試合を止めた。


「ふぇ? もう終わりですか? これから、もう少し攻め方変えて、他にどんな技と業があるのか見たかったのに……」

「馬鹿か君は。見てみろ、ヒースロー生徒会長を――」

「見ないで下さい!!」

「……すみません……気付きませんでした」


 座り込んでいる生徒会長さんを見ると、防具は剥がれ落ち、下に着ていた服もバッサリと斬れて、綺麗な白い肌が露になっていた。 ん? こ、ここれって。


「じろじろ見ないで下さい!!」


 白い布切れを素早く回収して、(うずくま)った。


「す、すすみません……態とじゃないんです!!」


 後ろを向いて、顔を真っ赤にして、言い訳をしだし。


「言い訳はいいですから!!」


「ヒースローも着替えに行けないだろう。話しは、学園長室でしようじゃないか。ヒースロー済まなかった御詫びとは言わんが、約束の件は考慮しとくよ。フェリア! 今日の会議は先に行ってくれ、遅くなるとは思うが、私も行く」


 俺はドロシーさんと一緒に、学園長室まで、また無駄に長い道を歩いて行った。歩きながら、サディストだとか、とんだ変態だなと部屋に着くまで弄られ、釈明したのだが……楽しませるだけだった。この人の性格が掴めない。エルフだから年齢も読めないのに、性格も読めないんじゃ、本当に何も解んないじゃん……。

 

 部屋に着くと、表情を変えて真面目な顔に変わり。ソファーに座るように促し俺を座らせ、向かい側に自分も座った。


「シュン。君はヒースローと戦って見て如何感じた?」


「如何って、闘気の練り上げが下手ですかね? 闘気を剣気に変えるのは上手いかもしれませんが、あんなに溜めないと身体強化として纏えないんじゃ、戦闘には向きませんよ。いちいち待ってくれる相手なんて、居ませんから。それと、闘気で身体強化しないと、攻撃を当てることも避ける事も出来ませんから、幾ら良い剣気を使えても意味ないですよ。せめて身体強化して使わないと、闘気がもったいない。闘気だって無尽蔵にある訳じゃないんですから。『身体強化が出来て初めて戦闘が成り立つ』ってネイルさんが言ってましたよ」


「そうか、ヒースロー生徒会長は……Bランク冒険者なんだよ」

「は!? Bランク? Dランクの間違いじゃ?」


 本当だと頷いた後、ドロシーは少し沈黙して、口に手を当てて、何か考えを纏めているのだろう。


「確かに、私の目から見ても、Dランクだと思えるが、それは百年前の話なんだよ。私が……いや、私とネイルとメイルが、この学園の生徒だった時は、彼女くらいの実力はEランクだった。それが僅か百年の間で、“本物の強者”が減ってしまったのだよ」


「本物の強者って何ですか? それと、生徒会長さんのランクが関係してるんですか?」


 本物の強者って何? 人に会う度に解らない事ばかり増えて、混乱してくるよ。俺そんなに……いや、全然って言っていい程、頭良くないんだからね。謙虚な意味じゃないよ。事実だよ!! 


「まあ、昔話にはなるが、聞いといて損は無いと思うよ、何せネイルとメイルの昔話で、私も二人から聞いた事だから、飛び飛びで申し訳ないがね」


 ネイルさんとメイルさんの昔話とか、すげえ気になる!!


 長くなりそうだと言って、お茶の準備をしだし、お茶を俺の前に置いた。


「私達が、この学園の卒業を控えた四回生だった頃の話だから……そう百一年前の事だ」


 ……何だろう、その見た目で百一年前とか言っても、古臭く感じないな。つい最近って言っても通じそう。


 あ、睨まれた。俺は大人しくドロシーさんの話を、静かに聞いた。

 難しいです。へんな所で躓いてしまいそうです。

 小説家の皆様の様な素敵発想が降りて来ないかな~と願うばかりです。


 宣伝とか何もしていないのに、皆様一人一人が見つけ読んで下さってる事に感謝でいっぱいです。


 そんな私の作品、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします!!


 次話は三部で一つの御話しです。

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