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異世界ってスゲェェェ!!(仮)  作者: ポチでボッチなポッチポチ
初めての街
21/87

21話 己の無力さに・・・

のんびり、ゆっくり執筆中

 アランさんと邪神の戦いの事を聞いた俺は、ショックで言葉を失った。

あの、アランさんが、そんな事をする訳ないないと、思いたかった。

 俺の脳裏では、クエスト帰りで、エプロンネコ亭で食事をしながら、「今日はどうだったのか?」ってニコニコしながら聞いてくる、アランさんと、ちょっと無茶をして怪我して帰った時には「どうしたんだ!!」って心配してくれる、顔が()ぎった。

 初めて来た街、初めて優しくしてくれた人が、そんな訳ないって、何度も何度も思った。


 だが、話してくれたのは、メイルさんだ、赤の他人だったら絶対信用しない、だけどネイルさんと、メイルさんが嘘を言う訳が無い。

 2人は、あんなに厳しく、優しく育ててくれたんだ。


「そんな・・・・嘘であって欲しい・・・嘘でしょメイルさん・・・」

涙が溢れ出した。


 今度は、メイルさんが俺を抱きしめ、頭を撫でてくれた。


 俺にとって兄と思えるアランさん、姉さんと思えるネイルさんとメイルさん。


 どちらも信じたい。信じさせて欲しい!!


「ネイルさん・・・とアランさんに・・・会いたいです・・・・」

俺はこの目で確認したくて、必死にでた言葉。

「ごめんね、それは無理なの・・・シュン君を連れて行っては、守った意味が無いの・・・」

俺の気持ちは、メイルさんには通じている。

 でも俺もメイルさんの言う通り、行っても何も出来ない、ただ死ぬだけだ!!

 

「う・・・うう・・・・うぅぅ・・・」

 俺は、メイルさんを強く抱きしめ自分の無力さに、泣いた。

俺は何て無力だ!何て情けないんだ!大切な兄と姉に思える人達に、何もしてあげられないなんて!!


「シュン君は、無力じゃないの・・・・カチュアさんの事に気付き守ったの・・・」

「でも・・・俺・・・一番良くしてくれた・・・人達に何も返せてない・・・」



 少しして、気持ちが落ち着いたわけでは無いが、俺は、急いでランディールに向かう事を提案する!!

「メイルさん、これから急いでランディールに向かいます!」

泣きに泣いた俺の目は赤く腫れている。

「シュン君、夜の森は危険なの・・・」

「解ってますよ! でも一人で戦っている、ネイルさんに加勢出来るのは、メイルさんだけなんだから!! 俺は一刻も早くこの場から離れなければ、メイルさんは、行けないのでしょ!?」


 俺に出来る事、それはメイルさんをネイルさんの下へ、一刻も早く向かって貰う事だ!

「本気なの・・・」

「ええ、本気です・・・」

「・・・わかったの」

 メイルさんは、俺の決意を汲み取ってくれた。


 カチュアを起して、俺達はクルワルの森の中に入り、2年前まで整備されていたであろう道を歩いた。


「メイルさん、あの地形が変わってる所に・・・・」

「そうなの・・・あそこに邪神がいるの・・・」

ネイルさんとアランさんの名を出さないのは、俺の決心を鈍らせ、あの場に行かせない為の配慮であり、暗黙のルールになっていた!!


 カチュアは、ただ黙って、ついて来てくれている。それだけでも、俺にはあり難かった。

 あれこれと説明を迫られれば、俺は感情に任せてカチュアに八つ当たりをしていたに違いない。



 森の出口が見え始めた!!

「メイルさん、ここまでで、良いです!!」

「わかったの」


 メイルさんが最後の挨拶言わんばかりに、抱き締めてきた。俺もそれに答え抱き締め返した。


 メイルさんは、目にも止まらない速さで、ネイルさんの下へ走っていった。


「カチュア、急いで森を抜けよう。」

「・・・わかったわ・・・」


 カチュアの手を引いて、森の出口へ向かうが、グリーンウルフにゴブリンが襲ってきたが、俺は無造作に剣を振るって倒した!

 今まで、襲ってこなかったのは、メイルさんが守ってくれたからだって理解できた。

 森を抜けると、そこには数人の兵士がいた。



 俺達が森から抜けた途端に、一斉に皆、剣の柄に手を置いていた。 

「止まれ!! 貴様ら、何処から来た!!」

 隊長なのだろうか? ぶっちゃけどうでもいいので、話しを進めた。

「俺はシュンと言います、この子は、アーレン唯一の行き残りのカチュアです、この子の、保護をお願いします」

「アーレンだど!! おい、シュンとやら、アーレンは今どうなっている?答えろ!!」

「アーレンは、邪神に乗っ取られた、今、Sクラス冒険者のネイルさんとメイルさんが、戦っています」

「剣聖殿と大魔導師殿が!!」

 兵士達は、邪神を言葉にしたら、皆が、三者三様に、うろたえた。

「そうか・・・ランディールまでは送ろう、詳しい事は、そこで聞こう!」



 俺は、怒鳴り散らしたい程、怒りが込み上がって来た!!

 何故、ネイルさんとメイルさんの加勢に行ってくれないのか!! と。

 それは、分かってる・・・この人達は強くない・・・俺よりは強いけど・・・この人達でも2人の足手まといにしか、ならないのだと。



 カチュアも、兵士に保護され馬車に乗せられた。

「カチュア、俺もここまでだ・・・」

俺は、兵士に聴こえないよう、カチュアに別れを告げた。

「シュン・・・もしかして・・・」

「行く・・・3人の下に!!」


「貴様!? どこへ行く!!」

 俺を馬車に誘導した兵士が他にも、何か叫んだが、俺にはその言葉は届かなかった!!


「ごめんなさい・・・ネイルさんメイルさん・・・俺は・・・それでも3人に・・・」

 兵士達は連れ戻そうとしたが、隊長と思われる男に静止させられ、追っては来なかった。


 俺はクルワルの森の中に、また飛び込んで行った。







   時は戻り!!


 メイルが、シュンを助けに向かった直後!!


「フッフフハハハハ、間に合う分けなかろう、アーレンはアンデットで溢れ返っておる、時期に貴様の弟子もアンデットの仲間入りだ!!」

「私の・・・いえ、私達の弟子よ、メイルが駆けつけるまで持ち堪えて当然よ!!」

 ネイルは、邪神がアランの体に馴染む前に、攻撃に転じたいのだが、今までの戦闘で、闘気も魔力も回復していない為、動けずにいる。

 邪神もまた、体が馴染むまで、ネイルに攻撃が出来ずにいる、そこらへんの1流冒険者程度なら、相手に出来るのだろうが、ネイルは別格だった、さっき侮っていて痛い目にあったのだ、邪神も気持ちを切り替えていた。


 お互いが睨み合いを続け、回復したとは言えないが、戦闘を再開させた!!


「ハァアアアア!!」

「フ、我は剣が不得手だったのだが、使えん男と思っていたが、役に立つではないか!!」

「ぐぅ!?」

 ネイルの剣は、あっさり弾かれ、反撃された!!

「剣が不得手とか、何言ってるのかしら」

 そう、アランの体を乗っ取る前から、ネイルの攻撃を剣で防いでいたのだ、それが、今は不得手じゃ無くなった、それを意味するのは、かなり厄介になった、と言う事だ。


 「メイルが来るまで、持つかしら・・・この邪神・・・隙が無い・・・」

 打ち込めず、動きを止めてしまった。

 「どうしたのだ? 来ないならこっちから()くぞ!」

 邪神が、真っ直ぐ突っ込んできた、その動きには、何の小細工もなく、単純な攻撃だった!!

 

 その太刀筋は美しかった! 剣術の心得が無い者でも見惚れてしまう程だ!


 「!?・・・うぅ・・・くぅ・・・かは!!」

 ネイルも、また太刀筋に見惚れ送れて剣で受け止め、剣を弾いた。


 ネイルは、防戦一方になってしまい、防ぎに防いではいるが、徐々に捌き切れなくなり、鎧は傷付き、服はボロボロに切れて行く。その連撃の中で、上手く剣で受け止めその衝撃を利用して、距離をとる事に成功した。


 「はぁ・・・・はぁ・・・・ふぅ~、私が教えた事なのにね・・・駄目な師匠ね・・・」

 ネイルは息を整え、闘気を練り上げ様とするが、思うように練り上がらなくなって来たのだ。


 シュンに教えた事それは、誰もが知っていながら、誰も知らない基礎中の基礎だ。


 『闘気』それは『闘争心』!!

 『闘気』なくては強靭な肉体を得ず!!

 如何にスキル高かろうが『闘気』なくして、強敵に立ち向かえない!!

 『闘気』それをを剣に込めなければ、『剣気』は生まれず!!

 『闘気』は『武術』に()いて絶対普遍(ふへん)(ことわり)!!

 それ(すなわ)ち『闘気』極めし者、『神を超える力』を得る者成り!!




 「どうした!? 闘気が、練れんようだが? それ程あの弟子が気になるのか?」

 「何度も言わせないで、私達のシュンは、生き抜くし、メイルも向かってるわ!!」

 「ほう、たいした自信だ!! ならこれなら如何だ!!」

 またも、黒い魔力がアーレンに向かった!!


 だが、先ほどの様に変わった変化は起きなかった。

 「何をした!!」

 「フフ、我は今、貴様と戦って楽しいのだ! だが、闘気が弱まってる御主に興味が湧かんのでな!! アンデット等に、入り口で罠を張るよう指示を出したまでだ!!」



 街の住民全てが、アンデット化しているのだ! その全て入り口に集まるとしたら、何万人もの大群になる、いくら突破出来たとしても、1人では無事では済まない。


 ネイルの頭の中では、何万もの大群にシュンが襲われ、その体に噛み付かれてる映像が、脳裏に浮かんだ。


 「あなたわああああああああ!!」

 ネイルの闘気が、怒りによって強く練り上げられた!! それはネイルの望む闘気ではなかった。

 「フハハハ、それで良い、しっかり我の相手をし、満足させるが良い!!」


 ネイル攻撃は、怒りによって単調になり、それは、ただ振り回しているだけだった!!

 それでも、邪神を喜ばせるには十分な程だった。


 「よくも、よくもおおおおおおお!!」

 「そうだ、もっとだもっと、もっと我に見せるが良い、貴様の絶望した顔を堪能した後、貴様が転生できぬよう、無に返してやろう!!」


 怒りに任せて闘う、ネイルは反射的に致命傷だけは避けてるが、駆け引きもない攻撃を、休む事なく続けていく。


 それに対して邪神は、冷静に剣を捌き、ネイルの体を斬り付けて行く。


 その攻防とも呼べない戦いが、ひたすら続いていく。


「我は、もう飽きたわ!! 他に無いのなら、ここで終わるが良い!!」

 邪神の剣に、闘気と魔力が剣に集約され、剣を横に薙ぎ払い、その軌跡にそって、魔力で造られた刃が斬撃となって飛んでいった!!


 「う・・うぅ・・ぐぅ・うう!!」

 ネイルは剣で受けるが、その力に押され、吹き飛ばされて行った。


 吹き飛ばされた事と、剣術の可能性を見て、剣聖としての血が冷静さを取り戻させてくれた。


 「邪神に、剣気と魔力を融合させた、剣術を見せて貰うとは・・・」

 

 「我はもう剣のみで、戦う事に飽きたのでな、これで終わらせてもらうぞ!!」


 その言葉と共に魔力が跳ね上がり、全てを吹き飛ばそうとした時!!


「ぬぅ!?・・・・」


 邪神の目の前で『エアバースト』が炸裂し、放とうと練った魔力を防御に回してしまった!


「はぁ、はぁ・・まにあったの・・・」

 息を切らせながら、メイルが走って、ネイルの下へ辿り着いた。

「ネイル!!」

「シュン君は、無事に森を抜けたの!!」


「メイル・・・ごめん・・・私、もう限界みたいだわ・・・」

「姉さん、私も・・・・なの」

「本当に、これで最後よ、メイル!!」

「死力を尽くすの」

「そうね。心残りは、もう無いわ」

「それ以上は、贅沢なの。」




 慢心相違の2人は、最後の決戦に挑むため、闘気を魔力を全て練った!!


 初めての街編も、残り僅かになりました。

 これも、皆様が、お目を通してくれたり、お気に入りや、評価して下さった御蔭です。


 これからも、執筆の方も頑張って行きますし、手直しの方もして行きます。


 これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします!!

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