39話 フェイミィとパーティーメンバー
執筆中
「行ったわ、グエン!」
フェイミィがゴブリンの集団の中に突撃し、槍を横薙ぎ振りゴブリンの統率を奪い、数体のゴブリンがその場から散り散りに散っていく。
「ハアアアアア!!」
待ち伏せをしていた場所にゴブリンが通りがかり、後ろからグエンが斬り捨て行く。お互い倒した、ゴブリンの討伐部位を切り取り合流ポイントに向かった。
「流石、フェイミィとグエン君だね」
「本当だぜ。とくにグエン。ついこの前、冒険者になったと思ったら、もう剣気つかってるしよ。俺この中じゃ一番先輩なのによ。剣気がまだ練れないんだぜ? このままじゃ落ち込んじまうよ」
「俺は獣人だから、他の人より闘気を扱うのが上手いだけですって。ダンさんだって、そのうち扱える様になれますって。ですよね? メディさん」
遅れて他のパーティーメンバーも合流し。小休止を取り始めた。
「そうだよ。フェイミィとグエンが特別なんだって。あたし達ヒューマンは、他の種族と違って魔力や闘気を自在に扱えるように成るには、時間が掛かるって、みんな言ってるじゃない」
「そうだけどよ。もう直ぐなんだぜ・・・Dランクの昇級試験・・・闘気は練れても、剣気が練れないんじゃ・・・皆に迷惑を掛けちまいそうでよ・・・」
「まだ、試験は来月なんだし。焦らずに強くなれば良いと思うよ私は。あれ? 何か探してるのメディ?」
フェイミィは、ダンの背中をポンポンと叩いて、励まし。リュックの中に手を入れてガザコソ何かを探している、メディが目に映った。
「ちょっと・・・ポーションをね」
「ポーション? 何処か怪我したの?」
「ゴブリンとグリーンウルフとの連戦で、怪我をしない方が変でしょ。掠り傷とは言え、傷が溜まって行くと、次に響くし・・・あったあった」
「蓋にガラスの犬耳が付いてるのって、変わってるビンだね?」
「え!? フェイミィ・・・知らないの?」
何が? っと言う表情と共に首を傾げた。
「ランディールに出来た、『魔道具屋アイル』だよ。若い亭主でアタフタしてる姿が、かわいいって評判なんだよ」
「へ・・・へぇ~」
店の存在は知っているが、開店しから1度もフェイミィは店の傍に行く事は無かった。グエンに場数を踏ませるべく、簡単な依頼を数多く受けて成長させる事に時間を使ってきた。勿論ポーションは、幾つか所持しているが、以前購入したポーションが未だ未使用で残っている為、今の所は補充する必要が無かった。
「・・・姉さん? どうしたの?」
急に黙り込んでしまった、フェイミィの顔をグエンが覗き込んだ。
「え? ん~ん・・・何でもない・・・さて、これから如何するのダン?」
「そうだな・・・しばらくは、クルワルの森に滞在するから・・・明るいうちに、寝床に成りそうな場所を確保しようぜ!」
3人は頷き、拠点に成りそうな場所を探しに散って行った。ダンは、3人の大きめの荷物を見張る為、その場に残った。
「この森に来るまで、2年も掛かっちまったぜ・・・親父・・・」
ギュっと握り拳を作り、一点を見つめていた。ダンのその想いは父親だけでは無く、これまで知り合った同期の冒険者にも向けられていた。
ダンとメディは、近所に住んでいる幼馴染で、お互いアーレンの事件で、冒険者だった家族を亡くし家計を助ける為、冒険者になり。切磋琢磨し、支えあって来たが、その道のりは微笑ましいものでは無い。
アーレンの事件を境に、家計を少しでも助ける為。若くして冒険者に成った者が多いが。彼、彼女等を指南する者が居なかった為、死傷者が増え続け未達成の依頼と遺体の無い墓が増え続けた。
ギルドが、最初に出した対策は達成回数と、稼いだ金額の合計が金貨10枚まで達していない者には、クルワルの森の中と、その周辺までの、立ち入り許可が下りないっと言う条件だった。
クルワルの森の周辺は新米冒険者に取って、かっこうの稼ぎ場である為、無許可で多くの若者達が訪れていた。薬草などの採取も他の場所と比べて、豊富に生えている為だ。
採取した薬草は、特殊な物意外は何処に生えているかは、特定出来ない為、無断で進入して行く者が後を絶たなかった。
やがてギルドから、全面的に立ち入りを禁止され。破った者には、ギルド登録を剥奪するっと言う命令が出た。だが、その命令で2次災害を生む事になってしまった。
クルワルの森の中に誰も侵入していない為、魔物に取っては快適な環境に成ってしまった。そして、その魔物たちが森の外へ行きランディールの近くにまで多くの魔物が現れ始める結果と成ってしまった!
戦闘に慣れていない、新米冒険者達は成す術も無く、その若い命を落としてしまった。
ダンとメディも、魔物に襲われ何とか逃げのびた経験がある。その際パーティーメンバーの命が奪われる姿を目の当たりにし、成す術も無く己の無力さに嘆き苦しんだ。
それから、暫くしてフェイミィと出会った、自分達と似た様な理由で冒険者登録をしに、ギルドに訪れていた。だが、中には入らず不安で、立ち止まって居たのを目撃し、声を掛けた事から始まった。
その時、ダンとメディは、あの時の悔しさをフェイミィにはして欲しくないと想い。2人は誓った。『この子には、あの時の仲間の様に失って欲しくない』っと。
2人は、出来る限りの事でフェイミィを育てた。そして、2人に追いついた頃、フェイミィから聞かされた。彼女の母親が獣人で、病に侵されている事を。そして、その治療に必要な材料がクルワルの森とドルデ荒野に在ると言う事を。
それを聞いてダンは、顔を曇らせてながら話した。今のギルドは、若い新米冒険者をランクアップさせてくれない。だから、今の自分達の力で、ドルデ荒野に行く事は不可能だと。だから、ドルデ荒野に入るには、Dランク以上の冒険者の付き人として、行く方法しかないと。
その言葉を告げてから、1年過ぎ。ようやくクルワルの森に入った。そして、ドルデ荒野への立ち入りの許可が下りるまで、後少しまで来ている。
「はは、俺が冒険者に成って2年か・・・経った1年で追い越されちまったな・・・」
「何が、追い越されたの?」
「おお!? フェイミィ!! 何時から・・・」
「少し前から? 何か考え事してたみたいだから、そっとして置いて上げたんだけど・・・で! 何が追い越されたの?」
「何でもねぇよ・・・んで、拠点に出来そうな場所は見付かったのかよ?」
「2人が戻ったら話すわ」
それから、暫くしてメディとグエンが戻り。情報交換をし、グエンが見つけた洞穴を拠点にする事に決め、4人は10日ばかりクルワルの森に滞在した。女性である、メディとフェイミィのリュックには、薬草等軽い物を、男性のダンとグエンには毛皮や鉱石等、嵩張る物や重い物を中心に詰め込んで行った。
最終日には、班を二手に割り荷物の見張り役と、馬車を近くまで連れてくる役に別れ、帰りながらグリーンウルフの肉を中心に狩りを行い、ランディールへ帰った。
「「「「乾杯!!」」」」
エプロンネコ亭で、無事クルワルの森から帰って来れた事で打ち上げが始まった。
「やっぱり、クルワルの森で滞在して狩が出来ると、稼ぎが違うな!! なぁ、メディ?」
「そうね。アタシ達が、こんなに稼いだのは初めてよ。それは、そうとアタシ達が、2年近く掛かったのに、2ヶ月足らずでクルワルの森に入って滞在するなんて、ずいぶんと運が良いじゃないグエン」
「そうですね。これも、ダンさんとメディさんの御蔭です」
「ちょっと! 私はグ・エ・ン?」
「もちろん。姉さんにも感謝してるよ」
「何よ。まるで、私は次いで見たいじゃない!」
「そんなこと、言ってないってば!!」
「く、ふふふ。フェイミィ。グエンを虐めんなよ。それより、あと数週間でいよいよ次はドルデ荒野だぜ」
ダンは笑いながら、止め。次への話題と変えた。その言葉を聞いたフェイミィとグエンは、1度は顔を引き締めたが、直ぐに顔を曇らせてしまった。
「ん? どうしたのさ2人とも? アタシはテッキリ手放しで喜ぶと思ったんだけど?」
「そうだぜ! クルワルの森で、お前らの母さんを治す薬の材料を採取できたんだし。後はドルデ荒野で狂心苔だっけか? そいつを採取すれば治るんだろ? もっと喜べよ。なぁ?」
メディとダンは、ドルデ荒野に行くと言えば、2人が喜ぶと思っていた。2人が冒険者に成ったのは、病に侵されている母親を治す薬を手に入れる為であり。その為に2人が頑張っている姿を、見てきたのだ。フェイミィに至っては、1年も前から心待ちにして居るのだから、なおさら喜ぶんだと・・・。
「私、聞いたの・・・」
少しの間、沈黙してからフェイミィが口を開いた。ダンとメディは、何も言わず黙って聞いた。
「母さんが、もう長くないって・・・姉さんとブレン兄さんが、話していたのを」
「「・・・」」
「あと・・・どの位なんだ?」
「わからない・・・でも、ブレン兄さんが言うには、次に倒れたら・・・」
フェイミィは必死に涙を堪え、グエンは俯いている。
「そうか・・・じゃあ、ドルデ荒野に行くしかないな」
「行くしないって、どうやって行くんさ? アタシ達には、まだ許可が下りてないんだからさあ?」
ダンの行くしかない発言を聞き、メディが確認に返した。
「行く方法は、1つじゃないんだぜ」
「無断で行く訳じゃないんでしょうね?」
「ああ。Dランク以上の冒険者に頼んで、ドルデ荒野行くんだ。あの時と違って、今は散って行った冒険者が少しだけど、戻って来てるんだ。やるだっけやってみようぜ!」
「そうね。そう言う訳だから、フェイミィ、グエン君、明日からドルデ荒野に連れて行ってくれる冒険者を探そう」
「「・・・」」
フェイミィとグエンは、黙って頷いた。
「なんだあ! お前らドルデ荒野に行きてぇのか?」
後ろから、黒服で片手剣を背中に2振り提げてる、男が声を掛けてきた。
「え!? あ、はい。そうです、如何しても行きたいんです」
メンバー全員、急に話し掛けられ警戒していたが、ダンが勇気をだして、答えた。
「何なら。俺が連れて行ってもいいぜ?」
「本当ですか?」
「ドルデ荒野に現れたナイトスコルピオンの話は、お前らだって知ってるだろ?」
「はい! ソロでドルデ荒野に行って、ナイトスコルピオンを倒したって言う噂でしたよね?」
その話を確認した男は、ニヤリの笑った。
「「まさか」」
「おうよ。俺が、そのナイトスコルピオンを倒した冒険者だ」
フェイミィはシュンとの件があり、そんなに簡単に連れて行ってくれるのかと、不信に思ったが。ダンとメディは、その言葉を信じ頼み込んでくれていた。その様子を見て、フェイミィの不信感を呑み込んだ。
「悪いが、俺は忙しい身だからな。今から出発しよう」
4人は、このチャンスを逃しては駄目だと思い。その言葉に従い準備をして、ドルデ荒野に向かった。
フェイミィ達が、謎の男と共にドルデ荒野に向かって3日後。
「ふぅ~。何とか無事にポーションの補充が出来ましたよ。アイシスさん」
「ふふふ。すっかり、お店の亭主さんね、シュン君」
ポーション等の品を補充が終わり、一息入れようとした、その時。店の扉が開いた。
「大変です!!」
「ぶ・・・ブレンさん!? 如何したんですか? そんなに慌てて」
「フェイミィ達のパーティーが、ドルデ荒野に向かったらしいんですが――・・・義母様!?」
「フェミィ達に何かあったの!! ブレン!! 教えて頂戴!?」
ブレンは失敗したと、顔を顰めた。
「お願いよ。ブレン・・・教えて」
アイシスがブレンに近づき、真剣に見つめられた。その表情に気圧され、ブレンは話した。
「・・・ドルデ荒野から、戻って来た冒険者達からの証言なんですが・・・フェイミィ達がドルデ荒野に向かって行ったと・・・ですが! ギルドには何の連絡も入って無いんです! 一緒に黒服で剣を2振り提げた男が居たって言うのですが・・・その男が誰だか解らないんです!! 一緒に行く場合でも、ギルドに報告するのが義務なんです・・・」
ん? 冒険者なんだから、何処が不味いんだ? 報告義務を忘れた事は、駄目だけど? 何を―――!?
「あ・・・あああ・・・あああああフェイミィぃぃぃ・・・・グエンんんんんん」
「アイシスさん!!」
「義母様!! 義母様!!」
ショックで、アイシスが倒れてしまい、ブレンはオドオドしていた。
「ブレンさん!! とりあえずアイシスさんを、店に在るベッドに寝かせますから、そこを退いて下さい」
アイシスを抱きかかえベッドに寝かせ、ブレンさんが落ち着くまで、出来る範囲の介抱し、呼吸だけでも楽にさせる事が出来た。
少し落ち着いたブレンは、アイシスを診た。
「症状が・・・悪化してしまいました。完全に私のミスです・・・薬を飲ませないと・・・」
「やるしかない・・・か」
メイルさんの調合手帳、上級編をギュッと抱き締めた。
「ブレンさんは、フェイミィ達の事に付いて調べてください!! 薬は・・・俺が調合します!!」
「は・・・はい!!」
ブレンは、走ってギルドに戻っていった。
もう引き返せない。やるしかないんだ・・・・やるしか・・・
シュンは道具と材料を出し、何度も何度も手帳を読み直し、調合を始めた。
話が進んでいく度に、壁に当たり。四苦八苦しながら執筆してます。
こんな私の作品ですが、これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。




