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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第四章

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龍の国の終わる

牛刀で鶏を捌く

各地の将軍達が一斉に集められ今回の神堂龍牙率いる正統政府から攻撃を受けた事案について緊急の会議が行われていた。


「揃ったな。急ぎの集まりで申し訳無いが今回我々へ宣戦布告代わりに愚かな神堂の竜族が我々のシグルーン派支援の為のルートに攻撃を行い我が軍へ死傷者が発生していた件である。」

議題を明記してから会議は始まった。

「これは明らかな軍事的徴発行為であり我々への挑戦行為である。速やかなる征討が必要であり彼の排除無くして我々の安寧と平和は訪れないであろう」

「よって侵攻計画を直ちに改変してその策定後の計画に基づき暴君の圧政から我らが龍の国を解放するのである!!」


「同志内務省長官殿、以前計画については策定済だった筈では?その作戦計画書通りに計画を進めるべきかと考えておりましたが」

ヴァシレフスキー元帥は以前策定した計画に沿って攻勢をかける手筈で有ったことを確認しようとした。


「少し事情が変わった。我が軍は余りにも兵力が増えている状態だ、それなら世界に対してデモンストレーションを実施する良い機会だと思ってな。まだ転生者達(歩く厄災ども)は世界各地に散らばり、そして潜んで文明の外を目指しているがもし戻ろうと思えばどうなるかを彼らの認識が可能なレベルでプレゼンスを示す必要が有る」

君塚は敢えて巨大化した軍隊の実力をこの大陸全土に示す為に今回の戦争について前向きに検討していた。


「所で以前は数個師団で落とせる想定でしたが今回はいかがされるおつもりでしょうか?一個軍相当の戦力を動員して我が国の影響力を示されるご予定でしょうか?」

ロコソフスキー元帥は今回の軍事作戦についてどれだけ増員されるか気にしていた。

もし動員人数が多くなると戦力の配置に多大な影響を及ばせ全体的な戦略構想に対して悪影響が及びかねないからだ。

もし転生者達が平原の国に侵入したら今すぐ動けるのは国内軍であるから国内軍の配置は政治的にも重要なものである。


「それほど気にしなくても良い、この戦争では可能な限り全ての陸可能な限り動員して投入する」

「…どこが気にしなくても良い戦力なのでしょうか?全軍を動員とは流石に」

「戦狼の国の件は気にするな。あの国の正規軍は王国軍のみで対処可能だ、万が一攻め込んで来たらその時はその時だ、迅速に目の前の神堂政権を潰すだけだ。腐った納屋を壊すなら最大限の努力で、すぐにこの戦争を終わらせる為に軍を総動員したい」

「成る程、確かにあちらの国相手なら王国軍のみで対処可能では有ります。で、我々が全軍でさっさと神堂を討てば王国軍も負担をかけずに戦争を終わらせてしまえるという事ですか」

「そうだ。この戦争で平原の国はこの世界における覇権国家である事を示し【平原の国による平和】を齎して文明に敵対的な他の転生者達も追い詰めてやる」


すると海軍のクズネツォフ提督が挙手した。

「我々海軍につきましては一体どのように動けば宜しいのでしょうか?我々海軍は内陸国である龍の国に対してスペツナズや海軍歩兵師団は派遣可能ですし弾道ミサイル攻撃等も可能では有りますが…」

「まぁそういう支援をしてもらう事になるだろうな。これは火力演習でもあるから内陸部や北方諸国への牽制でもあるのだ」


そう君塚は海軍への話を纏めるとマルゲロフは今回の作戦について質問した。

「我々空挺軍は戦線で一般の部隊と共に地上から進撃して敵軍を撃破すれば宜しいのでしょうか?」

「基本的にはそうだ、だがスペツナズについては少し異なる、奴の逃げ込みそうな山荘や拠点をリストアップしているからそこの捜索任務にあたれ」

「了解しました」


「以上だが何か不明な所は有ったか?」


そして顔面を青褪めさせる一人の将軍が恐る恐る挙手した。

兵站総監に任命されていたフルレフ将軍は今から伝えられる、そして今回の寝耳に水な話によって一番被害を被る自軍関係者に成るであろうから最後の願いの為に聞いた。

「ど、同志。私は今回の宣戦布告については完全に聞いておりませんでしたが…まさか、その…既存の計画から…」

「…すまない同志フルレフ将軍、一ヶ月以内での再策定を頼んだぞ」

「(たった一ヶ6万両のトラック群と数百万トンの燃料・弾薬を、1ヶ月で国境に再配置しろと!? 無茶苦茶だ!)かしこまりました同志…」


では以上だが、他に何か不明な所は有ったか?と君塚は尋ねたが特に無くそのまま解散し軍は全体的に大移動を始めた。

王国各地の部隊は一斉に移動を始め西方の都市レヒア近郊に有る複数の基地にそれぞれ分散されながら配置が進んでいて

空軍基地にはSu-35SやSu-30SM、Tu-160MやSu-25SMが展開され物資輸送の為にIL-76MD-90Aがズラッと駐機場へ並んで物資を降ろしていた。

陸上戦力ではT-90MやT-80BVM、BMPTやBMP-3Mが基地内に入り侵攻のための準備を整え兵士達はA-545やAK-12、PKPを携えてラトニクに準ずる装備でその時を待ち望んでいた。

空挺軍の兵士達は陸軍と同じ様なラトニク装備をしていたが彼らはBMD-4MやBMD-MDMに乗る部隊とMi-35MやMi-8MTKOに乗って龍の国に分散される各地の拠点への制圧が目的とする部隊の2つに分けられていた。

珍しい部隊として海軍歩兵師団が一部派遣されており海軍スペツナズ部隊も姿を見せていた。

彼らは今回内陸部ではあるが侵入可能な河川へ侵入して敵国へ浸透して背後から強襲するのが目的であった。

それらの部隊は着々と準備を整えており、ATZシリーズタンクローリーの車列が国境地帯へ向けて列をなして派遣されつつ有った。


悪夢は覚めていく、その果ては目覚めかそれとも死か。



「さて、気になるのは他国の動きだがまずは低地の国のもねから訪ねるか。あの国は友好国だから安心はしているが介入かそれとも中立かどちらかは流石に聞かないと不味いし」


そして庁舎を出るとズラトポル市内の低地の国大使館へ急用かつ国家機密の案件としてアポを取り付けてから向かった。


(すっかり彼女も成長しているから大使としてはまぁ大丈夫だとは思うがまさか暴走したりはしない…よな?)

そう大使館の門までたどり着き大使の執務室へと入った。


「失礼しますもね大使、この度は緊急の課題で─」

「あ、あわわ。ど、どどうぞ君塚さん!おお、お茶を今すぐ淹れますので少しお待ちください!!」


君塚の突然の来訪や龍の国方面への軍事行動で忙殺されて慌てふためくもねは急いでお茶を淹れようとしたが慌て過ぎてついお茶を乗せた盆ごと躓いてしまった。


「きゃっ!?」

「おっと、大丈夫ですかもね大使。そんなに慌てなくても宜しいのですよ」


そっと君塚はもねを受け止めてお茶も一滴もこぼさずにもねを互いの息が感じ取れるほど近くへ抱き寄せていた。

彼女の大き過ぎず形の良い胸が君塚の身体に当たっているが彼はそれを意識しないように振る舞っている。

そんな人生で初めて出会った頼り甲斐のある男である君塚の顔を間近で見て頬が赤らめるもねであった。


「あ、あの君塚さん、その…」

「申し訳ございませんもね大使、度々粗相を働いてしまいまして」

「いえ、別にそこまででも…むしろ…」


彼女は以前来ていたゆとりのあるスモックではなく紺色を基調とした気品溢れる大使用の制服を着用しており体型が以前よりもはっきり分かる物を着用していた。

彼女の美しかった亜麻色のボブカットも以前よりも整えられていたのでより美しく良い香りがするように成っていた。


「大使、少し見ない間に随分と……立派になられましたね、色々と」


「きゅぅ…」


もねは初めて抱いていた胸が高鳴る感情が昂りすぎてオーバーフローしてしまい気絶してしまった。


「…仕方ない。取り敢えずソファに寝かせて起きるのを待つか」

そして無理な体制を維持しつつお茶をテーブルに置きながらもねをソファに横にさせて目が覚めるまで待つことにした。

少しして気が付いたもねが起きて君塚と目が合いまた気絶しかけたが踏みとどまり。


「先程はお見苦しい所をお見せしてしまいました。申し訳ございません君塚さん」

「いえいえ、こちらこそ突然押しかけて申し訳ございません。それよりお体は大丈夫ですか?」

「ええ、何とかふらつきもしていないので大丈夫です」


2人は本題に入る前に改めて世間話から始めることにした。


「低地の国と平原の国の間で結ばれた国際列車、あれは確か大使が要望された路線でしたよね。定時運行の遵守はまだ遠い先の話ですが一先ず両国の国民の架け橋がこうやって完成したのは喜ばしい事です」

「ええ、君塚さんのご尽力も有って実現出来ましたがまだ歴史をこれから築いていく時ですから安全運行が第一です」


もねはウィレム王に国際列車の要望を託され平原の国の鉄道公社と相談した上で両国の間に走らせている列車であり平原の国南部を通り南西部の国境地帯を超えて低地の国へと向かう列車である。

両国の友好の象徴として運行されており低地の国の復興を世界へアピールする為に設けられた国際特急である。

運行は平原の国と低地の国の合弁会社が設立されその会社が運行管理等を担っている。


「ジルフェルダムはいまや平原の国から高地の国まで乗り換えれば旅行出来るほど大陸随一の交通の要衝になりましたからね。これも全て君塚さんのおかげです、もしあの時神堂の侵略を防げていなかったらと思うと…」

「その件について、1つ報告と確認をしたいのですがよろしいでしょうか?」


少し話を遮るようにして低地の国の姿勢を確認しようとしていた。


「実は我が国はこれより龍の国に攻め入り神堂政権を打破しようと考えています。低地の国としては今回我々が出兵した際にはどのようにされるおつもりか尋ねようと思いまして伺いました」

「…成る程、龍の国に…しかも神堂を討ち取りに行かれるのですね。なら既にウィレム陛下にはご返答を頂いています、今回我々低地の国は平原の国へ友好的中立を示す予定です。なので龍の国に得になるような事は一切致しませんからご安心ください」


こちらはその書類です。と渡されたそこそこ厚い冊子を受け取り君塚は安心した。


「ありがとうございます。この報告を出せばきっと殿下もお喜びになられるでしょう」

「はい、平原の国は我が国にとって最高の盟友ですのでこれ以上出来ないのが心苦しいですけど…私の代わりに行かれる貴方へ、どうかご武運を。それと」

「? 何か?」

「……こ、個人的には、君塚さんの無事を毎日お祈りしていますから!」

一世一代の乙女の告白

「ありがとうございます大使、無事帰って来ますから安心してください」

多分通じてない。


そして低地の国での用事を終えた君塚は大使館を後にして次の用事に移ろうとしたが不敵な笑みを浮かべ門に寄りかかった状態のエリカが既にそこに居た。

高地の国の様子を伺おうとしたらまさかのその首魁が勝手に平原の国の内部に入国していたのだ。


「エリカ…一応聞くけど…」

「勿論密入国よ、驚いた?」

「驚くわ、勝手に元恋人が犯罪者に成ってたらそりゃ驚くわ!!てかお前立場あるのに何でそんな蛮行に及んでいるんだ!?」

「私のKSK(部下達)が優秀すぎるだけよ。……それに、他の女とイチャついている貴方の顔を直接見て、釘を刺しておきたかったしね」

「良い女は犯罪者に成らねぇ!!!」


そしてぞろぞろと周りからHK416を携えた高地の国特殊部隊が出て来る時点で今すぐ国境警備隊の抜本的改革と統制を前提に動かないといけなくなったような気がしてきた君塚は叫びそうに成る口元を抑え、どのみち尋ねる予定であった事を聞いてみた。


「な、なぁエリカ…今回俺龍の国に出征するんだけど「無論介入するわ、平原の国側で」そうか…」

「私、これでも一国の国家元首よ。今回の龍の国の内紛は他人事では無いのよ悠里、うちの国にも多数の難民が流れ込んで治安が悪化しているの。なら、龍の国の鎮定に成功したらあいつらを追い出せるじゃない。これ以上私の庭園を壊されるのは嫌なの」

「そ、そうか…だが今回の─」

「それに悠里()が戦いに臨むというのに何故妻たる私が奮闘する貴方を捨てて安全圏から観戦する事が許されるのかしら?そうでしょう悠里、私達は今も尚繋がる鎖で結ばれてるのだから、ね?」

「俺はお前を嫁にもらった覚えはねぇよ…後政治的にリスク招く発言やめろ」


エリカの問題発言にどうしても止めることが出来ないのでもう全員どうにでも成れと言わんばかりにやり過ごそうとしていた。


「─とにかく、我が国は龍の国を平和維持活動として攻撃し帝国の威光を見せ付けてやるのよ。悠里、感謝なさい。私達は裏切らないのだから」

「…そうですか。なら今すぐ書面で保障を」

「はいこれ。貴方はこれを見たら安心出来るんじゃない?」

書面をドサッと渡された君塚はよろめいたが姿勢を直し受け取ると中身はヤドヴィガ用の記入欄だけキッチリ空いている協定に関する書面であった。


「それじゃ、良い返事を想定して動くからよろしくね」

「…身勝手過ぎるだろ」


エリカはまたもや何処からともなく現れたNH90に乗り高地の国へ消え去った。

そして君塚は今回の戦争で確かに少しやり過ぎたかもしれないと今更後悔し始めたのである。

不可侵条約締結

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