31話 ドルデ荒野の死闘
何とか執筆出来ました。
砂塵が凄過ぎて、初日は上手く呼吸するのに苦労し、風が来ないポイントを見つけたと思って、テントを張っても、数時間後に強風が吹いて飛ばされそうになるわで、環境に慣れるまで天手古舞して、依頼は全然進んでいなかった。
その環境に、何とか過ごせる様になって、今日で4日目の朝を迎え、のそのそっと狭い穴から這い出た。テントが張れないなら、岩山に穴を開けて寝るスペースを作り、そこを拠点に探索する事にしたが、視界が悪く、依頼された『ドルディサンド』等は、見付ける事が出来なかった。
ドルディサンドは、ドルデ荒野で採れる不思議な土で、常に湿った状態で存在しているらしい。いったい何に使うのやら・・・乾いた土地のドルデ荒野では重要な土何だろうけど。他にも、ドルデ荒野にしか採れない石などがある。これも本物は見た事が無いし資料からしか、情報が得られなかったが、家庭で使う竈の材料になるらしい。そう言った物を中心に依頼されており。戦闘で手に入れる物は含まれて居なかった! そう、依頼内容には、デザートライオンは含まれてない。
俺は、デザートライオンから、狂心苔を手に入れたいが、その前に依頼を先に済ませ様と、頑張ってはいる。だが、この4日間で戦ったのは、ゴブリンだけだ・・・ゴブリンって何処にでも居るんだね、ある意味凄いと思ったよ。その戦闘の御蔭で解った事がある。それは、弱い魔法は使えないって事だ!! 吹き荒れる乱気流でエアカッターが、ちゃんと飛ばず上下左右に揺れて、とんでもない所へ飛んで行くのだ。幸いにもソロ活動だった俺には、被害は出なかった。ドルデ荒野では、剣だけで乗り切る事に成りそうだ!
資料によれば、ドルディサンドは、風が全く吹かない場所にあるそうだが・・・どうやって探すんだ、そこまでは書いてなかったけど、そこは自分で探せって事なのかな・・・それにしても、資料を借りるのに、金貨1枚払った割りには、情報と違いすぎて、損した気分だよ。
岩山を風除けにすれば、テントが張れるとか、風が吹かない場所は簡単に見付かると書いてあるが、方法は記載されていない。モンスター情報も詳細は載っておらず、特徴が少ししか書いてなかった。今度から、資料だけでは無くちゃんと聞き込みをしてから臨もうと、深く心に誓った。
しかし、拠点を変えて、あっちこっち探しては居るが、お手上げ状態で、疲労だけが溜まって行く一方だった。
1日の活動時間が、どんどん短く成って行き、とうとうドルデ荒野に来て10日目の今日、半日で活動を辞め拠点である、穴に戻り食事を摂らずに眠りについた。
夢だと判る空間で誰かが、必死に何かを訴えかけてくるが、理解出来なかった。
「え? 何? ごめん、何を言ってるのか解らないんだ!」
俺の言葉に反応したのか、判らなかった人物が、その姿を現した・・・!
「ね!? ネイルさん!!」
剣の師である、ネイルさんの姿で修行の時、何時の間にか決まった、剣を構えろっと言うサインを送って来た!!
俺は、疑う事無く背中にある剣を抜いた。その動きを見て、ネイルさんは微笑んで見せた。その表情を見て、俺も微笑んだ瞬間、頭に痛みが走った。
「いてて」
どうやら、ネイルさんから貰ってから、お守りとして、肌身離さず持っている剣の柄が頭に当たったみたいだ!
「それにしても、夢の中で見たネイルさんは、何だったんだろう、必死に訴えかけてた様な? ん!?」
ドバーンっと言う音が響き、強制的に意識を呼び戻された。
急いで、穴から出ると巨大な蠍が地面から現れ、目が合った!
「ネイルさんが、言ってたのは、この事か!!」
俺は急いで逃げ道を探したが、蠍の威圧と巨大さで、逃げ道を絶たれてしまった。背中を見せれば、その巨大なハサミで真っ二つにされると体が感じ、背を見せて逃げる事は諦めた。
それにしても、場所が最悪だ! 背後と左右には岩山、正面には蠍・・・完全に袋のネズミになってしまった。この状況を作ったのは、完全に俺の失態だ! 行き成り下から攻撃されなかったのは、岩山に穴を開けて寝ていたからだろう。覚悟を決めて戦い、隙を作って逃げるしか無い様だ!
蠍が、じわじわと歩いて追い詰めて来た。まるで間合いでも測ってる様だ。辺りを見回しても、何も無い! 魔法は強風で使えない、スタンは近距離用だ!
「くそ!! 剣と体一つで・・・1人で戦うのかよ・・・蠍なんて資料に無かったよ・・・」
苛立ちと不安を吐き出しリべレーションソードを構えた。蠍との距離が徐々に縮まり、奴の間合いに入ったのだろう。突然、速度を上げ一気に距離が詰り、ハサミが横から飛んできた。
「!? ぐ!!」
攻撃を受け流し、側面に逃げようとしたが、蠍の尻尾が俺の前に振り下ろされ、退路を絶たれた。急いで横腹に攻撃しようとしたが、蠍は既に旋回を終え、俺を正面に捉えていた。
俺と蠍の攻防は、ハサミを受け流し側面に避け攻撃をするっと言う行動だげが、ずっと続いているが、俺の攻撃は蠍に通らない。それは、ドルデ荒野に来ての疲れが酷くて、今の俺は普段の半分も力が出せないのだ。
「ははは、ネイルさん・・・メイルさん・・・ごめん・・・勝てないや・・・ぐ!? ゴホ!!」
だんだん上手く攻撃が捌けなくなり、体や頭から血が滲み出てきた。次第に意識までもが遠のき、受け流すタイミングを間違え、岩山に叩き付けられ、意識を失い掛けた時! ネイルさんとの修行の日々を思い出した。
「シュン、大切な事だから忘れないで! どんなに強い魔物でも、弱点や癖が必ずあるし、その武器を破壊すれば、不利な状況を打破する事も可能よ! これから、その術を叩き込むわ!!」
ネイルさん・・・無理だよ・・・
「ぅ・・・ぐ・・・!?」
蠍のハサミと足音が、うっすらと失いかけた意識を呼び戻した。そして、また剣で捌いて行くが今度は、観察のみに集中して防ぎ続けて行く。
ネイルさんとの思い出を振り返った事で、さっきより冷静に攻撃を見る事が出来た。蠍のハサミは、俺から見て、右側からしか来ない。尻尾からの攻撃は、側面に回った時以外は振り降りて来ない様だ!
どうやら、発達した左の大きなハサミが利き腕で、右のハサミはリーチが短いが、強力なのに変わりは無い。だが少し距離を取れば、左のハサミしか来ない。受け流し方を変えて蠍を中心に回転した。
蠍の背後に岩山、俺の背後は無限に広がる荒野だ! それでも、状況は変わらない、奴の方が早い! せめて足止め出来る何かか、足を切り落として速度を大幅に下げない限り、この戦いは続く事に成る。体力の限界が近いこっちが圧倒的に不利だ!
蠍の尻尾がこっちに向いて、その先端には砂が集まり球体の塊が出現した! その塊は、見る見る巨大化していく。
とっさに横に逃げて行き、発射と同時に、大岩を盾に隠れようと飛び込んだ。
「くぅ・・・うう・・・っぐ!?」
何とか攻撃その物は回避出来たが、凄まじい威力で、発射経路にあった全ての物を巻き込みながら、俺の数メートル横の岩に着弾し爆発した。粉砕された岩がバラバラになり爆風と共に襲ってきた。
「あの尻尾って・・・毒針じゃないのかよ・・・」
俺は、爆風で砂に埋もれ、砂の中から顔を出すと、俺の事を見失ったのか? 尻尾の先から砂嵐を乱射している。俺は、打撲で痺れる体を必死に動かしポーチに手を掛け、ポーションを取り出し飲んだ。打撲の痛みは引き、傷口は少しだけ塞がり出血は収まった。剣を拾い、見つかる前に逃げようと心みたが、その望みは叶わなかった。動いた瞬間に気付かれてしまった!
俺は戦う事を決意し、向かって来る蠍と攻防を繰り広げた。次第に動きに成れ、詠唱して威力を上げたエアカッターを放つが、堅い皮膚に阻まれ弾かれてしまった。剣の攻撃では、小さな傷をつける事が出来ても決定的な1撃が放てずにいた!
「かて・・・ない」
ネイルさんの教え通り、癖を付き武器も破壊しようと頑張ったが、攻撃が通らない事には、何の意味が無い。頼みの魔法も簡単に弾かれてしまい、勝機を絶たれてしまい、ただ足掻くだけになってしまった!
メイルさん、どうしよ・・・俺の唯一のエアカッターが通用しないよ! メイルさんなら、エアカッターでも、この蠍を真っ二つに出来るんだろうな・・・!?
そう言えば、メイルさんが言ってたっけ、強い魔法を教えて貰おうとした時・・・たしか・・・
「シュン君、魔法を詠唱する言霊は、ただ威力を上げる為だけじゃないの。その言葉の中にちゃんと意味を持たせる事に寄って、様々な変化を齎せる事が出来るの! だから言霊なの! どんなに弱い魔法でも言霊が強ければ、強い魔法にもなるの!!」
メイルさん・・・言霊なんて思い付かないよ・・・メイルさんの真似して、詠唱してたんだから・・・
「!? くぅ!!」
ネイルさんに教わった、相手の攻撃の力を利用して後ろに下がる業を使って距離を取った。
意味って何だ・・・言霊って何だ・・・もう解んないよ・・・
「だけど・・・ほんの1ヶ月だけど・・・あの2人の・・・剣聖ネイルと大魔導師メイルの弟子なんだああああ!!」
体の奥底から、熱く燃えるモノを感じ闘気が膨れ上がり、勝手に口が開き始めた!
「我、放つは風の刃、その通る道、何人足りとも、阻む事叶わず、穿てエアカッターああああああああ」 風の刃が、目にも留まらない速さで、蠍に向かって飛んで行き、蠍の尻尾を切断した!
「狙いが・・・!」
狙ったのは蠍の胴体だったのだが、今まで制御した事が無い魔力は、上手くコントロール出来ず、蠍の胴体の上を通って行った、尻尾を上げて歩く蠍の特性に救われ、尻尾だけ切断出来たのだ。
蠍は、痛みで呻き声と共に暴れながら、こっちに走って来た。
今の俺なら出来る、何故なら、闘気が漲っているからだ! 今の俺の闘気なら、充分な剣気が乗せられると確信した。
蠍と攻防が始まったが、今までの攻防とは違い、完全に互角の戦いになり拮抗した、今まで防御をしなかった蠍は、危険を感じ防御を始めたのだ!
「何だか、身体が軽い、どんどん動きが早くなって行く」
俺と蠍の攻防が、ネイルさんと邪神の戦いの様に、激しさを増して行く。ネイルさんの様な速さも美しさも無いが。今の俺の精一杯の速度と拙い技術で、蠍を追い詰めていく。奴の皮膚を1枚1枚削っていき、時には、足を切断し、胴体に深い傷を付けて行く。
「はぁああ! ぐ!?・・・くぅ」
ここだっと思ったタイミングで、蠍の頭部を狙ったが、剣がハサミに掴まれ動きが止まってしまった! 蠍が、もう片方のハサミで俺の体を切断しようと迫ってきた! その瞬間、お守りとして、背中に装備してたネイルさんの剣が、『抜きなさい』と言った様な存在感を出した気がして、俺は左手で抜き放ち迫ってきたハサミを切断した! 蠍は痛みで、リべレーションソードを離した!
「ネイルさん・・・ありがとうございます! はぁああああ!!」
俺は、闘気を全て両方の剣に込めて、蠍を斬り付けて行き。頭部を破壊した! 蠍はピクリとも動く事なく、絶命した。
「お・・・終った・・・はぁ・・・はぁ」
その場に座り込んで、暫く休んでから、蠍を収納した。
何時の間にか、砂埃って言えるレベルじゃない砂塵は収まっていた。
拠点にしていた穴に戻ってる時、優しい風がそっと吹き、顔を覆っていたボロボロの布が、風に運ばれ宙を舞い、それを追いかける様に、空を見上げた。
「今日って・・・こんなに星空が綺麗だったんだ・・・」
どうやら、暫くは2,3日に1話の間隔での投稿になりそうです。
本当に読者様の存在は大きいです。
これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします!!




