二話「転機」
Writer1: accuL 原作
Writer2: niJ 校正、翻訳
ゆっくりと視界が戻ってくる。しかしそれと同時に恐ろしい光景も目に入ってしまった。山と積まれた死体が視界を埋め尽くし、さながらごみ集積場のようだった。
乗客のうちおよそ4分の1が、この墜落だけで命を落としていた。事の次第がようやく分かってきたときには、もう遅かった。モンスターたちが突入してきて、飛行機の無防備な犠牲者たちをむさぼり食っていた。
俺は一人ずつ、その場で人が殺されていくのを見ていた。どういうわけか、生涯軽蔑してきたはずのこれらの人たちに対して、共感や悲しみ、怒りを感じていた。なぜだかわからない。彼らは確かに俺をゴミのように扱い、人間以下の存在だと見なしていたはずだ。
でも、
でも俺は人の命をそこまで軽くは見れない。人間は弱く誰かに助けられないと生きていけない。それは自分がよく知っている。まあ、俺にはあのラノベ『TOMB』しかなかったんだけど。
・・・
まあいい。気を取り直そう。なんもしなくてもどうせ死ぬんだし。そう思いながらもう感覚のない右腕を見る。そう、俺はあの墜落でかなりの大けがをしていた。
悟りを開いてなかったら、のたうち回ってただろうな。それで済む問題でもない気がするのだが痛みがないのは良いことだ。ちゃんと人助けができる。
「さて、やるかあ」
※
と、気合の抜けた声に反応したのかモンスターの一匹がこちらを見ている。ここで俺は恐怖と違和感に襲われる。恐怖の理由は言わずもがな。しかし違和感には正直驚きを隠せないでいた。
なぜなら・・・モンスターに見覚えがあったのだ。あと読み覚えも。
あれ、多分『TOMB』の『ストライガー』だ。 俺は、本で見たクリーチャーと同じ姿をしている飛行機内の生物を見た。そして次の瞬間、迷うことなくそのモンスターのもとへ駆け寄り、座席の横からぶら下がっていた棒を掴んで、すぐさまその怪物の喉の後ろを打ち付けた。そうする以外に倒す方法がないからあいつらは鋼の鱗を持ち、物理的なダメージに対して強力な耐性があった。
だが核と呼ばれるものが喉の裏側にあり、そこを突けば倒せる(はず!)。狙い通りコアを打ち砕くと、モンスターは分解され、経験値(XP)だけが俺に転移した。
ぼっちの間のすべてを、あのラノベとその技を練習に費やしたことは無駄じゃなかったのか!? うまくいきすぎなくらいだが今はこれでいい。
しかも倒すと同時に、俺の前に大量のウィンドウが現れ、レベルアップしたことを告げた。一匹の討伐で俺のレベルは一気に40まで上がったらしい。このレベルアップで200のスキルポイントを手に入れ、好きに振り分けられる。面白い……力、敏捷、知力、体力、魔力に振り分けられるようだ。とりあえず適当に俺は力に50、速度に50、知力に30、体力に35、魔力に35を振ることにした。このシステムはこの世界特有のものらしい。あの本にはこんな設定なかったし・・・
振り分けを確定すると、体内に奇妙なエネルギーが流れるのを感じた。何でもできそうな気がした。モンスターたちの上には「Very Easy」と書かれたネームタグが浮かび、つまり俺にとっては楽勝ということか?




