2話 ファッツ、ユア、ネーム
のんびり執筆中
「―……」
何も言えない、ここは何処? 貴女は誰ですか? って言うだけなのに、時間だけが過ぎていく。
女性は、ただ、ただ微笑んで此方を見ている。
「そろそろ、話しても良いですか?」
彼女の雰囲気に慣れ始めた頃に言葉を掛けられた。
「ぇ? あ、はい、大丈夫です」
絶妙なタイミングだった、早ければ噛み噛みで喋っていたし、遅ければ彼女の美声に囚われ、また言葉を失うであろう。
「では、説明しますね、貴方を私のいる、空間に招く為に“二度召喚”しました」
「はい!? えっと、意味がちょっと……」
彼女は微笑んで語ったが、意味が解んない。
何故、二度召喚したんだ? 何故召喚されたのか?
教えて欲しいんですけどー…ですけどー…ですけどー…
心の中でエコーが掛かった。
「なぜ二度? なぜ召喚したか? ですね、最初に召喚された理由は、貴方のいる世界では貴方が居なくても、世界に影響がないから選びました」
酷い事言ってるのに、笑みが崩れない。
「それって、俺いらないって事!! 家族にちょっとイラナイ子扱いされてるけど…世界にまでイラナイ子扱いですかぁぁぁぁ!!!」
俺は、人生で一番の衝撃と一番の叫び声を上げた、こんなに大声だしたのも始めてかもしれない。
「二度召喚したのにも、ちゃんと理由があります。私達が管理してる世界の一国が、勇者召喚をしました、その魔力をちょっと利用して、一度、貴方を無人の森へ召喚しました、そして再び私の空間に召喚しました」
スルーされたし……勿論、笑顔のままで。
ん? 管理? 勇者召喚? どういう事? よくある異世界で無双したり魔王倒したりして、綺麗な子達とうへへ~したり出来るあれ的な事かな?
「俺、勇者召喚されたって事は―」
「大丈夫ですよ、勇者四人ちゃんと無事に召喚されました、貴方は勇者ではありません」
何だろう……笑顔って何だろう……最後まで言わせて貰えないのに、先回りされる発言が心に追い討ち掛けてくる。
俺、勇者でも巻き込まれ召喚者でもないよ、異世界でもイラナイ子ですか……泣きそうだ……てか泣くわ……自分の世界にイラナイ子扱いされ、勇者召喚って聞いたけど、実際は召喚対象外発言だし、勿論、一人で帰ってた訳だし巻き込まれる理由すらない。
俺は泣きそうなのを我慢して、挙手をした
「あ……の……私めの召喚理由を、お伺いしても宜しいでしょうか?」
彼女は、クスリと笑った。やっと反応があったよ……クスリ笑いだけどね。
「それはですね、貴方には『可能性』の伸びしろがあるからです、人間とは『日々成長』するもの、それには多くの分岐点で選択を選び、試練を乗り越えて、初めて得る物です、ですが貴方は様々な問題や試練を乗り越えるのでは無く、なぁなぁに通り抜けて行くので、全く成長をしていないのです」
可能性とか成長ね~、分岐点って何かあったけ? 試練もあったけ? バイト先で理不尽な苦情を受けたり、物理的に無理な仕事数を押し付けられたり? 趣味に関してもこれって言うの無いな? アレやって見たいとかあるけど、俺、何でもやりたがる奴だし…すぐ飽きるけど。
「いまいちピンと来ないです」
本当に何も無い、からピンと来ない
「ふふふ、そうですね、理解が出来ているのなら、ここには来ません、解りやすく貴方の世界のゲームに例えるならレベルでしょうか? ある程度経験をつめばレベルが上がると言うアレです」
「RPGですね、俺の世界ではレベル関係ないですよ?」
「ええ、そのゲームです、貴方の世界でレベルが存在するとしたらの話です、貴方の年齢だと平均レベルは25位でしょうか、多少前後しますが」
25ねぇ~どう計ったんだろう?
「貴方のレベルは、何とレベル11です、びっくりです」
本当だよ!! ビックリだよ平均より14も下って、無いわ
「レベルって言いましたけど? 貴女の世界にはレベルが存在するんですか?」
俺は期待しながら聞いてみた。レベルだよ、目に見えるんだよ、良いじゃないか、努力すれば報われるんだよ、他者より上へ行けるんですよ、素晴らしい世界だよ。
「期待している所悪いのですが……貴女の思い描いているレベルは存在しません、貴方の成長度合いを説明するために出しただけですから……」
「え!? 存在しないのに何で知ってるの? 混乱してきたよ」
「それは、私が金髪幼馴染を選ぶか、お金持ちのお嬢様選ぶかで悩んだからです」
「それは、悩みますね~純情を選ぶか、目先の攻略難易度を下げるために選ぶかで……って何でそれ? いろいろ他にもあったでしょ…」
なんなんだろう、この人? 俺を虐めて楽しんでるの? つか誰? 何者?
「ところで、貴女は誰ですか? さっきから俺を虐めて楽しいですか?」
それなりに、書けてればいいのですが・・・