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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
ランディールの街
38/87

38話 何時の間にか・・・

 のんびり執筆中。

 昨日アイシスさんに言われ。今日から、俺は魔道具屋の亭主になってしまった。突然の亭主宣言に、戸惑い、急いで魔道具屋を掃除したり、品物を並べたり、急いで品数を増やそうと、ポーションを造って行き。力尽きて魔道具屋で眠ってしまった。そして目覚めた、今の俺の前には、ブレンさんが居た。


「!? あ、ブレンさん・・・どうしよ・・・―――」

 えっと、あの、っと言う慌てた言葉しか出ない俺を見て、ブレンさんは、ニッコリと笑って。

「慌てなくても、大丈夫ですよ。まだ、朝ですし。義母様から、シュンさんにお話しした内容には、少々説明が足りなかったので、きっと慌ててる事だろうと思い。宿に向かったのですが。案の定でしたね」

「え!? 足りないって何がですか!? 品数がですか!? 雰囲気ですか!? それとも―――」

「あはは。違いますよ。足りないのは準備期間ですよ」

「じゅん・・・び・・・きかん? ええ!! ああ、準備期間か。良かった」

 言葉の意味を、一瞬だけ理解するのに、遅れて驚いてしまった。驚いてホッとしている俺を見て、まだ笑っているブレンさんに、確認のため訊ねた。


「準備期間って何を準備するんですか? やっぱり品数ですか?」

 何せ、魔道具屋ってメイルさんの魔道具屋しか入った事ない者で。メイルさんのお店は、品数が豊富過ぎて、今の俺が準備できるのは、せいぜい10種類・・・自信がないよ


「増やせるなら、増やして頂いても結構ですよ。準備期間でして貰うのは、ギルドからの認可証を取る事。後は、認知度を上げてもらう事ですかね。この街ではポーションを買うには、ギルドから買う事になるのですが。何せ、別の魔道具屋から仕入れるため、輸送代込みでどうしても値段が高くなってしまうので、困ってますから」


「認可証ですか。でも、ギルドだってポーションとか、売れなくなったら困るんじゃ?」

「心配は要りませんよ。ギルドの場合は、必要だから仕入れたってだけなので。それに、もしシュンさんが、ここで魔道具屋を開いて、永住するのでしたら。ギルドが、冒険者用アイテムとして、何点か定期的に購入しますから、お互いに損はありません」


「ん? それでも、家の店で買った方が安いからって皆、ギルドから買わないんじゃ?」

「そこまで、心配なさらなくても、大丈夫ですよ。ギルドの方針は儲けでは無く。冒険者の命を大切にしてますので、値段は購入時と同じ値段で提供してます」


「なるほど。そうでしたか。で、俺は認可証をどうやって、頂けば良いんですか?」

 頑張って造ってはいる。アイシスさんも良い出来だって、誉めてはくれたけど。やっぱり不安になるよ。目の前で調合しろって、言われたら緊張して失敗しそうだ。


「それは、ですね。ポーション等を少し分けて頂き、実際に試します。その時ギルドマスターを含めた立会人から了承のサインを頂ければ、発行されます。その認可証は、他の場所でも有効なので、安心して商売が出来ますよ」

 ブレンさんは、他の場所でも商売できるよって補足してくれたよ。きっと路銀稼ぎの事を視野に入れて考えてくれてたんだ。本当に優しいお兄さんだ。この世界で会う人はみんな、本当に優しいな。悪い人は居ないんじゃないかって思うよ。


「では早速で、悪いと思うのですが、何点かアイテムを頂けますか? 認可証が降りたからって直ぐに店を開かないといけない訳では無いので。それに、手続きは早い方が良いでしょう」

「え・・・あ、はい、どうぞ自由に見ていって下さい」

 何を渡せば良いのか解らず、ブレンさんに任せてしまった。


 ブレンは、品物が並んでる陳列棚に近づいて、真剣な眼差しで観察して行く。そして、ポーションの在る棚まで行き。ポーションの入ったビンが2種類ある事に気がついた。


「あの。シュンさん、ポーションの入ったビンだけ、統一されていないのですが? ビンのストックが無かったのでしょうか?」

「い・・・いえ、違います。沢山ある方は、アイシスさん式で造った物で。少ない方がメイルさん式で造りました。両方ともポーションには違いないのですが。造り方が違うので、とりあえず別にしました」


「違いと言いますと、どんな風に違うのでしょうか?」

「えっと簡単に言うと・・・アイシスさん式は魔力を使わずに造れるので、大量に作れますが、聖水から作る事になると、時間が掛かってしまいます。メイルさん式だと多くは作れませんが、少量でしたら聖水を造る段階から時間を掛けずに造れます。勿論、ポーションを造る材料は一緒ですが、混ぜる時も魔力を使います」 


 苦労したけど、やっとメイル式で聖水を造る事が出来たんだよ。思い起こせば、あの上手く出来ずにイライラした感じは、今でもムカムカしてくる。トランプでピラミッドを作る様な、あの感覚。ちょっとでも加減を間違えると、また最初からやり直しのアレ。だけど、一度でも造れてしまうと、少しずつだが簡単に造れる様に成り。今では、話しながらとまでは行かないが、らくらく造れる様になった。

 水の段階から、材料だけ混ぜて、ポーションを造れる様にまで成長した。だが、メイルさんの手帳には、もう1段階上があった。『錬金術も一緒に使って、瓶詰めまで出来たら一人前なの』って、無理っす。

 

 説明を訊いて、ブレンは云々と頷いて。

「エルフ式ですね。エルフは魔道具を作る際は、魔力を使用して造ると言われています。しかも、そのアイテムの効果もまた、優れていると聞いてます」

「知らなかった。優れているって事は、アイシスさんから訊いたけど。エルフ式って言うですね」

「知らなかったんですか? それで良く造れましたね。多種族がエルフ式で造るのは、かなり難しいと聞いてますよ」

「確かに苦労しました。魔力操作とかで・・・」

「あはは。では、ポーション2種類と解毒剤を各種で査定に出しときますね」

「お願いします」

 ブレンさんを見送って。宿へ食事を摂りにだけ戻った。食事している時に、カチュアに魔道具屋を経営すんだって? ランディールに永住するの? などと訊かれた。永住はしないとだけ、伝え。買い物をしてから店に戻り、いろいろ準備を始める事にした。


 準備ってさ。在庫の数もそうだけど、一晩泊まって解ったんだ、お店の補修作業が必要だって。屋根とか、壁から隙間風が入って来るわ、ガタガタ言うわで。寝ずらいって事がね身に染みたよ。あれじゃ、作業にも集中できなかった。一度集中しちゃえば、多分できるかもだけど。そこまで、行く前に邪魔されたんだよ。悪い風め!


 っと言う訳で、市場で買い物をした工具と木材を使い、トントントンっと、トンカチで明るい内に屋根から修理していった。職人さんでは無いので、見た目が残念なのが、非情に残念だ。壁の補修が終わり。一息つくために、お茶の準備に取り掛かろうと奥に向かった。それと、同時に、カランコロンっと言う、ドアの鈴が鳴った。


「アイシスさん? 今、丁度お茶にしよう、と思ってたので、適当に座ってて下さい」

 振り返らずに、応対して。キッチンに向かおうとした。

「あ・・・違います」

「え!? あ!! フェイミィ!! こご・・・ごめん。てっきりアイシスさんかと・・・」

 まだ、店として開いてないので、来る人はブレンさんか、アイシスさんしか居ない。朝一度、ブレンさんが来たから、アイシスさんだと、そう思い込んでいた。嬉しい来訪と、人違いをしてしまい。挨拶と謝罪をしようとして、戸惑ってしまった。


 今まで、会っても、会話も出来ずに、逃げられたり、顔を背けられてしまう関係だった。時間が経てば経つほど、最初の関係から遠ざかってしまったが。今日、また友達として、再出発出来るかも知れないと、ドキドキした心が激しく動いていく。


 なんだか恋心に似てるかも。と、ちょっぴり思って、不意に顔が熱くなって来た。


 ・・・どうしよ、まともにフェイミィの顔が見れない・・・


「あのね。・・・シュン君に―――!?」

「遅くなって、ごめんねーシュンく~ん・・・って、フェイミィじゃない。珍しくグエンを置いて、家を出て行ったから―――って? あれ?」


 フェイミィが、頑張って何か伝えようと、頑張ったのに・・・何してくれたんだ。この叔母様は・・・ある意味、絶妙のタイミングで登場だよ。見てたでしょ、絶対見てたでしょ!!


 フェイミィは、アイシスさんの登場で、顔を微かに赤く染めて逃げ出した。俺はフェイミィを追い駆けようとしたが、踏み止まってしまった。

 最初は、追いついて『フェイミィの言いたい事は、何となく解ってるから・・・ゆっくりで良いよ』って言おうと思ったのだ。だけど、いざ向かおうとした瞬間。原因は俺の言動にあったんだ。だから、俺がフェイミィに言う言葉じゃない・・・と。また、ウジウジと考え始めた。


 確かに、謝る行為って。簡単な様で難しい。 


 お茶を淹れて、アイシスさんと飲みながら、謝罪の難しさに付いて、考えていた。

「!? すみません。考え事をしていて・・・」

 何杯くらい飲んだのだろう? 飲み終わる度にアイシスさんが、カップにお茶を淹れてくれてたんだが、気付かずに飲み続けていた。


「んーん。いいのよ。気にしなくて、フェイミィの事を考えてたのでしょう?」

「・・・はい」

「相談して。力になるわよ」

 原因は、貴方です。っと言えるわけ無いしな・・・。ん~参ったな。相談できるなら、どんなに良いんだろうか。

 俺は、ただ黙って、お茶を飲んだ。今日は、トイレを往復しそうだ・・・。


「言えそうに無いみたいね・・・。じゃあ、これからの事を話しましょう」

「これから・・・って言うと、お店の事ですか?」

「そうそう。シュン君がこの街を出ても、魔道具屋として店を出せるように。経験しちゃいましょう」

「俺は、別に魔道具屋じゃ無くても冒険者として、やって行けますよ?」

「!? ・・・シュン君って・・・ん~ん、やっぱりいいわ」

 俺、何か間違った事、言ったのかな。アイシスさんが、何かに驚いた見たいなんだけど・・・。

「途中で辞められると、気になるんですけど」

「ふふ。さあさあ! お店の準備を始めるわよ」

「まだ、認可証もらってないですけど? いいんですか?」

「大丈夫よ。私が認可証もらった時は、今のシュン君の出来より悪かったから。もし貰えなかったら、私の自信も無くなっちゃうわ」


 アイシスさんは、席を立って。棚一つ一つに置かれた、アイテムの出来を見て頷いたり。セットで売れそうな物は、近くに置くと良いとアドバイスをしてくれた。何にも考えずに置いていたから。こういう気配りを知っている人のアドバイスは、本当に嬉しかった。値段に関しては相場の範囲内なら、自由だと言うので、自分で決めなさいっと言われた。相場として書かれたメモを先に渡されていたが。決められなかった。


 認可証は、次の日に届いた。その時、ブレンさんが、ギルドマスターから預かった手紙も一緒に渡して来た。その手紙には『エルフ式のポーションの効き目は、通常の下級ポーションの効果を遥かに上回っておる為、今度のギルドマスター会議で、下級の上クラスとして認可を取る為、もう一度、何瓶か貰って行きたい』的な事が書いてあった。

 俺は、流石メイルさんの方法だと喜んだ。余りの嬉しさで、メイルさんの手帳をこっそり、抱き締めていた。

 お店の為にと、メイル式でアイテムを量産していった。勿論アイシス式でもアイテムを増やしている。


 メイル式のポーションや、解毒薬には、エルフ耳の形をした飾りを付けたビンに入れ。アイシス式にも、犬耳の飾りを付けたビンにと変えた。最初はビンを練金するのに苦労したが、ちょっとしたアレンジなら、出来る様になった。

 そして、デザインの他に変わった事がある。それは、ギルドの認可証を貰えた事で、冒険者や街の人から、魔道具屋を開くのか? と訊きに来られた。それに、頷くと調合に使えるアイテムを買い取って欲しいと、アイテムを売りに来てくれる様になり。市場で材料を集める度に、ウロウロする事が無くなった。その御蔭で、調合と練金に余裕が生まれ。新しい作業が出来る様になった。


 それは、俺が愛用しているポーチの生産だ。中に入れた物が壊れない様に保護魔法が掛けてある。裁縫は得意じゃないが、錬金術を使用して創っている。ただ、ポーチは作れても、魔法陣までは再現されないから、魔法陣を縫い付ける作業はチクチク頑張った。最初は、指を何度も刺すし、魔力を針と糸に流すと言う作業はとても辛くて難しかった。裁縫に関しては、カチュアに指導して貰った。


 そして、品数が増えて行き。充分な数と、今朝一番にブレンさんから、下級の上として認められたポーションの認可証を貰った今日。お店を開ける事になった。 


 アイシスさん・・・今日も来ないのかな・・・


 ここ最近、アイシスさんが、頻繁にお店に顔を出さなくなって来て。この前来た時に、アイシスさんが居なくて寂しかったです。って伝えたら。『1人で作業するのも、修行の内よ』と返された。お店の様子は見に行くから安心してと、付け加えられたけど・・・不安だ。


 「・・・フェイミィと仲直りする為に頑張ってたのに、何故かここまで来ちゃった・・・何時になったら仲直り出来るんだろう・・・さて! 店を開けるか」


 ドアに掛けてあるプレートをOPENに変えた。



「!? いらっしゃいませー。『魔道具屋アイル』に―――」


 調合を教えてくれた。アイシスさんとメイルさんの名前を取って『魔道具屋アイル』と名前を付け、無事に開店する事が出来た。


 今回も、御目を通して下さり、有り難うございます!


 執筆すると言う事は、とても楽しくて、とても難しいですね。作家の皆様は、凄いなと執筆する度に、身をもって思い知りました。


 そんな、皆様の様に素敵な作品なって欲しいと思いつつ。自分のペースで話を進めて行きたいと思ってます。


 これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。


 次話は、出番がなかった彼女が―――!? 

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