37話 え!? 明日から!!
のんびり執筆中。
アイシスさんに、言われた通り昼頃に店を訪れ。掃除を始めたが、別に荷物で散らかってる訳では無かったので、普通に雑巾と箒だけで綺麗にする事が出来た。その後は、アイシスさん監修の下で、着々と調合を勉強していき、解毒薬各種を造り。ポーションまで、あと1段階まで来た。
「シュン君。次は、栄養ドリンクを造ってもらいま~す!」
「栄養ドリンクですか?」
「そう。栄養ドリンクよ! これが造れないとポーションは作れないわよ!」
「野菜とかの食べ物を、粉々に砕いて混ぜれば良いんじゃ?」
「何言ってるの!? そんな物を栄養ドリンクって言わないわ!! ・・・まぁ、いいわ。必要な物はメモしてあるから! 明日のお昼までに、準備して置いてね! じゃあ、また明日ねー!!」
アイシスさん・・・本当に病気なの? 本当に病気なの? ねぇねぇ。って何度も心の中で思うほどの熱い熱い指導が、ほぼ毎日つづいて行く。アイシスさんに、メイルさんの手帳を見せ様としたら、必要ないって言われた。ポーションを作れるように成るまでは、作る物が決まってるんだってさ。
先に店を出て行く、アイシスさんを見送り。俺は、造りに造った解毒薬をビンに詰めて行き収納するのも寂しいので空いている陳列棚に並べていく。使った物を片付け終え。お茶を飲んで休憩していると。
「あ・・・ほんとだ・・・」
メイルさんの手帳にも、ポーションの1個前に、栄養ドリンクって書いてあった。アイシス式とメイル式の製法には。様々な違いがあった。出来た物の効果は殆ど一緒だけど、それぞれに良い所があって。どちらかが凄いって訳でもなかった。
メイル式は、魔法を使って造るため、注文を受けてから完成するまでに、魔力が続く限り最短で出来る所。効果は調合した者の魔力操作で質が上がる所だ。今、解っているのは、この2点だけ・・・。
アイシス式の場合は、その逆だ。注文受けてから造ると時間が掛かってしまうが、一度に沢山作れる。効果は、手順さえ間違えなければ、常に一定の効果がある。そして、魔力を一切使わないから誰でも造れる・・・ただ、もの凄く面倒くさい、材料は大変なのは勿論なのだが、一番辛いのは時間に縛られる所にある。造る物が1種類か2種類なら一番早くて3日で出来るが・・・。
もし仮に、お店を経営すると成ると、最低でもポーションと解毒薬を何種類か造る必要がある。他にも、その土地に会わせた物を造らないと行けないから、最低でも10種類は造れないと、常に赤字経営に成るってアイシスさんが言ってたな。
アイシスさんに、当時の生活を訊いたんだけど。一番売れる商品を基準にして、他の物を造って行くんだそうだ。品切れを上手く出さない様に、そして売れ残りが出ない様に造るのが大変で、開店当初は、売れ残り品や品切れが激しくて。経営が上手く出来なかったそうだ。お店が上手く回りだすと、後は慣れたものよ。とも言ってたな。
その地を拠点にするなら、お店を持つのも悪くないな。何処か、良い場所を見付けたら、お店でも出すかな。名前は・・・そうだな・・・メイルの魔道具屋なんて、どうだろう・・・。
「ないな・・・うん・・・ない」
少し、考えて見たが・・・。魔道具屋を経営している自分に、しっくり来なかった。
でも旅費を稼いだりする時が来るかもしれないし。露店を出す事は考えて置こうと、頭の片隅にしまいこんだ。きっと引き出す事は無いと思う。
「さてと、今度はこっちもやって見るか」
シュンは、メイルさんの手帳で、錬金術編を開いた。
冒頭にはこう書いてある。錬金術は、物を造る時の工程を飛ばして創る事にある。作れるように成るには、その物を知らなくては成らないと。メイルさんの、調合手帳初級編の最後に、大量生産する時は、錬金術を使うと良いの。って書いてあったんだ。本当にメイルさんとネイルさんは、何者なんだ。って良く思ってたけど。物造りに関わってから、メイルさんの凄さに驚かされっぱなしだよ。
収納してあった、硝土と呼ばれる土を出した。10キロ銅貨45枚で、売ってて助かった。売ってなかったら如何しようかと思ったよ。店のおっちゃんに訊いたら、何処でも採れる土だから、どこに行っても売ってるぞって教えてくれた。ただ、基本ガラス屋に持ち込んで売るから、市場で並ぶ事は少ないから、ガラス屋に行って買った方が良いとも言ってたな。勿論、値段は倍に成るらしい。
「えっと・・・なになに・・・錬金術で創る場合は、完成時のイメージが重要なの。工程を知っているともっと便利なの・・・ガラスって確か・・・」
なんだっけ? 砂と石を溶かして、水飴の様な感じになって鉄パイプの先にくっ付けて、息を吹き込んで花瓶を作るんだよね? 昔、田舎に行った時、息を吹き込む所だけ、体験教室でやったけど。それ以外は忘れちゃったな。完成品は目の前にあるし、できるはず。
錬金術編の最初のページには、『瓶を作ろう!』 と書いてあり。魔法陣の書き方と魔法陣の解説が書いてあった。今回は、ビンを創るのに必要な魔法陣の解説ページを読んで行った。
ビンを作る場合、熱で溶かす。風で空気を送り膨らませる、そして冷ます。の工程が在るから。火1風2の割合で、魔法陣を書くの。そして魔力を送り込むだけで、完成なの。ただ、魔力で魔法陣を書くのが難しいから、頑張ってなの。
っと言う訳で、魔法陣を書くために購入した白い布を広げ。そして、魔法陣を書くのに丁度良さそうな、木の棒で書き始めた。失敗した場合は、羽ペンの羽でサッサッと払って消し書き直していく。
書き始めて、3時間後くらいには書き終えたが。魔力を思った以上に使ってしまい。魔力を回復させる為、作業を中断させた。
仮眠を取って魔力を少しだけ回復させ、中断していた作業を再開させる。
魔力が余り残ってないから、感覚だけでも掴む積もりで硝土を魔法陣の中心に、少しだけ多めに置き、メイルさんの手造りポーションが詰っていた空ビンを、真剣に見つめたり、丹念に触ったりしてイメージを掴むために出来る限りの事をしてみた。最終的にビンを舐めてしまうっと言う行き過ぎた行動まで取ったのが、幸いしたのか一発で成功し、ビンの練金に成功した。
「出来たのは良いけど。メイルさんのビンと違って、何か分厚い気がする・・・」
勘違いでは無く確かに厚かった。普通に厚ければ、使えるかもしれない。だけど、水を淹れて確認して見ると、容量が違った。見本のビンの半分程度しか、収まっていなかった。
錬金術でビンが出来ると解った、だけでも収穫は大きかった。明日、改めてやろう。魔法陣は消さないで済む様に、布に書いたんだし。明日には完成するかな。
「店から宿屋まで、30歩って良い場所だよね・・・と」
魔力を使って、ヘトヘトになった体を無理やり動かしながら、宿に辿りついた。食事を摂るのを遠慮して眠りたいが。魔力を回復させる為にも、食事は必要だってメイルさんが言ってたのを思い出し。無理やり詰め込んだ。その食事の摂り方にカチュアが、文句を言ってた様だけど、聞き流しながら謝った。当然カチュアは不満に思ってたけど、諦めたのか何も言わずに厨房に戻っていった。詰め込み作業が終り、部屋に戻って眠りに付いた。
買い物が終わり、アイシスさんが来るまでに、予習と下準備を始めた。栄養剤は、聖水をベースに身体に良い物を混ぜ合わせる作業で出来る。その材料は、口に出したくない程、衝撃的な物が幾つか混ざっていた。
「材料は多めに買ってあるし。先に作ってみるか。栄養剤は普通に分量を間違えずに混ぜれば出来上がるし」
順番どおりに聖水の中に混ぜて行くが、手帳に書いてある緑色には成らなかった。
「分量が少しでも間違えると、駄目なのか・・・」
今度は慎重に慎重にっと思い、混ぜて行く。失敗した回数が20を超え始めた頃ようやく緑色になった。
「確かに。身体に良さそうなイメージが・・・あるのかな・・・美味しそうに見えない緑色だよ。って言うか、ドロドロしてる。アイシスさんが来るまで、待ってよう」
ドロドロの栄養剤? をメモした。何故メモをしたか、それは材料を粉末状にして、スプーンで混ぜって行ったからだ。メイルさんの手帳には材料をカットして、混ぜて行く方法で書いてあったのだ。だから俺はメモには、スプーン何杯分っと書いている。メモを取り終えて、お茶しながら、アイシスさんの到着を首を長くして待った。
「ごめんね。シュン君、遅くなちゃって。あら!? 先に始めちゃってた見たいね。それに、良く出来てるわ」
「待ってましたよ。アイシスさん。良く出来てるって・・・ドロドロなんですが・・・」
「ふふ。そのドロドロの状態を出すのが難しいのよ。それにしても、良く出来てるわね。どうやって造ったの?」
「えっと、聖水1に対して粉末状にした材料を、少しずつスプーンで計って造りました。詳細のメモがここに―――」
「粉末状にして・・・そんな方法で造ったの・・・確かに1杯分なら、それで造れるけど、沢山は造れないわ」
うん・・・どうやら効率的には微妙だった様だ。アイシスさんから、大量生産用の造り方をミッチリ教え込まれた。一度完成させたのが良かったのか。失敗しても落ち込む事も無く順調に、成功に近づいて行った。
「!? シュン君、窓を見て」
「え!? あ!」
窓の外から、フェイミィが顔を覗かせて、こちらの様子を見ている。俺がフェイミィに目を向けて、『入れば』っと声を掛けようとした瞬間、フェイミィは足早に姿を消してしまった。その後を追いかける様に弟のネコ耳獣人のグエンが追い駆けて行ってしまった。
「素直に謝りたいのよ。でも、勇気が出ないみたいね」
「ええ。俺も、解ってますから大丈夫ですよ。気長に待ちます。急ぎ過ぎるのは良くないって解りましたから」
「シュン君は、大人ね」
実年齢は、大人ですよ。精神年齢は低いですけど・・・って!?
「アイシスさん? 何か顔色が優れないみたいですけど・・・大丈夫ですか? 今日はここまでにして、帰った方が―――」
「大丈夫よ。さあ、このままポーション造り入りましょう―――」
アイシスさんは、そう良いながら何時ものマシンガントークと共に準備を始めた
アイシスさん。押し切られる感じで、ポーション造り入る事になった。ポーション造りは、初級編の応用みたいな物で、苦労する事なく造る事できた。
「じゃあ。シュン君、私はこれで帰るけど。その前に大切な話があります」
「大切な話し・・・ですか?」
ここまで真剣な顔をしている、アイシスさんは始めて見た。調合の指導も真剣にしてくれたけど、それとは、比べ物にならなかった。まさか・・・病気が!?
「実は、ブレンに頼んで。明日からお店を開く許可を取って来て貰いました!! おめでとうシュン君。明日から、お店の亭主よ!! わあ。パチパチ」
真剣な顔から、一気にテンションを上げて、パチパチ手を打ちながら、満面の笑顔を見せてきた。
「・・・!?」
ええええ!! ちょっと、何を勝手に決めてるんですかあああああああ!! っと叫ぼうと思うが。衝撃が大き過ぎて声が出なかった。
「じゃあ。明日から宜しくね、亭主さん。値段の相場とかは、このメモを参考にしてね。大丈夫よ、ちゃんと様子を見に私も行くから」
「・・・」
アイシスさんは、その言葉と共に帰ってしまった。
「あ!?帰った!!・・・どうしよ。片付けなくちゃ・・・あと掃除しないと・・・えっと・・・あとは」
シュンは、アタフタしながら、明日の開店の準備を始めた。
御目を通して頂けるばかりか、ブックマークにまで入れて頂いて本当に嬉しく思っています。
異世界ってスゲェェェ!!(仮)を、これからも宜しくお願いします。
日曜日の朝8時投稿が、無理なく投稿できる様なので、このペースで投稿させて頂きます。
では、皆様。熱中症と隠れ熱中症にはお気をつけ下さいませ。




