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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第二章 スポイラー・トーゴー編
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スポイラー・トーゴーの巻

 村人たちに殺され殉教した神父様の遺品を探すため、滅びの村へと向かう馬車の旅が始まった。私たちが早ければ一日、時間がかかれば数日帰らないことを、サンシーロさんがお父さんたちに伝えに行ってくれた。


「我々オール・エリート・ギルドは皆さんを高く評価しています。こうして互いに協力する機会が今後もたくさんあることでしょう」


 同行するスポイラー・トーゴーさんはとてもいい人で、頼りになりそうだ。ただ、このトーゴーという家の名前はどこかで聞いたことがある。貴族や王族ではないけど、何かを成し遂げたとして語り継がれていたような………。



「ジャッキー様、幽霊とかゾンビが出てきたらどうするんですか?普通の攻撃は通じないかもしれませんよ」


「聖女の力を使いこなせたら簡単に消滅させられるはずなんだけどね。やってみないとわかんないかな」


 村人が姿を変えて生きているというのはただの噂で、実は誰もいないなら最高だ。魔界の大物が村に目をつけて、力を分け与えて強い魔物たちがたくさんいるのが最悪の展開だ。後者だった場合は何かを試そうとする前に逃げたほうがよさそうだ。



「二年も経ってるんだ……探したところで何もないだろうに、どうして今さら思い出の品を探せと?」


「時が過ぎても別れの寂しさが和らぐとは限りません。我々は全力で依頼者様の要望に応えるよう努力するだけです」


 トーゴーさんの言う通りだ。どうせ無駄だと決めつけず、全力でやるべきことをやろう。


「亡くなった神父様に関わる品々が見つかる可能性は高いと私は思います。村人たちは衣服や金目の物を大事に保管していたはずです」


「なるほど。劣化しないように箱とかに入れて……神父殺しのほとぼりが冷めてから売るためですね。津波のせいでしばらくはそれどころではなかったというのもありそうですが」


 私が気になっていたことはサキーやマユが先に聞いてくれるから楽だ。トーゴーさんの説明も毎回丁寧でわかりやすく、緊張や不安が和らいでいった。



 馬車は貸し切りだからいつでも自由に止められる。のんびり外の空気が吸いたい、それだけでも休憩してくれるから快適だった。


「急がなくても今日中には着きそうだな。村の探索は明日の朝からやればその日のうちに帰れる」


「近くに宿はないので馬車で一泊することになります。途中の街で食料などを買っておきましょう」


 ここまで順調に進むと、どこかでそのぶん苦労させられそうな気がする。村ではゾンビたちと激しい戦いになることを覚悟しておこう。もちろん村に入るまでも警戒を怠らないようにしないと。






「ふあ〜〜〜………よく眠れた!」


「……夜中も全然起きませんでしたね」


 警戒すると誓っておきながら爆睡だった。ずっと馬車に乗って移動するだけでも疲れるのだから仕方ない。


「サキーが見張ってくれてたから安心しちゃったよ。信頼してるって証だから」


「ああ。これからもどんどん私を頼ってくれ。今日の主力はジャッキーだ、じっくり休んでもらわないと困る」


 ゾンビが大群で襲いかかってきたら私が倒すしかないという流れになっているけど、私がうまく大聖女の力を出せなかったらみんなも体術や剣術で戦ってもらう。案外効くかもしれない。



「それに……どこにジャッキーを狙うやつがいるかわからないからな。しっかり見ていたよ」


 サキーの視線の先にはトーゴーさん、それに馬車の御者さんがいた。二人ともいい人なのに、まだ心を許していないのか。


「サキー!そんな言い方、失礼だよ」


「いいえ、信頼を得るには時間がかかります。サキーさんにも認めてもらえるように頑張るだけですよ」


 不快な思いをさせられただろうに、トーゴーさんはどこまでも爽やかだ。こんな大人になりたい。


「さあ、素晴らしい朝は朝食から始まります!おいしい食事でいい一日にしましょう!」


 料理の腕も超一流だった。今回だけなんて言わずにこれからもいっしょに仕事がしたい。サキーが態度を改めないようならチーム解消を考えるべきか。



 


「じゃあ行こうか。村の跡地は目の前!道は荒れたまま、人が立ち入った気配なし!」


「近づき難い瘴気だな……これでは誰も村に入れないのも納得だ」


 王国の調査隊も敬遠していた土地。もちろん一般人は怖くて近寄れない。


「………誰も行っていないのに神父様を殺したことや全滅したことはどうしてわかったんでしょうね?」


「生き残りがいたらしい。道なき道をどうにか越え、報告を終えると疲労と病で死んでしまったそうだが」


 食べ物も飲み水もなく、不衛生な環境で病気になって人々は次々と倒れていったという。感染を防ぐためにしばらくは村に近づくなと指示が出ていたけど、解除されても自分からそんな場所に行こうとは思わなかった。



「まだ悪臭はしませんね。死体の臭いはもうないとしても、魔物や野生動物がたくさんいるのなら……」


「ゾンビどもが追い払っているのかもな。まあそれも噂でしかない。案外何も………」


 私の前を行く皆の足が止まった。まだ入口なのに早速『歓迎』を受けた。



「オオオ……」 「オ、オマエラは………」


「ヨ…ヨソモノはデデいげッ!!」


 死体や骨が動いている。それに加えて煙や火の玉みたいなものが浮いていて、全てが村人たちの成れの果てだった。



「こ……こういうの、本で見たことはあるけど……やっぱりその………帰りたくなってきた」


「な、なに言ってるんですか!あいつらが襲ってきたらジャッキー様がどうにかしないと!」


 ラームとマユが私の後ろに隠れた。私は二人を守る立場だからこれは当然として、


「……………」


 サキーまで私の背にしがみついていた。さっきまであんなに強気で勇ましかったのに、見る影もない。


「あ、あ、あのアンデッドどもに私の剣は分が悪い。それに……徹夜で見張っていたせいで本調子には遠いんだ。ジャ、ジャッキー!大聖女の力を見せてやれ!」


 私も怖くて震えているのにサキーまで戦力外。私たち四人が完全に役立たずの中、頼りになるのはやっぱりトーゴーさんだった。

 昨日に続き、G1 CLIMAXの話をします。今日はBブロックです。



①ボルチン・オレッグ……規格外のヤングライオン。すでに本隊の誰よりも強いと思う。勝敗は全く予想できないが、もし彼が上位3人になるようなことがあれば世代交代が一気に進むだろう。


②エル・ファンタズモ……仲間がほとんどいなくなってしまった、はぐれGoD。上手いし面白いけれど、この選手が決勝トーナメントに残るイメージは全くない。試合巧者はみんな不遇な役割。


③後藤洋央紀……CHAOSから唯一出場のベテラン。タッグ屋のイメージが強くなったがシングルもまだまだいける。後藤というよりはCHAOSの勢いが全くないので、そろそろ本隊かJ5Gとの合併もありそう。


④辻陽太……令和三銃士ではダントツの存在感とパワーを誇る。今年のNJCを優勝してG1も制覇すれば大偉業だが、新日本にその勇気があるか?ボルチンと同い年で、どちらが上に行くか楽しみ。


⑤ジェフ・コブ……パワー系が多い連合帝国でも一番の怪力。そろそろコブにも大きなタイトルが欲しいが、本人にあまりその気がなさそう。TV王座を持っているのも大きなマイナス。


⑥HENARE……頭が割れても戦い続けるバーサーカー。NEVER無差別級王座を獲得し、悲願の初タイトルとなった。ただしコブ同様、ベルトを持っているのはG1での上位進出に足枷となってしまう。


⑦上村優也……J5Gの若手枠。比較対象が辻やボルチン、竹下というのが少し気の毒。この期間中にユニットを裏切りそうな予感がするが、じゃあどこに行くのかと言われたら特に思いつかない。そのままでいいかも。


⑧デビッド・フィンレー……BULLET CLUBのリーダー格。ベルトを持っているがGLOBAL王座、国内で防衛戦を行う必要がないので優勝しても問題ない。そろそろ拷問の館との全面戦争をしてほしい。


⑨成田蓮……ストロングスタイルを捨てて拷問に魂を売った男。AよりはBのほうがHOUSE OF TORTUREの無法ファイトが決まりそうな相手が多いので、成田のほうが真社長より好成績を残すかもしれない。


⑩KONOSUKE TAKESHITA……DDTとAEWの二重所属。DDTのレスラーは何が来ても対処できるので、ラフファイトは通用しないだろう。さすがに竹下母(レインメーカー使い)や髙木三四郎が乱入する展開にはならない……はず。



 このブロックは竹下と辻がほぼ決勝トーナメント進出濃厚で、残る一枠を成田、フィンレー、ボルチンで争う感じでしょうか。牛角がスポンサーならHENAREの優勝だったのに……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジャッキーチームが4人とも怯えてるのが可愛い!新章が始まっても相変わらずみんな可愛くて最高!
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