第零話
※この物語は完全フィクションです。
作者は初心者で何も分かってないです。
・ブックマークや評価、誤字脱字などの報告をしていただけると幸いです。
”この世界は、人の心は、腐敗している…”
数多の天才が辿り着いたこの世の真理とはこの程度のものであった。
世界を創造した神々はこの現状を酷く嘆き、憂いた。このままでは人の世はたった一筋の光すらない暗く淀んだ奈落のような場所となってしまう、と。
ーー天界・審判の間ーー
西暦4444年4月XX日
この日、長年人間に対しての処遇を決めかねていた神々は人間らをどうすべきか、神々の長【真実の神 アルルク】に判断を委ねるために神卓会議を開いた。会議が始まって直ぐに、アルルクは人の世界の運命を決断すべきだと八百万の神々へ説いた。アルルクは全ての神々の意見を聞き、判断するとした。
勿論、大勢の神々が人の世を一度完全にリセットしてしまおうと意見した。
しかし、【太陽の神 天照】のみが異なる意を示した。「人の世は人自らが決めるべきであると思います」その言葉にアルルクの目がすっと細められたのを天照は確認しながら後に続く言葉を紡いだ。
「これはあくまで私の提案ではありますが、人類を数百人選び、能力を与えて争わせ、最後に残った一人に今の人の世の命運を握らせるのは如何でしょうか。」
その言葉にアルルクは怪訝そうな顔をして問いかけた。
『なぜ争わせる必要がある?ただ話し合わせるだけで充分でないか。』
「失礼ながら、アルルク様。その人間たちの勝負の結果を予想して楽しむのも一興かと。それに、私は人間の本質というものは死と隣り合わせであるときにこそ現れると考えております。多勢の人の美しいとは言い難い本質を見てそれでもなお世界を救うことを選ぶような者が残ったならばその時はその人間の意志を尊重いたしませんか。」
『……確かにな。最近は暇も暇で新たな娯楽が神の世界にはかけていたようにも思える。尚且つ、長年神々を悩ませてきた問題も真実の下に解決出来るならば、願ったり叶ったりというものだ。』
アルルクはそう言うと、まわりをぐるっと見渡して、
『して、天照よ。他の神々やジラクも異論はなさそうじゃ。代表者の選定や与える能力、ルールに関してももお主に一任しよう。やってくれるな?』
天照はアルルクが側近のジラクや他の神々が納得していることを確認したのをみて、
「はい、この天照、必ずやアルルク様の期待に沿うような素晴らしい舞台を整えさせていただきます。2週間ほど頂いてもよろしいでしょうか?」と応えた。
アルルクの前では嘘は通じない上に失敗も許されない。だからこそ、万全を期すためにはこのぐらいの期間が必要だった。
『許す。皆も天照に協力してやれ。以上で人間に対する処遇を決める会議は終了とする。解散しろ、、、、』
アルルクの言葉に従って天照や他の神々はぞろぞろと会議室を後にした。
去って行く神々の会話はアルルクへの賞賛の言葉が多く聞こえた。すべての神々の声を聞いて判断しようとするアルルクの姿勢は神々に好印象を与えたようだった。
その場に残ったアルルクに、ジラクは「さっきの話し方、結構好印象だったみたいですよ。」と伝えた。さっきまでとは打って変わってふてぶてしい態度の主の機嫌を少しでも良くするためだ・・・・・焼け石に水程度の慰めだが無いよりはましだろう。主はというと、腹立たしい!!と言いたげな表情とは裏腹に、新たな娯楽に対する好奇心を含んだ声で、まぁジラクの予想通りに愚痴とそして、驚いたことに天照への期待を語った。
『厄介なことになったが…まぁいいだろう。2週間後から、人間と天照の行く末を見守るとしよう。天照、我を少しは楽しませてくれよ?クックック・・・・・』
楽しそうな主の声色にジラクはいつ帰れることになるやらと頭を抱えたのであった。
ーー2週間後ーー 西暦4444年4月YY日y時【人間界】
「速報です。各国の政府は突如、世界終末宣言を発表しました。その理由や対処法、”いつ”その時が来るのかなどはわかっていないと見られ……」
「地震です。地震です。震度は……」
「世界各地で幾つもの災害が起きています。どこにいても注意して……」ーーーーーーーー
ーt都、某郊外ー
『外、賑やかだね。おばあちゃん。』田舎で、しかも深夜なのに外が騒がしくて思わず僕は死んでしまった祖母に話しかけてしまった。
そうだね。って生きている時は嬉しそうに返してくれてたのに…そう思った僕の言葉は誰も居ない空間に取り残されたままだった。
ついさっき、僕の祖母は息を引き取ったばかりだ。
ーー奇しくも世界に異常が起きはじめた時間に。
それは偶然だと僕は思っていた、父、母、妹や危篤だった祖母のために駆けつけていた親戚たちもそう信じていたんだ、あの時までは。
そんなことも知らずに僕は、穏やかな表情で眠っているようにも思える祖母の顔を眺めながら外の騒々しい現実から、祖母がいなくなってしまった喪失感から、暫しの逃避行をした。しかし、10分経っても、20分経っても、外があまりにも騒がしいから、なにか事件でもあったのかとテレビをつけてみると、ニュースは現実味のない報道で埋め尽くされていた。世界各地で異常事態が発生しているだの、どこも安全でない、日本では各地で地震が起きていて、、、、などやはり到底信じられない。特に”日本の各地で地震が沢山起きていて、t都全土では震度が7を超えて津波が…”なんて報道は信じられなかった。ーーだって郊外とはいえ一応t都に住んでいるのだから。そして今の今まで我が家は少しも揺れておらず、ニュースを見るまではその事すら知らなかったのだから。
驚いて声も出なかった。が、僕らはその違和感に気づかなかったフリをして次の日からの祖母の葬儀だのなんだのに備えて眠ってしまった。……次の日、再び絶句し、そして、僕の運命が変わってしまうとも知らずに。
〈人物メモ〉
・本編で出てくるかは不明ですが、
主人公の名前は朝花 善です。
・彼は帝国叡明学院の高校2年生の設定で、家族構成は本編にある通り、父、母、妹(小学校6年生)、そして祖母(享年96歳)の5人家族でした。
・善の名前の由来はある意味で“いい人”