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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第三章 スーパー闘技大会編
141/273

闇の女王の拷問の巻

(よし……闇の女王の誕生だ!)


 誰にもわからないところで、エーベルさんとトーゴーの契約が成立していた。悪の力でパワーアップしてマーキュリーを倒す、エーベルさんの覚悟が決まった。



「ん?空が暗くなってきた……雨が降るのかな?」


「いや、リングの上だけだ!その中でも特にエーベル、あいつの周りに黒い何かが……」


 異変が起きたと気がついた時には、すでに終わっていた。エーベルさんが闇に飲み込まれた。


「あの漆黒……まさかマーキュリーが!?」


「そうは見えない。マーキュリーも目の前の出来事がよくわかっていないようだ」


 エーベルさんとトーゴーにしかわからない、闇の儀式。しかし私はこの術をかけられたことがある。まさかとは思っていたけど………。



「ア………アアアアア―――――――――!!」


『こ、これは……!エーベルの白い戦闘服が黒に染まっていく!マーキュリーの闇に侵食されたのか!?それとも自ら変化を選択したのか!?』


 人の心の中には善も悪もある。その比率が人によって違うだけだ。しかしトーゴーの秘術を受けると悪が善を完全に駆逐してしまい、純粋な悪で身体が満たされる。


『服だけじゃない!顔つきも、髪の毛も、発するオーラも……これまでとは別人のようだ!』


 私たちとの試合の時よりも迫力が増している。より恐ろしく邪悪な存在になったようだ。



「……変わったのは見た目だけ?確かめてみよう」


『右腕を氷の刃にしてマーキュリーが襲いかかる!』


 マーキュリーにとっては様子見、それでもとても強力な攻撃。エーベルさんは避けずに待ち構えていた。



「………!」


『な……なんと!マーキュリーの腕を片手で掴んでいる!しかもそこから氷が溶け始めているぞ!』

 

 パワーの差が埋まり、氷魔法を打ち破った。これで真っ向から戦える。


「フンッ!」


「むっ……!」


 そのままロープまで投げ飛ばす。マーキュリーはうまく体勢を整えたけど、すでにエーベルさんは眼前に立っていた。次はどんな攻撃でいくのか大闘技場は楽しみに待っていた。



 ところがエーベルさんの行動は真っ向勝負とは正反対、何のためにパワーアップしたのかと思わされるような攻撃だった。


「へへへ、どうだ!」  


「………!」


『目を引っかいている!これは痛い!』


 マーキュリーがどうにか目潰しから逃げても、すでに次の攻撃に移っていた。いつの間にか布を持っていて、背後から襲った。


「ガガ………!」


『今度は首絞めだ!卑劣な攻めが続く!』



 どれだけ悪質な行為をしても即失格はほとんどない。審判が警告をして、それでもやめなかった場合は反則負けになる。


「おい!神聖なるスーパー闘技大会の準決勝だぞ……」


「黙ってろ、ゴミが!」


「な、何を………うげっ!」


 審判が止めに近づいてくる瞬間をエーベルさんは待っていた。マーキュリーを突き飛ばし、審判を鉄柱に激突させた。しかも柱とマーキュリーに挟まれたから大ダメージだ。



「うっ………」 「ガガ………」


『審判とマーキュリー、共に悶絶!おっと、審判はどうやら気絶してしまった模様!こうなると代わりの審判が登場することになっていますが……』


 しばらく待っても誰も来ない。その代わりに現れたのは黒幕と呼ぶにふさわしい人間だった。


「控えの連中はみんな動けないぞ?この私が痛めつけておいたからな!」


『ト……トーゴー!スポイラー・トーゴーがリングに上がってきた!審判がいないので誰も止められない、堂々と介入する気か!』


 観客たちもこれで全てを理解した。トーゴーが再びエーベルさんを闇に誘い、悪の力のせいで戦い方が大きく変わったのだと。



「トーゴー!そいつを止めてろ!」


「わかってる。息の根も止めちまうかもしれないがな!」


 トーゴーが鞭を取り出し、マーキュリーの首をきつく絞める。布での攻撃よりも肉に食い込み、さすがのマーキュリーも苦しそうだ。


『トーゴーがマーキュリーの動きを完全に封じ、そこにエーベルが正拳突き!悪女二人の魔のコンビプレーが炸裂!』


「どうしたマーキュリー、手も足も出ないとはこのことだな!お前が倒してきた連中がどうしようもない雑魚揃いだっただけ、これが現実なんだよ!わかったか、よく思い知れ!」


「……………」


 

 エーベルさんへの大歓声は当然ブーイングに変わった。審判を排除して二対一で戦う最低な戦いが受け入れられるわけがない。


「ふざけんな!大聖女だったんじゃなかったのかよ!帰れ!帰れ!」


「また悪の道に逆戻りか!マーキュリー以下だ!さっさとどこかへ消えちまえ!」


 しかし何を言われようが二人は動じることなく、むしろ笑みを浮かべるほどだった。


「うるせーぞ!だったら頭を下げて懇願しろ!「エーベルさんお願いです。これ以上クソ弱いクズを虐めるのはやめてください、かわいそうです」ってな!」


「その代わり優勝賞金と記念の品をすぐに持ってこい!明日の試合もやるまでもないだろ!」


 連携技や武器攻撃、あらゆる汚い手を駆使してマーキュリーを追い詰めていく。やり方はともかく、勝利への執念が強く伝わってきた。



「……ぐっ………」


「そろそろだな。とどめの一撃といくか!」


 最後はやはりこの技のようだ。昨日リョウオンを倒した形に入る。立たせたマーキュリーの脇の下に頭を入れて、足を振り上げてマットに倒す……強力な必殺技だ。


「トーゴーの力を借りているぶん、昨日よりも威力は増しているはず!」


「決まれば一発で勝負あり……いいえ、命すら奪うかも!」


 そのうち審判の意識も戻る。その時にエーベルさんが立っていてマーキュリーが動けないとなれば、エーベルさんの勝利とする以外ない。反則の数々を何も見ていないからだ。



「よし、これで世界は守られ………はっ!!」


「……………」


 マーキュリーの全身から闇のオーラが放たれた。これまで見せたものよりずっと濃く、大きかった。もちろんトーゴーの秘術がもたらすどす黒い闇すら凌ぎ、そのおぞましさだけで気を失う人も出るほどだった。

 第141話終了。今回の更新は11月25日まで続く。その前日まで野球の世界大会プレミア12が行われているが、辞退者が多すぎて寂しいメンバー。そんな中で日本シリーズを戦った横浜DeNAから主力野手が三人も出ているのに、Bクラスの屑チームでずっと暇してた選手たちは怪我でもないのになぜ出ないのか?ま、プレミア12がそもそもその程度の価値しかないってこと。

#というね


↑の元ネタレスラーが誰か、皆さんわかりますか?

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