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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第二章 スポイラー・トーゴー編
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準備万端の巻

「ふ―――っ………やっぱりこいつらは口だけ、格好だけだったな!」


 激しい乱闘が終わった。私たちは不毛な戦いから離れるため、争いの輪から逃げていた。


「派手にやったな。サンシーロ」


「しかしこれでサキ様たちの順番が8番目となりました!最低限のレベルにも達していない雑魚どもを間引いておきましたよ!」


 闘技大会で私とサキーが上位に入ったことでこのギルドの評判も上がっていた。でもこれできっとまた元通りだ。サンシーロさんは大暴れできて満足そうだから、私から言うことは何もない。



「くそっ……大老害め!」


「ダンジョンの攻略に失敗したらやつのせいだ!」


 手も足も出ずに痛めつけられた冒険者たちは恨み節だ。少し失礼かもしれないけど、この実力ではラームやサンシーロさんの言う通り厳しい結果になりそうだ。



「あまり広くないようですから、サキ様たちのように四人もいれば足りるでしょうし、他のチームもだいたいそのくらいです」


「人が多すぎると分け前も減るからな」


 安全を重視するならダンジョンの規模に関係なく大人数で協力すればいい。ただし場所によっては狭くて動きにくくなることもあるし、知らない人たちと組むよりは仲間たちと少数精鋭のほうがやりやすい場合もある。私たちも今回は四人で行くことにした。


「さて、だいぶ順番は早くなったが……明日以降か?私たちの出番は。一度帰るか、ジャッキー」


「そうだね。潜る準備を整えておこう」


 回復薬や保存食、それ以外にも必要な物を用意する。広いダンジョンだと数日間の長期戦になる。今日はひとまず家に戻った。




「ダンジョンだと!?ならばこの盾を持っていくといい!軽いがどんな攻撃にも対処できる。先頭を歩くであろうサキーくんに渡そう」


「あ、ありがとうございます。すごい盾だ……」


 見たことがないほど高性能な盾を見てサキーは驚いていた。刃物や打撃だけでなく魔法による攻撃も打ち消すほどで、非売品だ。


「ジャッキーはこれを着ていくといいわ。闘技大会の準決勝で敵の魔法を完封したローブを!」


「いいの?こんな大事なものを……」


「愛する娘の命以上に貴重で大切なものなどない。遠慮なく持っていきなさい」


「確かにそうなんだけど、う〜ん………」



 お父さんとお母さんから国宝級の品々が渡される。もちろんマキとルリさんも黙っていない。


「お姉ちゃん!このお守りを首にかけてね!わたしの血が数滴入っているから前のやつより効果があるよ」


「私からもお守りです、ジャクリーン様。魔力を込めた私の髪の毛が入っています」


「二人ともありがとう。身につけていくよ」


 お守りの名の通り、私をあらゆる災厄や危機から守ってくれそうだ。完璧に守りすぎてしまうほどに。



 ラームとマユも兜や胸当てをもらっていた。どちらも子ども用でありながら、王国の兵士たちが装備するものよりも高性能だ。その他にも火の魔法が放てる杖や癒やしの石などを持たされて、まさに至れり尽くせりだった。


「装備や道具頼みの冒険になりそうだね」


「……まあいいんじゃないですか?周りの支援もジャッキー様が引き寄せたものですから、実力の一部ということで」


 素直にそう思っておこう。どんな敵が待っているかわからない以上、備えが充実しているのはいいことだ。






「さすがに昨日の今日はないよね……」


「ああ。まだ出番はないはずだが、失敗して帰ってきたチームから情報が聞き出せるかもしれない」


 こんな短い時間で私たちの前のチームが全部脱落というのは考えにくい。でも何があってもいいように、一応準備はしてきた。



「おお、来たか!これまでのチームは全てリタイア、帰ってきた連中の話を聞いたやつらも怖がって辞退した!だからいつでもいけるぞ!」


「………え?」


 こういうことがあるから荷物を揃えておいて正解だった。心の準備はこれからだけど。


「あっちに脱落者どもがいる。ヒントをもらってから行くといい」



 言われた通りにぐったりした人たちが集まるテーブルに向かうと、全員顔が青ざめてげっそりしていた。


「たった数時間で何があった?死人が出たのか?」


「………いや、死者や行方不明はいない。ただ……あれは地獄だ。行かないほうがいい。女しかいないお前たちのチームは特に……」


 身体は無事でも精神をやられている。そういう攻撃に警戒する必要がありそうだ。


「女だから弱いと?この二人は王国の闘技大会でも活躍した方々、そのへんの男よりは……」


「違う。あれは実力の問題じゃない。俺たちでもこうなるんだ……悪いことは言わない、やめておけ」


「そうだ。いまだに何も食べたくないし飲む気にもなれん。うっ……また吐きそうだ」


 思い出すのも嫌だという顔だ。詳しいことを聞くのは無理でも、とても厳しいダンジョンなのはよく伝わってきた。



「みんな早々に撤退してアレですか……序盤からとてつもない試練があるということでは?」


「入った瞬間から警戒しないとな」


 このダンジョンは目立った入口があるわけではなく、道端にひっそりと地下に続く階段があるだけだった。陽の当たらない場所で、これだと大きな岩や茂みがあれば気がつかない。何かの拍子にそれらが取り除かれて、入口が明らかになったのかもしれない。

 横浜DeNAベイスターズは前半戦を3位で終えました。打率、本塁打、盗塁、得点など攻撃面では貧弱な他球団を圧倒し、飛ばないボールに守られた偽物の好投手たちを粉砕しました。


 一方で投手陣は失速しています。先発は暑さにやられ、リリーフは賞味期限切れの投手が増えてきました。とはいえ投手よりも守備の脆さが問題です。お粗末なプレーが失点に繋がり、真の敵は相手打者ではなく味方なのではと疑心暗鬼になります。


 まあ後半戦は本気を出して混戦モードのセ・リーグを抜け出し、圧勝してくれることでしょう。真面目にやれば誰も勝てません。

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