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MIシリーズは「ココロ」を持つアンドロイド。
人々と向き合う存在と語る杏。
「MIシリーズ制御用のAIについては、
造語となりますが、『mind-able intelligence』
日本語では、本来『心向』と読む字を当てて
『心向知能』と呼んでいます。」
文学者であった父、兵悟の影響か、拘り抜いた命名が客席のスムーズな理解を生み、杏の語りも冴える。
「なんだかんだで、やるときゃやるよな。姉さん。」
舞台袖、壇上を見つめる凛悟から、安堵の声が漏れる。
「続いて、MIシリーズの動力炉となる『eTRANZe』をご紹介します--。」
・・・ん、なんだかサッパリわからなくなったぞ・・・
稀代の天才科学者の、所謂『トンデモ理論』に理解が追いつかない会場の空気を察し、ブロックサインを送る凛悟。
視界に凛悟を捉えた杏は、ばつが悪そうな表情で--、
「平たく言えば、温室効果ガスを吸収し、出力こそ低いものの、無尽蔵のクリーンエネルギーを生み出す装置、です。」
杏の説明に、会場一同「あーーー。」と安堵の声。
マンガみたいだな…と、胸を撫で下ろす凛悟であった。