17話 終わる日常
ネイルさんとの熱々の日々を過ごして何年経ったのだろうか・・・俺は、今日も地面に大の字で寝ている。
「シュンどうしたの!!まだ修行を始めて、21日目でしょ、これ位で根を上げないの。今日はここまでにしておくけど、明日はギルドね」
嘘です、御免なさい3週間目です。
だって、5日に1回は、クエストしてるけど・・・・ほぼ休まず、打ち合って、投擲とかの修行をさせられ。
今までお世話になっていた、危険察知スキルと剥ぎ取りを使わないように、叩き込まれた。
危険察知は、殺気が無いものには対処出来ないし、自分が危険だと思わない相手には、発動しないからだそうです。
自動剥ぎ取りは、1度収納して使うし痕跡が無くなってしまうから、人前で使えない、だから自分で剥ぎ取れるようになれと・・・一番やりたくなかったよ。
最後には、スキル補助なしで、オークとグリーンウルフが狩れる様に、鍛えられた。
メイルさんとの、魔法の修行は、魔力操作がメインなので、以前購入した羽ペンで、毎日ネイルさんとメイルさんに、手紙を書いてます。
最初は、感謝の言葉だったのに・・・何時の間にかラブレターっと言うか観察日記に変わっていた。
メイルさんへ
何時も調合して失敗した時、耳が垂れて可愛かったです・・・・・とか。
いつも、普通に話してるのに、ときどき語尾が「なの」に変わってる所が子供ぽくって素敵ですとか。
お腹を空かせて帰ると、ご馳走を作って待っててくれて有り難うございます・・何かお母さん見たいだった・・みたいな。
余談だが、次の日には『お姉ちゃんでしょ?』って笑顔なのに目が笑って無かった。
ネイルさんへの場合も、同じだった。
ネイルさんへ
今日の剣術で、1本取られそうになった時、突然本気になる所が子供ぽくって可愛かった・・・とか
スキルなしで、オークを倒せシュンなら出来るって言ったのに、途中から、剣を抜いて倒しちゃったりして、今度は手助けなしで倒せたら、一緒に喜んでくれる所が、可愛かった・・・・とか
そんな、恥ずかしい文章と戦闘訓練が毎日続くと、3週間が数年に感じる程長く感じるよ。
2人は返事くれないし・・・拗ねちゃうぞ!!
メイルさんの、適性魔法は、風と水なので、風魔法を教えて貰った。
最初は、詠唱しても何も起こらず、次第に魔力が減って行き、最後は念願の定番であるエアカッターを覚えたのだが、1回成功した時、全く動け無くなった。
修行の配分は、3日に1回が魔法の練習になっていて、残りが戦闘訓練だ。
何でも、魔力を回復するのは一晩じゃ無理だそうです。
頑張ったかいがあり、何とか風魔法のエアカッターが、3回放ってるようになった。4回目を放ったら、動けなくなって放心状態になっちゃうから、使えないんだ!!
得意の雷属性は、変化はあったよ・・・・
スタンの威力が少し上がったのと、魔力消費が凄く少なくなった、わー お!!低燃費って位にね
変化は、俺だけじゃないよ
縫いぐるみを渡したあの日から、ネイルさんが呼んでくれる時は『シュン』になって『君』が無くなった事かな、心の距離が縮まった感じがして嬉しかったな~。
メイルさんは相変わらず『シュン君』だけど、別に縮まってない訳じゃない、優しさが万倍に膨れ上がったよ。
そんな、厳しくも優しい穏やかな日々を過ごしていた。
宿に戻って、カチュアと話しをして就寝する。
何時も通り何だけど、この宿に泊まって一ヶ月半以上経つんだ、爺さんとカチュアには会ってる・・・・が・・・・一度も婆さんに会ってないんだよね。
変じゃね??
カチュアに聞くと、今手が離せない見たいとか言って、タイミングが悪かっただけなのかな?って最初は思ったよ、流石に一ヶ月半以上は、長すぎると思ったわけですよ。
それだけじゃない、サラだって突然居なくなってるし。
今まで在った物や人が無くなったり、居なくなっていくんだよね・・・最近。
その事をアランさんに尋ねると。
「サラは、親が新しい店舗を王都に構えたから、お店を畳んだけど、他はシュンの記憶違いじゃないのか?」
って返された。
本当なのかな?ネイルさん達にも相談して見よう。
地獄のような、修行が待ってるのかと思ったら。
大切な話しがあるって、言われ3人で席に付く。
今まで何度も、真剣な顔を見たけど、今回はさらに空気で別だと分かった。
「シュン、私とメイルが元冒険者だって、話したよね?」
「はい、聞きました」
「私達はSクラスの冒険者だったの」
「へ?何で、そんな人がギルド職員と魔道具屋に?」
「シュン君、それはね、私達にも分からないのよ」
「メイルと私は、2年前に起こった、アーレンの真相を確かめにギルドを通して国から依頼を受けたの」
そう言えば、カチュアが言ってたな、2年前の事は誰も話してくれないって・・・。
「街まで来たのは良いんだけどね」
「何があったんですか?」
「そこが分からないのよ」
「シュン君が来るまでの間の1年と8ヶ月間の記憶が、私達には曖昧なの」
「シュンが来て、ギルド登録する時の会話で、私の記憶が戻ったのよ」
「私の場合は、シュン君が、収納魔法で『鎮静花』を出した時に戻ったの」
えっと、俺が原因ってのが分かったけど?どう言う事?
「えっと、記憶を失ってる時に、俺が現れて記憶が戻ったって所は分かりましたけど?」
「そうだね、分からないし納得も出来ないよね?それでも、これから言う事をやって欲しいの。メイル準備できてるんでしょ?」
「うん、できてるよ。今、持ってくるね」
「シュン、正式にSクラス冒険者ネイルとして、依頼します、この手紙を、クルワルの森を抜けた街『ランディール』にあるギルドのマスターに手紙を届けて欲しいのよ。そこで、正式に冒険者登録が出来るから」
「ええ!?俺、冒険者じゃないのぉぉぉ!!」
今まで、駆け出し冒険者だと思って、やってきたのに・・・・駆け出しですら無かったよ・・・。
「あと少しだけ私との修行は続けるけど、メイルとの修行はお終いね、手紙と私達のギルドカードは、念の為に預けておくわ」
手紙とギルドカードを、収納した。
「ネイルさん達は一緒には・・・・」
「行けないわ。アーレンに何が起こったのか、いえ何が起きてるのかを、突き止めて、その元を絶つわ!」
Sクラス冒険者のプライド?でも無いみたいだ・・・・凄い決意を、感じて何も言えなくなった。
そして、 少しするとメイルさんが、重そうな荷物を持って来た。
「お待たせ、シュン君。私が書いた、魔法の基礎と応用などを、纏めたノートなの、旅先で役に立ててなの」
メイルさん直筆の、魔導書か!!お・・調合まで書いてある。
「それとね、シュン!急で悪いんだけど今から、私とメイルは2~3日家を開けるから、一応4日後に来てくれる。もしも、その時、私達が帰って来なかったら『ランディール』に行ってね」
っと言われ、急に2~3日暇になった俺は、メイルさんのノートを読んで魔法の練習をする事にした。
ネイルさん達が居なくなって、今日で3日目。
俺は、クルワルの森に2日前に来ている。
修行じゃ無いよ、カチュアに訊いたのさ、エルフの女性に贈り物は何が良いのかって。
そっしたら、「種族に関係なく、女性は綺麗な物が好きだよ。」って。
具体的なアドバイスには、成らなかったけどね。
エルフに纏わる、何か無いのかなって訊いたら、かなり昔、ハイエルフが住んでいたって言う噂話なのかデマなのか。
っと言うわけで、確かめに来ちゃいました!!
何たって今の俺は、あの地獄の特訓に耐えたって言う、自信があるから!!
・・・他の人の修行知らないから、比較できないけどね。
そこで、初めてこの世界に来た、出発点を見つけた・・・何故?判ったかって?
そりゃー木が丸々1本、倒れてますから。(グリーンウルフが自滅して出来た跡)
ん~と来たのは良いけど、迂闊だったわ・・・・ハイエルフは昔住んでたから、何なの?って感じですかね。
ネイルさんとメイルさんに贈り物しようと、何か探しに来たのに。
無いもの探して、どうすんのさあぁぁぁぁ!!
あの時の様に、叫ばないから・・・ね。
森の、奥から6匹のゴブリンが、こっちに向かって走ってきた。
・・・・・・・・・ツッコマナイからね
「ギギ!!」
・・・・・ツッコマナイからね
「ギギギギ!!」
もう無理ぽい。1匹に付きワンコメントで・・・斬らせて頂きます。
「な・・・な・・・な・・・・何でゴブリンが、宝石の首飾りしてるのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
と、すれ違い様に、横に薙ぎ払い。
「お前の巣穴には、鍵があるのかよおぉぉぉぉぉ!!」
っと斬り上げ。
3匹仕留めた時点で、残りの2匹が逃げて行った。
宝石はまぁ・・・・譲ろう・・・・何で鍵もってるんだ?
良く見ると鍵には、以前メイルさんに、教えて貰ったエルフの紋章が入っていた。
さて、ハイエルフの遺品?らしきものを手に入れちゃったわけで・・
果たして、贈られて、嬉しいだろうか?
やっぱり、大人しく街で、探そう今なら、昼前に着きそう出し帰るか。
アーレンに戻った俺は、食事を済ませ。
贈り物に相応しい物が無いか、目を凝らして探した。
が・・・目ぼしい物が何も無いのだ。
「!?」
今、確かに、目の前に居た人が消えた。
それだけじゃない、そこにあった家は、崩壊していた。
急に崩れたんじゃない、最初からそうだったように、まるで元に戻ったようだった。
エプロンネコ亭に行くと、お客が、店の中が、朽ち果てたり、戻ったり。
ネイルさん達が調べていたのは、この事だったのか。
でも、何で急に街が・・・
もしかして、ネイルさんとメイルさんは元凶を絶ったのか。
俺の、頭の中である言葉が流れた「2年前の事、誰も教えてくれないのよ。」
完全に壊れる前に、確かめなきゃ・・・カチュア君は・・・何者なんだ!!
俺は、急いで宿へ戻った!!
なぜか17話が消えていたのですが?何がいけなかったのでしょうか?
冗談抜きで判らないのですが・・どこに引っかかった・・一応なおしました
一生懸命がんばって執筆したのに残念です。