#4
「・・・ふぅ…ひとまず、私の仕事は終わり。
後は、社長以下営業チームの腕の見せどころ、ってトコね。」
舞台袖に戻り、いつもの表情に戻った杏が呟く。
「お疲れ。まぁまぁじゃないの?」
「そこは褒めるトコでしょ。」
舞台上、災害現場や病室、日常空間などのセットを利用し、MIシリーズ3体の連携や、単独用途など、場面に合わせたデモンストレーションが続いている。
「思ってた以上に生き生きしてるなぁ…アンドロイドだけど。」
「何ダジャレみたいに言ってんのよ。」
「それもこれも、俺がちゃんと稼働試験続けて、データ収集してたからだろ。本当感謝して欲しいわ…」
「そこは…凛悟のお陰で、男性型追加の有用性が実証されたから、Tacmi(タクミ/巧)が生まれたって事でいいじゃない?」
「いや、なおさら感謝だろ。」
「ありがとサンカク、またきてシカク。」
「何ダジャレみたいに言ってんだよ…」
「今度は丸いの持ち上げた…。本当、ウチの子優秀だわ。」
気づけば、杏・凛悟とも、舞台上のデモンストレーションを見守っている。授業参観で子供を見つめる親のそれである。
「『mind-able intelligence』って、言い得て妙なりだねぇ。」
「凛悟のポカをフォローするノウハウが活きてます。」
「つまり、姉さんの無茶振りを捌くノウハウも、ってことね。」
「だからゴメンて…。」
本日は、凛悟がやや優勢で終わりそう、である。