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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第六章

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帝国の優雅な1日

何気ない日々と言う尊き

ここはノイエベルリン、高地の国の帝都ゲルマニアの副都であり市街地は整然と整理され道は汚れを知らないアスファルト舗装。

オフィス街はこの副都を中心に整えられ急速に近代化されていく大陸西部の巨大なビジネス街の一つに数えられ多数の企業戦士達がライヒの黄金を維持する為の経済を回し続ける為日夜鉄道で地方都市からすし詰めにされて駅舎に流されていく。

そして駅から降りた会社員達は男女問わず急いで出社して今日も家族達の為に働き、社員達が必死な顔をして働く様を見て社長は更に彼らに労働を課させて会社の成長を欲どおしく目論んでいた。


公園では鳩は醜く肥え太り平和を示し、スズメや烏は人の残飯を探して四方八方飛び回る。猫は人のゴミを破こうと企み管理人や警備員はそれらを阻止する為に網を置いて下らぬベルリン攻防戦を繰り広げる。

そんな繁栄していた都市だがある日異変が起きた。


突然巨大な木々が生い茂り、オフィス街は木の住宅になり何処からともなく移住してきた大陸西部ではおとぎ話にしか存在を確認出来ないエルフやドワーフ、獣人がノイエベルリンに湧いて彼らは突然自分達がノイエベルリンの正統なる住民である事を主張してきたのである。

そして追い出されてしまったノイエベルリンの市民達はこの事態へ、そして不当占拠に抗議し彼らを追い出す為に地元選出議員を陣頭に立て議会は現地人で構成された軍隊─国家人民軍を派遣する事を決めた。


当初は話し合いを求めていたものの議員達を魔法使いではない事や自分達の知る王族に該当しない事から頭ごなしに否定して対話が不可能であり市民が一部捕縛され奴隷市場へと送られたという報告が有ったのだ。

であるからして高地の国の市民側も行政側も対話も不可な武装勢力への鎮定を帝国議会へと要望したのである。


更にこの謎の勢力はノイエベルリン占拠後更なる暴挙に出てしまい勇者と聖女による《ノイエブランデンブルク公国》の建国を宣言しノイエベルリンの独立を宣言した。

体制としては勇者と聖女、そしてその仲間達(パーティー)による権威主義的宗教独裁国家であり中世的な社会の都市国家として独立をしてしまったのである。

無論高地の国には敵対的な指針を持っている。

ちなみに聖女の姿は性別や体型はしっかりと女性なのに顔だけどこぞの総統閣下にそっくりで勇者のパーティーメンバーも性別は女性だがカイテル(剣士)ヨーデル(魔法使い)クレープス(錬金術師)ブルクドルフ(賢者)にそっくりだそうな。


そして国家人民軍の最新鋭の装備─パンターG型やティーガーⅡが地上から侵攻してその後にぞろぞろとSd Kfz 251やオペルブリッツに乗った装甲擲弾兵部隊が続き上空からはMe-262A-1が制空戦闘に従事してFw-190G-8やDo 217 N-2が対地支援を実施するのだ。

そんな国家人民軍の勇姿を見て市民達、そして資本家達は安堵の表情を浮かべ無残な姿を晒すノイエベルリンの解放を今か今かと待ち望んだ。

国家人民軍兵士達も国防軍ばかりに良い顔をさせるわけにはいかなかったのでStg44やMG42を携えて行進し都市ノイエベルリンを包囲した。

そして国家人民軍の勇敢なる兵士諸君は隊列を組んで軍歌を歌いながら森の中を進軍して



『こちらノイマン大隊!撤退いたします!!もう防衛線を突破されています!!ああっ大隊長殿、そんな!!』

『ひ、ひいいいいくるな、くるなこの人狼どもおおおおおお』

『何処から撃たれているのか分からない、撤退、撤退をぐぁっ』


いとも容易く、いや最早ハサミで糸を切るようにアッサリと壊滅していた。

それはそれは旧国防軍や武装親衛隊出身の国防軍将校団達が怒髪天を衝く勢いで顔を赤らめていて自分達が過去身に纏っていた軍服を着たハンガリー兵かイタリア兵としか思えぬ程情けなく敗走した彼らをかつてない程侮蔑を込めた表情で見つめていた。

終いには部下の脚を撃って這々の体で逃げ出した士官が呆気なくエルフの弓に射抜かれて大地に命を返して負傷した兵士は森の奥へと引き摺られていった。


司令部に籠り顔を青褪めさせている司令官達の隣で惨状の無線通信を聞いていた国防軍のモーデル元帥がうんざりしていた顔で国家人民軍の兵士達に告げた。


「で、今回のノイエベルリン侵攻には事前砲撃はされていたのかね?」

「いえ…我々はあくまで国内の市街地奪還を名目に出兵しているので事前の空爆や砲撃などは出来ず、それにまだ内部に市民が居ると報告が有りますので…」

「市街地?あれの何処が市街地かね?私には巨大な森林しか見えないがノイエベルリンの市街地は何処かね?」


指さす先には巨大な樹海、そしてその樹海の中に飲み込まれていく哀れな国家人民軍将兵たちが居た。


「いえ、その…これはあくまで国内の都市を不法占拠する不届きな輩をあくまで討つだけでして…わざわざ街を吹き飛ばす必要は無いかと…ははは」

「だから何処にそのノイエベルリンの街並みが有るのだね?!何度も言わせるな、木々しか見えんぞ!士官学校では何を学んでいたのだ!??市長に媚びへ辛い議員におべっかを使う事しか学習してないのか!!」


攻撃機部隊は大樹の枝に薙ぎ払われ地に落ち戦車部隊は地面から鋭く生える樹木の地雷に貫通されて身動き出来ず内部の戦車兵を植物の養分にしていった、そして一部の兵士達はアルラウネに種を植え付けられアルラウネの種や苗の養分を摂取する為に友軍を攻撃するような事態も発生して混乱の中に機甲部隊は取り残されてしまった。


空を舞うドラゴン達に低空戦で横方向に単純旋回戦を挑んで(Me-262)たちは情けなく運動エネルギーを奪い取られて龍の炎のブレスで焼き焦がされて呆気なく叩き伏せられフンメル自走砲は何故か最前線に来ておりこれまた呆気なく乗員が獣人達の餌にされてしまった。


突入した歩兵部隊は森林戦や市街地戦の訓練が足らず火炎放射器を持つ兵士は良く目立ちエルフ達の火矢によって優先的に狙われてボンベごと射抜かれて部隊全員が巻き込まれ消し炭に成り、指揮官や通信兵の姿を視認すると火炎放射兵の次に高価な目標として狙われてしまい国家人民軍の兵士達は敢え無く敗北してしまった。

指揮系統や市街地戦用装備を喪えば精兵を幾ら揃えようともいとも容易く脆く崩れ去ってしまうのである。


「それにしてもここまで惨敗してしまったとは…一度想定の見直しをせねばならんな…やむなく私も来たとは言えどうしたら良いか全く分からんぞ…」


余りの惨状に首都警備師団司令官のシュタイナー大将も呻きながら


「申し訳ございません…本当に申し訳ございません…面目次第もなく…まさか、原始人にこのように手古摺るなど…」

「謝る位なら我らに一度相談をするか議会から陛下に上奏されれば良かったものを!!」

「申し訳ございません…おっしゃる通りで…」


モーデル元帥は怒り心頭で国家人民軍の代表であるヘッセンシュタイン中将やアドラーイン少将へと叱責していた。

軍事として大前提である偵察や事前の砲爆撃を怠り、重装備の兵士達を有効な火力支援無しに森林と市街地を兼ね備えたような都市に突撃させてしまい挙句の果てには蟻地獄の中で1個師団相当の戦力を犬死させるなどあってはならない現実を実現させてしまった愚か者達が許せない一方少なくとも今居る戦力として再編成させて再度投入しなくてはならないのも現実ではあった。


「彼らを責めるより先にするべき事が有るぞモーデル元帥。今ノイエベルリン市奪還こそ我らの任務でありライヒに宣戦布告してきた所属不明背景不明の武装勢力が敵だろう」

「くっ…ではそうさせていただこうルントシュテット元帥。面倒な事に成ったな…あれは」


二人が頭を抱えながら巨大な森林と化したノイエベルリン市を眺めて全方位が敵の射角で断続的な攻撃が行われる悪夢のような都市要塞にライヒの誇る頭脳の二人は思案を巡らせる事に成った。


そして一人の珍妙な格好の男がノイエベルリン奪還作戦へと投入されていた。


「陛下…私を雑に扱われるのは構わぬが何で、何でよりによって…こんなアメリカ人みたいな格好を…嫌いではないが…」


背中にウィンチェスターを背負い腰にはコルトSAA2丁をホルスターへ差し込みデニムを履いて西部劇のガンマンのような格好をしている「伍長」が戦線に投入されていた。


「どうしたんだありゃ…」

「しっ!声がデケェよ、ありゃ陛下がまた何か癇癪を起こしたんじゃね?」

「ああはなりたかねぇな…」


ヒソヒソとG95を装備している兵士達が彼の陰口を叩いているがしっかりと聞こえているしもし自分が総統の地位に居るならきっと彼らを縛り首にしていたかも知れないが今の自分はただの伍長である。

隣をレオパルド2A8が通る度何故か虚しく成る伍長だったがくっと涙を堪えてナイフを鞘に納めてテンガロンハットを被る。

装備をくまなく点検して弾薬を弾帯やポケットに詰め込みダイナマイトも支給されたのでウェストポーチの中に押し込みマッチも同じ場所に入れておいた。


「陛下、どうしてこうなったのでしょうかね…」


ついボヤいたのは原因がこの国防軍出動時点まで遡り…



エリカは参謀本部に全将校を呼び出してとある重大案件を国家機密としながら情報共有の為に情報部のカナリスさえも呼び出してしまっていた。


「全員揃ったわね。では国家存亡に関わる議題だから良く聞きなさい私の将軍達!聞き逃したら貴方達にも関わる事だから聞いてませんでしたは許されないわ!!」


そう机を強く叩いた後に将軍達へと注意を促していた彼女へ「は!陛下万歳!!」と返答をする元帥や将軍達の顔を流し見るように見た後深々と椅子に座り事態の重さを伝えた。


「面倒くさいけど、今回の大会でどうやら私達に対して運営様とやらがエラくお冠のご様子らしいわ。それで奴等からの嫌がらせとして近代文明の国、我が国と平原の国のファンタジー化計画が始動したらしいのよ」


シュペーアが恐る恐る、何となく何を言っているか


「ふ、ファンタジー計画?とは一体どのような」

「ファンタジー世界でナーロッパ…って言っても仕方ないから簡単に説明すると剣と魔法の世界に変わって銃と火薬を淘汰するとか何とか…」

「そ!そんな馬鹿な事を!!その愚か者達は何故このような美しい帝都を壊そうと企むのですか!?我が国が何をしたと言うのです!!!」

「つまらない。近代文明が中世ヨーロッパ文明を蹂躙するのは淡白な味の不幸だから出そうよ?現代的で民主主義の帝国議会とかダイヤ通りに来る鉄道とかどうでも良くって泥濘に塗れ剣で戦い弓で狙い魔法で制圧するそんな世界がお望みらしいわ」


シュペーアは絶望した表情で告げられた内容については受け止めようと頑張っていた。

そして良くも悪くも個性に関しては多様性に溢れた国防軍の比較的真面目な将軍達の一人であるレープ元帥は何となく理解していた。


「つまり我々はその者達からしたら敵であり、文明もまた退廃的な科学文明である事が気に入らないと」

「ええ、運営のスポンサーのオーディンがその様に言っているらしいわよ。手に汗握る剣と斧、槍で戦うのが戦士としての文化であり定義だとか」

「はぁ…そんな眉唾な、とは思いましたが我々がこうしてここに居る時点で野暮でしたね。剣と斧で戦うのが戦士の文化……ですか。野蛮の極みですね。我々プロイセンの伝統においては機動力と攻撃、そして緻密なダイヤグラムこそが『戦いの芸術』なのですが。北欧の神々は随分と原始的なスポーツがお好みのようだ」

「言いたいことは分かるわ、科学文明ってその剣と魔法の世界でも結局『科学化』していく技術体系でしょうに何ノスタルジックに否定してるのか、北欧の神様ってアホなの?まぁ向こうの言い分だとその戦闘シーンに音楽載せて描きたいのに近代戦闘だと一瞬でケリが付くから嫌らしいのよね、理解不能だわ~全く銃撃戦の有る映画とか見たこと無いの?」


そしてライヒは世界の敵であり、ライヒは壊すべき大罪人である事が運営から伝えられたので一斉に悩み始めた。

エリカはその場の空気を変えるためにぱんぱんと手を叩いて彼らの空気を変えるために朗報を告げる事にした。


「所で良い知らせも有るのよ、それもとびきり良い知らせが」

「天から天使の軍団がやって来て我らに味方でもしたのですかな?」


皮肉を言ってしまった伍長を睨見つけると

「貴方は次に軍事作戦を実施する際最前線でカウボーイ装備ね」

と命ぜられてしまった。


「平原の国と合同軍事演習が決まったわよ。これには国家人民軍も参加するから私達の久しぶりの平和な状況下での国威発揚のチャンスに成るわ!だから─」

「大変です陛下!!」

「何よ!!ノックも無しに!!!」


乱入してきた文官にその場に居た者達の注意が向くが彼は辿々しく伝令として役割を果たした。


「ノイエベルリン市が、ノイエベルリン市が謎の攻撃を受けて森林に成りました!そしてノイエブランデンブルク公国を名乗り帝国へと宣戦布告し現在議会で戦時動員が全会一致で緊急可決し国家人民軍が各地から集められ、そのノイエブランデンブルク公国を攻める準備を行なっております!!」

「議会め…私を無視して勝手に動員したわね…!そんなに勝手に戦争したいならすれば良いじゃない…!!」


すると帝都ゲルマニアの警備を担当するシュタイナー大将がふと口を開いた。


「陛下、ゲルマニアとノイエベルリン市はそう遠くなく距離は30km程度で御座います。いかがされますでしょうか、陛下の喉元に短剣を突き付けた愚か者がどうやら居るようで御座いますが」

「…そうね。ならある程度師団を纏めていざという時に備えて戦力投入の準備をなさい。戦争準備の時間よ」

「御意に、我らが陛下」


恭しくエリカに頭を垂れナチス式敬礼をしたシュタイナーはそれを理由に急いで退室しその流れで将軍達も退室してエリカは少し遠くに有るであろうその樹海を不愉快そうに想像していた。



我らの黄金のスワスチカは貴様らの下らぬ幻想に付き合わぬ

我らの千年王国は決して滅びぬ

我らが力を見せよう

讃えあれや、我らのパンツァーを

照覧されよ、優れた兵士達と将軍を

鉄十字は今も尚錆びず色褪せぬ

電撃は貴様を焼き焦がすまで落ちるだけ

さぁ、雷鳴の鳴る方へ

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