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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第四章

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幕間─くだらない会議

会議は視点によってくだらないかもしれない

エリカは国防軍の部隊を率いる将軍達を集めてくだらない御前会議を始めた。


議題はHK416系列の銃火器の導入である。

現在国防軍では寿命に近づきつつある歩兵小銃G36A2の更新候補について議論していた。


国防軍内では意見が2つに分かれていて守旧派は現状性能面から見てG36A2のままで良く、そして一部の将校は憎き米国のM16小銃の流れを汲むHK416系統は不要と主張してきた。

だが特殊作戦軍はG36A2やG36Cに不満を抱いておりHK416シリーズの導入をわざわざ女帝陛下(カイゼリン)のエリカへ陳情書を提出したほど現状に苦しんでいた。

その為改革派は積極的に特殊作戦軍の意見を推しており、空軍はF-35Aを運用しているし海軍も西側装備なのに何を今更小銃に対して更新を反対をするのかと主張した。

国防軍上層部は両派閥が強く主張し互いに譲らない。

そんな彼等にウンザリした様子で見つめるエリカはそろそろ仲裁する自分の身になってくれないかと考えていた。


(これでは国家人民軍の兵士達の方がよっぽど物分りが良く、私の国防軍が石頭の集まりにしか見えぬように思えてくるわね)


嘆息しながら紛糾している会議室を眺めていた。


「私は今回の一件では賛成である。我々の軍には近代的な銃火器はあれどより実用に耐えうる銃はまさしくHK416A8である」


モーデル元帥が口を早速開く。


「我々は聖女部隊を率いる神聖皇務庁の軍や散発的に戦闘を仕掛けて来る転生者達相手に守勢に回ることが多く信頼性と多様性に富んでいるHK416A8は我々にとってこれからの時代の小銃で他ならない」

と小銃更新に対して積極的な姿勢を示し更に

「我々は常に反体制的な転生者やそいつらの操る怪物の大群を相手に防衛線を張っているのだ。銃身が熱を持った程度で着弾点がバラける小銃など、最前線では使い物にならん!」

と主張したた。

他にも賛成派のロンメル元帥は


「私も兵器更新に対して賛成する。まず劣悪な環境や戦略的奇襲攻撃を受けてもすぐに弾を込めて撃てるならそれに越したことはない。それに我が国の兵士達は遠征も経験した者が多く、それだけ様々な環境で一定の信頼性を確保出来る兵器は歓迎されるべきだ」

そして

「我が装甲師団の歩兵たちは戦車と共に砂塵や泥濘の中を進む。ドロドロの環境でも確実に作動するHK416の堅牢さは、機動戦において不可欠だ」

と主張した。

更にそれに対してドイツ連邦軍の創設に関わったシュパイデル将軍以下西ドイツ系の将校団も加わりHK416シリーズの導入に対して積極的な姿勢を見せていた。


「確かに貴方達の言うことはもっともな所があるわね。そもそも陳腐化してしまった現在の装備を更新する事にした方が良いかもしれない」


一方で反対する意見の将軍達も発言した。

ルントシュテット元帥は急速な更新に対して苦言を呈した。


「だがG36シリーズはそもそもそこまで性能は低くなく、信頼性も高い銃火器だが交換を急ぐ必要があるかね?第一に今稼働している銃を無理やり置き換えるのはいささか性急過ぎるな」

と理屈を述べた後つい本音が漏れた。


「大体HK416はアメリカ人の作ったライフルの焼き増しじゃないか…あんなものを我々ライヒの兵士に使わせるのは忍びないのだ」

サンプルとして置かれていたHK416A8に向かって憎たらしそうに銃を見ていた。


(くだらない感情論が本音でしょうね…まぁ気持ちはわからなくはないけど。でもそれならそれではっきり言いなさいよ、私は一応汲まない事はないのよ)


「私も反対の意見を表明します。そもそも兵士に火力優勢持たせるならば機関銃が適任なのに何故歩兵一人一人の火力を増やそうとするのか?ドクトリンにそぐわぬとは思いませんか陛下」

とハインリツィ将軍がエリカに問いかけた。



「…まぁそうかもしれないわ。兵士個人に対して役割を与え過ぎると電撃戦の観点から見たら確かに危うい側面があるのは否めないわ」

「ご理解いただけたようで何よりでございます陛下」

ハインリツィ将軍は満足した顔で賛成派の集団を見ていた。


武装親衛隊出身組の軍人達はエリカの判断に追従するという事を事前に取り決めておりシュタイナーやディートリヒはだんまりを決め込んでいた。

内心がどうであれ帝国の意思は女帝陛下が決められるのでそれに対して他意を挟むのは狂信さが売りの自分達らしくない事であるからだ。


空軍のゲーリングは欠伸を噛み殺しながらこの話を聞いていて、海軍のレーダー提督も我関せずを貫いていた。

そして脳天気なゲーリングはふと失言に成るような発言をしてしまった。


「そんな豆鉄砲よりも我が空軍の装備にA-10かSu-25を加えていただけませんか陛下、陸軍の兵士達が戦線から逃げないようにするには強力な航空機こそ必要ですぞ」

「ゲーリング。次にそんな空気を読まない予算増強要請来たら貴方の脳にモルヒネぶっ刺すわよ?」

「申し訳ございません陛下」


陸軍ではない彼等からしたらそんなライフルの話よりももっと艦艇や軍用機の増加に関して話をしたいのにずっとこの話をし続けているから暇なのである。


だがエリカは流石にそろそろ両者の意見を纏める必要が有ったのでおほん、と咳払いをして諸将の注目を自身に集めて静かになるタイミングを待った。

そして会議室が静まり返るとエリカは演説をするように見回しながら

「ただ、正直に言うわね。確かにG36シリーズは優秀かつ信頼性は高いライフルだと言う事くらい知っているのよ。でもこれからは総力戦よりも増えていく低脅威度の非対称戦の可能性も考慮するべきな事は明白であったはずよ」

と反対の姿勢を示している者たちへ忘れかけている事を思い出させていた。


「現在我々は友好国の一つである平原の国と共に龍の国の正統政府への征伐を行う予定であるからこそ多用途に用いれるライフルこそが必要なはず。だからこそ順次HK416シリーズは導入するわ、良いわね」


了解しました。と諸将は発言し一先ず全員の納得を得て議論は一先ず終えた。

反対する将校達はそのエリカの答えにがっくりしていたが「けどね、」と続けて彼らのフォローも忘れない。


「G36シリーズも悪くない小銃だとは思うわ。だからこそ後方や最前線ではない一般部隊にはG36A2やG36Cを、特殊作戦軍や最前線の兵士にはHK416シリーズを配備させるわ」


現実的かつ中立的な折衷案を出して何とか場を収めた。

そして話を別に切り替えさせて空気を淀まなくさせる。


「それで龍の国の侵攻計画だけど、やっぱり面倒ね。多分しくじることは無いだろうけど軍閥に対する非対称戦争だし戦後の事を考えると…ああもう!どう足掻いてもめんどくさいわ!!何で隣国のあのアホがやらかしたのうちらが尻拭いしなきゃならないのよ!!!」

「陛下、落ち着いてくださいませ。此度の戦争の責任は我らにはございません。なので我らに負担が来てもそれは戦闘によるものであるので…」

パウルス元帥は喚く女帝陛下を宥めるように今回の戦争について高地の国の負担は少ない事を主張したが

「そうだけど、そうじゃないのよ。介入する事が決まってる以上徹底的にやらないといけなくなったのよ!あぁ…でも介入しないと龍の国からの難民共が暴れるし…はぁ…」

「陛下…」



エリカは国家元首として悩んでおり頭を掻きむしり怒りのあまり叫んでしまったが隣国が内戦で崩壊した国に良くある悩みでもある。

隣国が経済や文化が崩壊した為周辺諸国に難民が流入し文化や経済に影響を与えて居るので早く紛争を鎮圧したかったが火中の栗を拾う国は中々現れず平原の国が介入する方向を示したから今回追従する形での参加に成ったのだ。


「我々国防軍も何とか短期間の戦争にして負担を減らしますので何卒ご安心ください陛下」


目を見ながらルントシュテット元帥はエリカへ国防軍を信じるように頼み込んでいた。


「なら少しでもこの戦争を短く終わらせなさい。私も幾分かは手伝えるから」


そして議場から退室していく国防軍の将官たちを見送った後不意に側でだんまりを決め込んでいた伍長に尋ねる。

「貴方は今回の小銃についてどう思うのかしら?」

「…陛下の思し召すままに」

「そう」と伍長のつまらない返答に対して無関心そうにした。


「貴方、前世じゃ『優秀な伝令兵(伍長)』として鉄十字章をもらったんでしょ? なら最新のHK416A8(G95A1)を持たせてあげるから龍の国でたっぷり実戦データを取ってきなさい。……安心なさい、私が描いた絵よりはマシな戦果を期待しているわよ」

「へ、陛下…?私は陛下の護衛…」

「さ、行ってきなさい伍長。辞令はこれだから」


伍長にはついにエリカの気まぐれで今回の戦争で久々の実戦デビューが決まってしまったようだった。

辞令を受け取らされた伍長は顔を青褪めさせた。


「さて、悠里。私たちの共同作業はどうなるのか見ものね…」

だが一先ず結論が出たらそれは良い会議である

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