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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
ランディールの街
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26話 防具と子供とお母さん

 のんびりゆっくり執筆中です

 朝、カチュアが起しに着てくれたので、食堂まで行き食事を()った。一口食べると、一昨日の晩から何も食べてない事を思い出し、多めに食べ出した。

「シュンって・・・そんなに、食べたっけ?」

「一昨日の晩から何も食べてないんだよ・・・」

「それに、いつも、早く食べてるのに、今日はゆっくりね」

「メイルさんに、ゆっくり食べなさいって言われたから」

「そうなんだ、何にしても、昨日よりは、元気になった見たいで良かったわ」

 カチュアは、うんうん、と頷きながら、厨房へ戻っていった。


 俺は、食事を終え、部屋に、閉じこもり、剣の手入れをし、その後は何もせずに、昼過ぎまで、永遠と異世界に来た日から、ネイルさん達との別れの日までを、思い出しては、深く落ち込んでいた。


「シュン、私の買い物に付き合って!」

 バタンっと勢いよくドアを開けて、カチュアが入ってきて、返事を待たずに、俺の手を引いて、街へ連れて行った。  


 雑貨屋に服屋に露店と周り、最後は食料の買出しまで、付き合わされた。あれが可愛いとか、この服どう? 何これ? と、カチュアが、言ってたけど、何も反応しない俺に、怒る事もせず、街を周り宿へ帰った。



「みんな、強いな・・・」

 食材を厨房に下ろした時、俺は言葉を零した。その言葉を、カチュアの母である女将さんが聞いていた。

「私達が? 強い?」

「ええ、爺さん達を失ったのに、今日も元気に、働いてるじゃないですか・・・」

 俺は、カチュアの家族の様に、振舞う事が出来ずにいた。


 ネイルさんに、『享け入れなければ成らない事がある、それが出来る人間であって欲しい!!』って言われたが、どうすれば出来るのか、未だ解らずにいた。



 女将さんは、息を吐いてから、俺の顔を覗き込んだ。


「私達には家族が居るからよ、私達夫婦には『娘が無事に帰って来てくれた』、カチュアには、『私達がいる』、それだけで、私達家族は『何とか、踏み止まって居られるの!』今の君には、その『拠り所』が、見付からないのね・・・きっと」


「そう・・・ですね」


 女将さんの言う通り、異世界に来て、2ヶ月と数日で出来た、3人との絆を、一遍(いっぺん)に失った俺には、拠り所が無い。女神様の名前を探す、他には何も残されてない。 手紙や物を見る度、悲しくなるだけ・・・どうすれば強く成れるんだろう。





 女将さんとの話しを、聞いて納得は出来ても、解決する事はできない。答えは自分で見つけないと、いけない。シュンは部屋に戻り、また悩みだした。



 夕食の時間が終りそうなのに、シュンが来なかった事で、カチュアが呼びに来てくれた。



「シュン、すぐに持って来るから」

 席に付き、周りの話し声に、耳を傾けた。


「おい、知ってるか? 王都で勇者様を、召喚されたらしいぞ? しかも4人もだ」

「ヘ〜、それなら、魔王なんて直ぐにでも、討伐できるんじゃないのか」

「そうなれば良いんだがな」

「おいおい、何かあるのか?」

「ああ、相当な変わり者らしい・・・」

「変わり者? どんな?」

「俺にもわからねーよ、ただの噂だよ、ゴブリンに負けた噂から、ドラゴンを倒した噂まで、あるんだからよ」

「まぁ、こんな大陸の、端っこの方にまで来る噂じゃ、色んな尾鰭(おひれ)が付きもんだしな」

「そう言う事だ、本当にやばい事は、揉み消されるのが落ちさ」


 勇者に付いての、噂が飛び込んできた! 俺とは違い、世界に必要とされて、召喚された勇者達!!


「・・・きっと・・・俺より・・・遥かに強いんだろうな・・・」


「何が、遥かに強いの?」

 カチュアが料理を、持って来てくれた。

「え!? あ、うん、勇者って、俺より強いんだろうなって」

「そりゃ~、勇者なんだから、弱くちゃ困るわよ! でも、あんまり良い噂は聞かないわね」

「そうなんだ、ありがと」



 食事を終えた後、タライを貰い、部屋で生活魔法を使い、お湯を出し手拭いで体を拭いた。メイルさん直筆手帳に書いてあった、『生活魔法で、お湯を出す事が、複合魔法への第一歩』と。


 翌朝、食事終え、街を歩いて、ある店を探した。


「!! あった防具屋だ!」

 そう、俺は防具を付けていなかったのだ、アーレンに居た時は、何故か気にも留めていなかった。何故、今、探してるか、それは、朝食時のカチュアの会話で始まった。


「シュンって冒険者なのよね?」

「うん・・・一応そうだよ」

「防具は付けないんだ?」

「え?」

「防具よ、防具、アーレンから、ずっと見てるけど、シュンが防具付けてる所、一度も見てないわよ?」

「・・・持ってないです」

「信じられない・・・剣を2本も持ってるのに・・・防具付けないって死にたいの? もう一回言ってあげるわ死にたいの?」


 と、言う訳で、防具屋に来ました。もちろん、ネイルさんにも言われた事はあるよ。戦闘スタイルが、決まったら、一緒に防具屋に行ってくれるって約束したんだけどね。



「すみませーん」

「あーい、どちらさんで」

 ちょっと、お腹がメタボてっる、おっちゃんが顔を出して来た。

「防具を買いに来たんで、良いのあります?」

「あいよ、んじゃ、質問していくから、それに答えな、それで、お前さんに合いそうな防具を見繕ってやんよ」

「はい」

「戦闘スタイルは決まってるか? 決まってないなら、憧れてる奴に成りたいとか有るか? 騎士になりたいとか、そんなんでもいいぞ?」


 ん~、戦闘スタイルって、まだ定着してないんだよね・・・、だってネイルさんに、言われるが(まま)に、剣を振ったり業を覚えたりで。それに、自分の事は、自分が良く解ってるって言うけど。俺は自分の事は良く解らない。


「そうですね、使う武器が剣で、スタイルは良く解りません。憧れなら・・・剣聖ネイルさんに近づきたいです」

「そうか・・・成りたいでは無く、近づきたいか、よし分かった! 軽装だな、幾つか持って来てやる、その中で気に入ったのがあれば、それにしな」


 お金なら、結構持ってる、アーレンで地味に稼いで銀貨258枚。メイルさんが、魔導書を呉れた時にお金も付けてくれた、その金額は、金貨438枚あった。銀貨100枚で金貨1枚だから、俺が全額で買えるのは、金貨440枚と銀貨58枚で買える物だ。


「これが軽装の防具だ、金額は一式で銀貨15枚だ。それが駆け出しには丁度良い」

「えっと、お金なら、結構あるんですが?」

「ん? そうか、ならどんな材質で選ぶ?」

「材質は詳しく無いんですが、銀色の奴でお願いします」

「おう、まってな」

 ネイルさんが、身に着けていた防具は、銀色だったから、真似しよう。本当は同じのが欲しいけど、名前が解らないし。見た目だけね。


「持って来たぞ、これが、銀で出来た奴だ、金貨50枚だ! こっちが銀メッキだ、金2枚だ! 悪いが家にあるのは、これだけだ」

「じゃあ50枚の方で」

 俺は、あっさり金貨50枚を渡した。

「坊主、家はそんな事しないから、先に言っとくけどよ。確認もせずに、金をあっさり出すなよ!? 王都に近づけば近づくほど、胡散臭い奴が、山ほどいるからよ!! 現に冒険者で、銀メッキの鎧を、金貨50枚で買った馬鹿が家に来たからな」

 やっぱり、そう言う人いるんだ・・・

「ご忠告! 有り難うございます!!」

「おう、いいって事よ! ちょっと着てみな、サイズを合わせてやる」


 防具を着て、サイズを見て貰い。サイズ合わせに、おっさんは作業場へ行った。


 しばらくして、作業場から、ギギギッキュって音が止まり、おっさんが戻ってきた。


「待たせたな、付けてみな」

「はい、少しキツイ気がしますが」

「それ位が、ちょどいいんだ。 余裕を持たせると、ズレ易くなるし、隙間が出来て挟んだりしたら、怪我の元になるからな」

「解りました、あと防具の手入れの仕方を教えて貰えませんか? 以前使っていた大切な剣をそれで、駄目にしてしまったので・・・」

「おう、いいぜ」


 おっさんから、防具の手入れの仕方を、聞いたり、さっきの物を確かめずに買わないように、知らない素材でも確かめる方法などレクチャーを受け、防具屋の買い物が終わり、街を見て回った。 


 街をぶらりと、散歩しながら店を見て回っているシュンは、昨日と違って少しだけ、ワクワクしている様子だった。彼は、ほんの少しだけど、やっと前へ進みだしたのかもしれない、それはカチュアと、女将さんと、防具屋のおっさんとの会話の御蔭なのかもしれないが、今のシュンには、まだ理解できていなかった。


 ドンっと後ろから何かが、ぶつかった。

「!? ん?」

 小さな兄妹が、後ろからぶつかってきた。

「おーーーい! 兄ちゃん、そのガキを捕まえてくれ!!」

 転んでいる、子供を見てみると、果物を一生懸命、拾っていた。

「おにいちゃん、逃げようよ」

「駄目だよ、母さんに食べて貰って元気になって、もらうんだ!! 痛いよ、何すんだ!! はなせよー」

 俺は子供達を捕まえた。


「見て解るんだけど、一応聞くけど、この子達が何をしたんだ?」

「店のもんを、盗んだんだ」

「いくらだ?」

「兄ちゃんが買うってのか?」

「ああ、いくらだ」

「銀貨1枚だ」

 俺は、亭主に向かって、銀貨を弾いて渡した

「この子達には、俺が言い聞かせますんで」

「ああ、こちとら金さえ、貰えれば、なんもねーよ」

 亭主が去った事で、兄妹は安堵した。

「さて、君達は何をしたか、解ってる?」

 腰を落とし目線を合わせ、子供達に何をしたかを、ちゃんと悟らせるため、出来るだけ優しく接した。

「「お・・・お金を・・・払わないで・・・お店の・・・物をとった」」

「それは、悪い事だよね?」

「母さんに、元気になって、もらいたくて・・・」

「お母さん、びょうきなの・・・」

「そう、それでも、悪い事はしちゃ駄目だよ、2人のお母さんは、悪い事する子に育てたの? 違うよね」

「「う・・・うん」」

「じゃあ、悪い事しないで、お母さんに何が、出来るか、2人で考えるんだよ」

 兄妹は、コクコクと頷いてくれた。俺は、無責任かも知れないけど、そのまま帰る事にした。

「「ありがとー、お兄ちゃん」」

 上手く諭せたか解らないが、俺は宿に戻った。





「っで!? お金払っただけで、帰ってきたの?」

「うん、銀貨1枚くらい、いいかなって」


 カチュアは額に手を当て、やれやれっと言う仕草と共に。

「シュンは、良い事したと思うけど、そう言う中途半端な優しさは、辞めた方が良いわ、子供達に悟らせた事は、私も嬉しいわ、でも、ホイホイお金を払うのだけは、辞めなさい!」

 ・・・何故か、子供達の話をしたら、こうなった。

「ホイホイって、今日が初めてだよ」

「シュンが、この先酷い町や村に行ったら、どうするの? 有り金を全部置いていくの? それだけじゃないわ、そう言う優しさに、付け込んで来る奴だって居るのよ。だから、お金は払わずに、済ませなさい」


 まさか・・・カチュアに悟らされるとは、思わなかった。

 


 ここにも、お母さんがいたよ・・・メイルさんの方が好みだけど・・・



 部屋に戻り、寝る事にした。


 明日をどう過ごそうかね。




 

 新章に入り、結末や、自分なりのテーマを決めて執筆してるのですが。

 いまいち、立ち上がりに納得が出来なくて、難しいなっと思います。

 作家の皆様は、凄いと思います。


 これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします!

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