16話 技と業の違い
いやぁ難しいですね・・・会話とか特に。
今日は、冒険者活動をやめて、俺は、ネイルさんと、街で買い物をしてます。
「シュン君、ごめんね、本当はメイルも行ければ良かったんだけど…」
「いえ、調合で忙しいって事は、お店が繁盛してるって事でしょ?」
「んー、まぁ、そう言う事・・かな・・・?」
何かあったのかな?ネイルさんの答えは、歯切れが悪かった。
「さぁ! 考えても仕方ないし、メイルの分も、楽しんじゃおう」
笑顔を見せて、手を繋いできた。
俺は、手を引かれながら、露店を中心に、ぶらぶらして見て回った。
昼時になった頃、近くの飲食店で、食事をしながら、会話を楽しんだ。
「ネイルさん、その手・・・ポーションで治さないの?」
「ええ、私には、必要無いわ」
ポーションなら、直ぐ綺麗に治りそうな傷なのに……。
「シュン君こそ、昨日はボロボロだったじゃない、どうしたの? 何時もは無傷に近いのに」
「それは・・・その・・・いろいろありまして・・・見るからに怪しい人に襲われて・・・」
「その、話は家でしましょう・・・ここでは、よしましょう」
食事を終え、メイルさんのお土産になりそうな物を、探しながら雑貨屋に入って、目ぼしい物を探したが、目を引く物が無かったが、2匹のネコの縫いぐるみを見つけ、何となくそれに決めた。
「何にしたの?」
俺は、聞いて来た、ネイルさんに、
「ないしょ!」
っと答え、家で調合しながら待っている、メイルさんの下へ帰った。
「メイル、今帰ったよ。調合の方は終わった?」
「姉さん、お帰りなさい。ううん、でもあと少しで終わりそうだから、大丈夫」
姉妹での挨拶が終わると、メイルさんは、こっちを向いて、また「行けなくて、ごめんね」って謝ってきた。
「メイルさん、調合で、何作ってるの?」
「ん~、いろいろなの」
としか、答えてくれなかった。
3人で、お茶をするために、店の奥へ行き、席に付いた、ネイルさんが、お茶を淹れる為にキッチンへ向かった。
俺とメイルさんは、今日の買い物で回ったお店で、美味しかったや、変わった物があった露店や店の話しをした。
お茶を、淹れてネイルさんが戻ってきて、話しに加わった、女性ならではの、視点に話しが変わり、2人は楽しそうに、話していて、置いてかれそうにもなった。
その時、昼食での、話しに変わり2人は、真剣な顔になった。
「そう言えば、シュン君、怪しい人に襲われたって、言ってたけど?顔とか見てないの?」
「体格とか、特徴とか、そう言うのでもいいから・・・」
「マント? ポンチョ? 見たいな黒い外套に、全身を包んでて、顔は布で覆われてたから、男か女かも、判らなかったんです・・・」
ネイルさん、メイルさんが、聞いて来た。
「シュン君に、クルワルの森に行くようにお願いした私の責任だわ・・・・ごめんなさい・・シュン君」
「いえ、襲ってきたのは、向こうが悪いんですから、それに冒険者なのに、冒険しないのは変でしょ?」
すっげー怖かったけど、メイルさんが、悪いわけじゃないし、出来るだけ格好いい事を言って見た・・・駆け出しの、『Fランク冒険者』ってポイントを除けば・・・・だけどね。
「ふふ、格好付けちゃって、お姉さんは心配だよ、新人冒険者に多いのは、ギルドに入って幾つか仕事をこなした時、自分が強くなったっと勘違いする所なのよね、それで無茶をして、命を落す人が多いのよ」
っとネイルさんが、微笑してから、調子に乗らないよう促してきた。
「実は、相手何ですけど、もの凄く強くて、太刀筋が全く見えなかったんです・・・・スキルの御蔭で防御は出来たけど、じりじり削られて、殺されそうになった時、誰かが風の魔法で助けてくれたんですが・・風の魔法を使う冒険者を、御存知ないですかネイルさん?」
「ん~私は知らないわ、基本スキルについて詮索しないのは、暗黙のルールだし」
「そうですか・・・あの、その人の御蔭で、相手の右手を斬る事が出来たんですが・・・血が流れなかったんです・・・・確かに手応えは在ったんです」
「その事に関しては、話す時が来たら話すわ、その前にやる事が山積みね」
ネイルさんは、何か知ってるの?と聞こうとしたら、メイルさんから質問が来た。
「ねぇ、シュン君は、襲われる前に、何かしたの?」
襲われる前か・・・コールディ草を、採取したぐらい・・・・・
「あ!! 何か、森の奥に進もうとした時、気がついたら・・・元の場所に戻っていて、スキルを使って無理やり通ったくらいですけど・・・・」
「たぶん、それなの・・・・いえ、間違いないの」
何か思い当たる節があったのだろう、メイルさんは確信し、ネイルさんを見て、お互い頷いた。
「どうしたの? ネイルさん? メイル?」
「「ん~、なんでもない」」
誤魔化す様に、ネイルさんが、別の話題を振った。
「そう言えば、メイルにお土産買ったんでしょ・・・私にも秘密して」
「え? ああ、・・・・・良いのが無くて・・・子供ぽいかも・・・だけど・・・はいメイルさんっと、それにネイルさんに」
「え? 私にも」
っと、俺が渡した、仲良く手を繋いでるネコの縫いぐるみを、2人に1セットづつ渡した。
「「ありがとう、シュン」」
と言って、2人はネコの縫いぐるみを嬉しそうに、見回していた。
「シュン君、これからの事なんだけど、良いかな?」
少し経って、ネイルさんが、今まで見た事がない真剣な顔になって話してきた。
「え!? はい」
「これから、何だけど。依頼は5日に1回のペースにして、私が修行を付けてあげるわ」
「修行ですか?」
「そう、修行。冒険者として行き抜く為に必要な事を、短い期間に全部、出来るだけね」
「私と姉さんは、冒険者だったの、この街に来るまでは・・・・」
「2人が、元冒険者・・・この街に来るまでは? ってどう言う事ですか?」
「それは、その時が来たら話すわ。だから、私とメイルにステータスを見せて欲しいんだけど?」
「基本、他人にステータスを、見せ無いのは暗黙のルール、それを教えるって事は、相手に自分の手の内を見せる事になるの・・・情報は、何処から漏れるか分からないから、誰も話さないの。」
ネイルさんの後で、メイルさんが補足して来た。
「断ってくれても、いいのよ?」
確かに、悩むけど・・・頼れるのは、アランさんとメイルさんとネイルさん位だし。
アランさんは、いつも忙しそうだからな・・・・門番って本当大変そう。
「はい、こちらこそお願いします」
説明書じゃ、そろそろ限界だし、チャンスだよね。
「言っといて何だけど、本当に良いの?」
「ええ、ネイルさんとメイルさんは、信用してますし、話さないですよね?」
「私達は絶対に話さないわ、ねぇ、メイル?」
「うん、話したら奴隷契約しても構わない」
「ど・・・奴隷契約ですか?」
「知らないの? ってこの街には、居ないから、知らないのも無理ないけど」
ああ~何か話してくれても、いい気がしてきた。
「シュンく~ん、何か顔が赤いわよ」
「変な、想像でもしてそう」
ネイルさんメイルさんに感ずかれた。
「嫌あの・・・美人のお姉様が・・・奴隷になってくれるなら・・・ばらされても良いかな・・・・・と、はい・・・すみません」
赤くしながら、頭をさげた。
「ふふ、シュンも男の子だね」
「なの~」
2人に笑われた。
「じゃあ、明日からって事で、戦闘は私が教えて、メイルが魔法について教えるから」
「分かりました」
今日は遅いので、俺は宿に戻り、明日に備えて、早めに寝た。
翌日、ネイルさん達に、修行を付けて貰うために、魔道具屋に行ったら、ネイルさんが、レイピアと銀色に光る軽装の胸当てと篭手を装備して待っていた。
「待っていたわ、ステータスは、後でいいわ、最初に貴方の剣の腕を見るから、付いてきて」
と言われ俺は付いて行くのだが。
「ネイルさん、修行するなら、ギルドの訓練場でしないの?」
「駄目、あそこだと人目に付くから」
と、言われ着いたのが、北にある『クルワルの森』と東にある薬草採取で行った『林』の間、方角で言うと北東にあった、大きな岩が4箇所あって、4角形を作っていた。
「ここなら、人目につかないし。魔物が近づかないように結界が貼れるからね。じゃあ早速だけど、打ち合いで業を見せて貰うね」
レイピアを抜き構えた。その、ネイルさんの姿は、言葉を失うほど美しかった。
「あの剣術スキルの確認は?」
「要らない、知られて無いけど、剣術スキルと業は関係ないから。それと時間が惜しいから行くわよ!」
遅い速度でレイピアを何度も突いて来きた。
俺は簡単に体を左右に揺らして、避けたり剣で受け流して見せたが、反撃する事が出来なかった。
「いい? 当たり前だけど、剣術スキルは振るう時に発動するわ。でも攻撃をしない時は発動しない」
「だから、なんなんですか、打・・・ち・・・込む・・・ 隙が・・・無い・・・じゃないですか?」
「剣術スキルは、攻撃スキルの1つなの。でも防御専用のスキルは魔法を除いて、2つしかないわ、その意味が解るかしら?」
攻撃の手を緩めず、突きながら話してくるネイルさんは、汗ひとつ欠かずに2時間近く攻めて来ている。
「いみ・・・って・・・はぁ・・・わから・・・ない・・・です・・・よ・・・・はぁ・・・はぁ」
俺は、ヘトヘトで全く反撃出来ずに、動きだけが鈍くなっていた。
「答えは自分で見つけなさい、そうしないと、意味がないのよ」
と言って、続けてきた。
さらにもう3時間、回避だけが続くが・・・攻撃のスピードに目が慣れない様に、緩急が付けられている。
スパルタ過ぎるよ・・・ネイルさん。
余りにも早くて目で終えない突きが、襲ってきた!
とっさに、剣で弾き返した。
その時、ネイルさんの腕が上へ跳ね上げた!
その隙を付く様に、ネイルさんの懐へ飛び込み、剣を寸止めして決めた。
「そう、それで良いのよ。ちょっと休もうか」
ネイルさんは満足そうに言って歩いてった。
岩で出来た影の上に座り、休憩しながら講義が進んでいく。
「受け流したり、受け止めたりするのは、確かに『基本の防御』だけど、それで反撃が出来るのは格下だけ、強い相手との戦いの場合は、こっちから隙を作らせないと、攻撃ができないのよ」
「えっと、あれはマグレで、ピント来ないのですが、剣で受け流した時に、力任せで軌道を変えただけですよ? 相手が力の強い人だったら意味がないのでは?」
「確かにそうね、でもね、これから教えるのは、それを力で弾く訳じゃないのよ、感嘆に言うとタイミングでやるんだけど、相手の力が乗り切る前か、乗り切った力が逃げて行く時に捌く業なの」
「それと剣術スキルって何の関係が?」
「剣術スキルは、熟練度って言うなれば慣れよ、癖と言い換えてもいいわ」
「癖ですか?」
ん~わかんねー。
「シュンって何時も私やメイルの耳が動いた時、ついつい見てるでしょ?病気みたいに。剣術も一緒よ」
あっ・・・ばれてた。
「分類が全然ちがいますけど・・・・」
「剣術スキルが、そこそこ高くなると、すぐ剣を抜こうとする位の戦闘狂になっちゃうのよ」
「なにそれ、危険じゃないですか!!」
「そうね、それを制御できる人は、さらに上に行けるけどね。剣って傷つける道具なのよ、剣があるか無いかで態度が変わる人が居るくらいにね。冒険者で、そこそこのランクになると、自惚れて荒くれ者になってしまう人の典型でもあるわね」
「剣術スキルが上がるのは、悪い事なの? で、ネイルさんは、俺にどうなれと?」
俺は、ピント来ないので直接聞いてみた。
「シュンにはね、最強の剣士になって欲しいの、私の最初で最後の弟子として」
「最強って剣術スキル10って事ですか?」
「違うわ業で最強に成って貰うわ」
「業で? ですか?」
「そう業でね。スキルのレベルアップは、たくさん斬って、たくさん振れば上がるのよ」
「だから、癖なんですね」
ついつい斬っちゃたぜーとか・・・・マジ危ない人だな・・・そんなのが居たら。
「はい、休憩おしまい夕方まで、さっきのが出来るまで、やって貰います。剣を振って攻撃するだけなら、誰でも出来るわ。大事なのは防御よ防御!!」
本当に・・・・夕方までやり続け・・・メイルさんの所へ戻った。
ステータス見せた際に、適正魔法、雷を見たメイルさんは、驚いて何か言ってたけど・・・疲労いっぱいの俺には何も聞こえなかった。
あしたも、ネイルさんの修行か・・・・
宿に戻った俺は死んだように眠りに付いた。
今回は、本当に難しかったです。
自分でも、難しいなぁ~とか思いました。
説明下手な自分が説明しようとするとカオスですね・・・
次回の作品は0時に投稿出来そうです。
こんな、私の作品ですが、読んで下さって有り難うございます!!
心より感謝しています。