23話 決着!!
だんだん難しくなってるような・・・気がします。
「・・・・ぁ!」
ネイルは、未だに振り下りて来ない剣を不思議に思い、顔を上げ目を疑った!! そこには、この1ヶ月間で、何度も目にした、弟子の剣が邪神の剣を、受け止めていたのだ!!
「シュ・・・ン!?」
「ほう、小僧が我の相手をすると申すか。 その脆弱で貧相な闘気でか。」
邪神は、詰まらなそうな表情で、剣に軽く力を込め剣ごと振り抜こうした。
「く!? んぐ・・・んん!!」
シュンは、邪神の力を逃がし、何とか3人まとめて、斬られる事を免れた!!
「フッハッハハハ!! 小僧が頑張って凌いで見せたぞ!! これもまた、興味深い!! そこの2人の弟子と言う訳か、ウム。決めたぞ、我を満足させた2人の弟子の力を試させて貰うぞ!!」
さっきとは違い、シュンは、邪神に興味を持たれてしまった!! 邪神は、シュンから感じる闘気より、強めの闘気にまで、落として、シュンと戦い始めた。
「お前が、メイルさんが、言ってた邪神か・・・くぅ・・・アランさんの体から出て行けええええええええええ!!」
アランの体に、憑いている事が許せなくて、噛み締めてから、思いを込めた剣を振った!
「ふむ、弱き者よ!その程度の力しか無いのか!」
ネイルの剣速に比べたら、余りにも遅い剣速、そんな剣など受ける事せずに、優雅に避けて行く。シュンは、ひたすら剣を振り続けるが。単調になった所で、邪神は剣でシュンを弾き飛ばした!!
「う!? ぐ・・・・ぬあああああああ!! うぐ!!」
最初は踏ん張って、体制を維持して地面を引きづったが、踏ん張りが足りず地面を転がり、障害物にぶつかって、止まった。
「フム。あの程度で、ああ容易く飛んで行くのか! 加減とは難しい物だな!!」
どうやら、あれでも手加減をしてるらしい。
「シュン!! 逃げなさい!! 貴方では無理よ!!」
傷付き戦意を失っていた、ネイルが叫んだ。それでも、何度も挑み続けるシュンを見て、何度も飛ばされる所は見ていられなくて目を瞑ってしまった。倒すには奇蹟を起すしかないが、メイルが起きない事には、その奇蹟も起こらない!!
「メイル・・・起きて・・・シュンが・・・戦ってるのよ・・・」
「うおおおおお!!」
「何度も向かって来るのは良いが、何度も飛んでは、何の面白みも無いわ!!」
「ぐ・・・・ぐぬううううううう・・・ぐぐ」
「ほう堪えられる様には、なったか!!」
「まだまだあああああああああ!!」
何度も飛ばされながら覚えた、ネイルさんの業、攻撃を弾いて相手の隙を作る業・・・・あと少しで掴めそうになっている!! その少しが、埋まらない!!
いつの間にか、攻撃をする度にアランとの思いでを、一つ一つ思い出していく。初めて街に着いた時、エプロンネコ亭で食事した時、クエストの事について相談した時、剣術について教えて貰い見せて貰ったの記憶が脳裏に現れてきた。
「!?」
そして何度も邪神の攻撃を受けて、一つ解った事がある。それは、邪神の剣の太刀筋が、アランが、見せてくれた剣の太刀筋だった!!
「アランさんの太刀筋だ!」
邪神の太刀筋は、アランの得意の剣技、そしてアランさんは言った、この技には弱点があると。
そしてシュンは、邪神の中に潜んでいる、アランの部分を見つけ、怒りが込み上がってきた!
剣を握る手に力が入り、邪神に対しての怒りが闘気になり始めた!!
「アランさんの体を乗っ取った! お前が許せない!! その体でネイルさんと、メイルさんを傷つけたお前が許せない!!!」
「だめえええええ!! シュンその闘気の練り方は!! だめえええええ!!」
ネイルは、怒りで闘気を練るシュンを止める為に叫んだ。
怒りで練る闘気は、一時的に、闘気は跳ね上がるが、その分デメリットが大きいのだ!!
それは、簡単に、戦意を喪失してしまう事!!
怒りで練るからこそ、自分の体の限界を簡単に超えてしまう、そんな無理をすれば当然、戦いに勝っても、身体が廃人になってしまうのだ!!
ネイルの、声は届く事は無かった。
「アランさんの体から出て行けええええええええええええ!!」
その思いを全て、剣気に込め放った一撃が邪神の体に届いた!!
アランが教えて呉れた弱点!! それは・・・
「ぐ!? 褒美だああああああ!! こぞおおおおお!!」
まさかの一撃で傷を負った邪神は怒り、本気の一撃をシュンに放った!!
「!?」
シュンは、全く反応できなかった。ただ解ったのは、『死』のみ!!
「ぐぅ! うぅ!!」
「まに・・・あ・・・たの!」
ネイルが剣を受け止め、メイルがシュンを後ろに引き寄せ後退した!!
「なんで・・・きたの」
「ごめんなさい・・・でも大切な人が・・・」
俺は戦闘中だと言うのに、また泣いてしまった。
「シュン・・・くん・・・泣き虫さんなの・・・」
メイルさんも泣いていた。
「ほう、また剣を交わしあう気になったか! だがもう遊ぶ気は失せたわ!!」
「ぐぅ! っは!」
ネイルは剣を捌き、2人の下へ後退した。
「ネイルさん・・・」
「シュンの、御蔭で助かったわ、メイルが動けるまで、良く粘ってくれたわ、もう無茶をしないで!!」
「そう・・・なの」
「すみません・・・」
「手加減してたとは言え、邪神に良く一撃入れたわね、師匠としては鼻が高いわ」
「実は・・・」
俺は邪神の太刀筋の中に、アランさんの太刀筋があった、とネイルさん達に報告した。
「なるほど・・・」
ネイルさんは、何かを納得したようだ!!
「メイル、魔法の準備をして、シュン悪いんだけど・・・・」
「言っても無駄みたいなの」
俺も戦います!! と言う視線を2人に向けていた!!
とうとう、朝日が昇り始めた。
「シュン君は、私の合図に合わせて風魔法を放つの」
「はい」
「じゃあ、行くわよ!!」
ネイルの合図で、皆構えた。
「さあ!! 引導を渡してやろう!!」
邪神とネイルは、お互いに向かって走り出した!!
「ほう!! 持ち直したか!!」
「弟子の前よ! 見っとも無い所は、もう見せられないのよおおおおおお!!」
ここに来て、一番の剣戟が始まった!!
「シュン君、エアカッターの準備なの!」
メイルさんに、言われるまま詠唱を始めた。俺は、剣のぶつかる音、剣が空を裂く音しか判らなかった。
「なぬ!? 何故だ!? なぜ貴様は、また強くなる!!」
「強くなんて、なってないわ!! 貴方が邪心では無く騎士アランだからよ!!」
ネイルは、完璧に邪神の攻撃を防ぎ、斬り付けて行く!
「我が、アランだと!? どう言う事だ!! アランの肉体は完全に我が支配しているはずだ!!」
「せっかくのチャンスなのよ!! 教える訳ないじゃない!!」
ネイルは、邪神を追い詰めていく!!
邪神は、確かに剣術の腕が上がった、それは、自ら見に付けた技では無い。アランが今まで、血の滲む努力で身に付けた技だ!!
アランの弱点、それは騎士に成る為に磨き上げた、純粋なまでに騎士道を体言した剣技だ!! 正直過ぎる太刀筋が、欠点だと以前、シュンに話していたのだ!!
邪神ではなく、アラン自信が剣を、振るえば欠点を利用して戦っただろう。
気付かない邪神は、ネイルの剣が、隙間を縫って斬りつけて来るのだ!! そのネイルの剣は攻撃と呼べる物では無かった、言うなら教え子に木剣で、悪い所を指摘する、指導の様に剣を入れるだけの剣技に成っていた。
大したダメージに成らない斬撃を、受け続け邪神は、苛立ちを増しって行った。
「ぬう!? きさまああああああああああああ!!」
邪神の怒りに任せて振った剣を、ネイルは下がって回避した。
「今なの!」
「エアカッター」
メイルさんの合図に合わせて放った、エアカッターは邪神に命中した!!
「っぐ!? 貴様も我を愚弄するのかああああ」
邪神が、俺を睨み付け走って来た!
「駄目じゃない、目の前の相手に背を向けちゃ? ハァアア!!」
邪神の背中に、ネイルさんの全力の連撃が、放たれた!!
「ぐ!? ぐあ、あう、うぐ!!」
連撃を全て受け、邪神は、その歩みを止めた。
「サンダーボルトおおおお!!」
「ぎざまああああああああああああああああ!!」
メイルのサンダーボルトが命中し、爆音が響き渡り爆煙が舞った!!
邪神の放っていた、常識外の闘気と魔力は、途絶えた!
シュンは、これで終わったと、アランの事を思い涙を流し黙祷を捧げた。
「シュン、まだ終わってないわ!!」
「そうなの、最後まで油断しないの!!」
2人に注意され、気持ちを立て直そうとするが、一度下がった気持ちを立て直すのは難しかった。
ネイルとメイルは、サンダーボルトで出来た穴まで、体を引き摺って歩き、煙収まる前に、確認に踏み込んだ。
「「!?」」
「しまっ!!」
「シュン君逃げるの!!」
一筋の線となって煙を切って、シュンの前に、邪神が現れ剣を振り下ろそうとした!!
「・・・うぐ!?」
剣を構えたが、タイミングが合わず、恐怖で目を瞑った。
「・・・・う・・・ぐ・・・シュン・・・頼む・・・俺を・・・・きってくれ」
「ぇ? ア・・・ランさん?」
そこには、邪神の力に抵抗しているアランがいた。
「頼む・・・俺を・・・騎士として・・・人間として・・・斬ってくれ」
「俺は・・・」
「時間が無いんだ・・・頼む・・・」
「無理です・・・できま・・・せん」
「せめて・・・お前の手で・・・ぐ!!」
アランの体を巡って、邪神とアランが鬩ぎ合い出した。
「俺は・・・・アランさんに!!」
「シュン・・・」
「!?」
アランは、シュンの構えていた剣に、自ら刺さった。
「あ・・・あ・・・アランさあああああああああああああん!!」
「すま・・・ない・・・・がは!?」
アランは吐血し、倒れた。そして、邪神の魂がアランの体から抜け出て、シュンの目の前で砕け散った!
シュンは、アランを抱き起こした。
「アランさん!! 邪神は出て行きました、街へ・・・街へ帰りましょう・・・」
「シュン・・・俺は・・・守りたかったんだ、あの人が愛した・・・アーレンを・・・」
「アランさん・・・」
「これ・・・を・・・王都の・・・・レイア様に・・・」
アランは、ペンダントをシュンに渡した。
「はい・・・」
「あり・・が・・・」
「アランさあああああああああん!! うあああああああ!!」
俺の嘆きが、クルワルの森に響き渡った!!
次回で、初めての街編が終わります。
これからどうしよ・・・・。
これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします




