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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第四章 強敵たちの襲来編
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全面戦争の巻

 トゥーツヴァイ……②

「………19!」


「うおおおおお!殺してやる〜〜〜〜〜〜っ!!」


 あとカウント一つというところで魔法の効果が切れた。怒り狂ったスーフォーが、私の待つリングに猛突進だ。


『腕の大きさは元通り、しかし怒りのパワーは最高潮!ジャッキーの死は避けられないか!?』


「騙しやがって!今度こそ許さんぞ!」


 普通にリングインしていたら間に合わないとスーフォーは思ったようで、ロープの下からマットを滑るようにして戻ろうとした。でも私はリング上から見下ろしていて、スーフォーがどこから入ってくるかわかる。カウント19まで来れば、もう私の勝ちだった。



「ふんっ!」


「ぶげぇっ!!」


 リングに入りかけたスーフォーの顔を靴裏で蹴った。勢いよく飛び込んできたから、そこに足を置くだけで強い攻撃になった。


「うぎ………あがが」


 鼻が折れたのか、顔を押さえながらスーフォーがよろめく。すぐに再び前を目指したものの、この一瞬が致命傷になった。



「………20っ!」


「あ………」


 審判が試合終了の合図を出すと、それを知らせる鐘が大闘技場に鳴り響いた。


『これで決着!勝ったのはジャッキーだ!未知の強豪スーフォーをリングアウトで下しました!』


 とても褒められた勝ち方ではない。しかしラームを奪還するためなら内容は二の次、勝てばいい。無理やり人の家族を連れて行こうとする連中に文句を言う資格はない。



「卑劣な屑が……!何が決着だ!俺たちの戦いは………」


「いや、終わったよ。リングアウトを認めるってルールをもう忘れちゃった?自分の間抜けを私のせいにするのはやめてほしいな」


「グ……グム〜〜〜〜〜〜ッ!!」


 怒りに任せて襲ってくるかと身構えていたけど、スーフォーは身体を震わせて悔しがるだけだ。潔く敗戦を受け入れたのは意外だった。


「よし、無事に終了!じゃあラームを返してもらおうかな。そっちが負けたら………」


 ラームから手を引く約束だった。敗北を受け入れるのなら約束も守るだろうと安心していた。



「ハハハ………残念ながらそうはならない!」


「え!?」


 オードリー族の残った六人が立ち上がる。ラームを渡す気は全くないようだ。


「スーフォーはこう言った。「『俺は』もう何もしない」と。私たちがその中に入っていないのは明らか!」


 確かにその通りだった。オードリー族全員ではなくスーフォー一人を止めただけに過ぎなかった。



「そいつはリーダーのように振る舞っているが、ワタシたちは同等の立場!ワタシたちを代表して何かを行う権限はないということだ」


「さあ、戦いを続けよう。僕たち六人を倒せばその時こそラームを返してあげる。ま、そこまで体力が持つわけがないんだけどね……アハハハッ!」


 私はマットに両膝をついてしまった。魔力をほとんど使い果たした状態から連戦連勝なんて無理だ。あと一人か二人は倒せたとしても、どこかで負ける。


「た、立たなきゃ……ラームのために………」


「そうだ、立て。無謀とわかっていてもお前は戦うしかないんだ。しかし我々にとっては楽な勝負だ。六人目までにお前を倒せばいいのだから、じっくりと仕留めさせてもらおう」


 オードリー族はくじを引き始めた。戦う順番を決めるためのものだろう。きっと一人目と二人目は私を消耗させることに専念して、その後から勝ちにくる。


「むむ………んっ!?」


もう打つ手はないかと思いきや、頼りになる助っ人たちが私の背後から次々とリングに上がってきた。



「私もやるぞ。七人で一人を倒そうとしている卑怯な連中を懲らしめる手伝いをさせてもらう!」


「サキー!」


「正義のために、何よりジャクリーンさんのために……私たちも参戦します」


「エーベルさん……フランシーヌにマキシー、マーキュリーも!ありがとう………これで戦える!」


 闘技大会で活躍し、今はチーム・ジャッキーの一員となっているみんなが助けに来てくれた。一気に形勢逆転だ!



「私たちが加わったところで六人対七人……文句は言わせない。しかしお前らごときにはちょうどいいハンデか」


「………ちっ、面倒なことになった。黙って見ていればいいものを!」


「オードリー族……正々堂々と戦う力も勇気もないのですか?誇り高い一族と聞いていましたが、魔物と変わりませんね」



 苛立ちを隠さず、サキーたちを追い出そうと何人か前に出てきた。しかし一番年長と思われる青髪の女性がそれを制した。


「やめなさい!あちらの言い分は正しいのですから、対抗戦を受けましょう」


 彼女は唯一礼儀正しく話すからオードリー族の中では浮いている。一方でラームを拘束しているのもこの人だ。


「おいおい『トゥーツヴァイ』、そんなものやる必要はない!このまま逃げたほうが……」


「いいえ。私たちの名誉のために、加えて後々に争いの種を残さないためにも公式戦で決着をつけるべきです。それとも勝つ自信がないのですか?なんと情けない………」


 トゥーツヴァイの言葉にオードリー族の目つきが変わった。そしてそれぞれの席にどっしりと座る。私たちとの対抗戦に同意したようだ。



「よし、勝負だ。ラームとの別れを惜しむ時間を与えてやったんだ、感謝しろよ」


 リングは一つしかないから、一試合ずつ行われる。オードリー族が途中でラームを連れて逃げないように、マユや実力のある選手たちが見張ってくれることになった。


「全滅するのはお前たちだけどね」


 これは勝ち抜き戦ではない。両軍の勝ち残った選手で再び戦い、最後の一人に黒星がつくまでやる。

 


「ジャッキー様のもとにすぐに帰れると信じてますからね!それまではルリさん、よろしくお願いします!」


「わかりました。わたくしがジャクリーン様の手足となります」


 手が空いているのはルリさんだけだ。特にお願いすることはないけど、そばにいてもらうだけで力が出る。


「皆さんもありがとうございます!でも不思議なのは、サキーさんたちにとってぼくはライバルのはず!ぼくがいなくなればジャッキー様と結婚できる確率も上がるのに………どうして戦ってくれるんですか?」


 それは私も疑問だった。ラームのために命がけの戦いに挑むのは私だけだと決めつけていた。サキーたちに戦う意味があるとすれば……。


 

「フフ……私たちは同じ女に惚れた仲間だろう」


「それ以上の理由はいりませんよ」


 思っていた以上にみんなの絆は固かった。オードリー族の団結力にも負けないほどだ。

 いよいよキン肉マン完璧超人始祖編のSEASON2が始まります。ピラミッド戦はどんなカードになるのか、連載当時はこんな予想をしていました。


①〜③バッファローマンorラーメンマンorブロッケンJr対ターボメンorクラッシュマンorマーベラス 


 正義悪魔連合軍の全勝は堅い試合です。理由としては、正義悪魔軍の三人はいずれも前シリーズ『究極タッグ編』で勝利を得ることなく敗退したからです。そうなると完璧超人軍はすでに1勝している二人と勝ちそうにないマーベラスが負け役になります。(それを裏切られたのが続くオメガ編で、まさかテントウ虫が連勝するとはほとんどのファンが予想できなかったはずです)



④ブラックホール対グリムリパー


 これまでのキン肉マンにはあまりいないタイプの超人、グリムリパー。明らかに技巧派で、ブラックホールと奇術師勝負になるだろうと思いました。連勝は難しいので勝者はグリムリパーだと予想していました。



⑤スプリングマン対ジャック・チー


 水が苦手なスプリングマンのために用意されたような相手で、この二人の対戦は鉄板だと考えていましたが……。勝敗予想はスプリングマンの勝ちか引き分け。



⑥ロビンマスク&ウォーズマン対ネメシス&ポーラマン


 ネメシスとポーラマンが見せた合体技『バスタードッキング』で、この二人がタッグを組むのは確定。そうなると超人師弟コンビが戦うしかないでしょう。展開的に当然勝つのはネメシス組で、マシンガンズがその無念を晴らすところまで思い描いていました。

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