50話 初めての護衛依頼
まったり、執筆中
遅いわ……何してるのかしら。やっぱり、商人ギルドの護衛にしないと駄目だったのかな……でも、商人ギルドで護衛を頼むと、高くついて赤字になるし……往復代でお金取られるし……片道のワタシには、金貨1枚は微妙だし……だから、冒険者にお願いしたんだけど……冒険者の男は最悪だし、イヤラシイ視線で、こっちを見てくるし……それは、まぁ我慢できなく無いけど……触ってきたり……宿に連れ込もうとしたり……最悪の連中ばかりで、もう!! うんざり!! 良くあの子は冒険者をやってられるわ……この前だって襲われそうになったから、冒険者ギルドで信用できる人を寄越しなさいって、お願いしたから、もう大丈夫だろうけど。
「それにしても……本当に遅いわ……」
王都の正門前で、一人の女性が、約束の時間を過ぎても来ない冒険者を待っているが。一向に来る気配が無く、イラつき始めた。
でも……何で来ないのかしら? 今から、商人ギルドに行っても間に合うかしら? 高く付くけど三日後に作業に付いてないと、王都の祭りの本番に間に合わないし……どうしよう。
「ごめーーーん! ケリー!!」
「遅いよー!! カノンちゃん!! 今から、商人ギルドで護衛をお願いしに行こうか、本当にまよちゃったんだから!!」
「本当にごめんね。なかなか受付で受諾を貰える冒険者がいなくて……本当にごめんね!」
受諾? それって私の所為だよね……多分……でも向こうが、まともな冒険者を寄越さないのが悪い訳だし……。
「で? 見付かったの? 護衛を引き受けてくれる人?」
「あ! うん……ついさっき決まったの。受付の人に紹介して貰ってたから、多分大丈夫よ」
多分って……不安が残るじゃない。
「そう……で? 何処に居るの?」
「え!? あ!! いた! あそこの人混みの所」
視線を送ると、人混みの中で、人に挟まれ隙間から一生懸命に、這い出ようと頑張ってる、黒髪で黒服の男の子の姿があった。
「ねえ……カノンちゃん……あの子で、本当に大丈夫なの?」
「……たぶん……だいじょうぶ」
カノンちゃんまで、自信が無いんじゃ……不安だわ。
「はぁ……はぁ……すみません。王都に来て日が浅くて、まだ人混みに慣れなくて」
「田舎者なのね……ワタシが今回の護衛依頼の依頼主のケリーよ。護衛の経験はある?」
「えっと、初めてです」
「私の名前はカノン。ケリーとは護衛の仕事で出会ったの。それ以来、ケリーの出す護衛の仕事では、指名させて貰って稼がせて貰ってるのよ。解らない事が在ったら聞いてね」
「はい。俺はシュンです。ランディールの街から来ました。パーティーとか組んだ経験が少ないので、いろいろ迷惑掛けるかもしれませんが、宜しくお願いします」
へぇ~、礼儀正しいわね……依頼主だからと言って、冒険者の殆どは頭なんて下げないのに……でも冒険者としての腕に不安が残るけど……。
「時間が無いから、直ぐに出発するわよ!!」
「ええ」
「はい」
3人は、馬車に乗り込み王都を出た。
……暇だ。求人広告とか在ったら、『馬車の中で座ってるだけの簡単なお仕事です!』とかって言うキャッチフレーズが付きそうだよ。最初はさ、凄い大変なお仕事だと思った訳で……。王都に来るとき、賊に襲われたり、賊に襲われたり……賊に―って賊しか出てこないな……。たま~に魔物が出てくる程度だったけど。出発して半日経つのかな? 夕方に差し掛かり始めた今でも、何事無く馬車は進み、俺はずっと馬車の後ろで、足をブラブラさせながら、後方警戒をしてるだけで、時間が過ぎていった訳で。
御者台に座っている、ケリーとカノンさんは、楽しそうに会話してて……王都のケーキ屋が―とか、可愛い服が―とか。本当に楽しそう。
後方警戒してる俺は、本当に暇で昼寝しそうだ……。最大の敵は眠気って感じですよ。寝ないために、魔力操作で遊んだり……遊んだり……。魔力を一点集中して、右に移動したり左に移動したり……圧縮したり……飽きてきた……闘気で遣りたいけど……闘気でやったら、カノンさんが何事! って顔をして振り向いたので、辞めました……美人だった顔が、急に鬼に変わった様に見えたから……魔力だったら、全然こっち見ないから、やってます。
あ! 馬車が止まった。今日はこの辺で、野宿するのかな?
「シュン! 今日は、ここで野宿するから」
「はい。解りました!」
「見張りはどうする?」
見張りの順番か……夜全部やろうかな? 俺の戦闘経験の半分以上が夜戦だし。
「そうですね……俺、夜での戦闘経験が豊富なんで、先に休みます。その変わり、朝まで全部、請け負いますよ?」
「解ったわ。でも夜戦が得意って黒いからかしら?」
失礼な! あ、でも。一瞬そうかもって思ったかも……。
食事を摂って、先に暗くなるまで寝る訳で……眠りに付く直前まで、思うんだ。女性の話し声って五月蝿いなぁ~と。これは、面と向かって言えないので、頑張って寝ました。
「?!」
「待って! 私よ!!」
「ん? あ~……カ……ノ……ンさん」
何か、殺気を感じて? 正確には危険察知スキルが自動で反応したんだけど……。意識がハッキリし始めて、マジマジっと見たら、カノンさんが俺に向かって、剣の鞘で叩こうとしたみたいで……。俺は剣を抜いて、カノンさんの身体を斬る直前で寸止めした形になっていた……危ないな、本当に偶々反応できたから良いけど……反応出来なかったら、洒落にならないよ……いやマジで!!
「何してるんですか? って言うか止めなかったら、本当に斬っちゃう所でしたよ!?」
「こ、これは、つ、通過儀礼なのよ。……初めて護衛依頼を受ける人にやる事なのよ……」
冷や汗をダラダラと流しながら、説明しているカノンの目を見て、嘘じゃない事を信じる事にして、剣を鞘に納め。
「冗談でも殺気は、やり過ぎだと思いますよ! 悪戯に反応して人を斬っちゃったとか嫌ですよ!」
「本当に、ごめんなさい……それにしても、君は見た目よりずっと強いのね……」
「はあ~。もう良いですよ……さっさと寝て下さい。俺は朝まで見張るんで、明日の朝からは全部カノンさんが見張るんですからね!」
俺は苛立ちをぶつけ、さっさと持ち場に着いた。カノンさんが、『本当に、ごめんなさい』って呟いていたが、スルーした。俺が苛立ってるのは、本当に一歩でも間違えたら、仲間を斬ったかもしれないと言う自分にだ!!
夜はどんどん夜が更けって行き、その夜風が苛立ちを鎮めてくれていた。
暗視スキルと魔力感知を使って周辺の魔力の流れを感知していった。暗視スキルで周りが見え、それに合わせて魔力感知を使うと、まるでサーモグラフィでも見てるようだった。五十メートルくらい離れた所で何かが歩いているけど、何なんだろう?
「これで。スコープとか在ったら、すげええ便利そうだな……」
ん? 何か居るな……。?! 犬? ああ、あれがバウンドドックって言うのかな? 大きいドーベルマンにしか見えないんだけど……でも、超怖いな……。でも、群れで行動するのが犬ぽくて可愛いな、でも囲まれる前で良かった。今のうちに狩るか!!
指鉄砲を作り、バウンドドックの一匹に向け、エアカッターを圧縮した一発を放った。
「すげえええ!! 試しにやったけど、こんなに凄いとは……」
バウンドドックの眉間を貫いてもなお、威力を弱めずにそのまま、見えなくなるまで飛んでいった。これは、以前ナイトスコルピオンと戦った時に覚えた、闘気を薄く圧縮して纏う方法を、魔力で試して見ただけ何だが、予想以上の結果となった。
通常のエアカッターなら、ビューンと言う音と共に放たれるが。今回はパスっと言う殆ど音がしない状態で放たれた。それは、自分でも放ったのかは、魔力が飛んでいった感覚以外じゃ解らなかった。
バウンドドックの群れも何が起きたのか解らないのか、その場で動きが止まっている。今、連発すれば簡単に倒せるかもしれない。
そう都合よく行く訳が無く。
「圧縮し終わるのに、最短で10分と言う所かな……」
バウンドドックは、散り散りに動き始め。とっさに通常のエアカッターに変更した。それでも、倒すには充分の威力はある様だが、周りの木々を切り裂いたりと、無駄に自然を破壊してしまっていた。
六匹中三匹まで減らした所で、向かって行き、剣で迎え撃った。グリーンウルフと何等変わらずに、足音のリズムで避けて、首を刎ねると言う必勝パターンで、このバウンドドック戦は幕を閉じた。
バウンドドックの亡骸を収納して、自動剥ぎ取りをしてから、討伐部位を臭い袋に仕舞い、持ち場に戻り、カノンとケリーの方を見たが、起さずに済んで安心した。
あのエアカッターの圧縮版は、今回みたいな不意打ちなら使えるけど、実戦じゃ使えないな……。圧縮する所は上手く行くけど、なかなか飛んでいかなかった。改良点は、発射かな? 圧縮した魔力を放つのが、とても難しくて、失敗するとその場で暴発しそうで怖かった。
再び静まり返った中、周りを警戒しながら魔力で圧縮する練習を再開し始めた。
あれから、何も起きず。無事に朝を向かえ、カノンが起き始め、朝食の準備を始めた。その匂いで起きたかの様に、ケリーが目を覚まし、食事を摂って直ぐに出発を始めた。食事を摂っている時に、昨晩の事をカノンが謝り、それを聞いてケリーは何が起きたのか聞いて来て、説明して。『それは、災難だったね』ってカノンさんに言った。俺にじゃないのかよ!! と思いつつ、食事を再開して、昨日は何も無かったと報告した。だって、バウンドドックと戦ったって言ったら、何で報告しなかったのって言われるのが怖かったから……。
護衛を引き継いだ俺は、馬車の中で眠りに付いた。夕方には着くと言ってたし、起きる頃には着いてるはず……。
「んが!?」
ガタンと言う揺れで、頭を打ったのか、頭がジンジンして、摩りながら起きると、カノンが緊張した空気で、前を見て。ケリーは馬車を迂回させようとするが、上手く操れないのだろう、馬がその場で足踏みをし、動きが定まらずにいる。
俺は、二人の視線の先を見ると、十体のオークが前の馬車を襲い、護衛の冒険者と戦闘を繰り広げていた。護衛の冒険者は、危なげに攻防を繰り広げていて、一歩でも間違えれば殺らされそうに見えた。助けるべき何だろうが……目の前の男達は、自信に満ち溢れて戦っている。そんな彼らを見て、何処にそんな自信が有るのか解らずにいる。拙い防御に、剣気任せで振っている剣。剣術と呼べるかもしれないが、実戦向き? っと思える様な動きで戦っている。 綺麗な動きだけど、魔物相手にそんな動きで良いのか、正直疑問だ! 何だろう、スポーツとか映画とかなら楽しめるかもしれないけど……命が掛かってる事で、それは無いと思う。
カノンに助けなくて良いのかと聞いたが、『彼らは王都でベテランのDランク冒険者で、私より強いから大丈夫よ、ここは見て勉強しましょう』等ととんでもない事を言っている。
もしかして、俺ってかなりズレてるのかな? でもネイルさんの修行でオークを何度も倒したけど、あんな動きじゃ……絶対死ぬと思う……例え今日じゃなくても、あの調子なら何時かきっと……。
見てみぬ不利をするか……出しゃばって後で余計なお世話だと、言われてギクシャクするか……。
人の獲物を横取りをしないのが、暗黙のルールだ。ここは、もう少し様子を見よう。
十体のオークに冒険者五人か……あの実力で……本当に大丈夫なのカノンさん……。あれでカノンさんは、自分より強いと言い切ってる訳だから、カノンさんはオークに勝てないと見て間違い無さそうだ。って言うか、Eランクのフェイミィ達以下じゃん……マジで……。これが、ネイルさんの言うスキルレベルに依存って事なのかな?
お? 何か作戦でも思いついたのかな? 五人で何かを示し合わせて頷いて…………―。
にげるんかああああああい!!
ってツッコミ入れてる場合じゃないや。
リべレーションソードに手を掛け、オークの群れに向かって、走り出した。
何とか、執筆してますが。やっぱり難しいですね。何処かで躓くと、二、三日も執筆が進まなくなって、如何しようって成りました。
これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。
明日は、日曜日なので、いつも通り投降します。




