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一話「章の始まり」

Writer1: accuL 原作

Writer2: niJ 校正、翻訳


 俺は深くため息をついた。月曜日の5時間目、物理の授業中だ。


 俺の名前は怜王(レオ)。教室の一番奥の席に座っている。あの「クラスメイト」と呼ばれる化け物たちから、できるだけ遠く離れた場所だ。


 俺はお気に入りのラノベ『TOMB』を読んでいた。この聖書に出会ってからもう十年が経とうとしていた。そんな幸せなひと時を過ごしていたというのに、”あいつら”たちがまた俺をからかいに来た。一通りいつものが終わって、今日はもう飽きたのか自分たちのたまり場である教卓左の掃除道具入れの前に戻っていった。


 それにしても、今日はついている。いじめ被害件数が3回だけなんてな。この学校に入って以来、最も少ない日だ。俺の「いじめ人生」における記念日にしようかな。


 放課後、家に帰る途中、同じ道を通って帰るクラスメイトの早川芽依を見かけた。彼女はとても可愛くて、でもどこか控えめな子だった。話しかけたいと思ったが、俺のことなんてクラスの他のやつと同じ目で俺の事をみて「変なやつ」と思うんだろな。まあ、ものは試しだ。どうせなにしたって俺の評価はこれ以上下がらないんだから。


 ってことで、すでに砕けていた俺の勇気のかけらをかき集め何とか形にして、彼女に声をかけようとした。そのときだった。突然、もう一人のクラスメイト、名前は確か……坂田とか言ったっけ、が目の前に現れた。あまりよく知らないやつだった。


 彼女は「今話しできる?」と言って、半ば強引に俺を現れたばかりの路地裏へと引っ張り込んだ。そして真剣な表情で言った。

「怜王! 今度の社会見学、一緒に来てほしいの!」

「一生に一度のチャンスなの!」

「絶対に逃しちゃダメ!」

「お願い、怜王、あなたと一緒に行きたいの!」


 誰かが俺に「一緒にいたい」なんて言ってくれたのは、生まれて初めてだった。俺はしどろもどろになりながら答えた。


「う、うん! もちろん行くよ!」


 そう、俺は可愛い子に頼まれたというだけで承諾してしまったのだ。

 その後、俺たちは連絡先を交換し、彼女は去っていった。

 当たり前だが芽衣はもう帰ってしまっていた。そのことで少し落ち込みはしたが、俺は家に帰り、眠りについた。

 そして自分が騙されていたことを知らないまま、社会見学の日を迎えるのだった。






 社会見学当日。期待に胸を膨らませ俺は家を出た。ちなみに行先はと言うと韓国だ。私立の名門校で国際色豊かな学校なのでこういうところがあったりする。


 現地集合なので電車に乗り込みしばらく揺られている間に空港についた。集合場所にはすでにかなりの生徒が集まっていて、俺を誘ったあの子、坂田もそこにはいた。声をかけようか迷ったが、班行動になるまではやめておくことにした。


 手続きを済ませ飛行機に乗り込んだ。保安検査場で手間取ってしまい時間ギリギリで飛行機に乗り込んだ。彼女がどこにいるか探そうとしたが、俺はかなり遅れて乗り込んだので、出発するまで待ってから探そうと思っていた。

 

 飛行機が離陸した後、俺は立ち上がって機内の後方へ向かった。


 すると、彼女がそこで笑っていて、その周りには”あいつら”がいた。それを見た瞬間、俺は現実を突きつけられ、パニックになった。旅の間ずっとこの地獄に閉じ込められるんだ。俺はパニックになりながら誰かに頼んで今すぐ飛行機を着陸させてくれと訴えに行った。俺にとってこれはそんな馬鹿なことを平然とさせる緊急事態だったからだ。だが客室乗務員は、飛行機を一人のために着陸させることはできないと当たり前の言葉が返ってくるだけだった。


 少し時間を置いて冷静になってから、俺は席に戻り、着陸したらどうするか考えた。逃げるべきか? でもどうやって? ”あいつら”に立ち向かって抵抗をするべきか? そんなこと無理だ。途方に暮れた。何一つ解決しないまま、俺の中には一つの決定事項が生まれていた。あのラノベ『TOMB』を捨てることだ。あの本のおかげでもう何年もぼっちだ。本当にもううんざりだ。そして飛行機の中と言う最後の安息の時間を過ごそうと目を閉じた。前日はよく騙されたとも知らず興奮がおさまりきらなかったのでよく眠れなかった。そのせいか、驚くほど深い眠りに落ちた。


 神は悲しんだ。純粋で優しかった少年が自分が渡した本によって苦しんでいることを。その本のせいで恥じ、憤り、そして苦悩に満たされていることを。


 神はいつでも気まぐれだった。神はあるギフトを怜王に渡した。昔、彼に『TOMB』を、世界の取り扱い説明書を渡したように。


 何やら騒がしいと思い目を覚ました。


 赤い照明が点灯し、乗客はパニックに陥る寸前と言った感じだ。俺はまだ夢を見ているような気持ちのままだったので不思議と落ち着いていた。そして目の前が暗くなり俺はまた意識を奪われた。


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