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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第四章

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幕間─斬首作戦

高地の国はようやく立つ

スコルツェニーは闇夜を切り裂く様に編隊を組むNH90の中でうんざりした表情を浮かべながら今回の特殊作戦について考えていた。


発端は龍の国と高地の国の国境にあるノイエフッセンの近郊で起きた軍事衝突が原因である。

隣国龍の国の(一応)正当な政府の(恐らく)正規軍である戦闘下級妃による国境侵犯、そして国防軍と国家人民軍への攻撃、そしてその結果死傷者100人以上、戦車も5両程度被害を受けユーロファイターも一機撃墜された惨劇である。


「あんのくそや…ゲフン、今すぐ軍を召集なさい!今回の件はあの弱小軍閥にデカい対価を支払わせてやるんだから!!」

帝都ゲルマニアの宮殿で怒髪天を衝く勢いのエリカ・フォン・ホーエンハイムは今回の事件を開戦事由にして龍の国への宣戦布告を実施しようとしていた。


「お待ちください陛下、いささか此度の一件だけで侵攻というのは危険です。国防軍にも少なくない被害が出ている以上侮ったまま攻撃するのは我が軍、ひいては陛下にとって良くない未来しかございません」

ルントシュテット元帥は流石に軽挙妄動に見えたエリカの行動を諫めた。


「さようでございます陛下。あの国は私が調べた限りでは最早帝国の墓場、群雄割拠の荒れた『国だった』地帯です。そのような所に介入すればただでは済まず大やけどを負わされるでしょう」

帝国の諜報機関のトップであるカナリス提督も反対の姿勢を示し、再考を促した。


「…貴方はどう思うのよ、伍長」

「陛下のご意思のままに…まぁ、私なら併合する勢いで介入するか、それとも全く関与しないかのどちらかを選ぶべきでしょうな。中途半端な事をしたら恐らくこの国そのものが龍の国という名の毒饅頭を食わされるでしょう」


少しだけ天井を仰ぎ見てから

「…はぁ、分かったわ。でも平原の国との同盟関係、そして彼らとの間に取り決められた南北からの解放計画はそのまま進めなさい。後特殊作戦軍のプフールシュタインを呼びなさい、あの男に少し痛い目を見てもらうわよ」


ご英断感謝します、と将校たちはエリカの部屋から立ち去り伍長は今回の腹いせで門衛を一週間やらされることになった。

   

やむなくエリカは特殊作戦の立案と実行を命じて立ち去りスコルツェニー率いる第1コマンド中隊が派遣される事に成った。


「ご機嫌悪そうですね、少佐」

「悪いに決まってるだろクラウス。化け物の巣に今から放り込まれるんだからな、どんな化け物が居るかは知らんが仕事はやり遂げるさ」


あの『ヨーロッパ1危険な男』であるスコルツェニーでさえ不安な作戦であった。

転生者とは人知を超えた異能を駆使するまさに人の形をしている災厄そのものでありそれらを知能をはじめとして幾らか劣化しているとはいえ脅威としてまだ機能していた。


龍の国の王都リンドルムが見え始める。

荒廃した都市は見る影もなく石畳は剥がされ建物は尽く廃墟と化していてゴミや糞尿は散乱しネズミやゴキブリが人よりも活発に動き回る。

そんな悪夢のような街並みを見下ろしながら第1コマンド中隊は目標の王宮の近くに有るLZに到達した。


「総員、装備は持ったな!降下するぞ!!」

ホバリングしているNH90からラベリング降下した兵士達はG36A2を構えて円陣を組み警戒していた。

時刻は2300、妃達は神堂の夜這いを求めてまだ寝静まらない時間帯であったが彼らはその神堂龍牙の暗殺の為に今回到着していた。


茂みに隠れながら隊員達は着実に今はすっかり崩壊してしまった王宮に迫っていた。


「止まれ、巡回兵だ」

道中も街道であった名残のある原っぱや沼地を進んでいくと転生者狩りから戻って早々王宮近辺の警戒任務に当たらせれていた鷹司と光石が巡回していた。

彼女らは人手不足により休む暇が無く宮殿の警備部隊としてすぐに巡回任務に当てられており髪の毛は乱れたままボロボロの衣服を着用して注意力散漫したまま巡回を行っていた。


「ふあぁ…眠い。何で私達はこの巡回任務をさせられてあの新入り…」

「文句言わないの…ふぁぁ…」


目を擦りながらふらふらと歩く二人は茂みの中に潜む敵兵の存在どころか目の前のカエルさえ踏んで通るほど何も気にせずそのまま部隊の前を素通りしていった。

そして彼女らが通った事を確認するとスコルツェニーは中隊に前進を命じた。


その頃上空ではユーロファイターが20機程展開しており更に後続にトーネードIDSが30機程到着する見込であった。

万が一特殊部隊が壊滅するような事態が起きた際に彼らが空爆を行い龍の国に混乱を与える為に派遣されていたがこれらの部隊は飛龍部隊に気付かれていなかった。


2325

高地の国の特殊部隊は門衛をしていた下級妃達を全員射殺してから内部に潜入した。

その王宮は昔ならきっと華やかで国家の誇りであっただろうと思える程に壮麗な造りをほんの少しだけ遺していたがそれらを覆い尽くすように異臭と朽ちてしまった宮殿の残骸が建っているだけであり、そして湿り気を帯びた風に包まれていた。

以前は大迷路庭園として庭師たちに整えられていた美しき庭も草木が生い茂り見る影もなく、他の庭園も地面にはゴミと排泄物が撒き散らされ、汚水の水たまりが発生して不潔な見た目に成っていた。


「見るも無惨ですね少佐」

「ああ、国破れて山河ありってところか」

「それは確か中国の故事でしたっけ」

「そうだ。うちの女帝陛下が恐れる言葉の一つだよ」


庭園の中央部に到着すると中隊を四部隊に分けた。

「アルファは俺と共にターゲットの居るであろう寝室へ向かう。ブラヴォーはそのまま東部の食堂や上級妃の寝室、チャーリーは西部の下級妃達が住んでいるスラムを探れ、デルタは退路の確保だ」

了解と応答した隊員達はそれぞれ指示に従い四方に分かれた。


「少しはうちの女帝陛下にドイツ式の呼び方に変えてもらうように意見具申したほうが良いか?」

スコルツェニーは少しだけこのNATO式の呼び方に不満気だった。


2335

ブラヴォーは上級妃達の寝室のある区画へと侵入した。


「こちらブラヴォー6、配置についた。これより捜索を開始する」

《了解ブラヴォー6、慎重にあたれ。そこにはこの国の重鎮が居るんだからな。それと出来るだけ戦闘は避けろ》

「了解」


まず一番手前の部屋に侵入した。

そこは元々綾錦繭の部屋であり、彼女が被服生成のギフトを用いて服を作っていた設備だが今は無人であった。


「この部屋には誰もいないか…」

ブラヴォーチームは部屋の捜索を諦めようとしたがふと気になる所が発見された。

それはマネキンやトルソーの中に紛れて、しかし本山感を放つものであった。


分娩台である。

そして後方にはベビーベッドが複数存在していた、嫌な予感がしたが確認の為に隊員達は警戒しながら覗き込んだ。そして覗いた一部の兵士達はのけぞり危うく声を出しかけたが何とか堪えた。


中には赤ちゃんの形をしている、布と生肉が無理やり縫い合わされた腐敗した死体のような肉で出来た人形が寝かされていた。そしてパンツには刺繍で綾錦繭の子どもその1と書かれていてその2、その3といった様にそれぞれのベビーベッドに寝かされている光景が広がり流石に歴戦の猛者達と言えどここで行われていた光景を想像すると吐き気がしてくる者も居た。




「4-1、堪えろ。ブラヴォーチームより、各隊へ。少し興味深い物が有ったから写真を撮る。この後他の部屋へ確認へと戻る」

《アルファ6了解、安全に行けよ》

「了解」


そして写真を撮影し終えると全員部屋から出て次の部屋に移った。


そして次の部屋に侵入した。


「あ、プロデューサーさんかな?」

「な!?」

ブラヴォー5-1は先手を取られたショックで動けなくなり5-2がすかさず援護に回る。


「動くな」

「んぐっ?!」

迷わず口に手を当て相手の喉にP12を突きつけていた。

「そうだ、じっとしていろ。…ブラヴォー5-1、猿轡を」

「了解、ほら猿轡だ」


そして猿轡を噛ませてから二人は気付いた。

「ここにもか…悪臭はするし悪趣味だチクショウ」

「俺ももう何も見たくないがね。任務でコイツらは拘束だから、取り敢えず確保はしといたぞ」

「てかそいつ…」

「あーわかってる。…趣味悪過ぎる()()な」


むーむーうるさい偶像扇動のギフト保持者上級妃星乃キララは捕縛された。

それ以外にも貨幣乱造のギフトを持つ宝生瑠璃や双蛇治癒の薬師寺紗江が確保された。

3人とも腹部がこれでもかと膨らんでおり臨月のように成っていた。


そして残り2人の制圧に移っていく。

だが爆発音と共にチャーリーチームから無線が入った。

《こちらチャーリー6!敵の攻撃を受けた、後退する!!下級妃共が全員起きやがった!!それに、クソっ何だか分からんが強い奴が2人いやがる!!》

「チャーリー6了解した。こちらブラヴォー6、悔しいがそいつらを引っ立てて連行だ。早くしろ、モタモタしてると厄介なギフト持ちと戦うことになるぞ!」


急ぎブラヴォーチームは3人を連れて庭園まで戻って来た。上空では送り届けた機体と交代してやって来たNH90が近くで待機していた。


《こちらアルファ6!くそ、既に逃げた後だ!先程の銃声よりも先に奴は逃げ去った後だったチクショウ!!これより他のチームと合流する!!》




2345

そして四チームは合流して乗り込んで行く。

「少佐、よくご無事で」

「ああ、お前達こそよく無事だったな。チャーリーは…」

「壊滅してないだけマシです」

「クソっ、まだ脱ぎ捨てられた服やベッドは暖かかったし奴の体臭が部屋の中に立ち込めていた。つまり奴らはどうにかこの潜入に気付いていたんだ…。もう少し早く来ていれば」


その中には

「いやあああ神堂様あああ私はここです!ここですううう!!」

「プロデューサーさん!キララの事を忘れないでね!!絶対まだ会えるから!!!」

「神堂さんを置いていけないわ!私には、私にはああ!」


仲良く取り乱している3人の上級妃が居た。


そして高地の国は少なくない被害を龍の国に与えて神堂は北方の雄にも警戒を向けなくてはならなくなりエリカの行動は限界を迎える龍の国にとって破滅の一撃になりつつ有った。

そして全ては崩れ去る

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