19話 Sクラス冒険者ネイルとメイル (前編)
執筆は楽しかったのですが、やっぱり難しいですね。
作品名も、良いのが思いつかないな~って悩んでます。
メイルさんとネイルさんが、依頼を受け、クルワルの森に入った頃の話が始まった。
「ここまでは、普通の森だわ、メイルはどう思う?」
「姉さんがそう思うなら、私だって、そう思うの」
「魔力探知とかは、私よりメイルの方が優れてるからね」
「姉さんだって、魔法が得意じゃない、それでも剣の方が得意って、ズルなの!!」
「ふふ、~なのって子供ね、メイル。その癖を消さないと、お嫁に行けないわよ」
「直そうと努力してるの、姉さんだって私と同い年じゃないの、それに、エルフの中じゃ118歳って、まだ子供なの!!」
「それは、爺さん婆さんが、自分の意見を通そうとする時に使う言葉じゃない」
「いいの。子供でいたいの」
ネイルは、はい、はいっと言って、先に進んでいく。
「そう言えば、姉さん知ってる、クルワルの森ってハイエルフが住んでいたって言う噂があるの?」
「そんな話しが在ったわね。ハイエルフって、別に絶滅してる分けじゃないのにね」
会話をしながら、出口へ向かう2人。
「姉さん!? 止まって!! 何かあるの」
メイルがネイルを静止させた。
「どうしたのメイル?」
メイルは、アクアボールを放った。
普通なら、狙った木が倒れる筈なのだが、アクアボールは音も無く消えた。
それを見た、ネイルは剣を抜き、構える。ここから先は多くの冒険者が消えた場所だと、理解した。
「私には、何も感じないよ、メイル? 何で分かったの?」
「そこの木だけ、影が日の光とは逆なの」
「ありがとう。メイルの、注意深さが無かったら、私は他の冒険者と同じ運命を、辿っていたわ」
何かある・・・が、それが何の魔法か分からない。
解らない事には、対処の使用がない。
とりあえず、別行動し、お互い合流場所を決め、結界が何処まで続いているかを、調べる事にして、魔法を一定の間隔で、放ちながら確認していった。
2日後、合流場所で確認した結果、クルワルの森出口の淵全てに、その結界が続いていた。
そして、その結界は徐々にだが、森を侵食している事も判明した。
「姉さん、この侵食速度はゆっくりだけど、2年後には半分は侵食されるの」
「メイル、私の方で解ったのは、これは『迷いの結界』よ。来た者が戻って来れない結界」
「そんな結界使える者は・・・限られてくるの」
「そうね、迂闊に入るわけには行かないわ。しばらく、ここで野宿になりそうね」
さらに4日経ち、ランディール方面から整備されている道を通って馬車が来ている。
「姉さん馬車が来る音が聴こえるの。」
「方角は、ランディールからね。おかしいわね、私達が依頼を受けた時から、この道は封鎖されてるはずよ」
「確認するの」
馬車を止めに、道に出て。
「止まりなさい!!」
「なんでしょうか・・・旅のお方」
ネイルの声で馬を止め。
フード付きの外套を着ている、男はフードを深く被っている為か顔が確認出来ない、が声で男と判明した。
「この道は、封鎖されてるはずなの」
見るからに、怪しい男に、忠告をしたメイル
「そんな情報は、私達は聞いておらんぞい」
「貴方、顔を見せなさい。これは、命令よ」
ネイルと頷きあい、メイルは馬車の裏に回った。
「積み荷を確認させて貰うの」
「それは、困りますぞい!」
フード男が指を鳴らし。結界が張ってある森の出口からは、今まで、行方不明になっていた冒険者が現れた。
冒険者達は、「あ・・・う・・・」っと生気が無かった。
「貴方が・・・・この事件の首謀者なのね」
「いえいえ、私はただの使いですぞい、ギッヒッギヒヒヒヒヒ」
不気味な笑いと共に、多くの冒険者がネイルを襲い掛かる、ネイルはSクラス冒険者、ただの冒険者が100人ほど纏まって襲ってきても問題にならない。
「姉さん助けて!!」
「メイル!!」
っと馬車をの方を見た瞬間に視界が黒くなって倒れた。
ネイルが見たのは、馬車の積み荷を確認しようとしている姿のメイルだった。
「ギヒ、ギヒヒヒヒ、姉妹愛とは美しいですぞい。さっきの悲鳴が妹の声とは限らんぞい」
倒れたネイルに向かって、吐き捨て、小さな結界を解いた。
姉さんなら、たかが100人近くの冒険者くらい、何とかなる、まずは積み荷を確認してから加勢すれば良いと思い。
積み荷を確認しようとした時、自分の声にそっくりな悲鳴が聞こえた。
ネイルの方を見て!! そこには、倒れているネイルに何かを吐き捨ててる、フードの男が居た。
メイルが魔法を放って、ネイルの下に駆け寄ろうと詠唱した。
「風よ、その刃で我が道を!?」
後ろから重い1撃を受け、倒れた。
「主君!! 私に殺らさせて欲しかったぞい」
「時間の無駄だ!! 例えそこに転がってる、アンデットでも貴重な住民だ!!」
主君と呼ばれる青年は、フードの男に言い放った。
「この2人はどうするんぞい?」
「まだ生きてるのなら、洗脳魔法でも使って住民にすればいい。死んでいるなら、アンデットにして住民にすればいい。貴様なら出来るだろ?」
「造作も無いですぞい!!」
主君とフード男は、ネイルとメイルを馬車に運び、アーレンに向かった。
それから1年と7ヶ月後。
ギルドに、冒険者になろうと、黒目黒髪の、青年が現れ、魔道具屋から青年が帰った、その夜。
「ねぇ、メイル・・・」
「姉さん、・・・分かってるの・・・」
「「・・・・・」
「私達は、この街の住人になってた見たいね」
ネイルは、沈黙を破り、判りきってる事だけど、お互いがこの状況を脱する為にも言葉にした。
「でも、1年と7ヶ月の記憶は、ちゃんと在るみたいなの」
「そうね、私はギルド職員としての記憶があるわ、仕事は毎日が単純な作業だけだったわ」
「私は、魔道具屋なの、お客の集客率は・・・少なかったの・・・」
2人は、謎のフード男との戦いに敗れ、アーレンの住人になった記憶を、お互いに確認しあった、その結果。
私達には、絶対に逆らえない命令がある事。
命令された事に関しては、一部記憶を失ってる事。
彼が現れた事で、記憶が戻った可能性がある事。
その彼が、この街アーレンに変化を与える可能性がある事。
その彼が、きっとあのフード男の言う主君に目を付けられ、接触する可能性がある事。
メイルの提案で、彼のギルドカードを、細工した偽のギルドカードと摩り替える事にし、彼の行動を随時調べる事にした。
それで、黒幕を見つけ、元凶を絶つか、なんらかの方法で、外に連絡をしこの状況を伝える。
「シュン君には悪いけど、囮になってもらうの」
「そうね、彼自信が、何者か判らないけど。私は職員だから、ギルド内から調べて見るわ。メイルには彼の尾行と護衛を頼むわ」
「わかったの」
私は、姉さんに言われた通り、シュン君を尾行し観察した。
彼、シュン君が冒険者として活動して30日経った。
彼の最初のクエストは、ゴブリン討伐と薬草採取だった。剣の腕は、駆け出し冒険者にしては、悪くないと思うの。
シュン君は、アーレンの門番と仲が良いようだ。クエストが終わったら、エプロンネコ亭と言う飲食店に、度々一緒に通っているの。
その30日目の夜、シュン君は宿に戻り、何時も通り眠りに付くようだ。私も帰ろうと思った。その時、外套で身を隠し、フードで顔を隠した者が、宿へ入るのを確認した。私は、その者の跡を追った。
その者が、シュン君の部屋に入り短剣を抜き彼を暗殺しようとしていた。私は咄嗟にエアカッターを放とうとした時。シュン君は自分の力で難を逃れた様だが、急に倒れてしまった。
私はシュン君をベッドに寝かせ。斬られて倒れている、暗殺者の顔を確認した。その顔は、シュン君が、通っている服屋の女性だった。
私は、その女性を、家へ運んだ、その死体を、姉さんと一緒に調べた。
彼女は、アンデットである事が判り。フード男か、その主君の命令で、シュン君を暗殺しようとしたのだろう。その暗殺者の死体を片付けようとした時に、膨れ上がり爆発した。防ぐために水の防御壁を張ったが威力が強かった為に、手を焼けどしてしまった。
「決まったわね」
「シュン君の近くに、奴らの影が迫ってるの」
これで、シュン君は、奴らにとって邪魔である事が解り、シュン君に外部との連絡を取ってもらう事にした。
私は、シュン君の為にポーション等、旅に必要な物を作る事にした。それと、雷属性の魔法を使ってた様だが、魔力をちゃんとコントロール出来ていないので、指南所でも書いとこうと思った。
姉さんは、彼に剣術等の戦闘を中心に教える事にし、準備をしていた。
翌日、姉さんの様子が変だった。私は何時もの様に、シュン君の尾行を開始した。
彼に、クルワルの森にある、クールディ草を採取しに行かせた時、彼が同じ道を行ったり来たりしてる様だけど、何をしてるのか、私には分からなかった。
シュン君が、クールディ草を採取し終わり、帰ってる時、フードを被った者が、シュン君を襲った。
間違いない、あの太刀筋は姉さんだ、シュン君は良く防いでると思うけど、このままでは姉さんに殺されてしまう。姉さんの方も動きが単調で、操られてるのも判る。私は姉さんの剣を狙ってエアカッターを放った。
私は姿を消した姉さんを追った。姉さんは、森の中にある神殿の跡地で外套と剣を捨てて、街に戻った。街に戻った姉さんはギルドに戻り、正気に戻っていた。
家に戻った私は、調合し始めたけど、今回の事と次は私が、シュン君を傷つけるかもっと考えてしまい調合に失敗してしまった。
私は、シュン君には、取り合えず帰ってもらうことにした。
その後、姉さんが帰ってきた夜、姉さんに今日の事を全部話した。姉さんに掛かってる洗脳魔法を完全に消し去る事は、出来ないが、弱める事には成功し、もう余り時間が残されていない事も悟り、予定を早める事にした。
私達に取って、最初で最後の弟子になるかもしれない。本当はもっと大切に、長く育てるべき何だろうけど、時間が余りにも足りない、せめて、シュン君が旅に出ても生き残れるように、詰めるだけ詰め込んだ。
そして、シュン君に教え込んで、21日目。
奴らがシュン君を消そうと暗殺者を放ってきたが、交代で護衛に入り対処した。
その影響なのか。
以前から店や人が急に姿を消し朝になれば戻っていたのだが、朝になっても戻らなくなり。本格的に壊れ始めた。
私達は、今までシュン君が書いてくれた、手紙を読んで、お互い笑いあい、彼を生かす為に、挑む事を決意した。
私達の同僚や師匠が、言ってたっけ「師匠より、先に弟子は逝かせない」って、私達にはその覚悟と気持ちは、理解していたつもりだが、本当の覚悟は、こんなにも強い物だと初めて理解した。
私と姉さんは、以前、姉さんが外套と剣を捨てたあの神殿に行き、奴らが現れると踏み張込んだ。
多くの暗殺者は、そこで指示され、武器を取ってる事は確認済みである。
私達の動きはきっと向こうにも筒抜けのはず。十分過ぎる程、警戒して張った。
「これは、これは、御2人さん、お揃いですぞい」
あのフード男が神殿の中から現れた。
「行くわよメイル」
「わかってるの」
音速に届くんじゃっと思えるほどの速さで、2人は走り出した。
「ほほう、私の洗脳魔法を抑えてるぞい」
「洗脳魔法なら私が防いでるの」
フード男は彼女達の速度に、余裕で付いて来た。
「なら、力で捩じ伏せるぞい!」
「なめるなぁぁぁ!!」
ネイルの剣速が、徐々に早くなった。
「これでは・・・防御壁は間に合いそうにないぞい・・・」
「もらったあああ!!」
ネイルの剣は、完全に捉えたはずだった。
「主君、来るのが遅いぞい、終わったかと思ったぞい」
「すまないな、最後に彼に会って置きたかったのでね」
ネイルの剣は、青年の剣で防がれた・・・その剣の風圧でフードが破れ、フード男の顔が現れた。
ネイルは距離をとって、メイルの1歩前で剣を構え直した。
「やはり、邪神だったのね・・・幾ら魔王でも、死んだ者を操る事は出来ても、街をあそこまで、偽装する事は出来ないわ」
「邪神とは酷いぞい、我は神として、その者の願いを叶えただけぞい」
「願いだって・・・」
「その男は、守れなかった街の住民を生き返らせてくれっと言ったぞい、我はそれを叶えただけぞい」
「あなたは、それでいいの? 死んで生き返ったように見えても、自我がなく同じ行動しかしない人達を見て、それでも生きてると言えるの? 答えるのアラン!!」
ネイルの剣を止めた青年に、メイルは問いかけた。
皆様に、ちゃんと伝わってくれれば良いのですが、難しいですね。
もっとこうすれば、ああすればって思うのですが、上手い表現が出来なくて、すみません。
次話はこの話しの続きから始まります。
これからも、異世界ってスゲェェェ!!(仮)を宜しくお願いします。