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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第四章 強敵たちの襲来編
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一撃粉砕の巻

 ナナチーを倒せる、そう言って交代を迫るマキに対しサキーはタッチを躊躇った。


「いいのか?力はほとんど封じられているはずだが」


「お姉ちゃんとわたしがいる場所は遥か高み……オードリー族なんて片手で消しちゃうよ」


 そこまで豪語するならもう好きにしろ、そんな顔でサキーはマキの肩に触れた。これで交代成立だ。



『ついに大聖女マキナ様がリングに!通常ならこれで勝利を確信できますが、この状態ではどうなるか………』


 マキを目の前にしてもナナチーは少しも動じていない。簡単な相手だと見下しているかのようだ。



「正直一番楽だな、今のお前は。大聖女の力を奪われてしまってはただのクズ、何もできやしない」


「………」


「お前からは地力を感じない。努力や苦労など一切していない、天から与えられたものに頼りっきりで生きてきたのがわかる」


 生まれつき持っていた力があまりにも凄すぎて、そう思われるのも仕方ない。周りは天からの贈り物に嫉妬しているだけだ。


「何もわかってない!マキは毎日お城で頑張って腕を磨いていたんだ!血の汗を流すような厳しい鍛錬を重ねて……」


「……いたようには見えないが………」


 確かに姉として、ほんのちょっぴり贔屓目で見ているかもしれない。でも大聖女としてたくさんの教育と訓練を受けているのは誰も否定できない事実だ。



「お姉ちゃん……うれしいよ。お姉ちゃんが褒めてくれるなら、それ以外の害虫からどう思われていようがわたしは気にしないよ」


 私はずっとマキの味方だ。重い責任を背負い続けるマキをこれからも、どんなことがあっても支えていく。


「………こいつ、本物の大聖女か?この言葉遣い、とても信じられないが………」


「う〜ん……わからなくなってきた」


 オードリー族たちはマキの正体まで疑い始めた。この不敬、許すわけにはいかない。今すぐ私が代わりたいところだけど、マキは入ったばかりだ。思いっきり暴れてもらおう。



「まあいい。こんなのはさっさと私が始末して、我らへの無礼な言葉の責任を取らせよう。しかしここまで自信たっぷりに現れたんだ、何か策があるのか?」


「………」


「私の能力に穴はない。身体のどこかを押せば解除されるとか、魔法なら貫通するとか……甘い考えで入ってきたのなら下がれ。クズを倒して勝ったところで観客たちもがっかりだろうからな」


 ナナチーの全身が変化を始め、正方形になった。完全なる防御でマキの攻撃を止めてから、マキシーを破った技で仕留めるつもりだ。



「………」


 マキは何も答えず、腕をぐるぐると回した。魔法は使えないのか、物理攻撃で戦うことを選んだ。


「よし……殴ってこい。その直後、致命傷になる一撃を食らう覚悟があるのなら」


 剣でも斬れない、ハンマーでも砕けない、炎や水も効かない。そんな相手にパンチが通用するのか……。



(いや、本来の力が出せなくてもマキなら!)


 自慢の妹を信じた。仮に危なくなったら私が割って入って身代わりになればいい。攻撃を受けて気絶したとしても、正式に交代せずに試合の権利がない状態ならチームの負けにはならない。


 それにもし私が倒れたとしても、マキとサキーが怒りに燃えてパワーアップしてくれるという期待もある。そのほうが勝利に近づく。


「そんな姿になったら避けられないよ。いいの?」


「無傷で受け止められる。回避する必要がない」


 マキのパンチが効いたらマキの勝ち、効かなければナナチーの勝ち。とても単純でしかもすぐに決着がつく。私もすぐに入れるように構えた。




「来い!オードリー族の偉大さ、その身体に教えてやる!」


「あははっ!じゃあお言葉に甘えて……」


 マキの右腕はとてもゆっくりで、力強さを全く感じない動きだった。下半身に力が入っているようにも見えず、ナナチーどころか小さな子どもすら倒せない……はずだった。



「えいっ!」


「ナメやがって………グボォ!?」


 マキの右手がナナチーに触れると、一瞬で吹き飛んでいった。助けようとしたトゥーツヴァイの腕も僅かに届かず、フィールド内にある観客席に突っ込んだ。


「ぎゃあっ!!」 「うわっ!?」


「つ……強すぎる!がはっ………」


 逃げ遅れた観客や椅子の山の中心でナナチーが倒れている。顔面は血だらけで失神、しばらく立ち上がれないだろう。



「決まった!あとは場外カウントを!」


 ナナチーがリングに戻ってこなければ、残りの二人が元気でも試合終了だ。これで勝ったと大喜びしていたら、トゥーツヴァイがロープの間からゆっくりとリングに入ってきた。


「ちょっと待った!戦う権利は………」


「彼女が私の横を通過した時、指先ではありますが触れています。これはルール上タッチとみなされ、交代が認められるのでは?」


 言われてみればぎりぎり触っていたような気もする。しかし証拠がない。


「う〜む……私には見えなかった。ナナチーが吹っ飛ばされるスピードが速すぎた」


「むむ……」 「グ、グム〜〜〜!」


 審判が見ていないのだからもう終わり、場外カウントが始まるのを待っていた。ところが私の敵は意外なところにいた。



「いや、わたしは見たよ。ちゃんと触ってた」


「え!?マキ!?」


 黙っていれば勝利が決まったのに、マキが相手の主張を後押しした。そもそもあの場面、マキは別のところを見ていたような……?


「ああ。私も確認した。さすがは野蛮な連中をまとめる頭脳派のトゥーツヴァイだ。抜け目がないな」


「サ……サキー?」


 サキーまで敵を助けるようなことを言う。こうなると審判も交代を認め、試合を続行させるしかなかった。



「二人とも……どうして?」


「このまま勝つのは簡単だよ。でもお姉ちゃんがまだ活躍してないからね。無価値な一族を世界から消すのは、この世で最も価値があるお姉ちゃんがやらなきゃ!」


「ああ。あいつらを倒し、ラームを救うのはお前の役目。最初に話した通りだ」


 確実に勝てる相手だとはっきりしているわけでもないのに、相変わらず勝ち方にこだわっていた。この思い上がりがこの先試合にどう影響するのか……すでに今勝利を逃した。




「ナナチーが倒されたのは私の責任です。大聖女の力を封じ込めたと思っていましたが、不完全でした。私が自分を過信しなければこのようなことにはならなかったのです」


 慢心のせいで痛い目に遭ったのは相手も同じだった。トゥーツヴァイがマキとの距離を詰めていく。


「もう油断はありません。全力であなたたちを倒します!たとえ命を奪うことになったとしても!」

 ヘビー・メタル   総合評価72ポイント

 ザ・ゴッドシャーク 総合評価78ポイント

 ウールマン     総合評価76ポイント

 ブルトーザーマン  総合評価80ポイント


 キン肉マンソルジャー 総合評価87ポイント

(ただし不正投票の神が憑依すると1億ポイント)

 

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