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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第四章

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龍の目覚め

龍は今飛び立つ

シグルーンは2月の雪の降る昼に龍の国の宮殿にてヘルウィヨトゥルの長女として生を受けた。

シグルーンの父は誰かはわからず、普通の国では正統性が危ぶまれるものだが龍の国の王室は女系でありそして女尊男卑の龍の国の文化が彼女を王女として認められた。

龍の目を持つ彼女は生まれながらにして龍の生まれ変わりとして扱われ周りから大切に育てられた。


「ああ!姫様!!どちらにいらっしゃいますか!?シグルーン様〜!!」

「妾はこっちじゃエリン〜捕まえてみよ〜!!」


活発なシグルーン姫は迷路のように入り組ませた龍の国の王宮自慢の庭園で使用人や家臣たちを困らせて楽しむほど元気いっぱいな少女であった。

そんなやんちゃな彼女はすくすく育ち家庭教師や母の指導も有りやがて王として相応しい振る舞いを学ぶようになった。


「シグルーンや、そなたはこれより王太子としてこの国の未来を担うのだ…くれぐれも王国の名を汚すような暗君にならぬ様にせよ」

「はっ!かしこまりました母上!!このシグルーン、王国に今再びの繁栄を齎して見せましょうぞ!!」


シグルーンが10歳の時、彼女は母ヘルウィヨトゥルより王太子として指名され未来の王国の指導者として認知されていた。

シグルーンは妹たちから尊敬と次期家長、そして未来の王として扱われ次期王として内外に存在感を示して王国の未来は明るいものかと思われた。



だが現実はそう甘くなく、龍の国に大量の転生者が現れて王国の国土は著しく破壊され都市は尽く破壊され母ヘルウィヨトゥルは悩んでいたがそこに漬け込んだのが神堂龍牙であった。

警備兵や官僚達を女性支配で籠絡して侵入経路を確認した後彼女の許へ密かに忍び寄り部屋へ押し入って無理やりギフトで魅了したのだ。


「んうっ、神堂様ぁ!もっと、もっとぉ!!この卑しき雌豚に御慈悲をぉ!!」

「情けねえ牝だなヘルウィヨトゥル!さっきまでの威勢はどうした!?お前は女王様じゃねぇのかよ!!」

(か、母さま?一体何を…)

幼いシグルーンは夜寝付けずに歩いていると神堂が母ヘルウィヨトゥルを手籠めにしている様を見て、彼女は意味が分からずふと部屋を覗き込んだ。

「もう神堂様無しじゃ生きられないの!神堂様にこの国あげるからもっと愛してぇ!!」

(は、はぁ?母様…一体何を)

「そうか!じゃあこの国は俺が貰うって事で良いんだな!?」

「あひぃ!差し上げますぅ!!差し上げますからぁ!!なにとぞぉ!!!ああ、もっと……私を雌豚のように扱ってくりゃしゃい……♡」

(一体、一体この国に、母様に何が起きているのじゃ!?)


バタバタと自室へ帰りそのまま布団の中にくるまって無理やり寝ていたシグルーンであったが翌朝最悪の報せと共に絶望の淵へと叩き落とされた。


「私ヘルウィヨトゥルは…神堂龍牙様に忠誠を誓いますぅ…そして私はぁ…神堂様の持ち物でしゅ〜❤ぶひぃ…❤」

「くくく、そんな感じだからお前ら俺に従えや龍の国の民どもぉ!!俺が今日から王様だぁ!!!」

龍の国の軍人や官僚達は突然の宣言に全員困惑していた。


「は、はぁ!?妾が王太子であるぞ!?この気に触れた輩を排せよ衛兵!!」

「は、かしこまりましたシグルーン殿下!おい貴様、何の根拠が有って僭称しているかは知らんがこの国の女王様はヘルウィヨトゥル陛下で王太子はこちらにおわすシグルーン殿下であるぞ!!」

衛兵は彼を排除しようとしたが神堂は剣を何処からともなく取り出すと一刀のもとに衛兵達を全て斬り刻んだ。

そして貴族達はその場で一斉に降伏し軍人達も戦意を喪失していた。


シグルーンもまた同じく屈辱を堪えて平伏せざるを得なかったが同時に家臣達はシグルーン姉妹の王宮からの脱出も手助けをしていた。


そして王党派の将軍達は何とか彼女達を連れ出したまでは良かったが各地で将軍達は手元に居たヘルウィヨトゥルの娘達を擁立して反乱を起こしてしまった為まとまりを欠き、シグルーンは王党派の中では有力だったものの彼女を擁するヴァレリア・グスタフ大将の指揮下の部隊は他の軍閥や神堂の下級妃達に苦戦し遂に国外へ追い出されてしまった。


一方ですっかり神堂のメスとして堕ちた母親はアッサリ龍の国を売り渡してしまい王国の貴族達の資産を没収し農民達に重税を課して商業にもギルド制を導入、更に税の徴収と転生者の情報把握、そして反乱因子の取締の為に関所を設置して王国内は混乱した。


官僚達は讒言して止めようとしたがそれを疎ましく思った神堂によりほぼ全員追放され行政経験の無い下級妃達がそれらの業務を肩代わりする事に成った。だが彼女達は知能が著しく低下されており、比較的知能低下が低い戦闘部門下級妃達も複雑な業務は行えない程度にIQを低下させられていた。

そして徴税はほぼ不可能に成り王国は略奪まがいの徴税を実施し下級妃達、時には上級妃を伴う「巡幸」により税を巻き上げ王国内では行政の効率が激しく劣化し妃達は計算が出来ず麦の重さも適当で可能な限り収奪しようとしてくるため農民達は急いで他国へ落ち延びていった。

無論一揆を起こす者も居たが神堂の聖剣により一方的に切り裂かれ光線に焼け焦がされて鎮圧されていった。


そして彼女にとって精神的にトドメになる事態が起きていた。

シグルーンから数えて上から2番目の妹が虜囚になり、そして神堂の下級妃にされたと言う報を聞かされると当時11歳だったシグルーンは自身の詰みすぎた現実に我慢が出来ず失神した。

それ以来彼女は目を覚さず、母が凌辱され妹達の晒首を飾った宴を見せ付けられる悪夢を見続けていた。


(ん…なんじゃ…この感覚…妾の口に…)


生暖かい空気が頬に当たる、少し臭いと思ったが目を開けねば何もわからないと思い目を開いた。


そこには君塚(おっさん)が居た。

しかも自分に口付けしていたし何やら外が騒がしい。


「殿下の部屋に施錠!?誰かこんな事をしたたわけが居るのか!!」

「そんな馬鹿な!私は施錠しておりません、きっと中に何者かが殿下に危害を!!」

「とにかくこのドアを破るぞ!!」


すぐにシグルーンは理解した。


「ぎぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


16歳の可愛らしい王族女子の声帯からは想像出来ない野太い悲鳴が要塞内を木霊する。

シグルーンからしたらずっと寝ていた自分へいきなり口付けしてくる不審者のコイツはどのみち妾に害をなす敵対者ないし不審者であるという事を。


「な、何奴じゃ!?妾は、妾は龍の国の王太子であるシグルーンなるぞ!??そなたは一体何者かぁ!!!」

(や、やはり神堂といい男という生き物は野蛮なのじゃ!妾の、妾の唇に、あんな事を!!!)


シグルーンはすっかり成長した身体に慣れていなかったが飛び起きて不審者に向けて指を指し距離を取って自室の鏡台を背に立っていた。

するとシグルーンの目の前の不審者─君塚悠里は深々とお辞儀をして堂々と挨拶した。


「これはこれは、大変失礼しました。私は君塚悠里、貴方方真の王派への支援を実施している平原の国の摂政です。以後お見知りおきを」

「な、ななななななな、なんじゃお主、え?平原の国!?あの封建主義的な模範的失敗国家の平原の国の摂政!?そんな奴らに妾の兵士達が支援を受けている!??」


平原の国への認識は廃王カジミエシュの代で終わっているのでさもありなん。しかし今の平原の国に対しては酷く失礼な物言いであり国際問題に発展しかねない発言でもある。


「殿下ぁ! !!で、殿下、殿下がお目覚めになられておられるぞ!!早く報せを大将に!!」

「そんな事よりアイツは誰だ!?早く衛兵を呼ぶのだ!!不埒な輩を殿下から引き離すのだ!!」


慌てて召使いや臣下達は衛兵を呼ぼうとしていたが、君塚はそっと彼女達を制した。


「私は平原の国の摂政君塚悠里!今回貴殿らの内情に関して特別に私が調査を行う事に成りこのようなご無礼を働いてしまった、その件については詫びたいと思う!!」


またもや堂々と返したのでつい飲み込まれかけたが駆け付けた衛兵、そしてグスタフ大将が到着して事態は更に加速した。


「将軍!こちらです、殿下が目を覚されたのです!!それと平原の国の摂政と名乗る輩が来ておりまして…」

「あの方がそうか?」

「さようでございます閣下、あれでございます」


そう指を指していた衛兵を「あの方に指を指すなグスタフ大将が確認するとすぐにグスタフ大将は君塚に敬礼して、それから殿下へと最敬礼した。


「殿下、お久しゅう御座います。殿下の忠臣であるグスタフにございます。此度の件につきましては私の方からご報告しても宜しいでしょうか?」

「な、なんじゃグスタフ…すっかり老けおって。どうした、皺が増えておるぞ」

「殿下、貴方様がお眠りになられていた期間は5年でございます。」

「え、へ…ご、5年じゃと!?つ、つまり妾はその間…」

「ご安心ください殿下、私共は今神堂の懐に攻撃する準備を整えております。それに聖剣もやつの許へ居ませんし『妃達』ももう恐れるに足らない程やつの勢力は弱体化しております」

「そうか。なら後で妾に報告せいグスタフよ、でコイツはなんじゃ?妾にいきなり接吻してきおったのじゃがそんな無礼な輩があの失敗国家平原の国の摂政らしいぞ」


とにかく君塚の事を気に食わないシグルーンは信頼出来るグスタフから彼について尋ねたい心境であった。


「…殿下、彼は我々の支援者でございます。今龍の国の状況は混迷の極みで彼らの支援が無ければ恐らく神堂には勝てぬかと」

「…そうか。神堂にはあやつの力添え無くして敵わぬとな、ならば今の我が軍や状況を知る必要が有るのう」


そして君塚に向けて睨みつけるように鋭い眼光で見つめると

「君塚とやら、本当にそなたの支援が有って我が軍が精強に成ったかどうか。妾がこの目で確かめてやるが良いかの?もし違えば…」

首に手を当てるジェスチャーをしたが君塚はグスタフ大将に少し怪訝な表情を向け、グスタフ大将は申し訳無さそうに首を竦めた。


そして要塞の訓練スペースへシグルーンと君塚は案内されて視察を行っていた。

兵士達は平原の国の摂政軍から派遣された軍事顧問団がAK-74やRPK-74、DShK38の撃ち方を教わっていた。


「そこ脇を締めろ!弾倉を握らず木製部分を掴んで撃つんだ!!弾倉握ると抜ける事があり得るってさっき言っただろ!!」

「はい!教官殿!!」

「それとその隣のお前はキチンと目を開いて狙って撃て!狙わないと当たらなくてお前が死ぬんだぞ!!」

「は、はい教官!!」


そしてテクニカルトラックの教習や指揮官クラスに対する教育が実施されていたのでシグルーンはついさっき変態不審者扱いしてしまった男に対して申し訳無さと取り返しのつかない無礼を働いた事を感じてしまった。


「き、君塚殿!先程は申し訳無かった!!妾が、妾が政権を取り戻すのにご助力いただいているのにこのような仕打ちをしてしまったとはなんと…」

「いえ、私も今回性的なハラスメントをしてしまったのでシグルーン様に謝っていただくような事は全く起きてはおりません。ですのでどうか頭をお上げくださいませ」

「むぅ…しかし王太子シグルーンとして謝らなくては龍の国の王として示しがつかんのだ。君塚殿、どうか妾の謝罪を受け取ってもらえぬか?」

「…かしこまりましたシグルーン殿下。なら私は今回の一件で真の王派への詳細な支援内容の打ち合わせ等が出来るかと思いますのでどうか吉報をお待ちください」


そんな二人にグスタフ大将は何とか支援継続を取り付けることが確認出来たのでホッとした。

そして


「君塚摂政、私達に国境までお送りさせてはいただけないでしょうか?ここから平原の国の国境は歩きだとかなり時間がかかってしまうが車なら日付が変わる前に到着出来るとは思われます」

「それはありがとうございます。これで殿下に良き報告が出来るでしょう」


そしてトラックの車列は平原の国へ一路向かう、龍の国の希望を乗せて。



シグルーンは平原の国へ君塚を送り届ける車列を見送りながら確信した。


(ああ、妾がやっと龍の国の、母上や家族達の仇を討つ事が出来るのだ…長い間待ち続けて良かったぞ!君塚殿!!)

悪夢を祓う為

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