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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第六章

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崩落してしまえば

後は楽なのに

ノイエベルリン市内要塞地下壕聖女執務室


室内では重苦しい空気が漂い敵軍の包囲下で避難した聖女がパーティーメンバーや側近、そして何となく連れてきてしまった市民達を地下壕内へ招いていた。

戦況は国防軍の激しい砲爆撃により防御網が食い破られさながら第二次世界大戦のベルリン包囲戦のような様相を呈していた。もっとも包囲しているのはドイツ国防軍出身者や武装親衛隊出身者なのだが。


「聖女様、敵は広範囲にわたって防衛線を潜り抜け攻勢をかけてきています」


そう入室してきた剣士は地図に敵軍の配置と自軍の状況について詳細に説明を開始した。


現在高地の国政権の大規模な攻勢を受けてしまった結果対応に苦慮していたので予備戦力を全て勇者に託し一撃を加えようと急遽編成された国民突撃隊1個師団が敵司令部の捜索、攻勢、包囲網の打破、戦果の獲得による早期講和を目論み大陸打通作戦を実施していた。


「南ではツォッセン城を占拠しシュテレンスドルフ砦を攻め落とそうとしております。北部ではフローナウ山からパンコウ市間で軍事的な動きが見られます。東部ではリヒテンベルク村、カールスホルスト城の最終防衛ラインに取り付いております」


そう聞いた聖女閣下は北西に居る勇者の率いる国民突撃隊1個師団へ印をつけて鉛筆でノイエベルリン市内へ力強く矢印を引いた。

国民突撃隊はノイエブランデンブルク公国の率いる精鋭民兵であり、国家人民軍が鹵獲したティーガーⅡやSd.Kfz.251を用いた部隊である。

これを構成するのは勇者の親衛隊のエルフや獣人達でありドワーフがこれらの兵器を整備しているのである。

ちなみに彼ら国民突撃隊が用いるライフルはKar98kでサブマシンガンはMP-40だそうだ。


「大丈夫よ、きっと戻られる筈の北部の勇者様が率いる国民突撃隊が状況を取り戻して秩序を取り戻すわ」


その場に居たメンバーは勇者の攻撃に対して一瞬で口をつぐみ、気不味そうに残酷な事実を聖女へと伝えていた。


「聖女閣下…勇者様は…国民突撃隊は…」


魔法使いは苦しそうに成ってどもり気味の剣士の代わりに現実を伝えることに成った。


「勇者様の国民突撃隊は敵の攻勢により兵員を著しく損耗、組織的な戦闘能力は無くもう勇者と供回りを除けば全員敵の手により虜になったとか」


その報せを聞いた聖女はわなわなと怒りにより手が震えながら眼鏡を机の上に置いた。


「今から言うものだけこの部屋に残りなさい。剣士、魔法使い、錬金術師、あんぽんたんの賢者」


ぞろぞろと何で連れてこられたのか全く理解出来ていない市民達が退室していき残されたメンバー達がそのむさ苦しい顔付きでこれから待ち受ける叱責に対して怯えきっていた。


「私は約束していたのよ!!この王都ベルリンを助けに来てもらうって!!なのに一体その報告は一体何なのよ!!!」


地図を何回も人差し指で叩きながら半狂乱に成りつつ全方位へ罵るように叫んでいた。


「この勇者様の妻である聖女の!お願いを裏切るなんてあの人はどういうつもりなのよ!!??」

「妻って何なのよ、あの顔で結婚出来るなら私はとっくに何人もの男を取っ替え引っ替えしてるわよ」

ツッコんでいる善良なる市民こと外に居たユンゲはそもそも巻き込まれてしまったノイエベルリンの市民である。

巻き込まれてしまった親友ゲルダ共々何も理解の及ばないこの事象にずっと振り回されてしまいゲルダが取り乱してしまわないように側に共にバンカー内へ避難していたが何故かよく女帝陛下の側にいつも居る伍長そっくりな聖女やら軍高官のそっくりさんやらもうゲルダが何度も過呼吸起こしていたがその度にユンゲは宥めていた。


「その結果がこれなのよ!いつも貴女達は嘘をつくじゃない!!」


ゲルダがパニックを起こしてすすり泣きし始めたのでユンゲはそっと肩に手を当てて宥めようとしていた。


「もう勇者様もあんた達も皆嘘つきの裏切り者よ!」


賢者ブルクドルファは流石に士気に関わる深刻な問題になりそうな聖女アドルフィナの発言を抑止しようとした。

「アドルフィナ様!それは余りにも全員への侮辱でございます!!」

「知ってるわよ!この負け犬の臆病者のバーカ!!」


「聖女様!幾ら貴女様と言えど─」

余りの勇者への侮辱で訂正を求めたブルクドルファであるが

「あんた達はこの国の恥さらしなのよ!!」


「チクショウメエエエエエエエエエエ!!!!!!!」


堪えられなかった怒りを抑えきれずついにアドルフィナは鉛筆を投げ捨て叫んでしまった。


「うぅ…何で私の人生はいつもこうなのよ…」

「泣かないでゲルダ、今はあんたよりアタシが泣きたいのよ」


もうそれは司令部の小部屋の中からその叫び声が地下バンカー内へ響き渡りこの小さな公国が終わるその瞬間が決定してしまった事を如実に表していた。

バンカー内の女性陣はすっかり意気消沈し勇者軍が撃破されいつかここに来るのだろうと思い、ゲルダはいっその事早く爆弾とか投下してもらえないかなとか思っていた。


「それにフェーゲリアはどうしたのよ!!」

錬金術師が小声で答える。「彼女は……エルフの森にキノコ狩りに行ったまま、行方不明です……」

「フェーゲリアァァァァァァァァァァァ!!」





そんなバンカー内の様相を他所にシュタイナー大将率いる首都警備師団を筆頭に国防軍の部隊が快進撃を続けていた。


そもそもこの樹海都市に仕掛けられている一つ一つのギミックやブービートラップを相手にわざわざ全部構ってやるほどお人好しな戦闘などせずとも国防軍のPzH2000やMLRS等の火力支援装備であれば突入せずとも圧倒してしまえるので侵攻前に行っていた偵察情報や生還した国家人民軍の将兵に聞いた情報をすり合わせて、ノイエブランデンブルクの民兵達の籠っているであろう洞穴や木々に向けて激しく砲撃を加え炙り出し陣地が確認されたらそこにユーロファイターが精密空爆を実施して沈黙させると言う近代的な戦術を披露していた。


途中国家人民軍の装備を鹵獲したと思われる1個師団相当の戦力が打って出てきて国防軍の戦力へと攻撃を実施したがアッサリ撃破してその司令官と思しき者と共に逃げた数名を除いて全て排除が完了した。


再編成された国家人民軍を率いて国防軍の正規軍はノイエベルリン市街地へと突入していく。

途中エルフの民兵達が矢避けの加護を展開しながら魔法の矢で反撃してきたものの難なくこれをパンツァーファウスト3の爆風で貫通させ消し飛ばしてしまった。

ドワーフの拵えたミスリルの大盾はレオパルド2A8の榴弾を直撃され盾は耐え抜いたものの後ろのドワーフは跡形も無く消え果てノイエブランデンブルク公国の暴徒達は怯えながら敗走し始めた。


そんな中伍長はツォッセンから侵入する部隊に所属して悪趣味の極みであるキラキラファンシーの極みのような様相の城の城門をダイナマイトで吹き飛ばして陥落させシュテレンスドルフ砦ではウィンチェスターで次々と敵を討ち取りエルフやドワーフの建てたバリケードを突破してようやくノイエブランデンブルク公国の王都ノイエベルリンへと辿り着いたのだ。


樹海の中国家人民軍の部隊と協調しながら歩兵部隊が燃え盛る樹木の間を掻い潜り抜け

「アドルフ!アドルフ!!こっちに来てくれ!!!」


エメンタールの断面のように前方装甲が穴だらけに成ったパンターG型の後ろに隠れていた分隊指揮官であろう国家人民軍の軍曹が国防軍の伍長を呼び立てる。


「何だ!?私は国防軍の伍長であって国家人民軍の─」

「所属なんてどうでも良い!とにかく、今俺達は遠くからエルフの狙撃手に撃たれているんだ、そこに有るライフルで奴を狙撃しろ!!俺がその間囮に成って時間を稼ぐから!!」

「戦車はどうした!?」

「見りゃわかんだろ!乗員が皆殺しされて動けねぇんだよ!!」


そう軍曹が悲痛な思いで狙撃手撃破の為囮をしようとした際に後ろから続々と国防軍兵士が到着し

「エルフの狙撃手が居るぞ!150m先のあの洞穴にパンツァーファウストをぶちかましてやれ!!」

伍長が指示すると2発パンツァーファウスト3が撃ち込まれ狙撃手は沈黙した。


苦戦していた敵兵が

「…最初から国防軍動員してりゃこんな事には…」

「突っ立っている暇があるなら前進するぞ軍曹!!」


こうして各地で国防軍兵士が突破を達成し徐々にノイエベルリン市街地中心部に迫っていき地下壕内までその国防軍兵士の攻撃が響き渡るようになった。


一方後方の司令部では想定されていた予想よりも部隊が苦戦している事に対して司令官達は驚いていた。

大規模な部隊投入と火力支援により樹木は燃え盛り敵勢力は耐えられず散り散りになりながら打って出て来てもらえる想定で作戦を進めていたが燃え盛る樹木の中へますます立て籠もり泥沼の市街戦へと突入していった。


だが市街戦へ変貌するに伴いノイエベルリン市街を基に樹木が生えている事を上空からの偵察により確認した彼らは市内に熟知している警官隊を伴って突入しスムーズに木々の中に閉じ籠もる敵兵を殲滅していった。


そして市街地中央のノイエブランデンブルク門まで到着した伍長の所属する部隊であったが流石に見過ごせなかった聖女アドルフィナがパーティーメンバー達を率いて迎撃した。


「聞け!!そこの乱暴な偽りのライヒに仕える愚者達よ!私はアドルフィナ、この国の聖女にして女王よ!!!」

「はへぇ…?」


この時兵士達のボディカメラや無人機での撮影で視認していたモーデル元帥やルントシュテット元帥、そしてシュタイナー大将は顎が外れかける程その異様な様相にショックを受け、呆気に取られたアドルフは即座に猛烈な射撃を行う友軍部隊の存在を忘れきってしまっていた。


「何だあれは…訳が分からない…」

「我々の、我々…?一体何だ…」

「過去は過去として仕方ないとは言えあれでは…いやはや仕方ないものか…」

「ぶ、ぶひゃひゃびゃ、な、何よあれ…ふぐっ、ぶはははは!アドルフが、伍長がフリフリドレスを着て演説してるわよだーはっはっはっはっ!!後女装したカイテルとかヨーデルとか居るしばひーひーひー!!!げほっげほっげほっ、おうっげほっ、がふっ!」


司令官達が処理落ちでフリーズしてしまったが視察に来ていたエリカは笑いすぎてしまい過呼吸を起こしてそのまま倒れてしまっていた。


「私は貴方達に迎え入れる準備があるわ!!今投降さえすれば帝国は貴方達を暖かく迎え入れるでしょう!!!正義と共に我がブランデンブルク公国へと合流せよ!!!」

矢避けの加護と風よけの加護で爆風や狙撃手の銃弾を避け続けて飛行しながら演説をしているアドルフィナ。

そして魔法使いはその間にも光球を撃ち込んできて国防軍にも被害が目立ち始めた。


「小癪な真似を…よくも…よくも私の顔でしてくれたなロクデナシの神々どもめ!!!」

尊厳を絶賛砕かれている伍長はわなわなと身体を震わせウィンチェスターに弾を詰め込みコルトSAA2丁を残弾確認を行いダイナマイトを取り出しやすいよう導火線をポーチから出して殺意を滾らせる。


「ええい小娘!!そこを動くなよ!!今から本当の戦争の恐怖を叩き込んでやる!!!」


過去は変えられない

過去は常にあなたの側へ

だからこそ今をどうするか

きっと未来を良くするには

過去は捨てずに今を生きるべきである

でも結局過去は変えられない

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