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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第二章 スポイラー・トーゴー編
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マキとの未来の巻

 この数日間、誰かと二人で行動する日が続いた。まずはラームと湖へ、マユとスライムの集落へ行った。サキーが剣術を教えている道場、ルリさんの研究の付き添いもした。


「おいしいね、お姉ちゃん!」


「うん!何の肉を使っているのかわからないけど、おいしいから問題なし!」


 こうなると残るはマユだ。私がみんなと出かけたことが伝わって、「わたしもお姉ちゃんとデートしたい」というおねだりに応えた。


「何を食べるかより誰と食べるか、この言葉は正しいよ。豪華なフルコースでもお城の連中といっしょに食べたらちっともおいしくないしつまらないからね」



 王族を嫌っていたマユの思惑通り、これからますます彼らと過ごす時間は減っていくだろう。以前から噂になっていたことがつい昨日、正式に発表された。


「やっとだよ。婚約がなくなって身も心も軽くなった!これから楽しくなるなぁ」


 マキとマッチョ王子の婚約は破棄された。表向きの理由は『大聖女を縛りつけることは世界の損失に繋がる』となっている。


 実際は違う。マキだけでなくビューティ家全体が王族に不敬なので縁を切らせてもらうと直々に通達がきた。当然支援も打ち切りとなった。 


「まあ……闘技大会の優勝と準優勝の賞金だけでしばらくは困らないからね。私も冒険者として稼いでるし」


「あんなやつらのお金なんかいらないよね」


 マキはこれからも王国のために大聖女の力を使う。それでもただの顔見せやパフォーマンスで呼ばれることはなくなる。今日のような自由な時間が増えた。



「あっ、かわいい木の人形が並んでる。言うまでもなくマキのほうがかわいいけどね」


「こっちのはかっこいいよ。もちろんお姉ちゃんのほうがずっとかっこいい!」


 姉妹愛が強すぎる私たち二人だ。これくらいのやり取りは珍しくない。そして今はマキの魔法で私たちの正体がわからないようにしている。周りの目を気にする必要がなくなり、いつも以上に妹を溺愛する馬鹿姉でいられた。


(いや〜〜〜………幸せだ。こんな日々がずっと続けばいいな………)


 しっかり働いて家族を支えて、休日は最愛の妹とお出かけ。この至福のひと時を終わらせたのもマキだった。




「………わたしたちの赤ちゃんにもこういうおもちゃがいるよね。今のうちに買っておこうか?」


「えっ!!」


 マキが忘れているわけがなかった。誰よりも長い間、私と結ばれることを強く願っているのだから。



「そろそろ完成するんだよね、あの女の魔法。だったら準備を始めておかなくちゃ」

 

「………いや、まだ時間がかかりそうだよ………」


「あれ?おかしいな?あとは最後の微調整だけだって本人が言ってたはず。お姉ちゃんも見てきたんでしょ?」


 そうだった。ルリさんが昨日の夜、みんなの前で話していた。それならもう一つの逃げ道を使うしかない。


「違うよ。時間がかかるのは魔法じゃなくて私だよ。ほら、まだ親になるのは早すぎると思わない?私だけじゃない、マキも今のうちにやりたいことがたくさんあるよね?」


 もっと人生経験を積んで、私たち自身が大人になるまでは子どもを育てるのは待とうと説得した。ルリさんは一応納得してくれたけど、はたしてマキにも通るか。




「………?お姉ちゃんと結婚していっしょに子どもを育てる、これ以上にやりたいことなんかないよ?」


 マキはすでに『ゴールイン』するつもりのようだ。自分が中心の人生を終えて、私と共に子どものために生きる気持ちは揺るがない。


「子どもがいつ大人になるか………ちゃんとした答えはないよね。親になって子どものために頑張っているうちに立派な大人になっているってこともあるよ」


「そ…そうかな?」


「お父さんがそう言ってた。それにいざとなったらみんな助けてくれる。だから慎重になりすぎる必要はないよ、お姉ちゃん」


 あっさり押し返された。完全に主導権を握ったマキはそのまま攻勢に出た。



「えいっ!すりすり!」


「マ……マキ!?」


 いきなり横から抱きついてきた。ぴったり密着して身体をこすりつけてくるから、小さな胸や柔らかい下半身の感触がはっきりわかる。



「こ、こんなことだめだって……」


「あれあれ?どうしていけないのかな?姉妹として仲良くしてるだけだよ?まさかお姉ちゃん、違う気持ちになっちゃった?わたしのこと、妹じゃなくて女として意識しちゃってる?」


 私の心が弱かったらマキの挑発に屈していた。息遣いの荒い妹を押し倒して、そうだよと言って襲っていただろう。それだけ今のマキは誘惑的で、大聖女ではなく超上級の淫魔に見えた。



 欲望に身を任せて暴走しなかったのは自分を褒めてあげたい。でも完璧な対応ができるほど完成された人間ではなかった。


「………そうだよ。マキに興奮してた」


「やったぁ!実は少し不安だったんだよ。お姉ちゃんとわたしの愛の種類は違うんじゃないかって。でもそんな心配はいらなかった!これからいっぱい愛し合おうね!」


 正直に認めてしまい、マキを喜ばせる結果になった。誰が相手でも健康な子どもができる魔法があるとしても、実の姉妹で結婚なんて前代未聞だ。しかも他にも『特別な仲』の女の子が何人もいる。


 私に待っているのは天国以上の幸せか、地獄すら生ぬるい破滅か。裁きの時が迫っていた。




「お姉ちゃんとの子がわたしのお腹の中に来てくれる日が待ち遠しいよ。動きづらくなる前にいろいろ買い揃えたほうがいいかなぁ」


「……聖女は出産と同時にその力を失う。数百年に一人の大聖女の歴史がこんな早く終わっちゃうのはちょっと残念だね」


 聖女の力は引き継がれるだろうけど、大聖女はまた数百年後、どこかの誰かが選ばれるまで現れない。マキではなく私が世界中から恨まれそうだ。


「う〜〜〜ん………それはわかんないよ?わたしとお姉ちゃんは二人とも大聖女の力がある。100パーセントを伝えたらもしかしたら………」


 マキが98か99、私が1か2という圧倒的な差がある。それでも二人の力を足して100にすれば歴史上初の大聖女親子が誕生する、これは絶対にありえない話でもない。



「マキはお城や大聖堂で昔の大聖女の歴史を勉強したんだよね。その人たちはどうだったのかな」


「古すぎて伝説みたいなものしか残ってないみたい。でもわたしの前の大聖女についてはちゃんと記録が残ってた。その人は子孫を残さなかったって書いてあったよ」


「そうなんだ……どんな生き方をしたんだろう」


 先代の大聖女の歴史。ただの物語で終わるのか、それとも私とマキのこれからに役立つヒントがあるのか。しっかり聞いておこう。

 ぼくは、よこはまでぃーえぬえーベイスターズのファンです。ことしこそゆうしょうできるとしんじていました。きょうりょくましんがんだせんが、よわすぎるほかのチームをふんさいするとおもっていました。


 ところがこれはどういうことですか。なぜベイスターズだけなつバテしてきゅうしっそくしたのですか。どうしてベイスターズのエラーはすべてしってんにからみ、チャンスになるとうてなくなるバッターばかりなのですか。


 みうらかんとくはあたまをまるめて、スターマン(めたぼたぬき)はやせてください。

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