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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第四章 強敵たちの襲来編
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魔王軍の六人組の巻

「なんだと!?王冠を盗まれた!?」


 王様に全てを話したところ、玉座から転がり落ちた。この反応はとても演技には見えず、事件に関わっている疑惑は晴れた。


「何をやってるんだ、この大馬鹿どもが!」


「意外な反応だな、ゲンキ。ビューティ家の不幸を喜ぶものだと思っていたが……」


 お父さんの発言が怒りの炎に油を注いだ。王様はそばにあったリンゴを握り潰すと、テーブルを手刀で叩き割った。



「いいか!あと一日だ!一日以内に王冠を取り戻さなければジャクリーン・ビューティは王座剥奪、スーパー闘技大会の優勝も取り消して一家まとめて国外追放だ!」


「ゲ―――ッ!!」 「そんな!」


「そして私も王ではなくなる!お前たちだけでは責任を取り切れないほどの失態、世界中に詫びるためにはこうするしかないだろう!」


 たった一日で犯人と王冠を見つけるのはかなり厳しい。探すのを諦めて新天地に向かうための準備をしたほうがいいとすら思えてきたけど、さすがにそれは無責任すぎるか。



「王冠が欲しいだけの盗人ならもう遠くに逃げているだろう。しかし別の目的があるならまだそばにいるかもしれない」


「……別の目的?」


「ジャッキーやビューティ家に恨みを持っていて、全てを失うところが見たいのだとしたら、混乱や絶望の様子をどこかから眺めているだろう。もしくは何らかの交渉の道具にするとか……」


 返す代わりに〇〇をしろ、〇〇を渡せ……私たちが断れないのをいいことに、とんでもない要求をしてくるわけか。用意できるものならいいけど、そうでなければやっぱり私たちは王国を出ていくことになる。

 

「法外な条件を出してくるとしても、むこうから姿を現してくれない限りどうしようもなさそうだ」


 王冠が奪われてからすでに何日も経っている。取り返す唯一の方法は、相手の取引に応じることだけだった。



 でもそんな都合のいい展開にはならないだろうなと誰もが諦めていた、まさにその時だった。お城の外が騒がしくなった。


「急にどうした!何が起きている!?」


「こ、国王様!ご覧ください、あれは!」


 窓から外を見ると、黒いマントで全身を覆った六人組がいた。宙に浮いていて、そのうちの一人の右手には……。


「お…王冠だ!本物か!?」


 この距離からだとわからない。しかしわざわざこれを持って私たちの前に姿を見せたということは、ほぼ決まりだ。




「お前たちは何者だ!そしてその王冠は!?」


「アントニオ・ゲンキ王……お前に用はない。ついでに周りの連中も下がってろ。相手にするのはこの王冠の持ち主、ジャクリーン・ビューティだけだ」


 思っていたより正面から来た。街の人たちにも王冠を奪われたことが知られてしまったけど、どこにあるのか完全にわからなくなる最悪の結末は避けられた。



「何が望みだ!金か!?権力か!?」


「ジャクリーン以外は相手にしないと言っただろう。まあいい、話さなければ始まらないからな。教えてやる」


 私のためならお父さんは家の財産を全て渡すだろう。王様も自分の地位を守るためにできる限りのことをするはずだ。六人組の要求がよほど現実離れしていなければ、これで事件は終わる。




「ジャクリーン・ビューティ!この王冠を返してほしければ私たちと戦え!」


「………!」


「私たちに勝てば王座防衛、こいつは返す。しかし負けたら防衛失敗、私たちのものになる」


 

 六人組は私との対戦を求めた。試合をするだけでいいのなら、予想よりずっと楽だ。


「なんだぁ……そんなことか。よかったよかった」


 私が笑顔を見せると、六人のうち半分くらいは怒った。残りは無反応、ただし全員まだ顔も姿も隠されたままだ。


「よかったとはなんだ!我々をナメているのか!」


「そうじゃないよ。大金貨数万枚とかジェイピー王国の支配権とか、とんでもない交換条件を出されるだろうと思っていたんだ。わざわざ王冠を盗まなくても防衛戦くらいやってあげたのに」


 私としては助かった。望み通り試合をして、そこで負けて王冠を失っても国外追放にはならない。紛失や剥奪ではなく、正式な試合の結果だからだ。



「私たちが頼めば防衛戦をやっただと?フフフ、ありえないな。私たちの実力、そして目的を知れば……お前は逃げ出してしまっただろう」


「逃げる?お前らごときにジャッキーが?」


 チャンピオンの座に固執して、自分より強いかもしれない人の挑戦を一切受けない王者もこれまで何人かいたらしい。私は防衛に失敗してもいいと思っているけど、あまり強すぎる相手だと殺される危険がある。


「我ら六人……長年苦楽を共にした仲間でもなければ、家族でも友人でもない!しかし共通点もそれなりにある!」


 

 六人組がマントを捨て、その姿を見せた。ただし一人だけはそのままで、全身を隠したままだった。


「そう、私たちは魔王軍に属する兵士!魔王様にこの王冠を献上する!」


「ま……魔王軍だって!?」


「これで理解したか?お前らが魔王軍相手に防衛戦をするわけない……断れない状況を作らない限りな」


 魔界に王冠が流出したら大変なことになる。私がやると言っても試合の許可が下りなかっただろう。



「お前たちもこの王冠も我々が出世するための道具だ。だから王冠を盗んで持ち帰るだけでは意味がない。人間界の王者を倒して初めて魔王様に認められる」


「なるほど……強盗までしたのにわざわざ真剣勝負を望むのはそういう理由でしたか」


 魔王軍での高い立場が欲しい、ただそれだけのためにこんな騒動を起こしたのか。この自分勝手な野望、許すわけにはいかない。


「見せてやる!『虫組』の恐ろしさを!」


「虫………あっ……そうだった………」


 言われてみれば虫のような外見の敵もいる。王冠が奪われた日、虫がとても多かったという証言も聞いた。この六人は全員虫の力を使えるようだ。


(……戦いたくないなぁ………)


 ゴキブリやハエがいきなり顔に向かって飛んでくる恐怖、あの悪夢が再びなのか。もっと恐ろしい虫が現れるかもしれないと思っただけで、やる気がほとんど奪われてしまった。

 今年のニュージャパンカップ、誰が優勝するとしてもおそらくそのままIWGPヘビーを獲るでしょう。しかし多くのファンはこのトーナメントよりもバレットクラブの内紛のほうが楽しみなはずです。落とし所は以下の4つのどれかでしょう。


①全面対抗戦 金網デスマッチで完全決着

②WD離脱 外道がどうするのか気になる

③ゲイブのみ追放 本隊か新ユニットへ 

④自然消滅 これが一番つまらない


 フィンレーがNJCで優勝した場合はIWGP挑戦、ほぼ確実に後藤を倒して王者になるので、真社長がそこを襲って挑戦表明でもしない限り④ルートになるでしょう。


 最近のWDはフィンレー以外全員ファンサービスやイベントに積極的で、悪役とは言い難くなっています。しかし全員離脱よりもゲイブ追放のほうがその後のストーリーは作りやすく、面白くなりそうです。

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