24話 姉さんと呼べる2人
今回は短いです。
「シュン・・・終わったのね」
「シュン君・・・頑張ったの」
ネイルとメイルが、シュンの肩に手を置いた。
「見て!! アーレンの街が・・・」
「何ですか・・・」
「邪神が、居なくなったから、囚われてた魂が解放されたの」
アーレンの街から、数万の魂が天を目指して、昇っていた。その姿は、美しくもあった!
いくつかの魂が、シュンの目の前に来た!!
そして、球体だった魂が、人の姿に変わった!!
その姿は、鍛冶師のおっちゃん、その息子ガル、エプロンネコ亭のクーネさん、宿屋の爺さんと婆さん、とアーレンで、お世話になった人達だった。
「坊主、迷惑かけちまったな」
「剣は、ちゃんと手入れをするんだぞ!! そうしないと親父が天国から拳骨しに来ちまうからな!!」
ガルの言葉に、俺は頷いた
「シュンく~ん、キャット盛は無いけど、エプロンネコ亭は他の街にもあるから~宜しくね~」
クーネさん・・・店の紹介かよ!!
「カチュアが、世話になったのう」
「爺さん、アンデットに、なったとは言え・・・・斬っちまって・・・」
「いいんじゃよ、可愛い孫娘が生き残ってくれた、それだけで十分じゃ」
爺さんの言葉に、婆さんは黙って、うんうんっと頷いていた。っと言うか爺さんはザ・爺さんって感じなのに、婆さんが思った以上に若く見えてビックリした!!
他にも、アーレンで、お世話になった人達が、「ありがとう」っと声を掛けて天に帰っていった。
「みんな良い旅を・・・」
俺は涙が、止まる事なく、皆を見送った。
「これで、皆、逝けるんですね」
「そうよ」
「どれも、シュン君の御蔭なの」
「俺じゃないです、ネイルさんとメイルさんの力じゃないですか!! さあ!! ネイルさんランディールに行きましょう、剣の修行中途半端なまんまだし、邪神が居なくなったんだから、修行をお願いします!! メイルさんもですよ!! ・・・・ぁ!?」
振り返って、ネイルさんと、メイルさんを見たら、2人の身体が透け始めていた!
心の中では解っていた、わかってたけど肯定したくなかった。心の中で、ずっと否定をしていて、忘れ様としてた。
最初に気付いたのは、メイルさんが、ケガをした時だ! 魔道具屋でポーショんを造ったりしてるのだから、火傷とか直ぐ治せるだろうし、ネイルさんと、メイルさんはケガした手を、何時までも治さなかった時からだ!
「シュンも、気付いていると思うけど、私達もアーレンに住んでいる人達と同じよ」
「本当は、シュン君が知らないうちに、解決して消えようと思ったの・・・」
俺は、首を横に振って駄々をこねていた!
「何か方法が無いんですか? 2人はSランク冒険者なんでしょ!! 俺、何でもするから・・・お願いです・・・行かないで下さい・・・」
地面に膝を付きながら、2人に行かないで欲しいと懇願した。
「それは出来ないの・・・そうしたら、邪神を倒した意味が無いの・・・」
「アランと同じ道を辿るだけだわ」
そう、今シュンが、やろうとしてる事は、アランがやってしまった事と何等、変わらないのだ!!
それこそ、第二、第三の邪神が現れるだけの事だ!!
「シュン君は、泣き虫さんで・・・寂しがりやさんなの・・・」
「シュン! 強くなれとは言わない、泣くなとも言わない、だけど享け入れなければ成らない事がある、それが出来る人間であって欲しい!!」
「ネイル格好つけないの・・・」
メイルの、その言葉でネイルも涙が流れていた。
「シュン、ごめんなさい! 本当はもっと一緒に居て、沢山の事を教えないと行けないのに、教えられなくてごめんね・・・駄目な師匠で・・・本当でごめんなさい・・・」
「俺だって、ネイルさんから、沢山教わりたかったです・・・」
「私からは、教わらなくていいの?」
「メイルさんからだって、教わりたいに決まってるじゃないですか!!」
「冗談なの・・・・・」
メイルもシュンに抱きつき、別れを惜しんだ。
あと、どれ位残ってるか解らない僅かな時間、ネイルは邪神と戦って辿り着いた業、多くの剣士が夢見て挫折した業『剣魔融合』が存在する事を話した。
俺も、自分の事を話した、異世界から来た事、忘れられた自由と成長の女神様の、名前を探しだす事、その為には、神殿に刻まれた、名前を見つけないと、いけないっと言う事!!
「そうだったの・・・」
メイルさんは黙って何かを考え、俺に手帳を出すよう言って、何かを書き始めて呉れた。
「ここに書いた場所と人物に会うと良いと思うわ・・・もっと早く言ってくれれば手紙も書いたのに・・・」
最後の最後まで、師匠であり、姉であろうとする、ネイルさんと、メイルさん。
体も、かなり薄くなり、本当に時間が無くなった。
「シュン・・・メイルはシュンに、魔法に付いての本とか渡してたけど・・・私からは何も、あげてないわね・・・立派な剣を既に持ってるから・・・要らないと断れると思って渡せなかったけど、この剣をあげるわ・・それは私が、剣聖を襲名する前に使っていた剣よ。貰ってくれるかしら?」
「はい・・・・頂きます・・・ネイルさんだと思って、大切にします・・・」
剣帯付け、背中でクロスした剣をネイルに見せた。
ネイルさんは、嬉しそうに笑って見せてくれた。
「シュン君・・・魔法に付いて書いた手帳は、ちゃんと読むの・・・あと、ご飯を食べる時は、慌てないでちゃんと噛むの・・・変な人には付いて行かないの・・・変な物にも迂闊に触らないの・・・」
「わかりました・・・お母さん」
「お母さんじゃないの!!」
「はい、お姉さん!」
「メイル」
「姉さん」
「「シュンに、良い旅路と幸多からん事を」」
2人は頬にキスをし。
「「愛してるわシュン」」
その言葉を最後に、2人の姿はそこには無かった・・・
俺は、空を見上げ涙を拭う事無く泣き続けた・・・
初めての街編は、これにて完結しました。
これも、多くの読者様である皆様の御蔭です。
新章に突入前に、2、3日程、休んでから投稿したいと思います。
これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。




