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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第四章

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砕け落ちる竜達

堕ちし龍は

「ワハハハっ!我が軍は常勝不敗、賊どもが何するものぞ〜!!」

「殿下、おやめくださいませ。今どき王が陣頭に立ってどうするのですか!」


無邪気そうに叫んでいる戦闘服姿の少女はシグルーン。龍の国の元皇太子であり現在は平原の国から支援を受け王国再建に向けて軍閥を率いて旧領各地に兵を派遣していたのである。

彼女を補佐するグスタフ大将は必死にさらに前へ出ようとする姫君を制していた。


ここ最近勝ち鬨を上げっぱなしなシグルーン派はリンドルム周辺を抑える神堂政権以外の軍閥をほぼ併呑して龍の国を実質統一したような状態で有った。

テクニカル部隊は龍の国の各軍閥の機動力を優に上回りそして火力面ではロケットポッドや火砲の搭載しているテクニカルトラック部隊が支援して陣地を破壊しAK-47を持つ歩兵部隊が制圧していく戦法で他の軍閥は敗北していった。


補給については武装を搭載していないトラックが弾薬や食糧を輸送し、食糧等の現地調達可能な物は臣民達と取引を行い不足分を補っていた。


高地の国や平原の国に逃れられず龍の国内に取り残されていた農民達は彼女達に差し出す事を当初は拒んではいたものの平原の国の支援で提供されていた衣服や平原の国の紙幣(ズウォティ)での取引を行った結果彼らは喜んで取引に応じてそしてシグルーン派の物資は他の軍閥に比較して圧倒的な物量で押し潰す事に成功していたのだ。

更には奴隷として縛られていた者達も解放し兵力として加えて戦力は日増しに増す一方で、他方平原の国から帰国した貴族官僚達が既に占領地の行政を立て直し続けており税制や戸籍の調査、更には帰国した難民達の居住区の割り振り等を行って戦後復興を見据えた統治の地盤を固めていきつつある。




ちなみに支援は全て有償支援として平原の国から提供されているため後々平原の国が取り立てる予定では有るが龍の国の民からしたら神堂政権下の全てが破綻しきった原始的社会よりかはマシだとは思われる。


「それもこれもあやつが支援してくれた結果妾の軍隊が強力に成ったからじゃが…あやつが本当にただの変態不審者ではない事はよく分かったのじゃ…今度は会ったらしっかり謝ろうと思うのじゃがのう」

「殿下…後余り変態変態言わないであげてくださいませ。我々への支援が打ち切られるかもしれませぬ故」

「むぅ…それもそうか。まぁ良い、ではグスタフよこのままあのクズ男から母上を救う為にリンドルムへ進軍をするとしようかのう」

そう2人は話し合っていると

「ご報告!我が軍へ平原の国よ。使者が参られました!!」


急報を持ってアンデルセン大尉は大汗をかいて騒がしく二人の間に駆け込んで来た。


「なんじゃ!妾はこれからの戦略について軍議しておったのじゃぞ、それなりの要件であろうな!!」

「は!ただいま我が君宛に君塚摂政が参られております!!至急お話することがあるそうでございます故何卒ご対応ください!!!」

「「な!?」」


「殿下!今すぐに召し物を変えなさってくださいませ!まさか君塚摂政の前でそのような出で立ちで出られたらもうこのグスタフ腹を召さねば成りませぬ故!!」

「わ、分かった!妾に早う服を持ってこい!それと香水を!!」


二人は驚いた。たった今君塚を話題に出した途端にまさかの本人が参ったのだから二人は驚き戦闘服姿であったシグルーンにまともなドレスを着させてグスタフ大将は送り出した。


「やぁやぁ良くぞ参られたのう君塚殿、ささ斯様な場所で立ち話もなんじゃから妾の指揮所にて話をせぬかの?」

「ははは、それはありがたきお招きではありますが急を要しますのでこの辺りでお話しましょう」

「そ、そうか君塚殿…まぁそんな事もあろうかと」

「単刀直入に申し上げると我が国も神堂に攻撃を受けまして戦争準備中です」

「なんと、それは誠に…あの男本当に見境も無いし愚か極まりない破廉恥な輩じゃなぁ…」

「ええ⋯ですので我が国の軍隊、つまり国内軍が今回貴殿との共同軍事作戦に従軍する事に成りますので1ヶ月後にそちらとの協議する場を設けます。ですのでそちらにご参加のほどよろしくお願いします」

「うむ!そなたのご恩に報いるためにも必ずや参ろう!!」

「多大なるご配慮いただきありがとうございますシグルーン殿下」



そして関係各勢力を回り一通り話を取り付けた君塚はようやくヤドヴィガへ報告に上がる事が出来る段階まで漕ぎ着けられていた。


「おかえりなさいませ君塚様。お疲れな所申し訳ございません、早速ですが成果について報告をしていただけますでしょうか?」

「はいまずシグルーン派は当然ですが今回の遠征の場に出てきていただけるとのことです。それと低地の国は好意的中立を貫いていただけるそうで我々への交易などは引き続き継続される見通しです。そして問題の高地の国でございますが女帝陛下のご意思では今回の戦争に介入される予定でございます」


高地の国の積極的介入に少し呆れた様子のヤドヴィガは


「…貴方の元婚約者の方は大層しつこい方なのですね。まぁ良いでしょう、高地の国の兵は戦力にはなりますから彼らには精一杯我が国の華を盛り立てる添役としての務めを果たしてもらいましょう」

「まぁ…彼らは役に立つとは思います。高地の国は北方から龍の国に攻め入るとのことですので恐らく鷲の国は今回の戦役には中立の立場を取るでしょう」

「ええ、そう成ると思われるでしょうね。彼らは高地の国の友好国でありますから焼け野原に成るような真似を自分からするとは思えませんが念のため警戒をお願いします」


鷲の国とは直接関係が無い国ではあったが平原の国と同等の文明レベルであり現地の軍は既に平原の国王国軍以上の規模と動員力と聞き及んでいるのでヤドヴィガからしたら警戒に越したことはないのである。


「かしこまりました殿下。それと1ヶ月後に龍の国シグルーン派と高地の国との協議の場を設けました故何卒ご出席の程よろしくお願いいたします」

「わかりました君塚様。…しかしまた一国を落とされる貴方様はどのような心中なのかお伺いしてもよろしいでしょうか?」


ヤドヴィガは君塚を試すように少しだけ意地悪な質問を投げかけた。

君塚は今回龍の国を攻め落とせば2つ目の国を攻め取った転生者内では唯一無二の存在となるが君塚からしたら心象的に別に何ともないのである。


「そうですね…目の前の火の粉を払っていたらいつの間にか国を落としておりましたから何ともない訳では無いのですが流石にやり過ぎたかもしれないとは思いますね」

「あら、ご自覚がございましたか。ならいつも以上に厳しく身辺を警戒してくださいませ、もし貴方様に何か有れば…その、私…」

「大丈夫です殿下、私には何万と言う兵士が居て武器も潤沢でございます。もし私を討ち取れる者が居たとしたらきっとそれは神しか居ないでしょう」


そう傲慢な言葉を言い放つ君塚は自信満々な表情を浮かべていたがその実内心は不安ではある。

もし暗殺に特化したギフト持ちが自身の暗殺を企てていたら?もし軍隊召喚・創造系ギフトの持ち主が斬首作戦を実行してきたら?もし催眠・洗脳系ギフト持ちが自軍の将校、ヤドヴィガや透、そして君塚の周りにいる人物達を洗脳し平原の国を乗っ取ったなら?

そうでなくとも瞬間移動しながら巨大なレーザーを放つ剣や槍、弓で暴れられたら平原の国はひとたまりもないだろう。


転生者は何でもありのならず者であり無法者であり人の形をしている文明に対する災害である以上何をしてくるか本来なら不明で最悪龍の国のように文明レベルの崩壊さえあり得るので大丈夫などとは本来なら言えない、そんな強大なリスクを立ち向かう以上軽々しい発言でしかないのだ。


「ですが私は君塚様を信じておりますので大丈夫だと思います。例え君塚様が討ち取られても君塚様の後は追わず私達の覇道は私が引き継ぎますから安心して戦ってくださいませ」


不安を悟られまだ幼く本来守るべき主君にこのような事を言われた君塚は申し訳無さそうに思った。

もしこのような事が起きぬように今回の戦争では最大級の火力でもって無法者の王国を徹底的に滅ぼし転生者達への警告としなくてはならない事を覚悟した。



そして1ヶ月後会談が実施され君塚が手を回して何事も無く順調に進み平原の国の軍事介入が決定され各国の利権について協議が行われた。

全ての龍の国への支援は有償となる事、そしてスヴァルの鉱山都市等は担保として平原の国が預かる事、そして神堂政権に与していた下級妃達の処遇については捕らえた者は平原の国での裁判にかけられる事、そして神堂は裁判にかけずに処刑する事が決まってしまった。

有償の支援についてはシグルーンは顔を青褪めさせたが言い包められてしまいやむなく承諾しスヴァルの権益を担保、つまり平原の国の管理下に置くことをやむなく承諾した。


そしてその会談から一週間後、各国の軍事介入が始まった。



若い竜族が任務のため姿を変え人から飛竜に成り大空へ舞い上がる。


彼は神堂に命ぜられ自分達の里を守る為に哨戒飛行していた、最近の神堂は地方の政権にナメられていて反乱が頻発していたがそれでも彼らは竜族支配のギフトによって従っていた。

決して彼には悪意は無かったが軍閥に付いた民や兵士達を炎のブレスで吹き飛ばして反乱分子を弾圧し各地の軍閥の私兵を焼き殺してきた。


そんな彼だが最近はシグルーンと言う軍閥の勢力が伸長してきており背後には神堂と敵対している平原の国の姿が有るらしいが竜族は平原の国については何も知らず精々隣国である事と神堂政権を目の敵にしていることだけである。

彼らの兵器なんて当然知らないしどんな戦い方をするかさえ知らぬ彼はいつも通り高度1000m程度を飛行して地上で這いずり回る反乱軍を鎮圧するのが仕事だ。


そんな中少し自分達より高い高度に何者かが飛行しているのを竜族の若人は見つけ近付こうとしていた、だが相手は自分達より遥かに高い高度で巡航していて尚且つ凄まじい速度で自分達の里の方角へ向かっていた。

急ぎ戻ろうとした矢先凄まじい衝撃と無数の破片により貫かれる感覚と共に竜族の若人は意識を消し飛ばされた。



《こちら鎌6、目標沈黙。奴らの表皮に金属が含まれてて良かったですね》

《了解、さっさと竜族の里を全部吹き飛ばしてしまうぞ。奴らの航空戦力は削いで削いで削ぎまくってやらないと地上部隊が泣き言ほざくだろうからな》

《こちら鎌7、不思議ですね同志…まるで竜族はもっとこう、多いのかと》

《鎌7、言いたいことは分かるが神堂政権だぞ?どうせ竜族をガンガン使い潰して動員兵力が減りまくってしまっているんだろ。それも飛行前のブリーフィングで聞いてなかったのか?》

《いえ、ただ信じられなかったので…》



上空のSu-35Sの3機編隊が護衛の為哨戒飛行している竜族の排除を実施していたが思ったよりも少なかった事に驚いていた。


《こちら鶴3、そろそろ目標地点を通過する。上空の掃除は完了したか?》

《こちら鎌7、進路に脅威無し。奴らの里は吹き飛ばしてやれ》

《鶴3了解、爆弾全弾投下》


16機のTu-160M2が爆弾倉を開放し竜族の里へ燃料気化爆弾を投下した、そして鮮やかな橙色の光とともに竜族は若い者も老いた長老もこれより生まれ出る命さえも天へ命を返した。

協議の結果竜族の里は民間人は存在せず全て戦闘員もしくは協力者である事を理由に全区域に対する爆撃が許可されていた。

龍の国内の竜族の里へ様々なFAEBを投下した結果竜族の里は地上から消え去り竜族の歴史は平原の国の猛烈な爆撃によりたった今途絶え神堂は最後の牙を抜かれてしまった。


「さて、我々も前進するか」

T-90Mの戦車長は整然と並ぶ戦車隊を率いて今や雑草と泥により見る影もなく成った旧街道を進撃していた。

「こんなに泥濘んだ道路?を見てると故郷を思い出しますよ。あぁ、バーバヤーガが出そうだ」

運転手が呑気にそんな事を言っているが地上では大した抵抗は無く死の街道をひたすら前進する戦車部隊がそこには居た。


今回の作戦では先に王国各地の竜族の里へ空爆を行い航空優勢を確保した上で陸軍が進撃すると言う計画であり、シグルーン派援護の為に陸軍の正規部隊に先駆けて空挺軍第1師団から第5師団まで陸地から進撃していた。

今回の作戦では陸軍はロコソフスキー元帥が率いる第1軍がその空挺軍部隊に続いて都市や村落を無視して敵部隊もしくは転生者達の掃討と敵防衛戦の打破し線の圧力をかけ、そしてチュイコフ元帥率いる第2軍が都市にBMPTとTOS1Aで構成された2個都市制圧旅団を順次派遣して制圧し点での圧力をかけていた。

特にゴルバトフ将軍率いる第2都市制圧旅団は第1軍の支援にも回りリンドルムから打って出た下級妃達を何人も撃破し神堂のなけなしの民兵部隊、そして山の国の傭兵団を散々に撃破して後方連絡線の安全を確保した。


山岳部には第4軍としてメレツコフ元帥率いる山岳部隊や工兵を中心にした部隊が派遣され彼らが山岳部の残された軍閥の討伐を担う事に成り第3軍をトゥハチェフスキー元帥がティーグルMやイヴェコLMV等で構成された車両部隊を率い各地に散らばって点と線をつなぐ面の圧力を果たしている。


他にも高地の国のロンメル元帥やマントイフェル元帥が率いる機甲師団が北方から突入し各地の軍閥や下級妃の残党部隊を撃破していた。


そしてリンドルムは包囲され神堂政権は終わりを迎えている。


そんな中君塚はリンドルムの見える小高い丘に登りシグルーンと会談していた。


「シグルーン殿下、ようやく貴殿の願いが叶いそうですな。しかし神堂は面倒な男ではありましたが正攻法で攻めてしまえばこんなにも儚いとは」

「そうかの。妾にはもう世界に対して抗い荒らした蝗の末路として相応しい末路のように思える」


二人はお茶会を楽しみ、君塚は紅茶を飲みシグルーンは君塚の差し出したリンゴジュースを飲んでいた。


「じゃがまだ終わっとらんぞ君塚殿。まだまだあやつはリンドルムを汚し続けておるわ、懲りぬしみっともなく足掻くし良いところなんて一つも無いではないか」

「…戦争末期の国家なんてあんなもんでしょう。国家の崩壊を受け入れられぬの国家元首とはかくも醜く足掻くのです、私達の国はああなりたくはないですね」


無線が入った。

《閣下、神堂が脱出しようとしていた所を確保しました。念のためご確認願います》

「了解、少し待ってろ。ではシグルーン殿下、お手を」「うむ。では共に参ろうか君塚殿」


そして神堂が下級妃のギフトを使い転移して脱出しようとしてた所を捕縛したと言う連絡が入ると二人はそのまま隊員達の許へ向かった。


「くそっ、離せ!俺は龍の国の神堂だ、てめぇらみてぇなクズ野郎どもが触って良い奴じゃねぇんだよ!!」

肌は浅黒く髪の毛には脂がついててかって威厳を失った容貌の神堂は喚いていたが二人はいざ対面すると哀れな元暴君を見て自分達の問題がまさかこんなにも小さかったとは思いもしなかった事を知らされる。


「やぁ久しぶりじゃないか神堂、元気してたか?」

「妾の国を食い物にしていたくせに負けたら喚くとは…呆れたものよのう」


「ああ、君塚のおっさん助けてくれ!!俺は、俺のギフトはあんたの役に立つから!だから!!降参するから!!!」

「要らね。後俺は転生時27歳だ、おっさん呼ばわりすんじゃねえ」


君塚はアッサリ切り捨てた。

「で、でも俺の女性支配はあんたの帝国の、支配の役に立つ!どんな女でもイチコロなんだぞ君塚の旦那!!なぁ!!!俺─」

「てかさ、うちの弟の尊厳めちゃくちゃにしてあんなぶっ壊し方しやがった奴に何で情けをかけなきゃいけないんだ?」

「へ、ヘルウィヨトゥル!ヘルウィヨトゥルをやるから!!そしたらあんたもこの国の王様になれるんだぞ!!」

「いかがされるか…おっと、聞かぬとも決まっておったな君塚殿。では妾は特等席から見物しようかの、愚者の末路を。妾の人生を腐らせようとした大馬鹿者の骸を晒すのも一興かの。と言うか妾の母を勝手に譲り渡すな、あれでも一応人なのだぞ?」

「あ、ああ…」

「じゃ、そういう話なんで」

「頼むよ君塚さん!俺を、俺を助け」


RSh-12を涙を流し必死に様々な言い訳をする神堂の額に突きつけギュッとトリガー引いた。


そしてここに龍の国の悪夢は覚めて新たなる王を戴いた朝を迎える。

今夜が明け飛び立つ

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