28話 復活!? 誕生!? 冒険者シュン!!
のんびり、ゆっくり執筆中! ストーリーも、のんびり、ゆっくり進行中!
今、俺は、ギルドの入り口に立っている、それは、宿屋の亭主である、カチュアの親父さんに後押しをして貰ったからだ!!
「おはようございます」
「おう、おはよう」
今日は、カチュアでは無く、親父さんが配膳してくれた
「今日は、カチュアじゃ無いんですね、アーレンから、ずっとだったんで、何か新鮮です」
「ああ、カチュアには、本格的に厨房で、料理させてるんだ、そろそろ頃合だと思ってな」
「そうだったんですか」
カチュアに本屋の事、訊こうと思ってたんだけどな。親父さんでもいっか。
「それに、親父とお袋の事で、お前さんに礼を言いたかったしな」
「俺にですか?」
「ああ、今まで急がして、礼の一つも言えなくて、悪かった。2人を見送ってくれて、ありがとう」
親父さんは、俺に深々と頭を下げた。
「いえ、頭を上げて下さい! 俺なんか、何もしてないです」
親父さんが、凄い迫力で、こちらを見てきた。
「そうは、いかねぇ。俺は看取ってやる事が出来なかった・・・それだけじゃねぇ! 大事な娘を、守ってくれたそうじゃねぇか! 俺には出来なかった事を全部、お前さんが変わりに、やってくれたんだ、本当に、ありがとうな!!」
親父さんが真摯に語り掛けて来たので、俺は何も言えなくなった。
親父さんが、厨房に戻ろうと背を向け、思い出した様に。
「それとな、お前さんが、ギルドに行けないのは、きっとこれから、旅をして、大切な思い出が、今回の様に壊れるのが怖いんだろうよ!! 宿屋の亭主風情が、言えた義理じゃねぇが、この世界で、生きていくって言うのは、そう言う事なんじゃねぇか?」
親父さんの、言う通りだ! 俺は、無力さに泣いた! 何も返せなかった、何かしてあげることも出来なかった!!
「・・・その通りです」
「俺は、それでも、お前さんはギルドに、行くべきだと思うぞ! 辛いかもしれんが、逃げてるだけじゃ、駄目だ、中に入らなくても良い、入り口に立つだけで良い、自分の中で、変化を起さない限り、変わる事は、出来ないじゃねぇのか!」
親父さんは振り返らずに厨房に戻った
って言う、後押しされ、ギルドの入り口に立ってる訳で、今の俺の姿は、小鹿の様に足が竦んで前に歩けないと言う情けなさが、前面に出ていて、道行く人達が通り過ぎる度に、「何あれ?」と言われる始末です・・・。
剣と鎧を、収納してて、本当に良かった、装備してたら、周りから何を言われるか、分かんないし。変な奴に絡まれる前に、退散したいのだが、足がプルプル震えて、動けない。
「ねぇ、さっきから目立ってるけど、何してるの君? 入るなら早く入りなよ」
「え? あ、うん、実は足が震えて動けないんだ・・・ごめん」
振り向くと、昨日、猫耳の青年と、揉めてた、エルフの少女が俺に声を掛けて来てくれた。
「ふふ、変なの。新規登録の子? なんなら、受付まで、一緒に行ってあげるよ?」
「いえ、大丈夫ですから――」
「いいから、いいから」
「ぇ? ちょ、ちょっと――」
背中を、押されギルドの中に入ってしまった。それに、不思議と足の振るえも治まっていた。
「あら? フェイミィ、今日も、ゴブリン討伐? それとも薬草採取?」
「それだけじゃないわ、ギルドの前に、この子が突っ立てたから、連れて来ちゃた」
フェイミィと呼ばれた、エルフの少女が、俺の腕を引っ張って、受付の前に立たせられた。
「新規登録の方ですか?」
「え!? あ、はい・・・そうです」
ギルドマスターに会えばDランクで登録させて貰えるんだけど、何か流されちゃった。フェイミィは、何か嬉しそうに、うんうん頷いて、こっちを見てるし、良いよね。
「では、こちらの用紙に、名前と戦闘スタイルを記入してください」
2度目の登録何だけど? これって再発行になるのかな? ネイルさんが言うには、アーレンでは正規登録してないって、言ってたし大丈夫だよね? そん時はそん時だ、俺は2度目の記入をした。
「こちらのカードに、血を1滴か、魔力を注いで下さい」
前回は、魔力を注いで、ネイルさんに驚かれたし、今回は血でやれば、問題ないよね。
「はい、これで登録の方は終了です、では説明をしますね」
「あ! 説明は、大丈夫です、簡単な依頼をして行きますし、分からない事があれば、徐々に訊きますので、その時お願いします」
「そうですか。分かりました」
ネイルさんから説明受けたし、長い説明はカットに成功した。
よし、帰ろう、と出て行こうとしたら。
「待って、せっかく登録したんだし、依頼を受けて行かない? 私も一緒にやるから」
誘われちゃったよ・・・どうしよ。
「えっと、あの・・・」
「初心者で自信が無いのは、誰だって一緒よ、一応、私先輩だから、教えてあげる」
どうしよ・・・断りたいんだけど、凄い自身と満面の笑みで、訴えてるよ、一緒に受けようって。女の子に言われると、確かに嬉しいんだけど・・・何て言うか気恥ずかしい。ほら、幼稚園とか小学校でさ、女の子と一緒に行動すると、茶々入れられるのが嫌だって言う感じと一緒でさ。抵抗あるんだよね。
「簡単な、ゴブリン討伐か、薬草採取だし、武器が無いなら、私の予備を貸して上げるから、ね? ね?」
あーもう。仕草一つ一つが、可愛いんだから・・・断れないじゃん、だから異種族ってズルイ!! 同じヒューマンの女性なら、たぶん断る事が出来る・・・はず! きっと・・・あれ? 断れる自信ないかも・・・・。
「わかりました・・・一緒に受けますよ」
俺は頭を掻きながら、恥ずかしさを隠しながら、答えた。
「本当! 私はフェイミィ、見ての通りエルフだよ。宜しくね!!」
と挨拶と共に、満面の笑みで、手を取り握手してきた。
「俺は、シュンです、宜しく・・・」
駄目だな俺、NOって本当に言えないや・・・ちゃんと言える様に成らないと! いつか凄い事に巻き込まれるよね、これじゃって、もう巻き込まれてましたね、女神様に。って考えてたら、フェイミィが受付で依頼を受けてたよ、すっ素早いね!?
「私、武器屋に、槍をメンテナンスに出してたから、取りに行って来るから、シュン君はどうする?」
「え!? あ、俺も武器とか宿に在るから取りに帰るよ」
「じゃあ、門で集合ね!!」
「うん、わかった」
本当は、『収納魔法で収納』してるけど、ネイルさんとメイルさんに、人前では使わないように散々言われたから、宿屋に置いて来たって事にした。まだ昼前だし、宿に戻って、お弁当でも作って貰おうっと。
宿屋に戻った俺は部屋で、リべレーションソードと防具を装備して、厨房に居た親父さんに声を掛けた。
「ただいま」
「おう、お帰り。今日は早いな! 観光はもう終わりか?」
「いえ、親父さんに後押しして貰った御蔭で、ギルド登録出来ました! 有り難うございます! これから、依頼で街の外に出るので、お弁当を作って貰いたくて、帰って来ました」
「そりゃあ、良かったな! 良いぜ、ちょっと待ってな、サンドイッチを作ってやるよ」
「有り難うございます」
サンドイッチを受け取り、約束の場所まで行くと!
「シュン君、こっちこっち!」
「遅くなって、すみません」
「気にしないで。急に誘ったのは私なんだし」
担いでた槍を後ろに回しながら、ブーツの踵で地面をトントンっと叩きながら微笑んでた。
フェイミィが、さぁ行こうっと言って俺の手を引いて、街の外へ連れて行った。
受けた依頼は、ゴブリン討伐と薬草の採取、俺がアーレンで、ずっと受けていた依頼だ。場所も変われば勝手も違う、薬草の場所は大体は判るが、細かい生息場所までは判らない。ゴブリンも同じだ。
フェイミィに近くの林まで案内された。道中はギルドの説明を断った俺に、いろいろ説明してくれた。
「ここが、薬草が一番生えてる場所だよ。ウルフは滅多に来ないから、安心して取れるから、手分けして探そう。どれが薬草かわかる?」
「ああ、大丈夫だよ。見た事あるから」
「そう、じゃあ別行動ね」
お互い、薬草を採取し始め離れていった。
「あれ? ここどこ?」
採取に没頭し過ぎて、迷子になってしまった。
「ガルルル」
久しぶりに、グリーンウルフに会ったよ?ってまだ7日も経ってないけどね。
タッタッタッタタ、っと言う足音と共に飛び掛ってきたウルフ! 何度も倒した必勝パターンで、俺は抜刀と共に体を捻って、グリーンウルフの首を、1撃で刎ねた! そして素早く収納して何事も無かったかの様に、薬草採取に戻った。って迷子に、なってたんだった!!
「あー! いたいた。何処まで行ってるの! こんなに奥まで来ちゃったら、グリーンウルフと遭遇しちゃうから、戻るよ!」
フェイミィに言われ、林の入り口まで戻り、休憩をする事にした。俺は、親父さん特性の超ビッグなサンドイッチを取り出し、食べようとしたら!?
「シュ、シュン君・・・お弁当持ってきてたんだ・・・」
「え? あ、うん、お昼前に行くから、お弁当作って貰ったんだ。フェイミィは?」
「私は・・・その・・・持って来てないんだ・・・」
そうなんだって言いながら、食べようとしたら、羨ましそうにこちら見るから、食べられないよ・・・
「た・・食べる?」
「い、いいの!!」
うお!? 目が輝いてるよ・・・フェイミィ。俺はサンドイッチを、半分にしてフェイミィに渡した。
「あ、ありがとう」
親父さん特性のサンドイッチを食べ終わり。最後にゴブリン討伐をしに、出現しやすいポイントの一つである湖に向かった。
「シュン君! そっちへ行ったよ!!」
フェイミィが、ゴブリン5体の群れの中に入り、槍を横に薙ぎ払って2体倒し、3体が俺の方に向かって走って来た。
「はぁ~」
俺は、ため息と共に、3対が距離を置いて、縦1列にズレて並んで走るゴブリンに向かって、俺も走って3体と擦れ違う様に走り出した。1対目と擦れ違う時に剣を抜刀と共に右から袈裟斬りにして、2体目を左から右に斬り上げ、3対目を右から左に横薙ぎに払った。
剣を鞘に納めたと同時にゴブリンが倒れた! 内心、こんな格好良く出来た自分に驚いて、心臓がバクバク脈打ってた。
「やるじゃない! シュン君!!」
「え!? あ! うん、まぁあね」
俺は急いで後ろを向いて、落ち着こうと頑張った! 絶対顔真っ赤だよ。
「ん? どうしたの?」
「何でもない」
「ふふ、変なシュン君」
フェイミィが、討伐部位を集めた。その後も、夕方になるまでゴブリンを狩り、ランディールに着いたのは、すっかり夜になった。
「ごめんね、こんなに遅くなるまで付き合わせちゃって」
「別に構わないよ」
「はい、これ報酬の銀貨2枚ね」
「うん、ありがとう」
フェイミィって良く笑うなぁ。昨日、ネコ耳青年と揉めてたのが嘘のようだ。
「ねぇ、シュン君・・・お願いがあるんだけど・・・いいかな?」
「ん? 話しを聞いてからで良いなら・・・」
何か、真剣な顔になって話しかけてきた。
「お願い! 私とパーティーを組んで欲しいの・・・一時的で構わないから・・・ダメかな?」
これは、あれかな・・・昨日のデザートライオンの話に関係がありそうだ・・・でも、今の俺は、Fランク、Eランクに成らないと、パーティー申請しても、ドルデ荒野に行くための馬車が、借りれないんじゃなかったっけ?
「ん~、本当に一時的で良いなら構わないよ」
「本当に!? 本当の? 本当?」
「ああ、本当に」
「良かった~。断られたら、どうしようかと思ったよ」
「でも、俺、Fランクだけど良いの?」
「大丈夫よ、シュン君なら、直ぐにEランクになれるから。それまで、私が一緒に、依頼受けてあげるから」
さっきと違って、満面の笑みに変わった、フェイミィが嬉しそうに、話してる。
「フェイミィ、もう遅いし帰ろう」
「そうだね、じゃあ、また明日ね、シュン君」
フェイミィは手を振って、大通りの人混みの中に消えていった。
俺は、宿屋の食堂で・・・
「で!? その、エルフのフェイミィって言う女の子と、夜遅くまで仲良く、街の外で依頼をこなしてたの?」
あ・・・あれれ? 何でかカチュアが不機嫌だったんだけど・・・・
「う・・・うん、でも、そこまで遅くないよ?」
「暗くなれば、夜遅いわよ!!」
理不尽な・・・ギルドに行ける様に応援してくれたのに。行ったら行ったで、これですか!!
「パーティーも組む事にしたんだけ――」
「パアアアティイイイ!!」
「ひゃい!?」
ジト~っと散々睨んでから。
「はぁ~、まぁ良いわ。ギルドに入れて仕事も出来る様に復活した訳だし。今日の所は許してあげるわ!!」
えーと、何もしてないのに、何で怒られたんだろう?
カチュアが厨房に戻って行った。夕食を終え部屋に戻ろうとした時、親父さんが俺の肩を叩いた。
「まぁあ、許してやってくれ。お前さんが、なかなか帰って来なくて心配してたんだ」
「そうだったんですね。今度からは、カチュアにも声を掛けてから、依頼に行きますね」
「ああ、そうしてくれると、此方としても有り難い」
俺は、部屋に戻り、剣の手入れをして、ベッドの上で、今日あった事を、ネイルさんの剣とメイルさんの手帳に報告して、眠りについた。
毎度、御目を通して下さり有り難うございます。
私事ですが、所用で、更新速度が少し遅くなりそうなので、お詫びの報告をさせて頂きます。
更新する時間は、常に朝8時には、変更はありませんので、これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします




