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目に青葉 山ほととぎす トラブル発生? 3

薫がアグレッシブに動いております。

Side薫


「薫くん、メールだよ!!薫君、メールだよ!!」

午後の実験室。俺はいつものように菌達の様子を観察していた。

いきなり、菫の着ボイス(俺が作った会心の新作さ)でメールが来た事を知らせてくれる。

実験室は俺しかいないから、ボイスが流れるようにしてある。普段はバイブ設定だ。

「はいはい。なんだ徹か」

届いたのは弟から。いつもならそんなに気にはしない。今届いたって事が問題だ。

この時間……高等部は授業中。それにも係らず届いたそれには意味があると言う事だ。

それも緊急事態を意味しているはず。俺は慌ててメールか確認する。

そこには、今年大学部を卒業して、高等部で教師をしている男の名前があった。

俺もああ……あいつね。同じ学部だったねえ程度だったりするのだが。

しかも、ありがたいことに既に最低限方情報が既に全て揃えてあって添付までされている。

徹……お前授業はどうしたんだ?違うな。この情報は睦月の妹の……葉月ちゃんか。

トラブルハンターという別名を持った彼女が調べたであろう情報は、所詮高等部の新聞部ルート。

更に詳細が欲しいということだろう。俺の実験は急いでいないので、中断して調査を開始することにした。



まず、俺がすることはそいつがいたゼミの先生への接触だ。

俺の行き先は同じ理学部でも数学科のフロアーだ。階も違うけど、ゼミ室が割り出されたので最短ルートで行く事が出来る。

徹からの情報によると、大学の数学科の前は高等部にいたとなっている。

一つ年上だから、記憶にありそうなのものだが、個人的に絡んだことがないせいか記憶がない。

けれども、それより前の情報がない。ってことは、近隣地域ではないのはそれだけで分かる。

中等部では原則的に募集がない。入って来れるのは、職員の子息程度だ。なので、3年間で5人もいないのが現実だ。

……って事は、高等部になる。それでも60人だ。1年は転入組は別クラスで俺らと同じクラスと同じレベルまで1学期の間にペースを合わせるまで授業が進む。

だから、こいつは決して頭は悪くない事だけは分かる。性格が悪いのかどうかはまだ分からないが。

だから、ずっと学園の育ちの俺達でも、部活をやるとなるとかなりタイトになってくる。

菫と徹は結局……園芸部に入った。県のガーデニングコンクールの入賞常連だから、かなり大変だろう。

二人は中等部でも園芸部だから、今までの活動より多少忙しい位程度の認識かもしれない。

中等部の頃からお手伝いとして高等部に出入りしていたから……黒木との接触はないとは言えない。

とは言っても、黒木だけ一方的な可能性がかなり高いが。見えなかったラインが可能性として浮上した。

今の糸口をスマホのメモ帳に書き加えてから、俺は数学科の彼が在籍していたというゼミの前に着いた。

変な行動は悟られないように、情報を引き出せるといいなあと思いつつ、ドアのノックした。

どうぞという声がしたので、俺はゆっくりとドアを開いた。



「こんにちは……おじゃまします」

俺は取り繕った笑顔を貼りつかせながらゼミ室に入る。

そこには准教授を始めとした、ゼミ生が揃っていた。飛んで火にいる夏のなんとかじゃないかと俺は心の中でほくそ笑む。

チャンス到来。奴らから効率的に本音を引き出す。それが俺の目的。

「あれ?竹田君。珍しいね。ここに来るのは」

「そうですね。ところで、今年高等部の先生になった黒木君って、ここのゼミでいいのかな?」

「黒木先輩ですか?何かありましたか?」

「うーん、弟の担任なんだけども、どうも個人的な黒木先生が掴めないって悩んでてね。兄としては一肌脱ごうかなと思ってね」

「黒木先輩は、特に学内で話題になる人ではないですよ」

「だろうね。だから弟達も困っているじゃないか?そんな俺もその程度の認識しかなくてね。彼女とかは?いたんじゃないの?」

なんだよ。俺のリサーチ……いきなり手詰まりか?何もないってどうなのさ?

「彼女ですか……そんな話は聞いたことはないですね。でも、和風な人がいいって聞いた事がありますよ」

「和風ですか。具体的には何か言ってませんでした?」

「着物が似合う涼しげな人っていいよなぁって言ってなかったか?」

「言ってた、そういえば」

先生達は彼のそのエピソードで盛り上がっている。今時……和風だと?今時そんな女子……いるよ。

それも俺の身近に。菫のことじゃねぇの?この和装美人(仮)。

二人はどこかで会っていて、奴は菫と分かって近付いていることだけは分かった。



調査票のデータが入っているのは当然で、データ外の行動をした昨日の菫が……黒木にとっての問題になった訳だ。

親子教室の夜は、ばあちゃんの家で徹達と食事をしてばあちゃんの家に泊まる。

手伝いを始めてから決まっていた事だし、ばあちゃんの家に泊まらないが途中までは徹もいる。

なにより、昨日……家にいなかった事を知っている方が妙だ。

とりあえず、俺はゼミ室を後にして自分の実験室までも戻ることにした。

今聞いた情報から、俺は可能性を導き出すことにする。

とりあえず、黒木はどこかで和装姿の菫を少なくても1年以上前に見ている事になる。

何が目的は不明だが、教師としてではない目的で接近しているようだ。

考えたくないが、菫の家の何か細工がされている恐れがある。

既に菫の教室の机には細工がされている。

一方、俺の家は母が平日は在宅なので、室内の細工はまずないと思われる。



俺はスマホを取り出して、放課後に菫と徹と葉月をある場所に呼び出すことにした。

今の自分が菫の側で何もできないのが辛い。

何か方法があるはずだ。俺はそう思って久しぶりに高等部に向かって歩き出した。



承の部分終了です。次回は徹目線から開始したいです。

暫くお待ちください。

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